全18巻完結。
以前書いた

の続編がついに完結した。


仲間であったトムとジェリーが裏切るように仕向けた

横溝組への襲撃に失敗して捕らわれた涼
は同じく横溝組により捕らわれたデスペラード(ならず者)達とパナマの無法地帯に送られる。

そこはパナマ最大の組織「冷たい血」が金と薬、暴力によって警察までも支配されていた。

一緒に捕らわれていたパナマ人のクロウ=モレノ

(右)は元ボクサーで「冷たい血」の幹部から試合で八百長を持ち掛けられわざと負けるよう言われたが、それを断り試合で勝った為、妹と拐われ別々に捕らわれていた。

モレノから妹の奪還と「冷たい血」を壊滅させる為に協力を頼まれた涼達デスペラード達は自分達の誇りを取り戻す為にモレノに協力する。

抗争が過熱していく中で涼はまたも多くの仲間を失うが

「冷たい血」と敵対するコロンビアの組織「殺るか殺られるか」のボスジャガーゲイル
と共闘関係を結びついに「冷たい血」を壊滅させた。

しかしその犠牲は大きくモレノの妹は既に重度の麻薬中毒者となり、そのトラウマから過去の記憶を失った別人格の敵となってモレノ達の前に現れモレノを救う為に涼の手で撃ち殺される。

妹を助けられなかったばかりか信頼していた涼に射殺された事でモレノの精神は壊れてしまう。

モレノが壊れる様を目の当たりにした涼もまた傷つき、手に入れた組織のトップの座を生き残った仲間でトムとジェリーの後輩の殺し屋キリングジョー

に譲り姿を消す。


日本では生死不明となっていた涼だったがパナマでの目撃情報を聞いた警察はパナマに潜入捜査官として矢柄蒼生

を派遣する。

涼の生存確認と身柄確保が任務だが彼は少年時代父親を「喉に銃痕のある男」に殺された過去があり涼に復讐する事だけを考え生きていた。

「冷たい血」の残党と組織を奪ったキリングジョー達との抗争に巻き込まれ重傷を負った矢柄はなんとか涼にたどり着くが実はその涼は替え玉で…。


かつて死神と呼ばれた男がたどり着いたのは摩天楼の街・ニューヨーク。

季節は真冬。傷心の涼はそこでホームレスとなっていた。

そこで知り合ったプロデビューを控えたボクサーのマックスとその母親でミルクスタンドを経営するセレナ母子。


餓死寸前だった涼はマックス母子によって温かい食事とマックスと同部屋ながら住む場所も与えられ少しずつ傷を癒していった。
ようやく傷も癒えた頃、セレナの店の土地を巡ってギャングの抗争が勃発。
この抗争には裏でニューヨーク市警に勤務する殉職したモレノの父親のかつての同僚テリーのセレナに対する横恋慕による手引きが絡んでいて、実はモレノの父親を殺したのもテリーだった。
父の死の真相を突き止めたモレノはギャングに拉致され壮絶な私刑(リンチ)を受ける。
モレノと引き換えに土地の権利書を渡す事を迫られたセレナは遂にギャングに権利書を渡すが涼が生きているという噂から涼を探しにきていた涼が唯一信頼していた情報屋のエイジ
と古岩組組長になった蜂矢兼光
の手を借りギャングのアジトに乗り込みギャングを殲滅。
権利書を取り戻しセレナに渡しニューヨークを去る。

いよいよ舞台は日本へ!
この数年でヤクザ組織でありながら政財界にまで影響力を持つ巨大企業と化した「横溝組」。
その勢力拡大はとどまる事をしらずいよいよ蜂矢兼光の「古岩組」にも再びその魔手を伸ばしてきた。
蜂矢は過去に「横溝組」の組長喜多嶋と因縁がある涼に協力を求め、これに情報屋のエイジと横溝組に抵抗してる半グレ組織・義怒羅のリーダー南雲海斗
も加わる。
一方ニューヨークの事件でニューヨーク市警のベテラン刑事JJと女刑事エレイン
(↑左JJ、右のメガネがエレイン)
に拘束されたまま帰国した矢柄は何のおとがめもなく元の刑事に復職。
これに疑問をもった矢柄は独自の捜査で父親を殺したのは横溝組と刑事部長による癒着の発覚を恐れた刑事部長の差し金で、横溝組の組員が涼になりすまして殺した事を知り復讐を果たす。
横溝組が大きな取引を東京湾で行うという情報を得た涼達は海上のタンカーに潜入、横溝組との最終決戦に臨む。

