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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

産業廃棄物処分業の許可申請をした業者が、県の行政指導に応じて、地元自治会の同意を得るよう努力したが、同意を得られないことが明らかになり、業者も行政指導には協力できないことを明らかにした後になっても、県が行政指導を継続し、許可申請の審査をしなかったことは違法であるとして、国家賠償法に基づく損害賠償請求が認められた事例

 

大阪高等裁判所判決/平成13年(ネ)第3224号

【判決日付】 平成16年5月28日

【判示事項】 産業廃棄物処分業の許可申請をした業者が、県の行政指導に応じて、地元自治会の同意を得るよう努力したが、同意を得られないことが明らかになり、業者も行政指導には協力できないことを明らかにした後になっても、県が行政指導を継続し、許可申請の審査をしなかったことは違法であるとして、国家賠償法に基づく損害賠償請求が認められた事例

【参照条文】 国家賠償法

【掲載誌】  判例時報1901号28頁

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

集中豪雨により山林が崩壊して発生した人身災害につき、高知県知事と高知市長に防災行政の怠慢があったとして国賠法1条1項の損害賠償責任が認められた事例

 

高知地方裁判所判決/昭和48年(ワ)第399号

昭和59年3月19日

損害賠償請求事件

【判示事項】    集中豪雨により山林が崩壊して発生した人身災害につき、高知県知事と高知市長に防災行政の怠慢があったとして国賠法1条1項の損害賠償責任が認められた事例

【参照条文】    国家賠償法

          急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

          急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律12-1

          急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律20

          災害対策基本法42

          災害対策基本法51

          災害対策基本法60

【掲載誌】     判例タイムズ524号170頁

          判例時報1110号39頁

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

(急傾斜地崩壊危険区域の指定)

第三条 都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の意見をきいて、崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのあるもの及びこれに隣接する土地のうち、当該急傾斜地の崩壊が助長され、又は誘発されるおそれがないようにするため、第七条第一項各号に掲げる行為が行なわれることを制限する必要がある土地の区域を急傾斜地崩壊危険区域として指定することができる。

2 前項の指定は、この法律の目的を達成するために必要な最小限度のものでなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、当該急傾斜地崩壊危険区域を公示するとともに、その旨を関係市町村長に通知しなければならない。これを廃止するときも、同様とする。

4 急傾斜地崩壊危険区域の指定又は廃止は、前項の公示によつてその効力を生ずる。

 

(都道府県の施行する急傾斜地崩壊防止工事)

第十二条 都道府県は、急傾斜地崩壊防止工事のうち、制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な工事以外の工事で、当該急傾斜地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者が施行することが困難又は不適当と認められるものを施行するものとする。

2 前項の規定は、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条の規定により指定された土地、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項若しくは第二十五条の二第一項若しくは第二項の規定により指定された保安林(同法第二十五条の二第一項後段又は第二項後段において準用する同法第二十五条第二項の規定により指定された保安林を除く。)若しくは同法第四十一条の規定により指定された保安施設地区又は地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第三条第一項の規定により指定された地すべり防止区域若しくは同法第四条第一項の規定により指定されたぼた山崩壊防止区域については、適用しない。

3 都道府県は、漁港及び漁場の整備等に関する法律(昭和二十五年法律第百三十七号)第二条に規定する漁港の区域(水域を除く。)内、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第三十七条第一項に規定する港湾隣接地域内又は海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条第一項に規定する海岸保全区域内において第一項の規定による急傾斜地崩壊防止工事(以下「都道府県営工事」という。)を施行しようとするときは、あらかじめ、漁港管理者、港湾管理者又は海岸管理者に協議しなければならない。ただし、港湾法第三十七条第一項及び第三項又は海岸法第十条第二項の規定により港湾管理者又は海岸管理者に協議しなければならない場合においては、この限りでない。

 

(国土交通大臣の指示)

第二十条 国土交通大臣は、急傾斜地の崩壊による災害が発生し、又は発生するおそれがあると認められる場合において、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するため緊急の必要があると認められるときは、都道府県に対し、第三条第一項及び第三項、第七条第一項、第二項及び第四項、第八条第一項、同条第二項(第十条第四項において準用する場合を含む。)、第九条第三項、第十条第一項及び第二項、第十一条第一項並びに第十二条第一項に規定する事務に関し、必要な指示をすることができる。

 

災害対策基本法

(市町村地域防災計画)

第四十二条 市町村防災会議(市町村防災会議を設置しない市町村にあつては、当該市町村の市町村長。以下この条において同じ。)は、防災基本計画に基づき、当該市町村の地域に係る市町村地域防災計画を作成し、及び毎年市町村地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。この場合において、当該市町村地域防災計画は、防災業務計画又は当該市町村を包括する都道府県の都道府県地域防災計画に抵触するものであつてはならない。

2 市町村地域防災計画は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。

一 当該市町村の地域に係る防災に関し、当該市町村及び当該市町村の区域内の公共的団体その他防災上重要な施設の管理者(第四項において「当該市町村等」という。)の処理すべき事務又は業務の大綱

二 当該市町村の地域に係る防災施設の新設又は改良、防災のための調査研究、教育及び訓練その他の災害予防、情報の収集及び伝達、災害に関する予報又は警報の発令及び伝達、避難、消火、水防、救難、救助、衛生その他の災害応急対策並びに災害復旧に関する事項別の計画

