イメージ 1

             ↓(通常のブログとは逆に上から順にお読みください)

 運転免許を取得するのには2つ方法がある。

ひとつはよく“一発試験”と称するもので各都道府県にある運転免許センター(試験場)にて学科、技能、路上試験などを受験して取得する方法。もうひとつは公安委員会指定の民間自動車教習所を卒業してから免許センターで学科試験のみ合格して取得する方法である。ふつう免許を取るというと20数万円を支払って自動車学校に入校する。つまり後者の方法である。しかし、本来免許センターで学科、技能それぞれを受験するのが正規の取得方法であり、便宜的といえる教習所卒業スタイルのほうが今や主流になってしまっているということだ。ちなみに免許センターで技能試験を受けるということは、教習所でいうところの卒業検定をいきなり実施されるようなもので当然のことながら1回や2回では合格しない。ただしその試験にかかる費用はおそろしく安いのだ。

 このレポートは普通免許、普通自動二輪免許を持つ筆者Hが(いずれも教習所卒業の末技能免除で取得)S岡県S部運転免許センターにて、いわゆる“一発試験”にて大型一種免許取得にチャレンジする話である。不幸にもちょうどこの時期は平成19年6月の法改正による中型免許制定の直前で、大型試験が難しくなる前に免許を取得しようと“駆け込み受験者”が殺到していた時期と重なり大変に肝を冷やす結果となった。また、ふだん運転免許更新の時でしかお世話にならない免許センターの、その現実離れした特異な時空や雰囲気も併せてお伝えできれば幸いである。

イメージ 1

                   

 勤務先の新年会での出来事だった。このころちょうど事業の節目にあたり新規の雇用や退社もあったため酒宴を兼ねた歓送迎会でもあった。適度に酔いも回り座も乱れかけてきたころ、新入社員の挨拶が嵩じて出席者全員に順番でマイクが回され、出席者の前でそれぞれ一言コメントをさせられることになった。そこで自分がマイクを手にしたとき、酔いも手伝って自己紹介のあとで高らかにこんな宣言をしてしまった。

“自分の中で今年の目標がありまして、大型免許を一発で取ってみようと思います”

 周囲から“おお~っ”という喝采。その上で厚かましくも毎回本社に受験レポートを提出するかわりに費用を会社で負担してほしいとじきじき社長に約束まで取り付けてしまった。都合、その場を盛り上げたいが為のひとことがそのあと半年に渡る悪夢への第一歩となる訳なのだが、喝采の余韻で気づく訳もなかった。普段自分は業務でいわゆる4トン冷凍車(この時の普通免許で乗れる仕様の)を運転しており、トラックの運転にはいささか自信はある。この頃まだ大型免許の試験は中型クラスのトラックで行われていたのだ。一発試験の概要は情報としてはあったものの知識はまったくなく、まあアッサリ2~3回くらいで合格できるのだろうとタカをくくっていた。

イメージ 1

                 ※2F待合室よりみた試験コース
 1月下旬某日

 倉庫会社に勤める自分はトラックドライバーと接する機会が多い。免許取得の参考になる話を聞くため一発で大型免許を取得した猛者がいないか声をかける。一人S岡市のC部免許センターで取得した人がおり、仕事もそこそこに武勇伝を熱く語ってくれる。しかし職場には主に他地域のトラックが乗り入れてくるため、なかなか必要な情報を得ることができなかった。そこでこの日午後からの休みを利用してH松市K松のS部運転免許センターに出向いてみることにした。ここが一発試験の舞台となる。時間は午後3時半で1Fロビーはがらんとして窓口もほとんど無人であった。なぜかブラジル人とおぼしき外国人の姿が何人かみられる。うろうろした挙句、通り掛かった掃除の方をつかまえどうしたらよいか聞くと“安全協会の窓口で聞いて”と言う。更新手続の際に印紙を購入したり協会加入をお願いされる窓口である。3人ほど女性が退屈そうに窓口に座っていた。

 そこで窓口嬢のひとりに問いかけてはみるものの、自分自身に試験についての知識がまるでないため、その結果彼女に質問攻めとなり大変面倒くさがられたが、とにかく順を追って受験手続をする。まず言われるがまま住所変更の窓口で合併に伴う市名の変更の手続きをする。そのあといよいよ受験票の作成に入る。書名は“運転免許申請書”といい、ここに住所、氏名、生年月日、電話番号を記入して免許と一緒に提出、受理されると封筒に入れて自分に渡される。そして受験の手順を追って説明してくれた。尚、普通免許を取得している場合、運転実技となる技能試験のみで学科は免除となるらしい。試験は月、水、木の週3日に行われており、最初はここに来るか電話で予約をいれるとのことだ。

 まだ若い窓口嬢は決められた次第に手続きが進むと、急に立て板に水を流すが如く“試験の予約はしていかれますか?”などと聞いてくる。しかしまだ試験の概要もわからないうちの受験ではあまりにも無謀なので今日はここまででセンターを出た。大変くたびれた。帰り道ふと近所の書店に立ち寄り大型免許の参考書を購入する。存外、一発で免許を取得したい人の需要があるらしくこの種の書籍について難なく購入することができた。見ると試験の手続きや心得から実車の操作など技能試験全般について懇切丁寧にかかれており、学科試験が不要なのもここではっきりわかった。また法改正前のため路上試験もない。

  最初にこれを読んでおけば試験場でうろつかなくてよかったのだ。

 さて数日後の1月某日、仕事の谷間を利用して急遽午前中の休みを取りふたたび免許センターへ出向く。参考書でイロハの“イ”の字くらいは判ったところでコース図の入手と試験の予約を取ってくる算段である。朝9時頃に到着。先日と打って変わってロビーはさまざまな手続きの人でごった返す。それも前回同様ブラジル人らしき外国人が多い。技能試験の窓口へ行き、試験の予約をする。係員が“大型は大変混み合っていますので次回は2月初旬になります”と言われる。いや、そのほうが予習の時間があってむしろ好都合とも思ったのだがそのやりとりを横で聞いていた眼光鋭い初老の係員から何かパンフレットを渡されいきなり予想外の事実が明かされる。

“今度中型免許ができると6月から大型の技能試験はS岡市のC部免許センターに移るよ。だからいま、ここでは駆け込みで混み合っている。5月いっぱいまでに合格せんと面倒だぞ”

 この年の6月の中型免許新設のことは風の便りに知っていたが、自分はただ試験の車両が変更になるだけだろうと思っていた。しかしここS部免許センターではコースが手狭で大きいトラックは走れないのだそうだ。S岡市は遠い。とてもじゃないが試験に通えない。いま現在の受験申し込み状況からしてひと月に2回、つまり5月までの4ヶ月までに都合8回は受験できそうだ。その間には何とか合格できるだろうが、それにしても面倒な事になった。何が何でも8回のうちに合格しなければ・・。

 気が重くなったが取り直して試験コースについて聞いてみた。すると“総合窓口でコースのコピー(道路図面)を買って裏手にある技能試験待合室に試験コースが掲示してあるからそれを書き写しなさい”との事。早速コピーを4枚購入し(1枚30円、コースは全部で4コースまであるため4枚買った。)ロビー裏手の試験コースに出る。

 更新手続きで訪れるだけだと気が付かないが、免許センターの東側には教習所の教習コース同様の広々とした試験コースがある。この時間、面白いことに多くの受験生がコースの上をぞろぞろ歩きまわっており本日の試験コースを覚えている。まるで歩行者天国のようだ。朝の時間、車両が入るまで開放しているのだ。ここでも外国人が目立つ。

 すこし離れたトイレ横の階段を昇り、おずおずと2F待合室に入る。待合所は東側がガラス張りになっておりコース全景が見渡せる。外人で鈴なりになっている。その反対側壁面に掲げてある大型のコース図を捜し出し書き写した。これは意外に骨の折れる作業で、なおかつ後で見直すと間違っていた。近くでは外人が壁面の普通車のコース図を見て“トマ~レ”とか“ヒダ~リ”とか言いながら一所懸命仲間同士で議論している。なぜ外人だらけなのだろう?面倒承知で費用の安い試験場に受験にきているのだろうか?

