229.アルゼンチン再入国 草原地走行(340~348日目)
◆2004年 6月 16日 ~旅日記より~夜中に目が覚めてしまったので、文庫本を読みながらビスケットなどをつまむ時間を過ごす。旅慣れのせいか、緊張感が薄くなってきているよで怖い。8時半に走行開始。サルトまで約20km、風はやや追風気味で、楽に進めた。町に着くとスタンドが有り、早速水を補給させてもらう。久々にガソリン1Lも購入。煮炊き用の燃料。大型スーパーが近くにあり、余ったウルグアイペソ270ペソ分を全て使い切るための買い物を計算しながら行う。買物を終え、町から北へ約10km少し進み国境手前に着。どこからアルゼンチンへ入国するか良くわからなかったので、幹線沿いのポリシアらいき事務所で聞いてみた。「アルゼンチンへはどこを進めばいいの?」すると、自転車はダメだ!自動車じゃないと通れないので、少し待てとのこと。このパターンは面倒だ。けど仕方ない。大人しく待つこと30分以上、ようやく車が到着。自転車を荷台に載せ線路と一緒になる道を進む。ダムのようになっているみたい。イミグレーション到着。運転手が「シマノ、日本、ダメ」など、笑いながらからかってきたが、相手にはしなかった。ウルグアイ側とアルゼンチン側のイミグレーションは同一建物内で、隣同士の机でわかりやすい。12時55分、ウルグアイ出国、「自転車のナンバーは?」と予想外の質問をされたが、もちろんないので「ないよ」と答える。13時5分、アルゼンチン再入国。変なオヤジさんが、私のパスポートを持ってウロウロしていて時間がかった。それにしても、これで何度目のアルゼンチン再入国になるのだろう?それぐらい出入国を繰り返している。写真を撮影した後、通過するときに、荷物検査があり、これも初めてのこと。「ここには何が入っている?」そんな質問と、フロントバックを開けて内部チェックがあった程度で済んだ。税関などが済み、アルゼンチンを走り始めると、日射しが出て来て暑く、気温の高さを感じる。14時過ぎに、後輪パンク。タイヤのサイドが裂けた状態になっている。汗だくになるながら修理を済ませ、R14号へ合流し北上。15時半ごろ、前方からサイクリストが来て、路上で少話しをする。スペイン人で南米を走行中とのこと。ボリビアの悪路にまいったと、ゼスチャーも交えて話してくれた。握手で別れ、16時頃、道端で野営とする。今日は暑いので、フライシートは無しにする。小さなハエが多くいて少々うっとうしい。もう少し風があれば有り難いのだが・・・。それにしても暑い・・・。夕食をテント内で食べているときも、半袖シャツは脱いでいるのだが汗が染み出てくる。たまらず外で食べる。テント内で、小説「死国」をついつい夢中になり終わり近くまで読み進んでしまう。道端で野営をしているので仕方ないけど、車両の通行量が予想以上に多く、とても眠る気になれない状態である。◆走行距離 57km ◆総走行距離(18820km/走行237日間)◆最高時速 30.0km/h◆平均時速 14.8km/h◆時間 3時間 52分●出費 6月 16日●ガソリン1L28、食料品270計 298(合計 531.84ペソ)1USドル⇒29.1 ウルグアイ・ペソ◆2004年 6月 17日 ~旅日記より~隣のオレンジ農園に朝は早いようで、作業の音でこちらも目覚めてしまう。と言っても7時頃で、薄っすらと明るくなってきたところで、自転車旅の朝としても、ちょうど良い時間かもしれない。朝から霞んでいるけど、今日も晴れるのだろう。ウルグアイ走行時より、暑さを感じ始めたので、勝手なもので晴れ天気がやや恨めしくもある。9時出発。風は後方から吹いてくると「しめた!」とばかりにペダルを踏み込む足にも力が入る。頑張ってのペダリングは長続きしない。汗を多くかきながらでは、そう長く走れるものではない。