三 当該市町村の地域に係る災害に関する前号に掲げる措置に要する労務、施設、設備、物資、資金等の整備、備蓄、調達、配分、輸送、通信等に関する計画

3 市町村地域防災計画は、前項各号に掲げるもののほか、市町村内の一定の地区内の居住者及び当該地区に事業所を有する事業者(以下この項及び次条において「地区居住者等」という。)が共同して行う防災訓練、地区居住者等による防災活動に必要な物資及び資材の備蓄、災害が発生した場合における地区居住者等の相互の支援その他の当該地区における防災活動に関する計画(同条において「地区防災計画」という。)について定めることができる。

4 市町村防災会議は、市町村地域防災計画を定めるに当たつては、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において当該市町村等が円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援することができるよう配慮するものとする。

5 市町村防災会議は、第一項の規定により市町村地域防災計画を作成し、又は修正したときは、速やかにこれを都道府県知事に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。

6 都道府県知事は、前項の規定により市町村地域防災計画について報告を受けたときは、都道府県防災会議の意見を聴くものとし、必要があると認めるときは、当該市町村防災会議に対し、必要な助言又は勧告をすることができる。

7 第二十一条の規定は、市町村長が第一項の規定により市町村地域防災計画を作成し、又は修正する場合について準用する。

第四十二条の二 地区居住者等は、共同して、市町村防災会議に対し、市町村地域防災計画に地区防災計画を定めることを提案することができる。この場合においては、当該提案に係る地区防災計画の素案を添えなければならない。

2 前項の規定による提案(以下この条において「計画提案」という。)は、当該計画提案に係る地区防災計画の素案の内容が、市町村地域防災計画に抵触するものでない場合に、内閣府令で定めるところにより行うものとする。

3 市町村防災会議は、計画提案が行われたときは、遅滞なく、当該計画提案を踏まえて市町村地域防災計画に地区防災計画を定める必要があるかどうかを判断し、その必要があると認めるときは、市町村地域防災計画に地区防災計画を定めなければならない。

4 市町村防災会議は、前項の規定により同項の判断をした結果、計画提案を踏まえて市町村地域防災計画に地区防災計画を定める必要がないと決定したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を、当該計画提案をした地区居住者等に通知しなければならない。

5 市町村地域防災計画に地区防災計画が定められた場合においては、当該地区防災計画に係る地区居住者等は、当該地区防災計画に従い、防災活動を実施するように努めなければならない。

 

 

(情報の収集及び伝達等)

第五十一条 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関、公共的団体並びに防災上重要な施設の管理者(以下「災害応急対策責任者」という。)は、法令又は防災計画の定めるところにより、災害に関する情報の収集及び伝達に努めなければならない。

2 災害応急対策責任者は、前項の災害に関する情報の収集及び伝達に当たつては、地理空間情報(地理空間情報活用推進基本法(平成十九年法律第六十三号)第二条第一項に規定する地理空間情報をいう。)の活用に努めなければならない。

3 災害応急対策責任者は、災害に関する情報を共有し、相互に連携して災害応急対策の実施に努めなければならない。

 

(市町村長の避難の指示等)

第六十条 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命又は身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、避難のための立退きを指示することができる。

2 前項の規定により避難のための立退きを指示する場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、その立退き先として指定緊急避難場所その他の避難場所を指示することができる。

3 災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、避難のための立退きを行うことによりかえつて人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがあり、かつ、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、高所への移動、近傍の堅固な建物への退避、屋内の屋外に面する開口部から離れた場所での待避その他の緊急に安全を確保するための措置(以下「緊急安全確保措置」という。)を指示することができる。

4 市町村長は、第一項の規定により避難のための立退きを指示し、若しくは立退き先を指示し、又は前項の規定により緊急安全確保措置を指示したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。

5 市町村長は、避難の必要がなくなつたときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。前項の規定は、この場合について準用する。

6 都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の発生により市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなつたときは、当該市町村の市町村長が第一項から第三項まで及び前項前段の規定により実施すべき措置の全部又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。

7 都道府県知事は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。

8 第六項の規定による都道府県知事の代行に関し必要な事項は、政令で定める。

 

石川銀行事件・銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,当該融資の申込みをしたにとどまらず,その実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者に,特別背任罪の共同正犯の成立が認められた事例

 

              商法違反被告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/平成18年(あ)第2030号

【判決日付】      平成20年5月19日

【判示事項】      銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,当該融資の申込みをしたにとどまらず,その実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者に,特別背任罪の共同正犯の成立が認められた事例

【判決要旨】      銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,当該融資の申込みをしたにとどまらず,融資の前提となるスキーム(判文参照)を頭取らに提案してこれに沿った行動を取り,同融資の担保となる物件の担保価値を大幅に水増しした不動産鑑定書を作らせるなどして,同融資の実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者は,上記特別背任行為に共同加功をしたということができる。

【参照条文】      商法(平17法87号改正前)486-1

             刑法60

             刑法65

             刑法247

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集62巻6号1623頁

 

 

刑法

(共同正犯)

第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

 

(身分犯の共犯)

第六十五条 犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは、身分のない者であっても、共犯とする。

2 身分によって特に刑の軽重があるときは、身分のない者には通常の刑を科する。

 

(背任)

第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

会社法

(取締役等の特別背任罪)

第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 発起人

二 設立時取締役又は設立時監査役

三 取締役、会計参与、監査役又は執行役

四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者

五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者

六 支配人

七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人

八 検査役

2 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。

一 清算株式会社の清算人

二 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算株式会社の清算人の職務を代行する者

三 第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者

四 清算人代理

五 監督委員

六 調査委員

 

第8章 不在者の財産及び相続財産の管理に関する民法の特例

国の行政機関の長又は地方公共団体の長は、所有者不明土地につき、適切な管理のため特に必要があると認めるとき(※)は、家庭裁判所に対し、不在者の財産の管理人の選任等又は相続財産の管理人の選任の請求をすることができることとする。