 さてしばらくすると試験車両がコースに入ってきた。普通車が3台に大型試験車が1台。大型技能試験の車両はM菱ふそうの4tタイプで、ラッキーなことに仕事で乗っている冷凍車と全く同じ型式である。ただ増トン仕様で最大積載量5.500Kgとなり(法改正前の)大型車両という訳だ。荷台はごくふつうのバタ板平ボディ車なのだが、なぜか荷台最前に妙なテントが載っていてその中には椅子がひとつ据え付けてありここだけ異様である。コース書写を終え下の発着場に下りて、来たる受験にそなえ試験の様子を見学していく事にする。

 試験官はやはり先ほど窓口で“5月中に受からんと面倒だぞ!”と脅された初老の方であった。5~6人の受験者と試験官で点呼と簡単なオリエンテーションを済ませ早速試験が始まった。一番目の受験者が前方後方の確認ののち車両に乗り込む。すると受験者の一人が慣れた手つきで“よいしょ”と荷台に上がるとテントに入り込み中の椅子に座った。“何だろう?”と思ってそばにいた別の受験者に聞くと、次の順番の人がコース予習するための席なのだそうだ。

 受験者は年齢も素性もさまざまであった。1番目は外国人、初受験の人はカックンとブレーキをしている。いかにも運ちゃん系おじさんもいて試験では軽やかなハンドル捌きだが安全確認も軽やかであった。そんな彼らに試験の様子をいろいろ質問してだんだん自分の中で試験の概要が掴めてきた。5人程試験を観て午後からの仕事のため会社に戻ったがこの間の合格者は居ない様だった。尚、試験は100点からの減点法で採点され助手席に乗った試験官が受験者の運転を検分しミスをひとつひとつ減点される。70点以上が合格との事だ。

 それから日夜暇を見ては試験の予習である。コースは外周路の周回と中の課題があり課題にはクランク、S字コース、方向転換、踏切通過、信号のある交差点、コースはずれに坂道発進、あと外周路内に障害物通過の課題がある。試験場によっては縦列駐車の項目があるのだがS部免許センターの課題には含まれていなかった。コースは全部で4コースありこれら課題通過の順番組み合わせがそれぞれ違ってくる。まずこれらをすべて暗記する。

 運転そのものについては普段乗っている冷凍車と試験車が同じ型式のため多分大丈夫だろう。技術的なところでは日常の集配業務の時間を利用し職場ちかくの堤防道路の駆け上がりを利用して坂道発進の練習や会社構内で終業後に方向転換の練習をする。あと必要なのは運転中の安全確認などの独特な手順である。参考書をみては確認の方法や交差点の通過方法を覚え、集配の時間を利用して練習する。窓を開けて音を確認する踏切通過など普通免許取得したころを思い出す。

 インターネットを検索すれば技能試験で免許を取得したレポートのサイトが数多くあり“落ちては受け、落ちては受け”の悲哀や合格へのポイントがそれぞれレポートされている。ただ、S部免許センターでの取得をうたったサイトは見当たらなかった。試験場によって運転中の安全確認の方法など手順や方法や順番がまちまちで、それらレポートの中でも解釈の仕方が錯綜しており、合格後のコメントで“とにかく自分を信じること”などといささか無責任に書かれていたりする。N野県で最近合格した方のサイトで比較的詳細な記述のものがあり、これを参考にすることにした。尚、各ページで“取得にあたり参考になったWebがリンクで貼り付けてあり、その中の決定版といえるS賀県の方の技能試験研究サイトがある。数多くのリンクに貼られた技能試験合格のバイブル的存在のページらしいのだが、いそいそ開いてみたところ残念ながら半年位前にサイトが閉鎖されていた。

 その他にも事務的準備がある。朝の試験場は大変混み合っており各受付窓口は長蛇の列となるので証紙購入や証明写真の撮影など事前にできる手続きはあらかじめ先に済ませておく。尚、証紙とはS岡県収入証紙で、この場合いわゆる“受験代”となる。内訳は受験手数料3.300円、車両手数料1.100円、合計4.400円でこれが1回分の受験代の合計である。また受験票には3ヶ月以内に撮影した写真を1枚貼り付けておく。

イメージ 1

                  ※大型試験の車両(法改正前)テント席が見える

 8時に到着。ロビーは早速多くの外人が集まってきている。先日証紙を購入したとき“当日はすぐ目の検査を受けてください”との事で、見ると5つある目の検査の窓口は勝手知ったる順番待ち“代理”の受験票封筒が床にずらっと並ぶ。やがて8時30分に各業務が一斉にスタート、人が動き始める。ちなみに検査では視力と深視力を測る。深視力とはのぞき窓から3本の棒を見て移動する中央の棒が両端の棒と一直進に並んだタイミングでボタンを押すという検査で、大型の受験では必須科目。自分は一度だけ適性検査の時に経験があり事前準備などは行わなかったが、のぞき窓の視界は予想外に小さく焦りのため半ば闇雲にボタンを押したところあっさり合格できた。これらは3ヶ月間有効。

 続いて技能試験の受付の列に並ぶ。ここもブラジル人など外人でごった返している。このあたりで前回の見学で大型を受験していたメンバーと思わしき顔ぶれが散見され挨拶する。つまり皆不合格だったのだ。途中大型技能試験用窓口が開き、ブラジル人相手の合格屋に促されそちらの列につき受付を済ます。窓口は前回同様の初老の試験官で本日は4コースで試験を行うとの事。自分は初受験の為6月施行となる中型免許の簡単な説明があり“5月迄に受かる様に頑張りなさい”と例によって脅される。9時半のオリエンテーションまでコース内を歩いて下見。コース隣の保育園から聞こえる邪気の無い子供達の嬌声の横で必死に安全確認の箇所や仕草を叩き込む。

 普通車は9時半前にいそいそ車両が準備され試験が開始された。大型は9時45分位に悠然とコースに入りAさんという前回と同じ初老の試験官によるオリエンテーションを行う。携帯してきた図面でコースのおさらいがあり注意事項の説明。コース南側外周直線で指定速度35キロを出すこと、また発進は2速で行うが、坂道のみ1速発進など指定項目の説明があった。出席を取り受験票を提出して試験が始まった。1番目は前回同様外人。自分は受験番号105、つまり5番目である。順番待ちの中で他の受験生と情報交換する。その中でS部は県内一試験が難しく、合格まで最低5回、平均10回かかるなどと合格までの傾向を聞かされ、悄然としてしまう。

 4番目、坊主頭の受験生の試験が始まりいよいよ荷台のテント席に乗り込む。ビニール窓から運転席の様子が薄ぼんやりと見える。発進し鉄柵にかぶりつきでコースの予習を行うがこの4番目の受験生、試験開始早々ミラーを障害物に当ててしまい、すかさず試験官に補助ブレーキを踏まれ“ドカン”とエンスト。受験者も試験官もシートから転げおちんばかりだ。自分は鉄柵に顔面を強打し鼻血が出てしまった。試験では規定の減点により70点未満になると試験中止となり発着点に戻されるのだが、この試験官は必ずコースを一回りさせてくれる事は前回の試験を見学したときに見ている。したがって彼も試験中止にならず必死に運転している中、自分も気を取り直してテントの中で鼻血をふきふきハンドル捌きと安全確認のイメージトレーニングをする。さて自分の番、みなと同じ様に車の前後の障害物を確認して乗車、A試験官に挨拶する。“準備できたら出発してください”という。参考書どおりの事前準備を行い“発車します”と声をかけスタートさせる。