10kmぐい走行すると、スタンドがあり、帽子や手袋を洗い、ついでに長袖シャツも濡らし、そのまま走行へ移る。濡れたシャツが涼しさを運んでくれる気化熱の原理。結局この日だけでなんと!4回もガソリンスタンドに立ち寄りシャツを濡らす涼を求めてしまった。まったく癖になる気持ち良さだ。走行しながら気になるのが、アルゼンチンに入ってから格段に交通量が多くなったこと。しかもトラックが多く、自転車旅人としては歓迎できない。こちらが幹線道路のR14号線を走行しているせいもある。片側1車線で路肩は舗装ではなく、土や草の凸凹なので、そこを走行する気にはならじ、必然的に白線付近の走行となり、車からも邪魔な存在と認知されているのだ。トラックからの威圧されるクラクション、気持はわかるけど何とかならないものか?昨日に至っては、意地悪く幅寄せしてきて、軽く接触したではないか、日本では、ここまではない。もっとも、こんなドライバーばかりでなく、挨拶として軽くクラクションを鳴らす人もいる。しかし、とっととR14号を走り終えたし、早くパラグアイへ入りたいものだ。交通標識で制限速度が3つ書いてあるのが面白い。上から乗用車110km、バス90km、トラック80kmとなっている。南米を走行してきて、車種などにより、スピードを区別しているのは、初めて見た。景色は、今日も広大な草原を走っている感じがした1日であり、ガソリンスタンドが適度な間隔であるのでありがたい。沿道にはみかんかオレンジの畑を多く見かけ、シーズンのようで露店を出店している農場もある。15時40分、久々に100kmを超え走行し、少し陰になっている箇所があり、野営とする。R14号とモテカセロの分岐から10kmぐらい北の地点。夕方も暑いので昨日からフライシートは張らず、ゴアライトテントだけにしている。◆走行距離 109km ◆総走行距離(18929km/走行238日間)◆最高時速 31.5km/h◆平均時速 18.2km/h◆時間 5時間 59分●出費 6月 17日●ジャム(250g)0.9、パン1.8、計 2.7(合計 3799.01ペソ)1USドル⇒2.83アルゼンチン・ペソ◆2004年 6月 18日 ~旅日記より~夜露に濡れる朝を迎えるのはいつものことのよう。テントは濡れるが夕方設営時には乾くので問題なし。今朝は、いつもより早く出発する。風は横や、やや斜め前から受ける。方角が昨日より多少変わったせいもあるが、そればかりではないよう。救いは、その風により涼しく感じるところ。リべルタッドを少し過ぎた所にスタンドがあったので、少し早目であるが、水を満載し、併設のミニメルカドでパンを購入。肉が欲しかったが、ないのでは仕方ない。向い風気味の走行で、楽な走行ではなく、少々疲れ気味。景色の単調さより、R14号の道幅の狭さとトラックの多さが主な要因。暑さと鬱陶しさで疲れた1日となった。15時20分。80km走行になったところで、野営と決める。ボンプランドまで10kmを切った辺り。◆走行距離 80km ◆総走行距離(19009km/走行239日間)◆最高時速 19.2km/h◆平均時速 12.8km/h◆時間 6時間 16分●出費 6月 18日●パン2.3計 2.3(合計 3801.31ペソ)1USドル⇒2.83アルゼンチン・ペソ◆2004年 6月 19日 ~旅日記より~昨夜は、MSRウィスパーインターナショナルのガソリンストーブが火力ダウンした。掃除をしたのだが、なかなか点火せず、結局点火金具を軽油用に換え使用できた。なんと!ウルグアイで購入したのは軽油だったことが判明した・・・。ガソリンを入れてもらうように頼んだのだがね・・・。生ぬるい空気がまとわりつくような朝。暑くなることが約束されているよで嬉しくない。