(※)不法投棄や雑草の繁茂等により所有者不明土地が周辺に悪影響を与えている場合等

具体的な流れ

【参考】民法 (明治29年法律第89号)(抄)

(不在者の財産の管理)

第25条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。

2 (略)

(管理人の権限)

第28条 管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

※家庭裁判所の権限外許可により土地の売却が可能な場合もある

法第3条8に基づく財産理人の選任の申立て

 

財産管理人の選任の審理・審判

予納金の納付

財産管理人による不在者の財産の調査・財産目録・財産状況に関する報告書の作成

財産管理人による所有者不明土地の管理(ゴミの撤去、害虫の除去、雑草の除去・防草措等)

財産状況の定期報告

・所有者不明土地を含む不在者の財産の管理

(固定資産税の納付含む)

報酬付与の申立て

報酬付与審判

不在者・不在者の相続人等に対する管理財産の引継ぎ

財産管理人の選任処分取消の審判

権限外行為の許可の申立て・審判

所有者不明土地の売却

※ 事案によって異なるが、不在者財産管理であれば30~50 万円 、相続財産管理であれば 50 ~ 100万 円が目安。

財産調査の結果、財産から管理費用を支弁できることが明らかとなった場合 、 予納金は返還される。

管理終了原因の発生許可された場合

 

法人税の確定申告に対して,課税庁が所得金額の加算とともに減算をして行った増額更正処分に対する取消訴訟において,確定申告に係る申告所得金額・税額を超える部分の取消しを求めることは不適法か

 

 

法人税更正処分取消請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/平成21年(行コ)第24号

【判決日付】      平成21年10月16日

【判示事項】      1 法人税の確定申告に対して,課税庁が所得金額の加算とともに減算をして行った増額更正処分に対する取消訴訟において,確定申告に係る申告所得金額・税額を超える部分の取消しを求めることは不適法か

             2 法人が支給する使用人賞与の損金算入時期についての平成18年政令第125号による改正前の法人税法施行令134条の2の定めは,租税法律主義又は法人税法の定める損金算入基準に違反するか

【参照条文】      国税通則法16-1

             国税通則法23-1

             国税通則法29-1

             憲法30

             憲法84

             法人税法(平18法10号改正前)22-3

             法人税法(平18法10号改正前)65

             法人税法施行令(平18政令125号改正前)134の2

【掲載誌】        判例タイムズ1319号79頁

             税務訴訟資料259号順号11293

             LLI/DB 判例秘書登載

 

憲法

第三十条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

 

第八十四条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

 

国税通則法

(国税についての納付すべき税額の確定の方式)

第十六条 国税についての納付すべき税額の確定の手続については、次の各号に掲げるいずれかの方式によるものとし、これらの方式の内容は、当該各号に掲げるところによる。

一 申告納税方式 納付すべき税額が納税者のする申告により確定することを原則とし、その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつた場合その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り、税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。

二 賦課課税方式 納付すべき税額がもつぱら税務署長又は税関長の処分により確定する方式をいう。

2 国税(前条第三項各号に掲げるものを除く。)についての納付すべき税額の確定が前項各号に掲げる方式のうちいずれの方式によりされるかは、次に定めるところによる。

一 納税義務が成立する場合において、納税者が、国税に関する法律の規定により、納付すべき税額を申告すべきものとされている国税 申告納税方式

二 前号に掲げる国税以外の国税 賦課課税方式

 

(更正の請求)

第二十三条 納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、十年)以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等(当該課税標準等又は税額等に関し次条又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下この条において「更正」という。)があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき更正をすべき旨の請求をすることができる。

一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。

二 前号に規定する理由により、当該申告書に記載した純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に純損失等の金額の記載がなかつたとき。

三 第一号に規定する理由により、当該申告書に記載した還付金の額に相当する税額(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過少であるとき、又は当該申告書(当該申告書に関し更正があつた場合には、更正通知書)に還付金の額に相当する税額の記載がなかつたとき。

2 納税申告書を提出した者又は第二十五条(決定)の規定による決定(以下この項において「決定」という。)を受けた者は、次の各号のいずれかに該当する場合(納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める期間において、その該当することを理由として同項の規定による更正の請求(以下「更正の請求」という。)をすることができる。

一 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算の基礎となつた事実に関する訴えについての判決(判決と同一の効力を有する和解その他の行為を含む。)により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき その確定した日の翌日から起算して二月以内

二 その申告、更正又は決定に係る課税標準等又は税額等の計算に当たつてその申告をし、又は決定を受けた者に帰属するものとされていた所得その他課税物件が他の者に帰属するものとする当該他の者に係る国税の更正又は決定があつたとき 当該更正又は決定があつた日の翌日から起算して二月以内

三 その他当該国税の法定申告期限後に生じた前二号に類する政令で定めるやむを得ない理由があるとき 当該理由が生じた日の翌日から起算して二月以内

3 更正の請求をしようとする者は、その請求に係る更正後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至つた事情の詳細、当該請求に係る更正前の納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額その他参考となるべき事項を記載した更正請求書を税務署長に提出しなければならない。

4 税務署長は、更正の請求があつた場合には、その請求に係る課税標準等又は税額等について調査し、更正をし、又は更正をすべき理由がない旨をその請求をした者に通知する。

5 更正の請求があつた場合においても、税務署長は、その請求に係る納付すべき国税(その滞納処分費を含む。以下この項において同じ。)の徴収を猶予しない。ただし、税務署長において相当の理由があると認めるときは、その国税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。