横溝組との抗争で瀕死の重傷を負い行方不明となっていた涼は非公式ながら元ニューヨーク市警のJJが指揮する事件に巻き込まれた善人の救出を目的とする組織に身を置いていた。
これまで数々の死を経験してきた涼の心にも変化があり殺さない道を選ぼうとしていた。
今回の任務はインドで拉致された日本人ボランティアの救出。
同じ組織にいながら目的の為なら躊躇なく敵を殺すオマリー
と度々衝突するが、ボランティア救出後、オマリーが負傷し、仲間を逃がす為に自分を犠牲にしようとした際には涼はオマリーを救出に向かう。
そしてインドの裏社会を牛耳る組織ブラックバラモンのトップアルベルト・アーチボルト
と対峙した時、涼が自制していた狂気が目覚め…

この作品は髙橋ヒロシの「QPキューピー外伝」のドラマ化に併せてコミカライズされたものの続編で髙橋ヒロシの生み出した我妻涼というキャラクターの一つの可能性だと自分は思っている。
髙橋ヒロシの描いた我妻涼の生き方はどこまでも刹那的でとても長生きできるタイプではない。
実際、髙橋ヒロシによる「QP
」では仲間になった殺し屋トムとジェリーを信じきれなかった事で前作で裏切られ、その怒りからジェリーを死んでいても殴り続けていた。
そんな我妻涼が世界各地を巡り死と隣り合わせの生き方をする中で数々の死と裏切り、謀略と暴力しかない中でも時に笑い時に助けられる中でなにかが変わっていく様が描かれていく。
不良のカリスマと呼ばれながら常に孤独だった涼は実はいつも仲間を求めていて、声が出せずまた不器用だった為それを上手く伝えられなかった。
そんな涼が自分は好きだ。
インド編の前にこれまで涼と関わった人間のその後が語られている。
そこからインド編まで時折ナビゲート役としてパナマで死んだ女デスペラードナミの妹で雑誌記者の本波ナミコが登場する。
彼女の目線は読者の目線に近く効果的だった。
今村KSKという漫画家は漫画家としては画が上手い方ではないと思う。
が、だからこそ上手い漫画家が描いたらより凄惨になるシーンを読みやすくしてくれていた。
(最近の不良ものやバイオレンスもの、ストーリーより過度に残虐な描写を売りにしてるようなのが多いような気がして辟易している)
そしてラスト、涼の失われていた声の第一声。

このセリフにこれまでの涼の想いのすべてが込められているように感じるのは自分だけだろうか?
この後にナミコが書いた記事を立ち読みする「QP」の主人公で違う道を歩んでいる石田小鳥の後ろ姿だけが出てきたのもよかった。

このマンガで描かれた我妻涼は自分的にとても気に入っている。
↑オマケ(笑)。自分の持っている我妻涼フィギュア。
クローズのフィギュアが一時期ブームになって、その頃発売されていたミニサイズのフィギュアで結構お気に入り。








全1巻完結。

大昔、週刊少年ジャンプの黄金期を支えた漫画家の一人、「聖闘士星矢」

など数多くの代表作を持つ車田正美が「リングにかけろ」

で少年漫画に数多くの美形キャラを登場させたことで一躍人気漫画家となり、次に描いたのが「風魔の小次郎」
というスーパー忍者もので、主人公の小次郎が唯一敗北したのが飛鳥武蔵という忍狩りの男だった。
「風魔の小次郎」が1983年に完結してから40年もの年月を経て描かれたのが敵役の飛鳥武蔵を主人公にしたこのサイドストーリー。
最初のエピソードは《淵源の章》。
飛鳥武蔵は
難病を抱えた妹絵里柰
を病院に入れるのと引き換えに忍狩りの頭領・龍鬼
からの誘いで忍狩りになる為の修行を始める。
そこには武蔵と同じく身寄りのない子供達が集められていた。
その中で忍狩りになれるのはごくわずかで大半は修行の途中で命を落とすか厳しい修行に耐えきれず逃げようとして始末される。
そんな修行を乗り越え覇皇剣を身に付け一人前の忍狩りとなった武蔵は龍鬼から初仕事を命じられるが仕事を終えたら頭領の元には戻らないと告げる。
ここまで育ててこれから死ぬ迄働かせようとしていた龍鬼はそんな勝手は許さないと自分の部下達に始末させようとするが武蔵に返り討ちにされる。
遂には龍鬼が乗り出すも武蔵の命の危機に発動するサイキックにより動きを止められ自分が仕込んだ覇皇剣によって倒される。
こうして最強の一匹狼の忍狩り飛鳥武蔵は誕生した。

この一編の他に武蔵が愛刀黄金剣を手にし、かつての本編に繋がる夜叉一族の傭兵になる迄の経緯を前後編で描いた《聖剣の章》。
絵里奈の病死後、武蔵が彫った菩薩像を奉納する為四国ならぬ死国を巡る《死国の章》は4話で構成されている。
この死国巡礼の各寺には武蔵が滅ぼした四国黄泉一族の刺客が待ち構えていて刺客を倒す度気づかぬ内に一識ずつ奪われていく。







