鍼灸師の皆さま、こんにちは。
日々、患者さんの治療に励んでおられることと思います。

しかし、鍼灸治療の効果を最大限に引き出し、長期的に維持するためには、治療だけではなく患者教育が不可欠です。
患者さん自身が生活習慣を見直し、健康維持のための知識を持つことが、症状の改善や再発防止につながります。
今回は、養生の中でも特に重要な「睡眠」と「労働時間」について取り上げます。

睡眠の重要性
睡眠は、身体の修復・回復に欠かせない時間です。質の良い睡眠を確保することで、以下のような効果が期待できます。
•    自律神経の調整:副交感神経が優位になり、内臓の働きが整う
•    免疫力の向上:細胞の修復が促され、病気に対する抵抗力が高まる
•    ホルモンバランスの維持:成長ホルモンやメラトニンの分泌が促進され、体調が整う
•    痛みの軽減:十分な睡眠により炎症が抑えられ、慢性痛の軽減につながる
逆に、睡眠不足が続くと、交感神経が過剰に働き、血圧の上昇や免疫機能の低下、さらには慢性的な痛みの悪化を招くことになります。

患者さんに対しては、
•    就寝1時間前にはスマホやパソコンを控える
•    寝る前にぬるめのお風呂に入る
•    就寝時間と起床時間を一定にする
などのアドバイスをすることで、睡眠の質を向上させる手助けができます。

労働時間と健康
長時間労働は、身体への負担を増加させ、鍼灸治療の効果を妨げる要因になります。
•    ストレスの増加:交感神経の過活動により、血流が悪化し、筋緊張や頭痛を引き起こす
•    疲労の蓄積:回復する時間が不足し、慢性疲労の原因になる
•    姿勢の悪化:長時間同じ姿勢を続けることで、頚肩部や腰部に負担がかかる

患者さんには、
•    定期的に休憩を取る(1時間に1回は体を動かす)
•    労働時間を見直し、過労を防ぐ
•    仕事後のストレッチや軽い運動を取り入れる
といったセルフケアを勧めることで、より健康的な生活を送ることができるようになります。

まとめ
鍼灸治療の効果を長く維持するためには、患者さん自身が生活習慣を整えることが重要です。
睡眠の質を向上させ、適切な労働時間を守ることが、健康維持や病気の予防につながります。
ぜひ、日々の診療で患者さんに「養生」の大切さを伝えていきましょう。
次回のブログでは、食事と健康について取り上げます。お楽しみに!

このブログを読んでいる鍼灸師の先生・学生さんはご自分に鍼をされたことはあるでしょうか?

もし「ない」場合はすぐにでも鍼をしてみて下さい。
鍼をどこに刺鍼する事を議論する前に、ご自分の鍼が「気持ちの良い鍼」なのか、「不快な鍼」なのか知る必要があります。

どんなに効果的な経穴を使ったとしても、「不快な鍼」をされたことで症状が改善しなかったり、悪化することもあります。

不快な鍼の原因には大きく3つあります。
1.鍼自体が良くない。
2.切皮が痛い。
3.刺入が不快である。

1~3を解消する方法として最も速く効果的なことがあります。
それは「良い鍼を選ぶ」ということです。

どんなに腕が良くても鍼自体が良くないと「不快な鍼」になってしまいます。
一般的に価格の安い鍼は痛み・不快感が出現し易いと思います。
良い鍼を選ぶだけで切皮の痛み・刺入時の不快感まで解消する場合もあります。
 

治療効果を高めるというと難しいと考えがちですが、幾つかのポイントを抑えると可能です。

今回は所見の取り方についてです。
身体所見を取る時に、ベット上だけで行うと情報量が少なくなりがちです。
腰痛では必ず立位になっていただき腰や腹筋の状態を確認します。
足の疾患では歩行状態を見ます。
関節の疾患では関節の動きを見たり、動かしてもらいます。

1人の患者さんを色々な角度から診る習慣をつけることで診断力が高まります。

治療力を高めるためには診断力を高めることが最も重要です。

2022年度の統計を見ますと、死因の1位は悪性新生物、2位は心疾患、3位は老衰、4位は脳血管障害、5位が肺炎でした。
入院患者の肺炎の中で誤嚥性肺炎の占める割合は60%、70才以上では80%です。

2023年秋に92才の母が誤嚥性肺炎で亡くなりました。
施設に入っていたこと、遠方であったことで鍼灸治療が出来なかったことがとても残念です。

誤嚥性肺炎を起こす前段階のオーラルフレイルの時に鍼灸を行うことで誤嚥性肺炎を防ぐことが出来るのではないかと思っております。
オーラルフレイルの症状は以下のようになります。
•滑舌が悪い
•硬い食べ物が噛みにくい
•食事の際にむせる
•口がかわく
•食べこぼす
•飲み込みにくい

オーラルフレイルがあると誤嚥性肺炎以外に以下のようなリスクがあります。
•身体に必要な栄養をとることができず、低栄養のリスクが高まる
•筋力の低下や体力の低下につながる
•社会的な孤立を招く

したがってオーラルフレイルの段階で鍼灸を行うことにより、誤嚥性肺炎の予防のみならず、様々なメリットがあるといえます。

コロナが収束して落ち着いた状況になりましたが、未だに体調不良が続いている方がいらっしゃいます。
原因がはっきりしない体調不良の方では以下のような問題点があります。
1.    上気道感染が持続している。
2.    うつ病まではいかないが、軽いうつ状態になっている。
3.    頸部の筋緊張が強い。
4.    不眠・浅眠が続いている。