6 輸入品に係る申告消費税等についての更正の請求は、第一項の規定にかかわらず、税関長に対し、するものとする。この場合においては、前三項の規定の適用については、これらの規定中「税務署長」とあるのは、「税関長」とする。

7 前二条の規定は、更正の請求について準用する。

 

(更正等の効力)

第二十九条 第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正(以下第七十二条(国税の徴収権の消滅時効)までにおいて「更正」という。)で既に確定した納付すべき税額を増加させるものは、既に確定した納付すべき税額に係る部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。

2 既に確定した納付すべき税額を減少させる更正は、その更正により減少した税額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。

3 更正又は決定を取り消す処分又は判決は、その処分又は判決により減少した税額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさない。

 

法人税法

第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則

第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。

2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。

3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。

一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額

二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額

三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。

5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。

 

(各事業年度の所得の金額の計算の細目)

第六十五条 第二款から前款まで(所得の金額の計算)に定めるもののほか、各事業年度の所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。

 

       主   文

 

 1 本件控訴を棄却する。

 2 控訴費用は控訴人の負担とする。

 

       事実及び理由

 

第1 控訴の趣旨

 1 原判決を取り消す。

 2 生野税務署長が平成17年2月28日付けでした控訴人の平成15年6月1日から平成16年5月31日までの事業年度の法人税に係る更正処分のうち所得金額1259万2369円,差引所得に対する法人税額303万5100円を超える部分及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。

 3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

第2 事案の概要

 1 本件は,控訴人が,平成16年7月16日に控訴人の使用人に対して支払った賞与を平成15年6月1日から平成16年5月31日までの事業年度(以下「本件事業年度」という。)の損金の額に算入して確定申告を行ったところ,生野税務署長が上記賞与の損金算入を否定するなどして控訴人に対して更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ったため,控訴人が,これらの処分の取消しを求める抗告訴訟を提起したが,原審は,控訴人の訴え中,上記更正処分のうち所得金額1262万9329円,差引所得に対する法人税額304万6200円を超えない部分の取消しを求める部分を却下し,控訴人のその余の請求をいずれも棄却する判決をしたので,控訴人が第1記載の判決を求めて控訴した事案である。

 

 

【判例番号】      L06420865

             法人税更正処分取消請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/平成21年(行コ)第24号

【判決日付】      平成21年10月16日

【出  典】       判例タイムズ1319号79頁

 

 1 本件は,使用人賞与について,各使用人に対する支給金額を決定し,未払金として経理処理したにとどまる法人が上記金額を損金の額に算入して法人税の確定申告をしたところ,課税庁が上記金額の損金の額ヘの算入を否認して同額を所得金額に加算するとともに,法人が確定申告において損金の額に算入していなかった金額を所得金額から減算し,差引計算の結果,所得金額・税額を増額する更正処分並びに過少申告加算税賦課処分をしたのに対し,当該法人が,使用人賞与について支給日等の属する事業年度の損金の額に算入すると定める平成18年政令第125号による改正前の法人税法施行令134条の2は租税法律主義に違反するとともに,法人税法22条3項の定める損金算入基準にも違反すると主張するとともに,更正の請求によることなく,確定申告に係る申告所得金額から確定申告において損金の額に算入していなかった上記金額を減算した金額を所得金額とし,これに対応する税額を納付すべき税額として,更正処分のうち同所得金額・同税額を超える部分並びに過少申告加算税賦課処分の取消しを求めたものである。

 2 判決は,更正処分のうち確定申告に係る申告所得金額・申告税額を超えない部分の取消しを求めることは不適法であるとして,訴えのうち同部分の取消しを求める部分を却下するのを相当とし(判示事項1),その余の部分については,使用人賞与の損金算入時期についての法人税法施行令の定めは租税法律主義に違反せず,法人税法22条3項の定める損金算入基準にも違反せず(判示事項2),更正処分は適法であるとして,原判決の結論を維持したものである。

国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき子の返還を命じた終局決定が同法117条1項の規定により変更された事例

最高裁判所第1小法廷決定/平成29年(許)第9号
平成29年12月21日
終局決定の変更決定に対する許可抗告事件
【判示事項】    国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づき子の返還を命じた終局決定が同法117条1項の規定により変更された事例
【判決要旨】    国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律に基づくXの申立てによりその子であるA,B,C及びDを米国に返還するよう命ずる終局決定が確定した場合において,次の(1)~(4)などの事情の下では,A及びBについては同法28条1項ただし書の規定を適用すべきであるとはいえず,C及びDについては同項4号の返還拒否事由があるものとして,上記決定の確定後の事情の変更によってこれを維持することが不当となるに至ったと認め,同法117条1項の規定によりこれを変更し,上記申立てを却下するのが相当である。
          (1) 上記決定は,A及びBについては,同法28条1項5号の返還拒否事由があると認めながら,米国に返還することが子の利益に資すると認めて同項ただし書の規定を適用すべきものとし,C及びDについては,返還拒否事由があるとは認められないことなどを理由とするものであった。
          (2) Xは,子らを適切に監護するための経済的基盤を欠いており,その監護養育について親族等から継続的な支援を受けることも見込まれない状況にあったところ,上記決定の確定後,居住していた自宅を明け渡し,それ以降,子らのために安定した住居を確保することができなくなった結果,子らが米国に返還された場合のXによる監護養育態勢が看過し得ない程度に悪化した。
          (3) A及びBは,米国に返還されることを一貫して拒絶している。
          (4) C及びDのみを米国に返還すると,密接な関係にある兄弟姉妹を日本と米国とに分離する結果を生ずる。
(補足意見がある。)
【参照条文】    国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律28-1
          国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律117-1
【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事257号63頁