 最初の一周は外周を一回りして一度は発着点に戻る。これは慣らしといって車両の癖を掴むためのもので、この間は採点の対象外である。“ここから採点します”と声がかかり再スタート、自分としてはとにかく安全確認を声に出して徹底的に行う、フォークリフトの免許を取得したときの“○○ヨシ”のノリである。発着所での情報交換で“安全確認は声に出す必要はない”ということで意見が一致していたのだが、あえて声に出した。それにしても乗りにくい車両だ。これが仕事の冷凍車と同じ型式なのか?というくらい違う。とにかくブレーキが吸い付き低速では必ずカックンと効いてしまう。キャビンのばねがフワフワでさらに運転席シートそのものもばねが効いておりブレーキ操作をますます困難にしている。

 コースはこの種の車両の運転席から見た場合かなり狭い。左側をうっかり脱輪すると減点が大きいので少し大回り気味となるよう注意した。クランクS字など課題走行はとにかく初めてなのでゆっくりでもいいから接触しない様に気をつけた。外周から入った中の課題コースは右折左折の繰り返しで確認また確認“ヨシ、ヨシ”の連発となる。そしてT字路の終点から2車線の外周路に右折する時、最初内側の車線に一度入りその後外側に車線変更した。あと交差点で優先順位が微妙な場合、普通車(試験車)に道を譲り接触の危険を避けた。自分で気づいた失敗点は一度左折で大回りし反対車線の白線を踏んでしまったのと、シフトミスが多少あった。そんなこんなでなんとか無事発着点に戻った。自分では最初の受験にしては満足できる結果だった。試験が終わるとA試験官のアドバイスがある。

“もっとスムーズに運転すること。スピードを出せるところは出す、曲がる時大回り気味なのでもっと左を寄せてください、T字の出口右折は第一通行帯(外側車線)に入ってください”とのコメントをいただき、とにかく初受験の自分は神妙に聞く。そして一礼して次の受験者と交代した。

 この日の受験者は全部で7人。あと2人の試験を終え正午1Fロビーに戻る。当日2月初旬ながら朝から春めいた陽気で屋外のホームでの試験見学も苦にならなかった。ロビーに戻るとすぐ普通車の合格者発表がある。よく判らないが50人くらいの受験者がいたはずでこれを5台の試験車でこなしていた。発表は放送で案内があり電光掲示板に表示される由。合格者はたったの仮免4人、路上2人。狂気乱舞する2人位を除き外人が一斉にやれやれといった表情で次の手続きに入りだす。おそろしく低い合格率で4,5人はいた合格屋(指定外教習所職員)は商売になるのだろうかと思う。この間大型の受験者同士でよもやま話となる。自分の後に受験した2回目受験のタレントの林家ペーに似たおじさんが6回目、13回目となるベテラン受験者に“あんた方が合格しにゃウソだなあ”と持ち上げる。イガグリ坊主の急ブレーキ男も“また落ちたな~”とうなだれ、皆で慰めあう。よくある事だがこの様に同じ目標目指す者同士すぐ打ち解け、暫く行ったことのない研修などの雰囲気を思い出す。6回目と13回目の彼らによればその位の受験回数になると、車や試験にも慣れてしまい、いったい次はどこをどう直しらいいのか解らず半ばノイローゼ気味になるという。
 
 続いて大型の結果発表。ふたを開ければ合格者はくだんの6回目と13回目の方であった。この日7名中合格2名、但しこの数字を割り算して合格率を出すのが早計なのは彼らの受験回数を見ればすぐお解り頂けると思う。彼らは受験票を受け取るためすぐ技能の受付に呼ばれる、自分やペー氏ら不合格組は彼らを拍手で送り出す。自分達の受験票は近くのカウンタに並べて放置されていておのおの回収する。記載された次の受験日を確認し(2月下旬であった)安全協会で証紙を購入してこの日は解散となった。尚、受験の日程は受験者の都合により変更は可能だが、混雑状況から後延ばしの割り当てとなる事は明白で、指定された受験日を空けた方が得策と思われる。

 かくして1回目の試験は終了した。そのまま午後からの仕事に向かい、試験場を後にする。

イメージ 1

                  ※直接試験コースを歩いて覚える受験者  

 2月中旬某日、午後から貯まった休みの消化ということで仕事をあがる。次いでに自身の緊張感を煽るため免許センターに立ち寄ってみる。昼休み中でロビーや屋外では例によって外人がたむろしている。コースは暗記のため受験者が歩いている。待合室に上がりベンチで昼寝中の強者を横目で見つつ本日午後の試験の掲示を見ると、大型は1時45分から1人だけ試験を行う予定になっている。しかも試験コースは変則の2番コースでこれは勉強になるため見学していくことにする。

 S部免許センターでは普通免許のほか自分が取得を目指している大型と普通2種と2輪しか技能試験を行ってない。試験コースの掲示がそれしかないのである。大型2種(営業バス)やけん引などはC部(S岡市)まで受験しに行かなければならないのであろうか?これでは近隣に住んでおりなおかつ時間に融通のきく人でないと試験場で免許を取得するのは困難なはずである。早退ついでに自転車で立ち寄れる自分は幸運である。

 都市のバス乗り場のような発着場では午後の試験の受験生が集まり始めている。発着ポイントは1~8まであり、大型はだいたい一番端っこの8番乗り場になる。ホーム端ベンチにぽつんと座っている本日唯一の午後の受験生と情報交換をする。Mさんという若くてマジメな人で本日2回目の受験だそうだが、一回目は去年末ということだ。やはり仕事のスケジュールの都合と合わせるのが大変らしい。彼は前回坂道発進に失敗して試験中止となったそうだ。他の試験場では当たり前の試験中止がここでもありうる事を改めて知り襟を正させられる。やがて1時45分となり普通試験車と同時に大型試験トラックも入ってくる。試験官はAさんより若めで背の高い人、発着場に据付け下車するや否やすぐ試験のオリエンテーションにはいる。といっても8番乗り場にはMさんと自分しかいない。即座に試験官に“あなたはなんですか?”と聞かれたため“大型試験の見学です”と答えると“ここでは見学できませんので2階の待合室で見学してください”と、にべもなく追い出される。

 実は先ほども他の試験官から“見学の人は2階の待合室へ”と言われたばかりで、この日は邪魔者扱いでどうもイヤな雰囲気だ。試験官は現職の警察官なので指示に逆らうわけにはいかない。コース横の待合室入口付近にはブラジル系合格屋がたむろしているので彼らの中にまぎれて見学した。彼らは追い出されない。2番コースは坂道発進が他の3コースと違い逆から進入するため外周コースの導入が変形となったりする難しいコースだ。その坂道発進もMさんに嫌がらせの様に急勾配からの発進となる。彼も普段4tクラスは未経験との事で自信なさそうであったが、慎重に走り無事完走した。やはりカックンブレーキ気味で試験官にその辺を注意されたそうだ。

 ひとつ気になったのはMさんが試験のあいだ例の試験車荷台テント席にまだ20歳くらいの女の子が座っていたことで、この次に彼女も大型を受験するのかしらんと気になっていた。しかし試験が終わると試験官は彼女を下ろしトラックをそそくさ車庫に入れてしまう。Mさんに聞くとこの後3人ほど普通車の路上試験があり、くだんの試験官が引き続き採点を行うのだが、次の順番の人は受験車種が違っても規則で乗せなければならず彼女が荷台に座っていたのだという。よく判らない規則だ。この日も温暖化の懸念がみられる小春日和だが花粉が舞い始めており花粉症の自分は鼻がむずがゆい。