死国巡礼の末武蔵が辿りついた答えとは…。

う~ん、やっぱり車田作品はいい意味でも悪い意味でも安心して読めるなあ。
今のマンガってバカ丁寧に描きすぎてて読者に想像させる余地がないものが多い気がする。
キャラ設定が軽すぎるのもどうかと思うけど物語の進行上必要な部分だけ描けばそれ以上深掘りしなくていいと思うんだよね。
そういう余地が残ってるからこそファンによる二次創作の同人誌が生まれてオタクややおいなんて言葉ができる前からコミケが支持されていったんだと思う。

この作品も当時車田正美がキャラの生い立ちとかを細かく描く作家だったら生まれなかったと思うし描き終えて年月が経ち作者も年齢を重ねた事で昔ながらのテイストを残しつつも深みのある作品に仕上がったと思う。

自分は前から書いてるように正義のヒーロー的な主人公よりダークヒーローや主人公より強い敵が好きであしたのジョーでいえばカーロスリベラ
が好きだしタイガーマスクではミラクル3
やアニメでは3人のタイガー
やタイガー=ザ=グレート。
仮面ライダーではショッカー幹部、
キカイダーではハカイダー、ライオン丸ではタイガー・ジョー
が好きだった。
そんな自分はやっぱり「風魔の小次郎」連載時、主人公の小次郎や風魔達より飛鳥武蔵の方が好きだったので今回のこの作品は素直に嬉しかったしかつただ武蔵を甦えらせただけでなく、新しい作品としておもしろかった。
しかもちゃんと本編とも繋がるという昔からのファンが読んだらさらに楽しめる描き方をしてるところもさすが車田正美だなと感心した。
この辺は昔「リンかけ」終了後しばらくして「リングにかけろ2」
を描いた経験で培われたんだろうなあ。
232ページで1540円(税込)と結構高い本なだけあって紙質も普通の単行本より少し上質で雑誌掲載時のカラーページがそのままなのもよかった。
自分は絵心とかはまったくないので正直画の事はわからないけど、今はCG使って描くから昔ほどカラーページ描くのも大変じゃないらしいが美麗な画がそのまま単行本に収録されてるとやっぱり迫力が違うなというくらいはわかる。(苦笑)
ただこういう紙を使って少し厚みがある本って製本の技術の問題なのか糊の弱さの問題なのか綴じが弱くて何回も開いたり閉じたりを繰り返すとページが取れやすくなるのが難点。
自分は本については家のスペースから基本読み終えたら古本屋に売るようにしているがこれは手元に残しておきたいと思う一冊。
作品にケチをつけるなら昔から思ってた事だけど聖剣が木刀ってなに!?ってところ。
忍者を題材にする以上やっぱり刀は真剣にしないと白土三平や横山光輝の忍者もので育った自分には説得力に欠けてしまう。
しかも聖剣といいつつデザイン的に明らか違うのは数本であとは長さとか名前が違うだけっていうのもなあ。(その点「鬼滅の刃」はちゃんとしてたなあ)
(「リンかけ」のカイザーナックルも昔の不良の武器メリケンサックの名前変えただけだったし)
最近はまた「聖闘士星矢」の新しいの描いてるようだけど自分的には近年完結させた「男坂」以上に続きが読みたい未完の大作「雷鳴のザジ」
の続きを描いてほしいんだけどなあ。
しかも当時の車田人気から毎回大増ページでの読み切りだったあのペースで構わないから読み切り形式の連載でやってほしい。
飛鳥武蔵を連載したチャンピオンREDあたりでやってくれないかなあ…?
(ただし「男坂」みたいなショボい終わり方はイヤ(苦笑))


