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       ※大型二輪の取り回し、受験者の注目を浴びる(ひっくり返すのを密かに期待している)                   

 朝からどんより曇り天候の悪化が懸念される中8時15分に試験場到着。林家ペーに似た4トンのダンプ乗りほかいつものメンバーと挨拶。30分から業務が開始され目の検査(継続のスタンプを押すだけ)をして受付、先日2コースの試験を見学したが今日もその2コースとの事、不安がよぎる。コースを歩き始めると雨が降ってきた。なお前述ダンプ乗り(以下ぺーさん)は気さくで何でも話す人だが、この人毎回まったく試験コースを覚えて来ず、自分がコースを歩く後ろをチョコチョコ付いてきては“次はどう行くだ?”とか“ここは外側でいいだか?”などと自分に何でも聞いて空白のコピー図に手順を書き込んでいる。1回分自分より先輩ながらどうも頼られパターンが定着しつつある。

 あと私事で恐縮だが信金渉外の知人に似た若い人がおり彼とも馴染みとなった。(以下“は●しん”略しハマ君)運送業勤務の傍ら業務の一環として試験場での受験を行っているという。今日で4回目。その他いつも一番バッターで乗るブラジル人もいる。雨がにわかにひどくなり普通車の外人達も含めてコースにいた受験生は発着所や待合室に散っていく。今日の受験番号は103で3番目、ペーさんは受付含めてやる事なす事自分のすぐ後であるから4番目である。その他5人程顔知らずだが皆日本人なので大型の受験者であろう。9時半になり雨をついて試験車両が入ってくる。今日の試験官は先日“あなたはなんですか?出てってください!”と怒られた人で“B”試験官という。前途多難である。

 早速オリエンテーション、今日の午前の受験者は7人で初受験者がひとりと説明がありまず出席取りと受験票提出。人数がひとり多いのは、ある受験者の付き添いが居るからでB試験官がじろっと一瞥“あなたは?”と尋ねると“す、すぐ2階へ行きます”と逃げるように立ち去った。きっと自分と同様過去に怒られた事があるのだろう。そのあと携帯図面で2コースの説明をしていると初受験の人が“質問ですけど・・”と割って入る。すると試験官“ちょっといま説明中でしょ、待ってなさい!乗り方は教えませんから自分で考えてください”といきなり叱咤。なんだかもう今日は先行きに黄色信号が灯り始めてきた。本日の指定事項は南側外周直線で35キロの速度指示のみ。そのようなやりとりがあってブラジル人がトップバッターで試験が開始される。

 自分の番となった。今日は2号車だが車両、仕様ともに前回の1号車と同一である。今日は前回指摘された点(大回り、メリハリ、ギクシャクしない)を直していこうと思う。外周路直線では4速で40キロ過ぎまで引っ張り5速で転がしたあとスムーズに減速とシフトダウンした。またS字クランクなど狭路の課題では大回りにならないよう左後輪をギリギリ縁石に沿わせてみる。方向転換後の180度ターンは前回膨れて失敗したが、今回は方向転換の位置から工夫して無事中央線を踏まずに済んだ。なかなか順調だ。

 試験はいつも寡黙に進む。今日は採点外の慣らし走行を終え発着場へ入るために車線変更(道の左によせる)をした時“あまりよせすぎないで”と一言注意した以外は“はい回って11番で踏切”などコース説明を入れるのみで粛々と試験は進む。慌てないようになおかつメリハリをつけて運転する。前回ひどかったカックンブレーキにならない様にペダルを踏む際に細心の注意をした結果、低速でもスムーズに減速できるようになってきた。また今日は試験と講習を含めて普通車が8台、さらに二輪の試験も行われており他の車両の交錯が頻繁にある。交差点の進入優先順位など考えて運転をする。一度見通しを悪くした交差点で外周の普通車が出てきたため少しキュッと止まったのが一度あったがその他は上手くこなせたと思う。ここまで順調で自分でも“いけるかな?”と内心思い始める。