 Mさんは今日で2回目なので話の中でさほど有用な情報は得られなかった。2人でロビーに戻りながら自分は安全協会で2,3用事をすませ、彼は技能の受付で受験票を戻されている。(おそらく不合格)2人でまたお互いの健闘を祈り帰途につく。

 さて、1回目の試験で自分がなぜ落ちたか考えてみる。コース暗記と安全確認は自信があった。しかし逆にオーバーアクションな安全確認のあまりハンドル操作が遅れるきらいがあったのは事実でこれが試験後、“もっとスムーズな運転を・・”とか“大回りに注意・・”とかのコメントに裏付けされると思う。

 これはインターネットの受験記で“試験に合格する早道は安全確認など減点の大きいもの(1回マイナス10点)をうっかり取られない様にすることだ”と書かれていたため本番ではオーバーにでも確認動作をした受験対策だった。また他の受験記ではハンドルを回しながらミラーを見て減点されたと記述があり、そのため安全確認後正面むいてハンドル操作を行う練習を繰り返ししていたのである。次回はこの辺をもっとブラッシュアップしなければならない。まとめると

① S字など狭路の入口でハンドル操作するさい途中アテ舵や戻しなど修正せず一発で決め、その間に落ち着いて“小声で”安全確認をすること。
② カックンブレーキをなくすように意識してペダルを踏むこと。
③ 課題から外周に出た時の車線変更もすぐ第一走行帯に入るようにする。・・など。

 実際運転中にカーブの曲がりを見てハンドルを回す回数を予測し、操作一発で決めるのは、やってみると相当困難なのだが、この辺を意識して次回の受験に臨みたいと思う。

イメージ 1

       ※大型二輪の取り回し、受験者の注目を浴びる(ひっくり返すのを密かに期待している)                   

 朝からどんより曇り天候の悪化が懸念される中8時15分に試験場到着。林家ペーに似た4トンのダンプ乗りほかいつものメンバーと挨拶。30分から業務が開始され目の検査(継続のスタンプを押すだけ)をして受付、先日2コースの試験を見学したが今日もその2コースとの事、不安がよぎる。コースを歩き始めると雨が降ってきた。なお前述ダンプ乗り(以下ぺーさん)は気さくで何でも話す人だが、この人毎回まったく試験コースを覚えて来ず、自分がコースを歩く後ろをチョコチョコ付いてきては“次はどう行くだ?”とか“ここは外側でいいだか?”などと自分に何でも聞いて空白のコピー図に手順を書き込んでいる。1回分自分より先輩ながらどうも頼られパターンが定着しつつある。

 あと私事で恐縮だが信金渉外の知人に似た若い人がおり彼とも馴染みとなった。(以下“は●しん”略しハマ君)運送業勤務の傍ら業務の一環として試験場での受験を行っているという。今日で4回目。その他いつも一番バッターで乗るブラジル人もいる。雨がにわかにひどくなり普通車の外人達も含めてコースにいた受験生は発着所や待合室に散っていく。今日の受験番号は103で3番目、ペーさんは受付含めてやる事なす事自分のすぐ後であるから4番目である。その他5人程顔知らずだが皆日本人なので大型の受験者であろう。9時半になり雨をついて試験車両が入ってくる。今日の試験官は先日“あなたはなんですか?出てってください!”と怒られた人で“B”試験官という。前途多難である。

 早速オリエンテーション、今日の午前の受験者は7人で初受験者がひとりと説明がありまず出席取りと受験票提出。人数がひとり多いのは、ある受験者の付き添いが居るからでB試験官がじろっと一瞥“あなたは?”と尋ねると“す、すぐ2階へ行きます”と逃げるように立ち去った。きっと自分と同様過去に怒られた事があるのだろう。そのあと携帯図面で2コースの説明をしていると初受験の人が“質問ですけど・・”と割って入る。すると試験官“ちょっといま説明中でしょ、待ってなさい!乗り方は教えませんから自分で考えてください”といきなり叱咤。なんだかもう今日は先行きに黄色信号が灯り始めてきた。本日の指定事項は南側外周直線で35キロの速度指示のみ。そのようなやりとりがあってブラジル人がトップバッターで試験が開始される。

 自分の番となった。今日は2号車だが車両、仕様ともに前回の1号車と同一である。今日は前回指摘された点(大回り、メリハリ、ギクシャクしない)を直していこうと思う。外周路直線では4速で40キロ過ぎまで引っ張り5速で転がしたあとスムーズに減速とシフトダウンした。またS字クランクなど狭路の課題では大回りにならないよう左後輪をギリギリ縁石に沿わせてみる。方向転換後の180度ターンは前回膨れて失敗したが、今回は方向転換の位置から工夫して無事中央線を踏まずに済んだ。なかなか順調だ。

 試験はいつも寡黙に進む。今日は採点外の慣らし走行を終え発着場へ入るために車線変更(道の左によせる)をした時“あまりよせすぎないで”と一言注意した以外は“はい回って11番で踏切”などコース説明を入れるのみで粛々と試験は進む。慌てないようになおかつメリハリをつけて運転する。前回ひどかったカックンブレーキにならない様にペダルを踏む際に細心の注意をした結果、低速でもスムーズに減速できるようになってきた。また今日は試験と講習を含めて普通車が8台、さらに二輪の試験も行われており他の車両の交錯が頻繁にある。交差点の進入優先順位など考えて運転をする。一度見通しを悪くした交差点で外周の普通車が出てきたため少しキュッと止まったのが一度あったがその他は上手くこなせたと思う。ここまで順調で自分でも“いけるかな?”と内心思い始める。

 そして最後の課題の坂道発進、通常使わない1速に入れサイドブレーキ併用で無事発進、しかし勾配がレベルになりシフトアップするときに2速ではなく隣の4速に入ってしまい助手席のB試験官と荷台のぺーさんを乗せた我が2号車はエンジンブレーキどころか猛然と下り坂を加速し始めた。非常にまずい。ここでクラッチを踏むと減点項目となるので無理やりブレーキで抑えつけるが今度はガクガクとノッキングを始めてしまった。車体が激しく揺れる。ぺーさんは舌を噛んでないだろうか?仕方なくクラッチを切りシフトダウン、課題から外周に戻る。これで頭がまっ白になり残りのコースが頭からとんでしまう。外周路をのろのろ走る自分にB試験官から“もっと速度をだす!”と怒られてしまう。仕方なく“次は4番でしたっけ?”とコースを聞く。すると“ちがうちがう!”と再度怒られる。指でコースを指し“ぐるっと回って交差点!”ここで(あっそうか)と思い出し何とかコースの記憶が復帰、無事発着点に戻る。エンジンを切りシフトをバックに入れB試験官のコメントを聞く。

“ちょっと普通車の感覚で回しちゃってる感じがするなあ、狭路の課題なんか一箇所危なかったなあ、もっと大型車の特性をよく考えて運転するように心掛けてね。それともう少しスムーズな運転ね、とくに余裕がないとさっきの坂道の下りみたいにギクシャクしちゃうからね、その辺を注意してください。”

・・神妙に聞く。しかしさっきの冷たい形相とは打って変わって実ににこにこしてアドバイスしてくれたのは意外だった。ただ、課題についていくつか質問しようとしたが、B試験官が豹変して“乗り方は自分で考えなさい”と冷たく言われそうなのでやめにした。ちなみに試験ではコース間違いそのものは減点にはならないが、コースリカバリーのための走行も減点の対象となる。一度経験するとわかるがコースミスにせよ課題の失敗にせよ、しでかしてしまった直後は一瞬頭が真っ白になり失敗の連鎖が広がりそうになる。先ほどのシフトミスも含め小さな失敗でも上手くリカバリーして残りのコースを減点なくこなすためにコースの暗記と安全確認のイメトレ予習は絶対要件であると感じた。