だいたい夜からその兆候はあり、体もだるさを感じ出発が億劫に感じる。そしてペダリングを始めると、さっそくやや斜め前からの風に前進を阻まれながら走行。ボンプランドへは、R14号を右手へ2km行くことになるが、肉やパンなどの食料品は欲しいので、向かうことに決める。町に入ると、民家が少ししかなく、メルカドはあるのか心配になってくる。洗車中のオヤジさんにお店の場所を訊き向かうと、キヨスコ(小さい商店)であり期待してなかったものの、意外にも肉や玉ねぎなども購入できた。このお店では、子どもが寄ってきたのと、店主が色々質問してきたので、久々に昭文社の南米地図を広げ走行ルートなどを説明すると、予想通り?「オ~」と驚いてくれる。ちょっとしたコミュニケーションの時間だったが、悪くない気分で走行再開。R14号線を北上し、ブラジル国境の町ウルグアイアナへの分岐点付近に着く。期待通りガソリンスタンドがあり、右側にあるエッソのスタンドに入る。ここでは、本当久々(ブラジルを走った去年の7月頃以来以来)シャワーを浴びることができた。サイクルパンツなども洗い、引き続き気持よく走行へ移れた。少し進行方向が変わったので、風がより強くなる。心なしか?トラックが少なくなったようで走り易い。時々、自転車を押して歩いたり、休憩も入れながら進む。日影がほとんどなく暑さで、疲労度が増している。15時30分、いつものように野営。道端に大きな木が6本生えている箇所にテントを張る。今夜はここが寝床だね。◆走行距離 65km ◆総走行距離(19074km/走行240日間)◆最高時速 21.8km/h◆平均時速 11.6km/h◆時間 5時間 43分●出費 6月 19日●食料品(パンkg1.5、玉ねぎkg1.6、肉500g)7.2、ビスケット1計 8.2(合計 3809.51ペソ)1USドル⇒2.83アルゼンチン・ペソ◆2004年 6月 20日 ~旅日記より~朝は涼しいものの、日中は太陽に照らされ走るので、体が常に熱を帯びている。せめて風が横から吹いてくれないかな、などと思いながら走行しているのだが、今日も向風。ヤペユへ向かう分岐点付近にレストランがあり、パンを購入。そこの主人が興味を持ったようなので、旅の事をいろいろ話す。店を出てスタンドがあり水を汲ませてもらったが、水の色が薄茶色気味に濁っており、迷ったが、ここでの水補給は諦めた。進んでグアビラビの入口にさしかかり、この先の水補給は難しそうなので、町へ向かう。小さな町であるが、すぐスーパーがあり中へ入ると商品がほとんど置いてなかった。店員だろうか?男が話しかけてきたので、そのまま彼に店の水道から水をわけてもらう。町の出口でも2人の男に声をかけられ、暫く彼らと話しをする。パタゴニアの人らしく、イグアスからの帰りらしい。今日は走行中によくバイクの旅人とすれ違う。その中の1人と話すと、彼はパタゴニアを少し自転車でも走ったことがあるとのこと、今はホンダのバイクで旅をしているよう。彼もスペイン語がほとんどしゃべれず、英語でのやりとり。13字半ごろ、コンクリートで出来ているバスの待合所があり、暑さでバテ気味だったので、そこへ入り少し休憩。日陰の有難さを感じる。14時からはNHKワールド放送が流れるので、短波ラジオを聴きながら走行。15時半にはラ・クルスの郊外に入った。町へ入る分岐点を少し過ぎた箇所でテントを張る。人通りがあり、鬱陶しさを感じながらも16時過ぎになっていたので、野営地は妥協した。◆走行距離 63km ◆総走行距離(19137km/走行241日間)◆最高時速 19.4km/h◆平均時速 10.7km/h◆時間 5時間 56分●出費 6月 20日●パン1kg2、ジャム1.7計 3.7(合計 3813.21ペソ)1USドル⇒2.83アルゼンチン・ペソ◆2004年 6月 21日 ~旅日記より~早朝からの雨は、時折激しく降る。