 そして最後の課題の坂道発進、通常使わない1速に入れサイドブレーキ併用で無事発進、しかし勾配がレベルになりシフトアップするときに2速ではなく隣の4速に入ってしまい助手席のB試験官と荷台のぺーさんを乗せた我が2号車はエンジンブレーキどころか猛然と下り坂を加速し始めた。非常にまずい。ここでクラッチを踏むと減点項目となるので無理やりブレーキで抑えつけるが今度はガクガクとノッキングを始めてしまった。車体が激しく揺れる。ぺーさんは舌を噛んでないだろうか?仕方なくクラッチを切りシフトダウン、課題から外周に戻る。これで頭がまっ白になり残りのコースが頭からとんでしまう。外周路をのろのろ走る自分にB試験官から“もっと速度をだす!”と怒られてしまう。仕方なく“次は4番でしたっけ?”とコースを聞く。すると“ちがうちがう!”と再度怒られる。指でコースを指し“ぐるっと回って交差点!”ここで(あっそうか)と思い出し何とかコースの記憶が復帰、無事発着点に戻る。エンジンを切りシフトをバックに入れB試験官のコメントを聞く。

“ちょっと普通車の感覚で回しちゃってる感じがするなあ、狭路の課題なんか一箇所危なかったなあ、もっと大型車の特性をよく考えて運転するように心掛けてね。それともう少しスムーズな運転ね、とくに余裕がないとさっきの坂道の下りみたいにギクシャクしちゃうからね、その辺を注意してください。”

・・神妙に聞く。しかしさっきの冷たい形相とは打って変わって実ににこにこしてアドバイスしてくれたのは意外だった。ただ、課題についていくつか質問しようとしたが、B試験官が豹変して“乗り方は自分で考えなさい”と冷たく言われそうなのでやめにした。ちなみに試験ではコース間違いそのものは減点にはならないが、コースリカバリーのための走行も減点の対象となる。一度経験するとわかるがコースミスにせよ課題の失敗にせよ、しでかしてしまった直後は一瞬頭が真っ白になり失敗の連鎖が広がりそうになる。先ほどのシフトミスも含め小さな失敗でも上手くリカバリーして残りのコースを減点なくこなすためにコースの暗記と安全確認のイメトレ予習は絶対要件であると感じた。

 試験が終わりぺーさんにバトンタッチ、試験に臨む中待機中のハマ君や新人たちと情報交換をする。雨は降り続く。ハマ君が“そういや雨の試験は始めてです”などと言う。その中で気になっていたのがいつもトップバッターで試験を受けるブラジル人だ。野球キャップをかぶり20代前半に見えるが言葉の壁なのかいつもおとなしく黙って他の受験者の試験を見ている。気になっていたので話しかけてみる。彼は名前をカルロスさんといい(以下カルロス)母国では巨大なトレーラーを運転していたのだという。日本みたいに国際免許で向こうの免許は使えないのか聞くと、驚いたことに母国の免許は使えず、来日して免許を取り直さないといけないらしい。試験を終えたぺーさんが試験車を指差し“おたくらからすりゃこんなクルマ軽っトラみたいなもんだら”と、笑う。
  
 今日は雨にもかかわらず普通二輪、大型二輪の試験も行われ受験生はカッパにゼッケンのいでたちで試験に臨んでいる。もっとも試験官はバイクには同乗できないので北側にある展望のよい監視塔のような所からマイクで指示を出す。これをコース各所にあるスピーカで聞いて一台ずつ試験を行っていた。普通車は言うまでもなく外人受験者でごったがえしている。

 ハマ君その他も終わり最後の7番目、オリエンテーションで怒られた新人の番となる。ツナギを着た30代くらいの彼は本来教習所での取得を目指していたのだが、どこも予約いっぱいで断られ、仕方なく一発での受験に切り替えたという。まだ2月というのにもう現行制度の中では試験場でしか大型免許取得のチャンスはないようだ。ところが走り出すと本日の中で一番運転がスムーズで課題も難なくこなし見事に発着所に戻る。周囲からも“上手いなあ”と声が上がり、すわ合格か?との期待も起きる。(大物新人ということで以下大ちゃん)車から降りた大ちゃんはそれでも“いやーダメでしたよ”という。冷たい雨にすっかり体も冷え、皆で試験官に一礼、“寒い寒い”と一階ロビーに駆け込む。