2026年7月3日(金)に発売した「週刊漫画ゴラク」通算3000号スペシャル記念号。

豪華プレゼント企画や巨匠と呼ばれる漫画家による読み切りがある等はどこの漫画雑誌でもよくやってる事だかゴラクの斬新さはその値段。

ふだん550円(税込)で売ってるものを物価高のこの時代に敢えて110円(税込)で出してきたところ。


先月コンビニで講談社の「ヤングマガジン創刊45周年記念復刻ヤンマガ」

を見かけ表紙の懐かしさに思わず手に取ったが1980円(税込)という値段に驚き買うのをやめて棚に戻してしまった。
中身としてはヤンマガの10周年号の復刻版に付録として今は廃刊だか休刊になったヤンマガ増刊号の「ヤングマガジン海賊版」1989年11号のダイジェスト版と復刻版の表紙を印刷したクリアファイルがついてくるというものだったがそれにしても当時を懐かしむにはあまりにも高い。
これが仮に千円(税込)だったらまだしもよほどの懐古趣味かマニアでもないかぎりたかが雑誌にあの値段は払えないでしょう?
貧乏性な自分はその値段を出すならちょっと贅沢なメシを食った方がマシだと思ってしまった。
なんて事があった後だけに漫画ゴラクの値段にはよけい驚いた。
この数十年、雑誌のほとんどは好きな作品や記事のつまみ食い的な立ち読みで済ませているのだが、今回のゴラクも大好きだった永井豪の新作が載ってたのでいつものようにそれだけ立ち読みするつもりだったのだが背表紙に表記されてた値段にこれなら買って帰りゆっくり読もうという気になった。
無論今のご時世、この値段では出版元の日本文芸社としては赤字だろう。(次号予告を見たらしっかり550円に戻ってた)
しかしこの号を買った自分も含めて売上部数は多少なりとも伸びたのではないだろうか?
そもそも漫画雑誌は日本の住宅事情も相まって読み捨てられる前提で作られる物だと思っている。
日本がバブル景気に浮かれてた時代、電車の網棚や駅のベンチ、ゴミ箱には読み終えた新聞や雑誌が数多く捨てられていたが今はたまに電車に乗ってもほとんどそういう光景は目にしなくなった。
紙でなく電書で読むようになったという時代の変化もあるだろうが、ではなぜ雑誌離れが起きているのだろうか?
それにはやはり値段の高さも影響してるのではないだろうか?
毎年春になると大幅給料アップのニュースが流れるがそれは一部の名の知れた有名企業だけの話であり日本の企業の多数を占める中小企業や零細企業の賃上げ率は昔とさほど変わってないのが現実だ。
そんな中、雑誌は材料費や印刷代の高騰とかを理由に事あるごとに値上げをし続け青年誌の550円という値段は今や弁当屋ののり弁より高い物になってしまっている。
月に換算すると4回発行するとして2200円。
そんな高い物を買える社会人や学生がどれだけいるんだろうか?
そう考えると電車の網棚に読み終えた雑誌を置いていく人がいなくなるのも当たり前だと思えた。
青年誌の高さからふと今の少年誌の値段が気になり背表紙を見たら320円…。(汗)
この値段を今の子供達が小遣いで買えるのかと現在のマンガを読み始める子供達(独断で小学3年~4年生)の毎月のお小遣いをちょっと調べてみたら自分が子供の時とさほど変わってなかった。
これではとても子供達が漫画雑誌を買えるわけがない。
自分はマンガ雑誌が黄金期といわれた時代に育ったが小学生の時のお小遣いは学年の金額(小学3年生300円、4年生400円)だった。
初めて自分で漫画雑誌を買えたのは小学4年生だった。
この当時の週刊少年漫画雑誌は130円。
この値段だったから小遣いを捻出して友達同士で週替わりに漫画雑誌を買って回し読みすることができた。(もちろんジュースや駄菓子なども今より全然安かったからだが)
130円で1冊にマンガが13本だか15本載っているのだから人によっては好きなマンガだけ読む飛ばし読みもできたろうし、自分はあまり興味がなくても全部の連載マンガを読んでて読んでる内におもしろくなったり新連載で新しくおもしろいと思うマンガを見つけるのも好きで1冊で一週間十分に楽しめた。

マンガが子供だけの物でなく大人が読んでいても恥ずかしくなくなった現在、青年誌少年誌問わず買い支えてるのは20代~40代くらいの男性女性なのではないだろうか?
その年代の人達は自分と同じく少年少女時代、小遣いをちょっと我慢すれば漫画雑誌を買えた時代の人達ではないだろうか?

漫画雑誌の入り口は少年少女誌である。
本来次世代の購買層になるはずの今の子供達が小遣いのやりくりで買えない値段設定をしていては今の購買層より下の世代は先細りしていくだけだろう。
これまで時代に合わせて値上げし続けてきたのだから世の中の流れに任せるのではなくそろそろ雑誌本来の役割を考えて値下げする為の工夫と方法を各出版社と印刷所が考える時期に来てるのではないだろうか?
そう思えた今回の漫画ゴラクの価格破壊だった。

そうそう余談になるが今回のお目当て、永井豪の新作「地球大戦2056」は今冬に連載開始される作品のプロローグ読み切りで前に同じゴラクで連載してた「バイオレンスジャック」をふたたび主人公とした、これまた幾度となく繰り返されているかつての永井作品の人気マンガの主人公達の設定を少しだけ変えて登場させる東映まんが祭り的作品だった。
久々の新作の序章だし今回は読み切りというのもあってか勢いもあるしテンポもよく読みごたえがあり、これぞ永井豪と思えた。
この読み切りで連載も期待させるが前の「バイオレンスジャック」や「デビルマンレディー」以降、途中でダラダラし始めたり結局最終的にデビルマンを登場させてデビルマンのパラレルワールドでした的なガッカリな展開になる可能性が大なのであまり期待しないようにしてる。