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 勤務先の新年会での出来事だった。このころちょうど事業の節目にあたり新規の雇用や退社もあったため酒宴を兼ねた歓送迎会でもあった。適度に酔いも回り座も乱れかけてきたころ、新入社員の挨拶が嵩じて出席者全員に順番でマイクが回され、出席者の前でそれぞれ一言コメントをさせられることになった。そこで自分がマイクを手にしたとき、酔いも手伝って自己紹介のあとで高らかにこんな宣言をしてしまった。

“自分の中で今年の目標がありまして、大型免許を一発で取ってみようと思います”

 周囲から“おお~っ”という喝采。その上で厚かましくも毎回本社に受験レポートを提出するかわりに費用を会社で負担してほしいとじきじき社長に約束まで取り付けてしまった。都合、その場を盛り上げたいが為のひとことがそのあと半年に渡る悪夢への第一歩となる訳なのだが、喝采の余韻で気づく訳もなかった。普段自分は業務でいわゆる4トン冷凍車(この時の普通免許で乗れる仕様の)を運転しており、トラックの運転にはいささか自信はある。この頃まだ大型免許の試験は中型クラスのトラックで行われていたのだ。一発試験の概要は情報としてはあったものの知識はまったくなく、まあアッサリ2~3回くらいで合格できるのだろうとタカをくくっていた。