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                  ※受験仲間 左よりカルロス(後ろ向き)                                                一人おいて大ちゃん(ツナギ姿)
                        ハマ君(しゃがんでいる) 
                        ぺーさん(右を向いている)               

 6月までの試験回数も予想以上に少なくなってきており、一回一回の試験を充実してこなせるよう心に誓い免許センターの門をくぐる「4、4、」の一日の始まりである。今日からぺーさんがいない。仕事の都合で日程変更したので、そのほか顔見知り受験メンバーは誰もいないかも知れないが、それならそれで試験に集中するだけである。しかし目の検査や試験受付を済ますと“ハマ君”や大型新人こと“大ちゃん”ほか、何人も顔なじみと同日程であった。本日の試験は再び1コース。
       
 もうコースなど歩かなくても熟知しているのではあるが、イメージトレーニングしながら歩く。私の後ろを元プロレスラーのダンプ松本似のおばさんがついてくる。腕を振り振りウォーキングのようだ。9時半になり三々五々いつもの8番発着所に受験者たちが集まってくる。ハマ氏は8回目、大ちゃんは3回目、あといつもコース発着所では寡黙に見ている人“カモ君”は12回目、あとは2~3回目の人が何人か。それと“ダンプ松本嬢”も大型受験者だった。毎回同様7人で自分の順番は5番目。試験官は前回と同じCさん、試験車は受験者の間で評判のよい1号車であった。ただ、なぜ評判がよいのか不明である。

 出席をとりコースの説明をするのだがこの試験官、前回同様コース説明がとんちんかん且つアヤフヤで受験者から「先生、S字の前が踏切では?」などと指摘されている。それ以外の口頭での課題は毎回同じく外周南直線で指示速度35Km/hと坂道1速発進の2点。オリエンテーション終了後、早速試験が始まる。一番目の受験者は試験開始早々、外周直線の途上でハザードを焚いて停止してしまった。皆で“何だろう”と見ると受験者が窓に向かって半身よじっている。シートベルトを付け忘れたのだ。試験ではこういう“うっかり”が怖い。彼は運よく採点外のナラシ走行中の出来事だったので試験続行された。

 試験官はやたらとミラーを見ている。カーブ内輪側のミラーは必ずチェックしている。前回脱輪を取られた受験生が多かったのはこのせいであったのだ。しかし逆にいうと解りやすい試験官でもある。ハマ君、大ちゃんともに前回この試験官からコースのゼブラ白線踏みを指摘されたことがあるらしく“ゼブラ爺さん”などと早速あだ名が付いている。そこは前回自分もS字とともに指摘された箇所である。一人目〔ベルト忘れ〕二人目(ダンプ嬢)と試験が終わる。それも御両名仲良く“脱輪ないし白線踏み”を取られて帰ってくる。これで今日の攻略ポイントは“アンチ脱輪”に決定した。

 今回の試験はいろんなことがある。3番目の受験者はコースミスからリカバリーに入ると思いきや、何故か別の課題(クランク)に入ってしまい、おまけにそこのポール障害物に左ミラーをかなり派手に接触させ、あえなく試験中止となってしまった。失敗の連鎖の末なのだろう。リカバリーは落ち着かないといけない。4番目はカモ君で自分はテント席に。彼も2桁受験の長老ながら朝から黙々ひとりでコースを歩いており、受験のキャリアは充分なのだからこういう人には甘めの採点をお願いしたい所なのだが、残念ながら本日はシフトミスが多い。2度3度とシフトアップするところをシフトダウンしてつんのめってしまうのだ。自分も二度と鉄柵に顔面強打して鼻血を出さぬ様、踏ん張りかつイメトレをする。そして万を侍して自分の番となった。

 今朝オリエンテーション前、1番目の受験者(ベルト締め忘れの彼、以下ベルトマン)がインターネットの情報の信用性について尋ねてきたので「目安ですよ」と答えた。乗車手順にしても「車の前を通ったら試験官に怒られた」などの記述があるにも関わらず、ここS部免許センターでは大型に限らず普通車の外人部隊まで平気で車の前を横切っている。車両後方から廻って乗車するのは技能の参考書でも書かれており、一体何が正しいのか判らない。そこで急遽皆で申し合わせて今回は後ろから下周りの点検を行い乗車した。この後の受験者も同様にトライしていた。さて乗り込むと試験官に挨拶してまずシートポジションを合わせる。右手で2箇所あるシート横調節ダイヤルを素早くまさぐり会社の冷凍車と同様ハイポジションに持っていく。モタモタすると催促を食らうのでこれは冷凍車で周到な練習をしておいた。ブレーキペダルの角度が少し合わないが大体OKだ。ここからはいつもの手順で発車する。

 慣らしの後、再発車。外周は気持ちよく走れるがまだブレーキが怖い。踏むとゴリゴリと嫌な感触が伝わりカクンと停止する。S字やクランクなど狭路課題はとにかく脱輪に注意し外周のゼブラやT字の三角マークは徹底的に踏まないよう心がける。外周障害物を避けたところで試験官が手板のファイルに何か書き始めた。しばらく書き込むとパタンとファイルを閉じる。イヤな予兆だ。しかし、そのほかの課題である踏切、方向転換、坂道も無難にこなし発着点へもどる。少し運転を楽しむ余裕ができた。ただ脱輪や白線踏みを恐れるあまり若干スムーズさに欠けたきらいはある。C試験官のコメントを聞く。