国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律
(子の返還拒否事由等)
第二十八条 裁判所は、前条の規定にかかわらず、次の各号に掲げる事由のいずれかがあると認めるときは、子の返還を命じてはならない。ただし、第一号から第三号まで又は第五号に掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して常居所地国に子を返還することが子の利益に資すると認めるときは、子の返還を命ずることができる。
一 子の返還の申立てが当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時から一年を経過した後にされたものであり、かつ、子が新たな環境に適応していること。
二 申立人が当該連れ去りの時又は当該留置の開始の時に子に対して現実に監護の権利を行使していなかったこと(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)。
三 申立人が当該連れ去りの前若しくは当該留置の開始の前にこれに同意し、又は当該連れ去りの後若しくは当該留置の開始の後にこれを承諾したこと。
四 常居所地国に子を返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすことその他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険があること。
五 子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいること。
六 常居所地国に子を返還することが日本国における人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められないものであること。
2 裁判所は、前項第四号に掲げる事由の有無を判断するに当たっては、次に掲げる事情その他の一切の事情を考慮するものとする。
一 常居所地国において子が申立人から身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動(次号において「暴力等」という。)を受けるおそれの有無
二 相手方及び子が常居所地国に入国した場合に相手方が申立人から子に心理的外傷を与えることとなる暴力等を受けるおそれの有無
三 申立人又は相手方が常居所地国において子を監護することが困難な事情の有無
3 裁判所は、日本国において子の監護に関する裁判があったこと又は外国においてされた子の監護に関する裁判が日本国で効力を有する可能性があることのみを理由として、子の返還の申立てを却下する裁判をしてはならない。ただし、これらの子の監護に関する裁判の理由を子の返還の申立てについての裁判において考慮することを妨げない。

(終局決定の変更)
第百十七条 子の返還を命ずる終局決定をした裁判所(その決定に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定(第百七条第二項の規定による決定を除く。以下この項において同じ。)をしたときは、当該抗告裁判所)は、子の返還を命ずる終局決定が確定した後に、事情の変更によりその決定を維持することを不当と認めるに至ったときは、当事者の申立てにより、その決定(当該抗告裁判所が当該即時抗告を棄却する終局決定をした場合にあっては、当該終局決定)を変更することができる。ただし、子が常居所地国に返還された後は、この限りでない。
2 前項の規定による終局決定の変更の申立書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当事者及び法定代理人
二 変更を求める終局決定の表示及びその決定に対して変更を求める旨
三 終局決定の変更を求める理由
3 裁判所は、第一項の規定により終局決定を変更するときは、当事者(同項の申立てをした者を除く。)の陳述を聴かなければならない。
4 第一項の申立てを却下する終局決定に対しては、当該申立てをした者は、即時抗告をすることができる。
5 第一項の規定により終局決定を変更する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
6 前各項に規定するもののほか、第一項の規定による終局決定の変更の手続には、その性質に反しない限り、各審級における手続に関する規定を準用する。

 

領海及び接続水域に関する法律1条、2条、同法施行令2条1項により領海となった海域における違法行為に対する裁判権の行使と日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定(昭和40年条約第26号)4条1項

 

最高裁判所第3小法廷決定/平成10年(あ)第1137号

平成11年11月30日

外国人漁業の規制に関する法律違反被告事件

【判示事項】    領海及び接続水域に関する法律1条、2条、同法施行令2条1項により領海となった海域における違法行為に対する裁判権の行使と日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定(昭和40年条約第26号)4条1項

【判決要旨】    領海及び接続水域に関する法律1条、2条、同法施行令2条1項により我が国の領海となった海域における違法行為に対する我が国の裁判権の行使は、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定(昭和40年条約第26号)4条1項により制限されない。

【参照条文】    領海及び接続水域に関する法律1

          領海及び接続水域に関する法律2

          領海及び接続水域に関する法律施行令2-1

          日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定(昭和40年条約第26号)1

          日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定(昭和40年条約第26号)4-1

          外国人漁業の規制に関する法律

          外国人漁業の規制に関する法律9-1

【掲載誌】     最高裁判所刑事判例集53巻8号1045頁

 

領海及び接続水域に関する法律

(領海の範囲)

第一条 我が国の領海は、基線からその外側十二海里の線(その線が基線から測定して中間線を超えているときは、その超えている部分については、中間線(我が国と外国との間で合意した中間線に代わる線があるときは、その線)とする。)までの海域とする。

2 前項の中間線は、いずれの点をとつても、基線上の最も近い点からの距離と、我が国の海岸と向かい合つている外国の海岸に係るその外国の領海の幅を測定するための基線上の最も近い点からの距離とが等しい線とする。

(基線)

第二条 基線は、低潮線、直線基線及び湾口若しくは湾内又は河口に引かれる直線とする。ただし、内水である瀬戸内海については、他の海域との境界として政令で定める線を基線とする。

2 前項の直線基線は、海洋法に関する国際連合条約(以下「国連海洋法条約」という。)第七条に定めるところに従い、政令で定める。

3 前項に定めるもののほか、第一項に規定する線を基線として用いる場合の基準その他基線を定めるに当たつて必要な事項は、政令で定める。

 

領海及び接続水域に関する法律施行令

(基線)

