集中豪雨により山林が崩壊して発生した人身災害につき、高知県知事と高知市長に防災行政の怠慢があった | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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集中豪雨により山林が崩壊して発生した人身災害につき、高知県知事と高知市長に防災行政の怠慢があったとして国賠法1条1項の損害賠償責任が認められた事例

 

高知地方裁判所判決/昭和48年(ワ)第399号

昭和59年3月19日

損害賠償請求事件

【判示事項】    集中豪雨により山林が崩壊して発生した人身災害につき、高知県知事と高知市長に防災行政の怠慢があったとして国賠法1条1項の損害賠償責任が認められた事例

【参照条文】    国家賠償法

          急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

          急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律12-1

          急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律20

          災害対策基本法42

          災害対策基本法51

          災害対策基本法60

【掲載誌】     判例タイムズ524号170頁

          判例時報1110号39頁

 

国家賠償法

第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

 

急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律

(急傾斜地崩壊危険区域の指定)

第三条 都道府県知事は、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、関係市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)の意見をきいて、崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのあるもの及びこれに隣接する土地のうち、当該急傾斜地の崩壊が助長され、又は誘発されるおそれがないようにするため、第七条第一項各号に掲げる行為が行なわれることを制限する必要がある土地の区域を急傾斜地崩壊危険区域として指定することができる。

2 前項の指定は、この法律の目的を達成するために必要な最小限度のものでなければならない。

3 都道府県知事は、第一項の指定をするときは、国土交通省令で定めるところにより、当該急傾斜地崩壊危険区域を公示するとともに、その旨を関係市町村長に通知しなければならない。これを廃止するときも、同様とする。

4 急傾斜地崩壊危険区域の指定又は廃止は、前項の公示によつてその効力を生ずる。

 

(都道府県の施行する急傾斜地崩壊防止工事)

第十二条 都道府県は、急傾斜地崩壊防止工事のうち、制限行為に伴う急傾斜地の崩壊を防止するために必要な工事以外の工事で、当該急傾斜地の所有者、管理者若しくは占有者又は当該急傾斜地の崩壊により被害を受けるおそれのある者が施行することが困難又は不適当と認められるものを施行するものとする。

2 前項の規定は、砂防法(明治三十年法律第二十九号)第二条の規定により指定された土地、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二十五条第一項若しくは第二十五条の二第一項若しくは第二項の規定により指定された保安林(同法第二十五条の二第一項後段又は第二項後段において準用する同法第二十五条第二項の規定により指定された保安林を除く。)若しくは同法第四十一条の規定により指定された保安施設地区又は地すべり等防止法(昭和三十三年法律第三十号)第三条第一項の規定により指定された地すべり防止区域若しくは同法第四条第一項の規定により指定されたぼた山崩壊防止区域については、適用しない。

3 都道府県は、漁港及び漁場の整備等に関する法律(昭和二十五年法律第百三十七号)第二条に規定する漁港の区域(水域を除く。)内、港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)第三十七条第一項に規定する港湾隣接地域内又は海岸法(昭和三十一年法律第百一号)第三条第一項に規定する海岸保全区域内において第一項の規定による急傾斜地崩壊防止工事(以下「都道府県営工事」という。)を施行しようとするときは、あらかじめ、漁港管理者、港湾管理者又は海岸管理者に協議しなければならない。ただし、港湾法第三十七条第一項及び第三項又は海岸法第十条第二項の規定により港湾管理者又は海岸管理者に協議しなければならない場合においては、この限りでない。

 

(国土交通大臣の指示)

第二十条 国土交通大臣は、急傾斜地の崩壊による災害が発生し、又は発生するおそれがあると認められる場合において、災害の発生を防止し、又は災害を軽減するため緊急の必要があると認められるときは、都道府県に対し、第三条第一項及び第三項、第七条第一項、第二項及び第四項、第八条第一項、同条第二項(第十条第四項において準用する場合を含む。)、第九条第三項、第十条第一項及び第二項、第十一条第一項並びに第十二条第一項に規定する事務に関し、必要な指示をすることができる。

 

災害対策基本法

(市町村地域防災計画)

第四十二条 市町村防災会議(市町村防災会議を設置しない市町村にあつては、当該市町村の市町村長。以下この条において同じ。)は、防災基本計画に基づき、当該市町村の地域に係る市町村地域防災計画を作成し、及び毎年市町村地域防災計画に検討を加え、必要があると認めるときは、これを修正しなければならない。この場合において、当該市町村地域防災計画は、防災業務計画又は当該市町村を包括する都道府県の都道府県地域防災計画に抵触するものであつてはならない。

2 市町村地域防災計画は、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。

一 当該市町村の地域に係る防災に関し、当該市町村及び当該市町村の区域内の公共的団体その他防災上重要な施設の管理者(第四項において「当該市町村等」という。)の処理すべき事務又は業務の大綱