したがって上記症状を改善させることで原因不明の体調不良は改善すると考えられます。

東洋医学的には腎虚・肺虚・脾虚・痰飲・瘀血証などが混在していることが多いです。

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オーラルフレイルの鍼灸治療
開催日:2025年3月16日(日)9:00~12:00
会場:東京都目黒区自由が丘
内容:滑舌・飲み込みの悪さを改善する鍼灸治療
講師:武藤 由香子
五枢会代表、鍼灸学修士、自由が丘ムトウ針灸院院長

詳細は以下のページを参照して下さい。
https://muto-shinkyu.biz/lp/2025035sufd/
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高齢者が増加している日本では、フレイルの対策は大変重要な課題となっています。
フレイルとは高齢者における虚弱な状態で、要介護状態になる前段階の状態です。
症状としては、体重減少・疲労感・筋力低下・歩行速度低下などが挙げられます。

東洋医学的に見ると虚証(脾虚証・腎虚証)の方はフレイルになり易いと考えています。

また、フレイルの状態から健康な状態に移行することも可能とされています。
その対策として鍼灸治療は重要です。

フレイルの中でもオーラルフレイルは特に問題となっています。
滑舌が悪い・むせやすい・飲み込みが悪いなどの症状があるものです。
進行すると、誤嚥性肺炎のリスクがあります。
また、滑舌が悪いと会話することに消極的になり、うつ病や認知症のリスクが高まります。

 

オーラルフレイルの解消は今後重要な課題となるでしょう。

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治療院の運営を考える時に治療時間は重要な要素となります。
治療時間が短縮すると1日に治療できる患者数が増えるからです。

治療時間を短縮するには3つのポイントがあります。
1.    問診時間の短縮
問診に時間をかけ過ぎないようにするためにはあらかじめ問診表を作っておくといいです。
口頭で聞きにくい内容(月経・精神面など)も聴取し易くなります。

2.    診察時間の短縮
東洋医学的所見(舌診・脈診・腹診など)やその他の身体所見を簡単に記録できるように記録用紙を作っておき、記入します。

3. 治療時間の短縮
1つの経穴で複数の効果を出す治療穴を使っていきます。
また、置鍼は1部位のみにします。

この3つの要素を組み合わせることで治療時間を短縮することが出来ます。

症状が多い患者さんで困っている先生はいらっしゃらないですか?
首のこり、五十肩、腰痛、股関節痛などあちこち症状を訴えられ、治療時間が延長したり、刺激量が多くなったりして困ったことはありませんか?

この様な場合、出来るだけ1つの経穴で多くの効果を出せるようにします。
一般的には交会穴を使うと思います。

私は1つの経穴で多くの効果を出せる経穴を開発・集積してきました。
1つの経穴で3つの症状を改善できるものを開発したのが最初です。

例えば百会は動悸・不眠・脊柱アライメントの調整に使っています。
三陰交は生理痛・胎位異常・扁平足に使っています。

1つの経穴で3つ以上の効果があり、再現性のあるものを36穴開発しました。
その中には5つ以上が12穴、10以上が1穴あります。

1つの治療部位で10の症状を改善する治療穴にはマルチポイントという名前を付けました。

この治療法は主に整形外科疾患が中心です。
顎関節症、肩関節痛み、手関節痛、母指痛、股関節痛、膝関節痛、足関節痛、母趾痛、緊張型頭痛、頚部~肩背部のこりが適応です。
また、それぞれの関節の可動域制限にも対応します。
この治療は関節リウマチ・パーキンソン病にも使えます。

整形外科疾患で差別化するにはどうしたら良いでしょうか?
他の治療院で治せないような疾患を扱うと差別化できます。
具体的には椎間板ヘルニア・側弯症・脊柱管狭窄症などです。

以前椎間板ヘルニアに対し整形外科ではすぐに手術をする傾向がありました。
最近は保存療法をしばらく行って良くならない場合に手術を検討するという事になっています。

突出した椎間板は白血球によって貪食されるという事が分かっています。

側弯症は治らないと思っている患者さんは多いですが、鍼灸治療で改善します。

脊柱管狭窄症は神経根型だと良くなり易いとされており、鍼灸治療の対象としています。

これらの疾患は筋肉や経絡に対するアプローチでは改善しません。
脊柱のアライメントの調整テクニックを習得する必要があります。

自己免疫疾患・精神疾患など重症な疾患の治療では、他の疾患とどこが違うのでしょうか?

1)    局所治療をしても効果が出にくい。
2)    治療者が邪気を受けやすい。
3)    治療者が邪気を受けたまま放置すると、体調不良になることもある。

この様な状況があるので、重症の治療を敬遠する治療者も少なくないと思います。
私自身、免許取得後5年間は精神疾患の患者さんの治療をすると、邪気を受けて疲労感が強くなり、困っていました。

重症患者の治療に当たっては、治療者と患者さんの気の調整が重要となります。

気の調整には主に2つの種類があります。
1)    邪気を取り除く。
2)    気の流れを整える。

これらを行った後鍼灸治療を行うと、邪気を受けることなくスムーズに症状が改善します。
また、治療効果がアップします。
患者さんによってはエネルギー調整をしただけで「お蔭様で良くなりました。」と言って鍼灸治療をする前に着替えをしようとした人もいました。