第二条 法第二条第一項に規定する直線基線は、別表第一に掲げる線とする。

2 基線(前項の直線基線を除く。)は、内水である瀬戸内海を除き、海岸の低潮線(海に直接流入している河川の河口にあつては、その両側の海岸の低潮線上の点を結ぶ直線。以下この項において同じ。)とする。ただし、次の各号に掲げる湾にあつては、当該各号に定める直線の内側にある海岸の低潮線は基線とせず、当該各号に定める直線を基線とする。

一 その天然の入口の両側の海岸の低潮線上の点の間の距離(島が存在するために天然の入口が二以上ある場合にあつては、それぞれの天然の入口の両側の海岸の低潮線上の点の間の距離を合計したもの。次号において同じ。)が二十四海里を超えない湾 その天然の入口の両側の海岸の低潮線上の点を結ぶ直線

二 その天然の入口の両側の海岸の低潮線上の点の間の距離が二十四海里を超える湾 その内側の海岸の低潮線上の二点を結ぶ長さ二十四海里の直線で、これと海岸の低潮線で囲む海域の面積が最大であるもの

3 前条各号に掲げる線及び前項に規定する線を基線として用いることにより領海となる海域内にその全部又は一部がある低潮高地の低潮線も、基線とする。

4 前条及び前三項の規定により、一の基線の外側に他の基線が引かれることとなる場合には、最も外側に引かれる線を基線とする。

5 第二項の湾及び島並びに第三項の低潮高地とは、それぞれ海洋法に関する国際連合条約第十条2、第百二十一条1及び第十三条1に規定する湾、島及び低潮高地をいう。

6 第二項の海岸の低潮線及び第三項の低潮高地の低潮線は、海上保安庁が刊行する大縮尺海図に記載されているところによる。

 

外国人漁業の規制に関する法律

(漁業等の禁止)

第三条 次に掲げるものは、本邦の水域において漁業、水産動植物の採捕(漁業に該当するものを除き、漁業等付随行為を含む。以下同じ。)、採捕準備行為又は探査を行つてはならない。ただし、その水産動植物の採捕が農林水産省令で定める軽易なものであるときは、この限りでない。

一 日本の国籍を有しない者。ただし、適法に本邦に在留する者で農林水産大臣の指定するものを除く。

二 外国、外国の公共団体若しくはこれに準ずるもの又は外国法に基づいて設立された法人その他の団体

 

第7章 相続登記の登録免許税の免税措置

 平成30年11月15日から,今後相続登記が放置されるおそれのある土地に対応するため,一定の資産価値が高くない土地についての相続登記の登録免許税の免税措置も開始されました。

※免税の対象となる土地について,上記の基本的な方針に基づいて法務大臣が指定しています。

1、相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合

相続登記が未了の土地について、さらに相続が発生している場合(数次相続や再転相続などと呼ばれます)に適用があります。

 

個人が相続(相続人に対する遺贈を含む)により、土地を取得した場合において、その個人が相続登記を受ける前に死亡したときは、その死亡した個人名義にする相続登記は免税となります(租税特別措置法第84条の2の3第1項)。

 

政府は国を挙げて「所有者不明土地問題」に取り組んでいます。

 

「所有者不明土地問題」とは、不動産登記簿からは土地所有者が判明せず、または判明しても連絡がつかないために起こる問題を言います。

 

例えば、所有者不明土地が荒廃し近隣に迷惑を掛けていたり、所有者不明土地について震災等復興対策などを施そうとしても、所有者に連絡が付かないために対処ができなくなってしまう問題が増加しています。

 

「所有者不明土地問題」は、2011年の東日本大震災の際に復興の妨げとなりました。

 

そして、不動産登記簿上の所有者は死亡しているのに、その相続登記を放置していることが、この問題を生じさせる大きな原因の1つとされています。そこで、税制としても相続登記を促進するため、長期間相続登記が未了である土地への対策として本制度を設けたと説明されています。

 

2、市街化区域外の土地で法務大臣が指定した土地のうち評価額が10万円以下の場合

「市街化区域外の土地で法務大臣が指定した土地」は、かなり限定されます。さらに固定資産評価額が10万円以下の土地ですから、山林や田、畑などが主となります(租税特別措置法第84条の2の3第2項)。

 

特に評価の安い土地については、登録免許税や司法書士への手数料など手間をかけて相続登記をすることは躊躇されるため、免税措置を設けることにより、相続登記未了の土地を発生させないようにするのが目的と説明されています。

 

3、表題部所有者の相続人名義で土地の所有権保存登記をする場合

「表題部所有者」とは、登記簿(登記事項証明書)の「表題部」に「所有者」として記載されている人のことです。

 

表題部所有者がすでに亡くなっており、その相続人名義に「所有権保存登記」を行う場合で、固定資産税評価額が10万円以下であるときは、その登記にかかる登録免許税は免税となります(租税特別措置法第84条の2の3第2項)。令和3年税制改正で新たに追加されたのがこのパターンです。

 

租税特別措置法第84条の2の3

(相続に係る所有権の移転登記の免税)

第84条の2の3  個人が相続(相続人に対する遺贈を含む。以下この条において同じ。)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、平成30年4月1日から令和4年3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税を課さない。

2  個人が、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の施行の日から令和4年3月31日までの間に、土地について相続による所有権の移転の登記を受ける場合において、当該土地が相続による土地の所有権の移転の登記の促進を特に図る必要があるものとして政令で定めるものであり、かつ、当該土地の当該登記に係る登録免許税法第10条第1項の課税標準たる不動産の価額が10万円以下であるときは、当該土地の相続による所有権の移転の登記については、登録免許税を課さない。

 

 

免税措置はいつまでか

上に掲げた根拠条文にあるように、平成30年4月1日から令和4年3月31日までに申請する登記に限られます。

 

