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                  ※大型試験の車両(法改正前)テント席が見える

 8時に到着。ロビーは早速多くの外人が集まってきている。先日証紙を購入したとき“当日はすぐ目の検査を受けてください”との事で、見ると5つある目の検査の窓口は勝手知ったる順番待ち“代理”の受験票封筒が床にずらっと並ぶ。やがて8時30分に各業務が一斉にスタート、人が動き始める。ちなみに検査では視力と深視力を測る。深視力とはのぞき窓から3本の棒を見て移動する中央の棒が両端の棒と一直進に並んだタイミングでボタンを押すという検査で、大型の受験では必須科目。自分は一度だけ適性検査の時に経験があり事前準備などは行わなかったが、のぞき窓の視界は予想外に小さく焦りのため半ば闇雲にボタンを押したところあっさり合格できた。これらは3ヶ月間有効。

 続いて技能試験の受付の列に並ぶ。ここもブラジル人など外人でごった返している。このあたりで前回の見学で大型を受験していたメンバーと思わしき顔ぶれが散見され挨拶する。つまり皆不合格だったのだ。途中大型技能試験用窓口が開き、ブラジル人相手の合格屋に促されそちらの列につき受付を済ます。窓口は前回同様の初老の試験官で本日は4コースで試験を行うとの事。自分は初受験の為6月施行となる中型免許の簡単な説明があり“5月迄に受かる様に頑張りなさい”と例によって脅される。9時半のオリエンテーションまでコース内を歩いて下見。コース隣の保育園から聞こえる邪気の無い子供達の嬌声の横で必死に安全確認の箇所や仕草を叩き込む。

 普通車は9時半前にいそいそ車両が準備され試験が開始された。大型は9時45分位に悠然とコースに入りAさんという前回と同じ初老の試験官によるオリエンテーションを行う。携帯してきた図面でコースのおさらいがあり注意事項の説明。コース南側外周直線で指定速度35キロを出すこと、また発進は2速で行うが、坂道のみ1速発進など指定項目の説明があった。出席を取り受験票を提出して試験が始まった。1番目は前回同様外人。自分は受験番号105、つまり5番目である。順番待ちの中で他の受験生と情報交換する。その中でS部は県内一試験が難しく、合格まで最低5回、平均10回かかるなどと合格までの傾向を聞かされ、悄然としてしまう。

 4番目、坊主頭の受験生の試験が始まりいよいよ荷台のテント席に乗り込む。ビニール窓から運転席の様子が薄ぼんやりと見える。発進し鉄柵にかぶりつきでコースの予習を行うがこの4番目の受験生、試験開始早々ミラーを障害物に当ててしまい、すかさず試験官に補助ブレーキを踏まれ“ドカン”とエンスト。受験者も試験官もシートから転げおちんばかりだ。自分は鉄柵に顔面を強打し鼻血が出てしまった。試験では規定の減点により70点未満になると試験中止となり発着点に戻されるのだが、この試験官は必ずコースを一回りさせてくれる事は前回の試験を見学したときに見ている。したがって彼も試験中止にならず必死に運転している中、自分も気を取り直してテントの中で鼻血をふきふきハンドル捌きと安全確認のイメージトレーニングをする。さて自分の番、みなと同じ様に車の前後の障害物を確認して乗車、A試験官に挨拶する。“準備できたら出発してください”という。参考書どおりの事前準備を行い“発車します”と声をかけスタートさせる。

 最初の一周は外周を一回りして一度は発着点に戻る。これは慣らしといって車両の癖を掴むためのもので、この間は採点の対象外である。“ここから採点します”と声がかかり再スタート、自分としてはとにかく安全確認を声に出して徹底的に行う、フォークリフトの免許を取得したときの“○○ヨシ”のノリである。発着所での情報交換で“安全確認は声に出す必要はない”ということで意見が一致していたのだが、あえて声に出した。それにしても乗りにくい車両だ。これが仕事の冷凍車と同じ型式なのか?というくらい違う。とにかくブレーキが吸い付き低速では必ずカックンと効いてしまう。キャビンのばねがフワフワでさらに運転席シートそのものもばねが効いておりブレーキ操作をますます困難にしている。

 コースはこの種の車両の運転席から見た場合かなり狭い。左側をうっかり脱輪すると減点が大きいので少し大回り気味となるよう注意した。クランクS字など課題走行はとにかく初めてなのでゆっくりでもいいから接触しない様に気をつけた。外周から入った中の課題コースは右折左折の繰り返しで確認また確認“ヨシ、ヨシ”の連発となる。そしてT字路の終点から2車線の外周路に右折する時、最初内側の車線に一度入りその後外側に車線変更した。あと交差点で優先順位が微妙な場合、普通車(試験車)に道を譲り接触の危険を避けた。自分で気づいた失敗点は一度左折で大回りし反対車線の白線を踏んでしまったのと、シフトミスが多少あった。そんなこんなでなんとか無事発着点に戻った。自分では最初の受験にしては満足できる結果だった。試験が終わるとA試験官のアドバイスがある。

“もっとスムーズに運転すること。スピードを出せるところは出す、曲がる時大回り気味なのでもっと左を寄せてください、T字の出口右折は第一通行帯(外側車線)に入ってください”とのコメントをいただき、とにかく初受験の自分は神妙に聞く。そして一礼して次の受験者と交代した。

 この日の受験者は全部で7人。あと2人の試験を終え正午1Fロビーに戻る。当日2月初旬ながら朝から春めいた陽気で屋外のホームでの試験見学も苦にならなかった。ロビーに戻るとすぐ普通車の合格者発表がある。よく判らないが50人くらいの受験者がいたはずでこれを5台の試験車でこなしていた。発表は放送で案内があり電光掲示板に表示される由。合格者はたったの仮免4人、路上2人。狂気乱舞する2人位を除き外人が一斉にやれやれといった表情で次の手続きに入りだす。おそろしく低い合格率で4,5人はいた合格屋(指定外教習所職員)は商売になるのだろうかと思う。この間大型の受験者同士でよもやま話となる。自分の後に受験した2回目受験のタレントの林家ペーに似たおじさんが6回目、13回目となるベテラン受験者に“あんた方が合格しにゃウソだなあ”と持ち上げる。イガグリ坊主の急ブレーキ男も“また落ちたな~”とうなだれ、皆で慰めあう。よくある事だがこの様に同じ目標目指す者同士すぐ打ち解け、暫く行ったことのない研修などの雰囲気を思い出す。6回目と13回目の彼らによればその位の受験回数になると、車や試験にも慣れてしまい、いったい次はどこをどう直しらいいのか解らず半ばノイローゼ気味になるという。
 
 続いて大型の結果発表。ふたを開ければ合格者はくだんの6回目と13回目の方であった。この日7名中合格2名、但しこの数字を割り算して合格率を出すのが早計なのは彼らの受験回数を見ればすぐお解り頂けると思う。彼らは受験票を受け取るためすぐ技能の受付に呼ばれる、自分やペー氏ら不合格組は彼らを拍手で送り出す。自分達の受験票は近くのカウンタに並べて放置されていておのおの回収する。記載された次の受験日を確認し(2月下旬であった)安全協会で証紙を購入してこの日は解散となった。尚、受験の日程は受験者の都合により変更は可能だが、混雑状況から後延ばしの割り当てとなる事は明白で、指定された受験日を空けた方が得策と思われる。

 かくして1回目の試験は終了した。そのまま午後からの仕事に向かい、試験場を後にする。