“障害物避けるときだけど、あんまり反対車線に飛び出さないようにね。近すぎてもよくないけど反対車線に出すぎると逆走になっちゃう。今日はそこ取らせてもらいました。あと曲がる動作が鋭角すぎるのとハンドルがふらつくところとかあったね。実際だと荷崩れの危険でてくるから気をつけて。ブレーキももう少しスムーズにね”

 普通の試験車が脇を通りすぎるのを待ち、後方確認ののち下車。後方からホームに戻る。最近は無駄のようにも思えるのだが、一応下車までが全部採点中のはずなのでホームに出るまでキチンとやる。そして大ちゃんと交替する。さて本日の試験だが脱輪のチェックが入らなかったのは大成功だった。ネット情報ではハンドル操作中にちらっとでもミラーを見たら減点などと書かれていたためハンドルを回し終えて固定した一瞬の隙に見ていたが、カーブ中にミラーを確認するのは本来ごく普通の運転の行為なのだ。しかし逆走とは面食らった。障害物とは外周路のある箇所に設置されているパイロンで、停車車両や道路工事などを模している。通過の手順がいくつかあり、参考書にはなるべく大きく(1m以上開けて)通過することとある。そこで大きく開けて通過していて今までそこを指摘されたことは無かったが今回は逆走を取られてしまった。参考書情報も場合によってはあんまりアテにならないのだなと思う。

 大ちゃん、ハマ君と終え、午前の試験終了。大ちゃんの運転は今日メンバーの中で一番スムーズであった。自分が見るのは2回目だがいつも上手いと思う。それでも彼は試験中手板に6箇所もチェックされていたとのことで今日は40点だろうと言っている。ハマ君ともども前回の試験の方がスムーズだったという。彼は2月の初受験時にあの気難しいB試験官が担当し、試験前のオリエンテーションの際、叱咤された人物である。彼はそのことを未だに根に持っておる様で、今日は隣のホームでブラジル人相手に普通車試験を行っているBさんを見て“あいつイヤだなあ”と何度もこぼしていた。ダンプ嬢がいなかったがC試験官の試験終了の挨拶をしてロビーに戻った。

 もちろん毎回毎回“合格”するつもりで受験に来ているわけで、それなら試験発表は悠然と電光掲示盤の掲示を待てばよいのであるが、残念ながら不合格の場合すぐ次回の手続きをしなければならず、前もって窓口に詰めるようになってきた。何しろお昼まえで12時までに試験官に日程の調整を行い今回の得点を教えてもらって、最後に安全協会で次回の証紙を購入しなければならないからだ。普通車の試験発表直後で外人がごった返す受付にCさんが現れ受験票を並べ始めた。自分のボウズ頭の写真があり残念ながらすぐさま不合格と判明、受験票の次の日程を確認する。幸運にも今月もう1回、4月下旬ということでこの分なら5月にもう一度受験できそうである。即座に点数を教えてもらうため受験票を一度戻す。ところで大ちゃんの受験票がない。彼も探しているが普通車のものとごっちゃになってなかなか見つからない。そのうちカモ君が電光掲示盤を指差すのでそちらを見ると“本日の合格者106”と出ている。なんと彼3回目にして合格である。“おい、合格だよ!”とダンプ嬢が引きずり出し、電光掲示盤に駆け寄り咆哮しガッツポーズする大ちゃんを皆で拍手する。

 やはり彼は名前通り大型新人であった。客観的にはカーブや右左折の速度が速くてスムーズである、その辺が評価されたのであろうか?反面、踏切では窓を開けて確認をし忘れそうになったしブレーキのカックンの度合いは自分とどっこいどっこいであった。そんなことを考えているうちに自分の受験票が戻ってくる。本日の採点は55点。

 承知していたこととはいえ試験当局の採点基準についてあまりにナゾな点が多く鬼心疑心である。最初の試験で合格者から“試験回数を重ねるたび一体どこをどう直したらいいか判らずノイローゼ気味になる”と記したが、いま自分自身がそんな心境である。参考書どおりの課題走行をしたところ致命的な減点になってしまうなんてあまりに滅茶苦茶な話だ。ちなみに免許センターでは、褒められない自分の過去から推測するに例えば違反や免許停止の行政処分などの履歴が残っているはずで、ひょっとしてその種の情報が試験の採点に加味されているのかも知れぬ。ただ、それならそれで受験者本人に公表して欲しいものだ。しかしそのような心境に陥っているのは自分ばかりでなく、同じ4t乗りで午後からの受験待機の大ちゃんの友達は“なんでいつも不合格なんだよ?普段4t乗ってたって全然駄目じゃん、もう試験諦めちゃおうかなあ・・”と嘆いている。みな同じように悩んでいるのだ。

 今回は天佑にも同じ試験官で続けて受験でき、その試験官の採点傾向と対策を施した大ちゃんの勝利ということにしておこう。今は与えられた日程でいかに減点の少ない方法を考えつぎの受験に臨んでいくという事だ。それ以外のことは考えないようにする。思考停止もきっと技能のうちにちがいない。さて次の試験だが、ハマ君始め本日の主要メンバーは受験日同一のようだがカモ君は仕事の都合で翌日に変更となり残念ながらここでお別れ、健闘を誓い合う。

免許交付のため午後まで免許センターに居残りとなり、勤め先に連絡のあと昼食の買出しに出る大ちゃんにみなでお祝いの声を掛ける。仲間の合格はそれでも素直にうれしいものだ。そして不合格者おのおの三々五々と試験場をあとにする。駐輪場の桜は満開で、やはりこういう日に合格したかったとも思う。