二 当該市町村の地域に係る防災施設の新設又は改良、防災のための調査研究、教育及び訓練その他の災害予防、情報の収集及び伝達、災害に関する予報又は警報の発令及び伝達、避難、消火、水防、救難、救助、衛生その他の災害応急対策並びに災害復旧に関する事項別の計画

三 当該市町村の地域に係る災害に関する前号に掲げる措置に要する労務、施設、設備、物資、資金等の整備、備蓄、調達、配分、輸送、通信等に関する計画

3 市町村地域防災計画は、前項各号に掲げるもののほか、市町村内の一定の地区内の居住者及び当該地区に事業所を有する事業者(以下この項及び次条において「地区居住者等」という。)が共同して行う防災訓練、地区居住者等による防災活動に必要な物資及び資材の備蓄、災害が発生した場合における地区居住者等の相互の支援その他の当該地区における防災活動に関する計画(同条において「地区防災計画」という。)について定めることができる。

4 市町村防災会議は、市町村地域防災計画を定めるに当たつては、災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において当該市町村等が円滑に他の者の応援を受け、又は他の者を応援することができるよう配慮するものとする。

5 市町村防災会議は、第一項の規定により市町村地域防災計画を作成し、又は修正したときは、速やかにこれを都道府県知事に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。

6 都道府県知事は、前項の規定により市町村地域防災計画について報告を受けたときは、都道府県防災会議の意見を聴くものとし、必要があると認めるときは、当該市町村防災会議に対し、必要な助言又は勧告をすることができる。

7 第二十一条の規定は、市町村長が第一項の規定により市町村地域防災計画を作成し、又は修正する場合について準用する。

第四十二条の二 地区居住者等は、共同して、市町村防災会議に対し、市町村地域防災計画に地区防災計画を定めることを提案することができる。この場合においては、当該提案に係る地区防災計画の素案を添えなければならない。

2 前項の規定による提案(以下この条において「計画提案」という。)は、当該計画提案に係る地区防災計画の素案の内容が、市町村地域防災計画に抵触するものでない場合に、内閣府令で定めるところにより行うものとする。

3 市町村防災会議は、計画提案が行われたときは、遅滞なく、当該計画提案を踏まえて市町村地域防災計画に地区防災計画を定める必要があるかどうかを判断し、その必要があると認めるときは、市町村地域防災計画に地区防災計画を定めなければならない。

4 市町村防災会議は、前項の規定により同項の判断をした結果、計画提案を踏まえて市町村地域防災計画に地区防災計画を定める必要がないと決定したときは、遅滞なく、その旨及びその理由を、当該計画提案をした地区居住者等に通知しなければならない。

5 市町村地域防災計画に地区防災計画が定められた場合においては、当該地区防災計画に係る地区居住者等は、当該地区防災計画に従い、防災活動を実施するように努めなければならない。

 

 

(情報の収集及び伝達等)

第五十一条 指定行政機関の長及び指定地方行政機関の長、地方公共団体の長その他の執行機関、指定公共機関及び指定地方公共機関、公共的団体並びに防災上重要な施設の管理者(以下「災害応急対策責任者」という。)は、法令又は防災計画の定めるところにより、災害に関する情報の収集及び伝達に努めなければならない。

2 災害応急対策責任者は、前項の災害に関する情報の収集及び伝達に当たつては、地理空間情報(地理空間情報活用推進基本法(平成十九年法律第六十三号)第二条第一項に規定する地理空間情報をいう。)の活用に努めなければならない。

3 災害応急対策責任者は、災害に関する情報を共有し、相互に連携して災害応急対策の実施に努めなければならない。

 

(市町村長の避難の指示等)

第六十条 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合において、人の生命又は身体を災害から保護し、その他災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、避難のための立退きを指示することができる。

2 前項の規定により避難のための立退きを指示する場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、その立退き先として指定緊急避難場所その他の避難場所を指示することができる。

3 災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、避難のための立退きを行うことによりかえつて人の生命又は身体に危険が及ぶおそれがあり、かつ、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、市町村長は、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し、高所への移動、近傍の堅固な建物への退避、屋内の屋外に面する開口部から離れた場所での待避その他の緊急に安全を確保するための措置(以下「緊急安全確保措置」という。)を指示することができる。

4 市町村長は、第一項の規定により避難のための立退きを指示し、若しくは立退き先を指示し、又は前項の規定により緊急安全確保措置を指示したときは、速やかに、その旨を都道府県知事に報告しなければならない。

5 市町村長は、避難の必要がなくなつたときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。前項の規定は、この場合について準用する。

6 都道府県知事は、当該都道府県の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の発生により市町村がその全部又は大部分の事務を行うことができなくなつたときは、当該市町村の市町村長が第一項から第三項まで及び前項前段の規定により実施すべき措置の全部又は一部を当該市町村長に代わつて実施しなければならない。

7 都道府県知事は、前項の規定により市町村長の事務の代行を開始し、又は終了したときは、その旨を公示しなければならない。

8 第六項の規定による都道府県知事の代行に関し必要な事項は、政令で定める。