免税を受けるにはどうすればよいか

登録免許税の免税措置の適用を受けるためには、免税措置の根拠となる法令の条項を申請書に記載しなければなりません。具体的には、登記申請書の登録免許税を記載する箇所に「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と書きます。

 

 

法人税更正処分等取消請求控訴事件において,札幌国税局長が,管内各税務署に命じて行わせた調査及び比較法人の抽出過程に恣意的な取扱いを窺わせるものは見当たらないとして,更正処分は,結論において正当であり,控訴人が当審において更正処分の違法事由として重ねて主張するところは,控訴人の特殊事情を余りにも強調しすぎるものであり,法36条及び令72条の正当な解釈とは認められないとして排斥し,控訴人の請求を棄却した原判決を相当として,控訴を棄却した事例

 

 

              法人税更正処分等取消請求控訴事件

【事件番号】      札幌高等裁判所/平成12年(行コ)第1号

【判決日付】      平成12年9月27日

【判示事項】      法人税更正処分等取消請求控訴事件において,札幌国税局長が,管内各税務署に命じて行わせた調査及び比較法人の抽出過程に恣意的な取扱いを窺わせるものは見当たらないとして,更正処分は,結論において正当であり,控訴人が当審において更正処分の違法事由として重ねて主張するところは,控訴人の特殊事情を余りにも強調しすぎるものであり,法36条及び令72条の正当な解釈とは認められないとして排斥し,控訴人の請求を棄却した原判決を相当として,控訴を棄却した事例

【判決要旨】      (1) 納税義務者、課税物件、課税標準、税率等の課税要件及び租税の賦課、徴収の課税手続は法律で定められなければならず(課税要件法律主義)、また、課税要件及び租税の賦課、徴収の手続は、明確に定められなければならない(課税要件明確主義)から、課税要件にかかわる租税法規は、できるだけ明確に定めることが求められるが、他方において、経済事象は、複雑多様にして流動的なものであり、これに対応して損益や所得、資産の実質に応じた公平な課税を実施することが要請されることを考慮すれば、租税法規を常に明確かつ一義的に定めることは、到底困難というほかないから、当該租税法規が不確定概念を用いているという一事だけで、直ちにこれが租税法律主義に反し、違憲であるということはできず、当該租税法規の目的とするところを合理的、客観的に解釈し、その法規が課税の根拠、要件を規定したものとして一般的に是認できる程度に具体的で客観的なものであれば、当該法規は租税法律主義に反せず、違憲ではないというべきである。

             (2) 法人税法三六条(過大な役員退職給与の損金不算入)の趣旨は、法人の役員に対する退職給与が、損金として認めるには不相当に高額であるため、実質的には法人の利益処分たる性質を有していると解すべき場合も想定されるところ、このような場合には、その不合理な部分について損金算入を認めないことによって、租税負担を不当に回避することを防止し、適正な課税を実現しようとするものである。

             (3) 法人税法施行令七二条(過大な役員退職給与の額)は、法人税法三六条(過大な役員退職給与の損金不算入)を受けて、退職給与の額の相当性について判断基準を定めたものであるところ、退職給与の額はその法人及び退職役員の個別的事情によって異なり得るものであるから、あらゆる場合を想定して相当な退職給与の額を明確かつ一義的に定めることは困難である一方、右の定めは相当な退職給与の額の決定に当たり考慮すべき事情を類型的に列挙しており、その事情を総合すれば相当な退職給与の額を判断することができ、この観点からすれば、法人税法施行令七二条の規定は、退職給与の額の相当性の判断基準について、一般的に是認できる程度に具体的、客観的に定めているということができる。

             (4) 平均功績倍率法は、退職役員の法人に対する功績はその退職時の報酬に反映されていると考え、同種類似の法人の役員に対する退職給与の支給の状況を平均功績倍率として把握し、比較法人の平均功績倍率に当該退職役員の最終報酬月額及び勤続年数に乗じて役員退職給与の適正額を算定する方法であり、適正に算出された平均功績倍率を用いる限り、その判断方法は客観的かつ合理的であり、法人税法施行令七二条(過大な役員退職給与の額)の規定に最もよく合致する方法である。

             (5)~(9) 省略

【掲載誌】        税務訴訟資料248号850頁

             LLI/DB 判例秘書登載

 

住友生命事件

1 生命保険業を目的として設立された相互会社が、政治資金規正法を遵守してその範囲内で同法上の政治団体に金員を寄附することは、公序に違反せず、同社の目的の範囲外の行為にも当たらないとされた事例

2 政治献金をした生命保険会社の代表取締役に、善管注意義務違反が認められないとして、政治献金相当額の損害賠償と将来の政治献金の差止めがいずれも棄却された事例

 

大阪高判平成14年4月11日 判例タイムズ1120号115頁

社員代表訴訟等控訴事件

【判示事項】 1 生命保険業を目的として設立された相互会社が、政治資金規正法を遵守してその範囲内で同法上の政治団体に金員を寄附することは、公序に違反せず、同社の目的の範囲外の行為にも当たらないとされた事例

2 政治献金をした生命保険会社の代表取締役に、善管注意義務違反が認められないとして、政治献金相当額の損害賠償と将来の政治献金の差止めがいずれも棄却された事例

【参照条文】 民法43 、90

       政治資金規正法21 、21の3 、22、22の2

       保険業法51-2

       商法267 、272

       民法644

 

民法

(公序良俗)

第九十条 公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。

 

政治資金規正法

(目的)

第一条       この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。

 

(寄附の総額の制限)