 試験が終わりぺーさんにバトンタッチ、試験に臨む中待機中のハマ君や新人たちと情報交換をする。雨は降り続く。ハマ君が“そういや雨の試験は始めてです”などと言う。その中で気になっていたのがいつもトップバッターで試験を受けるブラジル人だ。野球キャップをかぶり20代前半に見えるが言葉の壁なのかいつもおとなしく黙って他の受験者の試験を見ている。気になっていたので話しかけてみる。彼は名前をカルロスさんといい(以下カルロス)母国では巨大なトレーラーを運転していたのだという。日本みたいに国際免許で向こうの免許は使えないのか聞くと、驚いたことに母国の免許は使えず、来日して免許を取り直さないといけないらしい。試験を終えたぺーさんが試験車を指差し“おたくらからすりゃこんなクルマ軽っトラみたいなもんだら”と、笑う。
  
 今日は雨にもかかわらず普通二輪、大型二輪の試験も行われ受験生はカッパにゼッケンのいでたちで試験に臨んでいる。もっとも試験官はバイクには同乗できないので北側にある展望のよい監視塔のような所からマイクで指示を出す。これをコース各所にあるスピーカで聞いて一台ずつ試験を行っていた。普通車は言うまでもなく外人受験者でごったがえしている。

 ハマ君その他も終わり最後の7番目、オリエンテーションで怒られた新人の番となる。ツナギを着た30代くらいの彼は本来教習所での取得を目指していたのだが、どこも予約いっぱいで断られ、仕方なく一発での受験に切り替えたという。まだ2月というのにもう現行制度の中では試験場でしか大型免許取得のチャンスはないようだ。ところが走り出すと本日の中で一番運転がスムーズで課題も難なくこなし見事に発着所に戻る。周囲からも“上手いなあ”と声が上がり、すわ合格か?との期待も起きる。(大物新人ということで以下大ちゃん)車から降りた大ちゃんはそれでも“いやーダメでしたよ”という。冷たい雨にすっかり体も冷え、皆で試験官に一礼、“寒い寒い”と一階ロビーに駆け込む。

 この日はどういう訳か大型の合格発表が遅い。お昼休みに入り各受付は消灯されテレビはニュースが放映され始めた。近くにいた女性職員に尋ねると“もう少し待って”との事。ちなみに技能試験の発表はいつも11時45分くらいに放送で“お待たせしました。それでは本日の○○試験の合格発表をします”とアナウンスが入り、ロビー壁の電光掲示板に表示される。その電光掲示板とは学科試験など大人数の発表に対応できるように壁面いっぱいに使った大型のものだが、技能試験の合格者などいつも数名ないしゼロなのでだいたい隅っこの方にちょろっと出るだけである。おおむね普通車と大型は別に発表がある。12時15分にようやく放送があり二輪と一緒に発表があった。ただ“本日は大型の合格者はありませんでした”との事であった。

 技能受付に並んだ受験票を受け取り次の日程をまず確認する。次は3月中旬との事で月曜日である。これはちょっと仕事で迷惑を掛けてしまいそうだ。今日の試験官のBさんが“今日の人は次回A日とB日で分かれました”と言う。申し込みが多くやりくりが大変なのだろうか。ぺーさん曰く“それで(発表まで)時間掛かっただか?おらてっきり誰を合格させっか考え込んどると思った”とおどける。

 朝のオリエンテーションでは“運転技術は教えられないが試験の点数については申告してもらえば教えます”と言っていた。これは前回のA試験官の時も説明あったが前回は発表のとき試験官が窓口におらず聞く事ができなかった。それで今日は目の前のB試験官に受験票を差し出し“点数を教えてください”と聞いてみた。ちらっと(早く昼休み入りたいな)的な表情を見せつつ“他に点数知りたい人は居ますか”と聞く。即座にさっと全員の受験票が差し出された。返却した受験票の束をそっくり戻されたかたちのB試験官はいちど綴りを取りに奥に消える。しばらくして“○○さんこっちきて”と、ぺーさんがカウンタの随分はずれに呼ばれる。皆でぞろぞろついていくと試験官“だめだ!だめだったら。一人ずつ呼ぶからそっちで待ってなさい!”と怒られ制止、不合格者の群は柱の陰までトボトボ戻る。“つぎ、Hさん”と自分が呼ばれぺーさんとすれ違い試験官のところへ。受験票を自分の口元にあてえらい耳元で“残念だったね、Hさんは55点でした。次回も頑張ってね”と肩に手を抱くがごとく優しく言われた。

 その後、昼休みなので4階の安全協会事務掛詰所へ次回の受験代の証紙を購入に行く。のろのろ階段を上りながら皆で点数の自己申告。ぺーさんは60点、ハマ君50点、注目の大ちゃんも50点との事だった。その他もわりとドングリの背比べで、あれだけ運転に違いがありながら何故そんな似たか寄ったかの点数になるのだろうか。本当にきちんと採点しているのだろうか。自分は減点の大きい項目を参考書で拾いながらそこを落とさない様に集中して対策してきたが正直がっかりした感もある。ぺーさんが前回合格した2人のことを見て“あの衆、受かってもあんま嬉しそうじゃなかったな・・”などと言っていたのを思い出した。達成感がない試験なのだという裏付けとしたら納得できてしまうではないか。さて、くだんのぺーさん、コースを覚えずして(試験中も試験官に聞きまくっていたらしい)本日最高の60点をゲットできるとは・・。ちゃっかりしてらっしゃる。

 今日は前回の課題だったスムーズな運転は少しできたと思う。前回大回りを注意されたので今回内角を攻めて行ったら“普通車みたいであぶない”と言われた。ジレンマである。しかしそこで投げ出さず言葉の深意をよく掘り下げる事が大切だと思う。きっと小刻みにハンドル修正で岐路を探している自分がいるのだろう。次回にむけ頑張ろうと思う。

イメージ 1

                 ※2F待合室から見た坂道発進の様子

 今まで総重量8トン以下の貨物自動車は普通免許で乗れることになっていたが平成19年6月の道路交通法改正から総重量11トンかつ最大積載量が6.5トンまでを中型として設定することになった。6月以降に発行される普通免許では最大積載量3トンまでしか運転できなくなる。ただし、それ以前に普通免許を取得している場合、既得権による暫定措置で総重量8tかつ最大積載量5t(通称4トン車)まで運転可である。ちなみにそれら4トン車のなかでワイド幅の場合大型車と同じ車幅であり、架装減トンは大きいもののこれは普通免許で乗れてしまう。また4トン車シャーシながら増トン登録して大型免許が必要となるクルマもある。

 このときの普通免許とあまりにかけ離れた車両に乗れる制度の歪み極まった結果の法改正ともいえるが、改正後の免許の区分も相変わらず重量がベースとなっている。これでは中型シャーシだが普通免許で乗れるトラックとか大型シャーシの車両だが中型免許で乗れるクルマなど、またまた抜け穴的架装の車両が出てくるような気がする。こういう車両は荷台の大きさが売りな半面、架装減トンが大きくなるため、勢い過積載運行のケースが増えるはずで交通取締りの手間はかわらないのではないかと要らぬ心配をする。ただ自転車を転がすが如く爆走する傍若無人な4t車が公道から減るのはよいことである。