 この日はどういう訳か大型の合格発表が遅い。お昼休みに入り各受付は消灯されテレビはニュースが放映され始めた。近くにいた女性職員に尋ねると“もう少し待って”との事。ちなみに技能試験の発表はいつも11時45分くらいに放送で“お待たせしました。それでは本日の○○試験の合格発表をします”とアナウンスが入り、ロビー壁の電光掲示板に表示される。その電光掲示板とは学科試験など大人数の発表に対応できるように壁面いっぱいに使った大型のものだが、技能試験の合格者などいつも数名ないしゼロなのでだいたい隅っこの方にちょろっと出るだけである。おおむね普通車と大型は別に発表がある。12時15分にようやく放送があり二輪と一緒に発表があった。ただ“本日は大型の合格者はありませんでした”との事であった。

 技能受付に並んだ受験票を受け取り次の日程をまず確認する。次は3月中旬との事で月曜日である。これはちょっと仕事で迷惑を掛けてしまいそうだ。今日の試験官のBさんが“今日の人は次回A日とB日で分かれました”と言う。申し込みが多くやりくりが大変なのだろうか。ぺーさん曰く“それで(発表まで)時間掛かっただか?おらてっきり誰を合格させっか考え込んどると思った”とおどける。

 朝のオリエンテーションでは“運転技術は教えられないが試験の点数については申告してもらえば教えます”と言っていた。これは前回のA試験官の時も説明あったが前回は発表のとき試験官が窓口におらず聞く事ができなかった。それで今日は目の前のB試験官に受験票を差し出し“点数を教えてください”と聞いてみた。ちらっと(早く昼休み入りたいな)的な表情を見せつつ“他に点数知りたい人は居ますか”と聞く。即座にさっと全員の受験票が差し出された。返却した受験票の束をそっくり戻されたかたちのB試験官はいちど綴りを取りに奥に消える。しばらくして“○○さんこっちきて”と、ぺーさんがカウンタの随分はずれに呼ばれる。皆でぞろぞろついていくと試験官“だめだ!だめだったら。一人ずつ呼ぶからそっちで待ってなさい!”と怒られ制止、不合格者の群は柱の陰までトボトボ戻る。“つぎ、Hさん”と自分が呼ばれぺーさんとすれ違い試験官のところへ。受験票を自分の口元にあてえらい耳元で“残念だったね、Hさんは55点でした。次回も頑張ってね”と肩に手を抱くがごとく優しく言われた。

 その後、昼休みなので4階の安全協会事務掛詰所へ次回の受験代の証紙を購入に行く。のろのろ階段を上りながら皆で点数の自己申告。ぺーさんは60点、ハマ君50点、注目の大ちゃんも50点との事だった。その他もわりとドングリの背比べで、あれだけ運転に違いがありながら何故そんな似たか寄ったかの点数になるのだろうか。本当にきちんと採点しているのだろうか。自分は減点の大きい項目を参考書で拾いながらそこを落とさない様に集中して対策してきたが正直がっかりした感もある。ぺーさんが前回合格した2人のことを見て“あの衆、受かってもあんま嬉しそうじゃなかったな・・”などと言っていたのを思い出した。達成感がない試験なのだという裏付けとしたら納得できてしまうではないか。さて、くだんのぺーさん、コースを覚えずして(試験中も試験官に聞きまくっていたらしい)本日最高の60点をゲットできるとは・・。ちゃっかりしてらっしゃる。

 今日は前回の課題だったスムーズな運転は少しできたと思う。前回大回りを注意されたので今回内角を攻めて行ったら“普通車みたいであぶない”と言われた。ジレンマである。しかしそこで投げ出さず言葉の深意をよく掘り下げる事が大切だと思う。きっと小刻みにハンドル修正で岐路を探している自分がいるのだろう。次回にむけ頑張ろうと思う。