第二十一条の三 政党及び政治資金団体に対してされる政治活動に関する寄附は、各年中において、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる額を超えることができない。

一 個人のする寄附

 

二千万円

 

二 会社のする寄附

   

次の表の上欄に掲げる会社の資本金の額又は出資の金額の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる額

 

 

 

 

 

 

 

五十億円以上

三千万円

 

十億円以上五十億円未満

千五百万円

 

十億円未満

七百五十万円

 

三 労働組合又は職員団体のする寄附

 

次の表の上欄に掲げる労働組合の組合員又は職員団体の構成員(次項において「組合員等」という。)の数の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる額

 

 

 

 

 

 

 

十万人以上

三千万円

 

五万人以上十万人未満

千五百万円

 

五万人未満

七百五十万円

 

四 前二号の団体以外の団体(政治団体を除く。)のする寄附

 

次の表の上欄に掲げる団体の前年における年間の経費の額の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる額

 

 

 

 

 

 

 

六千万円以上

三千万円

 

二千万円以上六千万円未満

千五百万円

 

二千万円未満

七百五十万円

 

 

 

 

 

 

           

 資本金の額若しくは出資の金額が百億円以上の会社、組合員等の数が十五万人以上の労働組合若しくは職員団体又は前年における年間の経費の額が八千万円以上の前項第四号の団体については、同項第二号から第四号までに掲げる額は、三千万円に、それぞれ資本金の額若しくは出資の金額が五十億円を超える金額五十億円ごと、組合員等の数が十万人を超える数五万人ごと、又は前年における年間の経費の額が六千万円を超える金額二千万円ごとに五百万円(その合計額が三千万円に達した後においては、三百万円)を加算した金額(その加算する金額の合計額が七千万円を超える場合には、七千万円を加算した金額)として、同項の規定を適用する。

 個人のする政治活動に関する寄附で政党及び政治資金団体以外の者に対してされるものは、各年中において、千万円を超えることができない。

 第一項及び前項の規定は、特定寄附及び遺贈によつてする寄附については、適用しない。

 第一項第二号に規定する資本金の額又は出資の金額、同項第三号に規定する組合員等の数及び同項第四号に規定する年間の経費の額の計算その他同項の規定の適用について必要な事項は、政令で定める。

(同一の者に対する寄附の制限)

第二十二条 政党及び政治資金団体以外の政治団体のする政治活動に関する寄附は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の政治団体に対しては、五千万円を超えることができない。

 個人のする政治活動に関する寄附は、各年中において、政党及び政治資金団体以外の同一の者に対しては、百五十万円を超えることができない。

 前項の規定は、資金管理団体の届出をした公職の候補者が当該資金管理団体に対してする寄附及び遺贈によつてする寄附については、適用しない。

 

(量的制限等に違反する寄附の受領の禁止)

第二十二条の二 何人も、第二十一条第一項、第二十一条の二第一項、第二十一条の三第一項及び第二項若しくは第三項又は前条第一項若しくは第二項の規定のいずれかに違反してされる寄附を受けてはならない。

 

保険業法

(役員等の相互会社に対する損害賠償責任)

第五十三条の三十三 取締役、執行役、会計参与、監査役又は会計監査人(以下この目において「役員等」という。)は、その任務を怠ったときは、相互会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

2 取締役又は執行役が第五十三条の十五において準用する会社法第三百五十六条第一項(前条において準用する同法第四百十九条第二項前段において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に違反して同法第三百五十六条第一項第一号(競業及び利益相反取引の制限)の取引をしたときは、当該取引によって取締役、執行役又は第三者が得た利益の額は、前項の損害の額と推定する。

3 第五十三条の十五において準用する会社法第三百五十六条第一項第二号又は第三号(これらの規定を前条において準用する同法第四百十九条第二項前段において準用する場合を含む。)の取引によって相互会社に損害が生じたときは、次に掲げる取締役又は執行役は、その任務を怠ったものと推定する。

一 第五十三条の十五において準用する会社法第三百五十六条第一項(前条において準用する同法第四百十九条第二項前段において準用する場合を含む。)の取締役又は執行役

二 相互会社が当該取引をすることを決定した取締役又は執行役

三 当該取引に関する取締役会の承認の決議に賛成した取締役(指名委員会等設置会社においては、当該取引が指名委員会等設置会社と取締役との間の取引又は指名委員会等設置会社と取締役との利益が相反する取引である場合に限る。)

4 前項の規定は、第五十三条の十五において準用する会社法第三百五十六条第一項第二号又は第三号に掲げる場合において、同項の取締役(監査等委員であるものを除く。)が当該取引につき監査等委員会の承認を受けたときは、適用しない。

 

 

 

 1 本件は、住友生命の社員である控訴人らが、同社が政治資金団体に政治献金をしたことについて、(1)政治献金は、国民の参政権を侵害し、社員の政治的信条の自由を侵害するから公序(民法90条)に違反する、(2)政治献金は同社の権利能力の範囲外の行為である、(3)政治献金をした同社の代表取締役には取締役として善管注意義務違反があり、同社に政治献金相当額の損害を生じさせたと主張して、保険業法51条2項で準用する商法267条に基づき現在の代表取締役と前任者である被控訴人らに対し、在任中になした政治献金相当額の損害金と遅延損害金の支払を求めるとともに、今後も政治献金を継続することにより、同社に回復すべからざる損害が生ずるおそれがあり、これを差し止める必要性があると主張して、保険業法51条2項で準用する商法272条に基づき現在の代表取締役である被控訴人に対し、政治献金の差止めを求めた事案である。