 3月の試験前日、試験勉強に励む。ただ自身の用事が集中した時期の中で時間を割き、なおかつ試験のながれにも慣れてきたこともありコース図の確認と安全確認のイメトレを軽く行うにとどまってしまう。次回の試験では
① シフトミスをなくす(1回目、2回目ともにやっている。特に2回目は大きな減点対象となってしまった)
② 安全確認を確実にこなす。
③ 車線変更の幅寄せに留意する(外周路など速度の高い所は寄せすぎない)
④ メリハリの効いた運転(外周路の指示速度まで思い切り加速)
⑤ クランクの第一カーブを慎重にコース取りをする(1回目はミラーが当たる寸前、2回目は脱輪寸前でおそらくそれぞれ減点されていると思う)

 以上の箇所に留意して次回の試験を迎えたいと思う。

イメージ 1

                ※技能試験の合格発表

 結論からいうとまた不合格である。しかも先行きに暗雲がたれこむ予兆を示唆させる事態がいくつかあり、免許センターを出るその足取りは重いものであった。

 この日の早朝、予習不足を補うため構内で練習をしようと出社。ところが練習前に職場のある装置が異常をきたしておりその処置に時間をとられ充分に練習ができなかった。またその足で試験場に向かったのだが、職場の鍵をうっかりポケットに入れたまま持ってきてしまい、後から出社した会社のメンバーが職場の鍵が開けられず計り知れない迷惑を掛けてしまった。鍵を受け取りに同僚N氏が憮然としてバンで免許センターまですっ飛んでくる。申し訳なさすぎて返す言葉もない。朝から幸先が悪い。

 試験場ではもうお馴染みで目の検査から始まる。しかし今日は日本人の列ばかりだ。それも若い人が多い。前の順番の女の子に聞くと自動車学校の卒業生で今日学科試験の人達ばかりなのだそうだ。そういいながら彼女は普通AT限定の卒業証書を見せてくれた。もう卒業、就職を迎える季節なのだと実感する。よしんば、ほとんど列の全員が視力を測るため目の検査で非常に時間が掛かってしまう結果と相成る。自分は継続のスタンプを押すだけで急いで技能受付へ。最近は一日の受付人数を14人とし午前7人午後7人と先着順で受け付けていると聞いたので、あまりモタモタしていると午後の試験に回されてしまい、午後から出社できなくなってしまう。慌てて受け付けをするがそれがアダとなったか今日は受験番号102つまり2番目である。

 今日はあまり同志と出会わない。目の検査の順番待ちでカルロスと挨拶しただけだった。本日のコースは1番という事で難易度の低いコースという事もありまずはホッとする。コースの下見で歩き出すとぺーさんがどこからともなくひょこひょこと付いてきた。と、言っても自分はコースなどとうに暗記していてぺーさんと世間話をしながら歩くばかりで張り合いがない。さて今日は新機軸のひとつで会社の作業着で受験する事にした。厳しい試験官の心証が少しでも良くなればとアノ手コノ手な訳だが、そういう意味では初回から不精ひげを落として試験に臨んでいる。それはともかく非常に寒い。コースは雪が舞っており強烈な西風が吹いている。近隣の山々は頂が白い。作業着の下にはしっかりとスウェット上下を着込んで屋外見学時対策をしてきた。大型専用の8番乗り場に集まった本日の受験生、カルロス、ぺーさん以外は初お目見えの方ばかりとなった。

 今日の試験官はCさんという方、見た目も話も温和な方だ。是非採点のほうも温和であって欲しいと思う。前回の少し多重人格系で苦手なB試験官は、今日は目の検査の係員だったので“しめた”と思ったものである。オリエンテーションで気になったのは、6月からの中型免許の説明があり“今後よく考えてから受験してください”とつくづく意味ありげに言われたことだ。どういう事なのだろうか。
試験が始まる。自分は2番目なのですぐ荷台テントに乗り込む。ぺーさんは本日受付が遅く6番目で、いつも必ず1番目のカルロスはきょう4番目。

 さて自分の番、いつものように発車、外周から踏切へと順調にこなす。メリハリもまあまあ。ブレーキもカックンにならない程度。安全確認や進路変更は研究どおり。C試験官はなにかとこちらの足元を見ていて気になる。なるべくクラッチに足を乗せないように気をつける。S字に入る。狭路だが進入が他の3コースと違い鈍角なのでラクである。ホームを見る余裕もでる。ぺーさんがこっちを見ながらホーム上を走っている。試験官が手板に鉛筆でチェックを入れ始める。なんだろう?クランクは慎重にハンドルを切るが第一カーブはやはりギリギリだ。縁石を踏みそうになったが試験官の目線は他にいっている。しめた。課題の中で交差点を何度も通過するが今日はそのたび嫌なタイミングで信号が赤になる。先を見越してカックンにならない様に停止する。方向転換(バック車庫入れ)は前回まで何度も止まって車庫に収めていたが、今回は1回で決めた。

 最後は坂道発進、問題のシフトミスもなくスムーズにパス。発着点に戻る。安全確認は多少散漫になったが課題をそれぞれスムーズにこなすことができた。試験官にどうだとばかり“終了しました”とギヤを後退に入れエンジン停止。C試験官のコメントを聞く。

“Hさんね、S字で脱輪してたのわかった?あと坂道入るカーブでも白線のゼブラ踏んでたよ。曲がるときは後輪の動きもちゃんとミラーで確認するようにしてねー。あとちょっとハンドル操作が遅れることがときどきあるね。そこを注意してください。

 一礼して下車。すかさずぺーさんから“お宅S字で左後ろ落ちてたよ、ばかにハンドル切るの早いなあと思った”と指摘される。ホームでこちらを見てたのはその事だったのだ。ダブルタイヤなので衝撃はないがかなり大きな脱輪だったのだろうか。インターネットの免許取得記などの府中や埼玉では即試験中止項目である。これで本日の不合格は決定的となった。実はS字は一旦ハンドル角を決めれば後はスルスルと進むだけなので自分の中では息抜きタイムだった。それが落とし穴となってしまった。散漫な勉強や受験態度がそのまま運転に出てしまった。仕事では絶対やらないミスだ。今日はあっさり4.400円をドブに捨ててしまった。ショックを隠せない。ましてや簡単な1コースだったのだ。

 ぺーさんカルロス達と情報交換、といってもカルロスはあまり日本語を解せず身振り手振りとなる。“Cさんはやたら足元を覗くよ”と情報を流す。先の受験者アドバイスを受け続々と試験をこなす。ぺーさんは例によってコースを覚えてないのだが、今日の試験官は交差点の番号でなく“どん突きを左、左で方向転換ね”と判りやすく説明してくれるのでこれは有利に働くはずだ。カルロスも順調だ。今日は初受験の人はおらずカックン停止もみられず。

 しかし、どうした事か皆ことごとく“脱輪”や“白線踏み”を指摘されて帰ってくる。ホームでは解らないが実にさまざまな脱輪があるようでぺーさんも「ケチのつけっこだな」とため息をつく。ペーさんだけは外周路に置かれた障害物(パイロン4個)をよけるところで対向車に進路を譲らず進路妨害を取られていた。今日は試験車のほかに高齢者講習の普通車が4台コース内を走っており、その走りは技能試験的見地から見た場合まさに“暴走車”で、運悪くぺーさんの試験の減点はその講習車とのすれ違いの最中の出来事だった。

 お昼前に7人全員終了。C試験官の“お疲れ様でした”のひと言でロビーに戻る。今回は程なく結果発表、合格者はゼロであった。すぐカウンタに放置された受験票を拾いにいく。今度の受験日をすぐ確認すると次は4月あたま。なんと20日も開いているではないか。なぜこんなに間が開くのだろう?このスパンが続くようでは命運絶たれる6月まで何回も受験できない・・。これには受験者みな狼狽し試験官を見る。するとC試験官

“6月に制度が変わるというので駆け込みの受験申し込みが非常に多くなっています。本来なら大型の試験は週3回(月、水、木)だけなのですが、なんとかこちらとしても試験やってもらえるように月~金まで毎日午後まで試験やるようにしましたけどもう限界いっぱいですね。こんなに開いちゃって申し訳ないのだけど”との由。

 民間の公認教習所では5月末まで予約いっぱいとすでに断りを入れている。然るにこちらは公の“一発試験”制度なのだ。5月31日だろうと6月1日だろうと正規の手続に則った申込みは順番どおり受理する。試験前のオリエンテーションでC試験官がつくづく言っていた深意はこういう事だったのだ・・。

・・「たぶんあと何回も受けられないよ、受からんまま6月になっても恨まんでね」・・

 ぺーさんはじめ、みな血の気が引く。自分はとにかく新年度かつ月アタマの月曜の指定ではさすがに仕事上まずいので2日後に替えてもらう。これで初回からの相棒ぺーさんとお別れである。悲壮感漂う中、互いの健闘を祈る。次回の証紙を購入し暗澹たるきもちで仕事に向かう。

 いずれにせよ、まずいことになってきた。悠長にS字でひと休みするような生半可な受験態度では合格できぬまま6月を迎える気配が濃厚になってきた。いったい現在何人の受験希望者がいるのだろう。今日から次に指定された受験日の間をカレンダーで調べたところ、土、日、祝日を除いた試験日は14日間。現在大型技能試験は平日毎日行われているので仮に午前7人午後7人として一日14人ずつ受験した場合

14人×14日=196

 つまり現在S部免許センターには約200人ほどの受験希望者がいるという事で、この並みいる強豪と対等に渡り合ったうえ合格しなくてはならない。そんなことができるのであろうか?ましてやイチかバチかで受験希望者がまだまだ試験センターの門戸を叩く可能性は高い。もっとも勝ち抜き試合をするわけではないのだが・・。

 ちなみに本日の試験点数を聞いたところ、“Hさんね、受験票の日付のところに書いといたから”と手渡してくれた。そこには鉛筆でちいさく“50”と記されていた

イメージ 1

                 ※公道で白線を踏む大型車

 脱輪、脱輪、試験後、頭はそればかりであった。2度とそういう失敗はしたくない。しからばふだん集荷で運転する際に自分では道路のどんな位置に車を走らせているのだろうか?そこで一般道を走行中いろんな箇所で調べたがどうも走りながら無意識に道の左側に寄っていく癖があるようだ。もちろん障害物があれば回避行動をするが、普通に走っていてふとミラーを見ると白線ぎりぎりだったりする。

 ところが他のトラックを見ても結構左寄りに走っている。10tクラスも同様で堤防道路などではほとんどの車が白線を踏んでいる。こういうのを不合格の足掛かりにするC試験官が外勤で交通取締りに出た場合一網打尽で検挙されてしまう。ともかく自分の運転で車両を道路の中央に走らせるため走行中にミラーを見ながらダッシュボードとセンターラインの位置を頭の中にマーキング、これは試験対策でもあると同時に普段の安全運転の意識にも関わってくると思う。

 あと運転席について。何かの拍子に冷凍車運転席シートの高さを思い切り下げてみたところ、あの運転のしづらい試験車とポジションがそっくりになった。普段冷凍車ではひざの上でそれこそ“ろくろ”を廻すようにハンドルを操作していたのだ。シートを下げたポジションのまま狭い道路で右左折すると運転しづらい試験車の様子がフィードバックする。これは目からウロコであった。

 次回に向けて。

① 脱輪や白線踏みをしない。カーブでサイドミラーを確認する動作を追加してみる
② 試験車に乗り込んだ時、シート座面を上げてみる。
③ 安全確認はもう少しトーンを落としてみる
    (フォークリフト試験のような目立つ確認動作はなんだか不要に思えてきた)
④ 課題を丁寧にこなした上で(緊張しないために)運転を楽しんでみたいと思う

 試験車の特徴はなんども言うがふわふわのキャブサスとカックンブレーキである。キャブサスとは運転台そのものがバネ仕掛けで車体と別個に衝撃吸収する構造になっており、ドアを開けて運転席に乗り込むだけで運転台そのものがフワフワ揺れる。同じふそうの冷凍車はこれほど揺れずいつも戸惑う。ブレーキはちょっと踏むだけでゴリゴリと音を立てカックンと停止する。先日ペーさんが“おれ、考えた”と地下足袋で試験に臨んでいた。“これならブレーキがじんわり踏める”見ているとナカナカ上手にブレーキをこなしていた。次は自分も薄手のズック靴で試験を受けてみたいと思う。

イメージ 1

                  ※受験仲間 左よりカルロス(後ろ向き)                                                一人おいて大ちゃん(ツナギ姿)
                        ハマ君(しゃがんでいる) 
                        ぺーさん(右を向いている)               

 6月までの試験回数も予想以上に少なくなってきており、一回一回の試験を充実してこなせるよう心に誓い免許センターの門をくぐる「4、4、」の一日の始まりである。今日からぺーさんがいない。仕事の都合で日程変更したので、そのほか顔見知り受験メンバーは誰もいないかも知れないが、それならそれで試験に集中するだけである。しかし目の検査や試験受付を済ますと“ハマ君”や大型新人こと“大ちゃん”ほか、何人も顔なじみと同日程であった。本日の試験は再び1コース。
       
 もうコースなど歩かなくても熟知しているのではあるが、イメージトレーニングしながら歩く。私の後ろを元プロレスラーのダンプ松本似のおばさんがついてくる。腕を振り振りウォーキングのようだ。9時半になり三々五々いつもの8番発着所に受験者たちが集まってくる。ハマ氏は8回目、大ちゃんは3回目、あといつもコース発着所では寡黙に見ている人“カモ君”は12回目、あとは2~3回目の人が何人か。それと“ダンプ松本嬢”も大型受験者だった。毎回同様7人で自分の順番は5番目。試験官は前回と同じCさん、試験車は受験者の間で評判のよい1号車であった。ただ、なぜ評判がよいのか不明である。

 出席をとりコースの説明をするのだがこの試験官、前回同様コース説明がとんちんかん且つアヤフヤで受験者から「先生、S字の前が踏切では?」などと指摘されている。それ以外の口頭での課題は毎回同じく外周南直線で指示速度35Km/hと坂道1速発進の2点。オリエンテーション終了後、早速試験が始まる。一番目の受験者は試験開始早々、外周直線の途上でハザードを焚いて停止してしまった。皆で“何だろう”と見ると受験者が窓に向かって半身よじっている。シートベルトを付け忘れたのだ。試験ではこういう“うっかり”が怖い。彼は運よく採点外のナラシ走行中の出来事だったので試験続行された。

 試験官はやたらとミラーを見ている。カーブ内輪側のミラーは必ずチェックしている。前回脱輪を取られた受験生が多かったのはこのせいであったのだ。しかし逆にいうと解りやすい試験官でもある。ハマ君、大ちゃんともに前回この試験官からコースのゼブラ白線踏みを指摘されたことがあるらしく“ゼブラ爺さん”などと早速あだ名が付いている。そこは前回自分もS字とともに指摘された箇所である。一人目〔ベルト忘れ〕二人目(ダンプ嬢)と試験が終わる。それも御両名仲良く“脱輪ないし白線踏み”を取られて帰ってくる。これで今日の攻略ポイントは“アンチ脱輪”に決定した。

 今回の試験はいろんなことがある。3番目の受験者はコースミスからリカバリーに入ると思いきや、何故か別の課題(クランク)に入ってしまい、おまけにそこのポール障害物に左ミラーをかなり派手に接触させ、あえなく試験中止となってしまった。失敗の連鎖の末なのだろう。リカバリーは落ち着かないといけない。4番目はカモ君で自分はテント席に。彼も2桁受験の長老ながら朝から黙々ひとりでコースを歩いており、受験のキャリアは充分なのだからこういう人には甘めの採点をお願いしたい所なのだが、残念ながら本日はシフトミスが多い。2度3度とシフトアップするところをシフトダウンしてつんのめってしまうのだ。自分も二度と鉄柵に顔面強打して鼻血を出さぬ様、踏ん張りかつイメトレをする。そして万を侍して自分の番となった。

 今朝オリエンテーション前、1番目の受験者(ベルト締め忘れの彼、以下ベルトマン)がインターネットの情報の信用性について尋ねてきたので「目安ですよ」と答えた。乗車手順にしても「車の前を通ったら試験官に怒られた」などの記述があるにも関わらず、ここS部免許センターでは大型に限らず普通車の外人部隊まで平気で車の前を横切っている。車両後方から廻って乗車するのは技能の参考書でも書かれており、一体何が正しいのか判らない。そこで急遽皆で申し合わせて今回は後ろから下周りの点検を行い乗車した。この後の受験者も同様にトライしていた。さて乗り込むと試験官に挨拶してまずシートポジションを合わせる。右手で2箇所あるシート横調節ダイヤルを素早くまさぐり会社の冷凍車と同様ハイポジションに持っていく。モタモタすると催促を食らうのでこれは冷凍車で周到な練習をしておいた。ブレーキペダルの角度が少し合わないが大体OKだ。ここからはいつもの手順で発車する。

 慣らしの後、再発車。外周は気持ちよく走れるがまだブレーキが怖い。踏むとゴリゴリと嫌な感触が伝わりカクンと停止する。S字やクランクなど狭路課題はとにかく脱輪に注意し外周のゼブラやT字の三角マークは徹底的に踏まないよう心がける。外周障害物を避けたところで試験官が手板のファイルに何か書き始めた。しばらく書き込むとパタンとファイルを閉じる。イヤな予兆だ。しかし、そのほかの課題である踏切、方向転換、坂道も無難にこなし発着点へもどる。少し運転を楽しむ余裕ができた。ただ脱輪や白線踏みを恐れるあまり若干スムーズさに欠けたきらいはある。C試験官のコメントを聞く。

“障害物避けるときだけど、あんまり反対車線に飛び出さないようにね。近すぎてもよくないけど反対車線に出すぎると逆走になっちゃう。今日はそこ取らせてもらいました。あと曲がる動作が鋭角すぎるのとハンドルがふらつくところとかあったね。実際だと荷崩れの危険でてくるから気をつけて。ブレーキももう少しスムーズにね”

 普通の試験車が脇を通りすぎるのを待ち、後方確認ののち下車。後方からホームに戻る。最近は無駄のようにも思えるのだが、一応下車までが全部採点中のはずなのでホームに出るまでキチンとやる。そして大ちゃんと交替する。さて本日の試験だが脱輪のチェックが入らなかったのは大成功だった。ネット情報ではハンドル操作中にちらっとでもミラーを見たら減点などと書かれていたためハンドルを回し終えて固定した一瞬の隙に見ていたが、カーブ中にミラーを確認するのは本来ごく普通の運転の行為なのだ。しかし逆走とは面食らった。障害物とは外周路のある箇所に設置されているパイロンで、停車車両や道路工事などを模している。通過の手順がいくつかあり、参考書にはなるべく大きく(1m以上開けて)通過することとある。そこで大きく開けて通過していて今までそこを指摘されたことは無かったが今回は逆走を取られてしまった。参考書情報も場合によってはあんまりアテにならないのだなと思う。

 大ちゃん、ハマ君と終え、午前の試験終了。大ちゃんの運転は今日メンバーの中で一番スムーズであった。自分が見るのは2回目だがいつも上手いと思う。それでも彼は試験中手板に6箇所もチェックされていたとのことで今日は40点だろうと言っている。ハマ君ともども前回の試験の方がスムーズだったという。彼は2月の初受験時にあの気難しいB試験官が担当し、試験前のオリエンテーションの際、叱咤された人物である。彼はそのことを未だに根に持っておる様で、今日は隣のホームでブラジル人相手に普通車試験を行っているBさんを見て“あいつイヤだなあ”と何度もこぼしていた。ダンプ嬢がいなかったがC試験官の試験終了の挨拶をしてロビーに戻った。

 もちろん毎回毎回“合格”するつもりで受験に来ているわけで、それなら試験発表は悠然と電光掲示盤の掲示を待てばよいのであるが、残念ながら不合格の場合すぐ次回の手続きをしなければならず、前もって窓口に詰めるようになってきた。何しろお昼まえで12時までに試験官に日程の調整を行い今回の得点を教えてもらって、最後に安全協会で次回の証紙を購入しなければならないからだ。普通車の試験発表直後で外人がごった返す受付にCさんが現れ受験票を並べ始めた。自分のボウズ頭の写真があり残念ながらすぐさま不合格と判明、受験票の次の日程を確認する。幸運にも今月もう1回、4月下旬ということでこの分なら5月にもう一度受験できそうである。即座に点数を教えてもらうため受験票を一度戻す。ところで大ちゃんの受験票がない。彼も探しているが普通車のものとごっちゃになってなかなか見つからない。そのうちカモ君が電光掲示盤を指差すのでそちらを見ると“本日の合格者106”と出ている。なんと彼3回目にして合格である。“おい、合格だよ!”とダンプ嬢が引きずり出し、電光掲示盤に駆け寄り咆哮しガッツポーズする大ちゃんを皆で拍手する。

 やはり彼は名前通り大型新人であった。客観的にはカーブや右左折の速度が速くてスムーズである、その辺が評価されたのであろうか?反面、踏切では窓を開けて確認をし忘れそうになったしブレーキのカックンの度合いは自分とどっこいどっこいであった。そんなことを考えているうちに自分の受験票が戻ってくる。本日の採点は55点。

 承知していたこととはいえ試験当局の採点基準についてあまりにナゾな点が多く鬼心疑心である。最初の試験で合格者から“試験回数を重ねるたび一体どこをどう直したらいいか判らずノイローゼ気味になる”と記したが、いま自分自身がそんな心境である。参考書どおりの課題走行をしたところ致命的な減点になってしまうなんてあまりに滅茶苦茶な話だ。ちなみに免許センターでは、褒められない自分の過去から推測するに例えば違反や免許停止の行政処分などの履歴が残っているはずで、ひょっとしてその種の情報が試験の採点に加味されているのかも知れぬ。ただ、それならそれで受験者本人に公表して欲しいものだ。しかしそのような心境に陥っているのは自分ばかりでなく、同じ4t乗りで午後からの受験待機の大ちゃんの友達は“なんでいつも不合格なんだよ?普段4t乗ってたって全然駄目じゃん、もう試験諦めちゃおうかなあ・・”と嘆いている。みな同じように悩んでいるのだ。

 今回は天佑にも同じ試験官で続けて受験でき、その試験官の採点傾向と対策を施した大ちゃんの勝利ということにしておこう。今は与えられた日程でいかに減点の少ない方法を考えつぎの受験に臨んでいくという事だ。それ以外のことは考えないようにする。思考停止もきっと技能のうちにちがいない。さて次の試験だが、ハマ君始め本日の主要メンバーは受験日同一のようだがカモ君は仕事の都合で翌日に変更となり残念ながらここでお別れ、健闘を誓い合う。

免許交付のため午後まで免許センターに居残りとなり、勤め先に連絡のあと昼食の買出しに出る大ちゃんにみなでお祝いの声を掛ける。仲間の合格はそれでも素直にうれしいものだ。そして不合格者おのおの三々五々と試験場をあとにする。駐輪場の桜は満開で、やはりこういう日に合格したかったとも思う。