テントの外へ出ると空は一面黒い雲に覆われていた。久々の雨なのだが、これではなかなか出発しずらく、少し様子を見ていたが止みそうな気配はなく出発。結局、雨は昼過ぎまで降っていた。朝は、ラ・クルスの町へ戻り、食料品購入のためスーパーへ入るも、品揃えは悪く、何軒かお店を回る。でもトマトはなかったな・・・。ラ・クルスからアルべアルまでは15kmぐらい。風雨が右側や後方から吹き付けてくるのは幸運である。もし左からの風雨となれば対向車が来るたびに、風圧と雨で倍以上に濡れることになるから。ついているかもしれない。アルべアルの町にも立ち寄った。パンを500g買い足し、水をスタンドで汲ませてもらい必要な用事を済ませる。雨が避けられそうな野営場所も探しながらの走行。この草原地帯では、雨を凌げる場所はないよう。時おり現れる大きな木々の近くには民家があり適当でない。道路沿いに柵もあり、なかなか野営地を決められずに時間だけが過ぎて行く。濡れた路面も乾いてないし、まずいパターンである。草原地の様子を見に入ってみたが、湿地のように水分があり問題外だ。15時ごろ、湿った土が露出している広い場所を見つけ野営場所に決定。アルべアルから40kmぐらい北の地点。とりあえず、濡れているテントや寝袋を乾かしながら準備する。周囲には何もなくスッキリしているのだが、その分、雨に遭うと水溜まりにもなり下からも濡れそうだ。今夜降らないことを願うばかりだ。◆走行距離 59km ◆総走行距離(19196km/走行242日間)◆最高時速 20.2km/h◆平均時速 11.9km/h◆時間 4時間 59分●出費 6月 21日●パン500g0.9、ジャム2.3、肉500g2.25、パン1kg2、食品(ピーマン、玉ねぎ、みかん)2.5、食品(人参、チーズ)2計 11.95(合計 3825.16ペソ)1USドル⇒2.83アルゼンチン・ペソ◆2004年 6月 22日 ~旅日記より~湿地でのキャンプだったので、覚悟していたようにテント内も濡れ不快感が増している。こんなときは、早々に出発したい。チリのビーニャ・デル・マルでコピーしてもらったアルゼンチン地図も最後のページとなる。イグアスも、そう遠くはない。曇天の朝で、後方から風を感じるのはありがたい。何せ周囲に風を遮るものは何もないので、向風なら大苦戦必至である。と言うことで、黙々とペダリングをし、昼にはサント・トメの近くのガソリンスタンドに立ち寄れた。シャワーを浴び、水を汲み、久々にビスケットも購入。再び漕ぎ出すと、日射しが照ってきて暑さが倍増してくる。こうなると・・・テントなどを後ろの荷物に括り付け、乾かしながら走行が効率的かつ効果的。わりと喜びながらペダリングをしていたが、やはり暑い!14時ごろには、少しボ~とした感じになりだし、バス停の内で小休憩。この辺りこの季節、気温と湿度のバランスが悪い方へ絶妙なのかもしれない。15時半、R40号線との分岐点にガソリンスタンドがあり、ここで顔などを洗い僅かな”涼”を得る。少し先にある赤土の空き地を野営地に決定。ゴべルナドロまで約37km地点。◆走行距離 75km ◆総走行距離(19271km/走行243日間)◆最高時速 26.0km/h◆平均時速 13.9km/h◆時間 5時間 28分●出費 6月 22日●ビスケット1.3計 1.3(合計 3826.46ペソ)1USドル⇒2.83アルゼンチン・ペソ◆2004年 6月 23日 ~旅日記より~生ぬるい風が頬をなでる朝。夜からこんな感じだったかな?雲に覆われた空を見上げ”今日は降るのかな”そう思う。向風のなかペダルを漕いでいると、昨夜からの身体のだるさが影響し、かったるく感じてくる。旅としては疲れも溜まり、気分も下降気味の良くない傾向である。12時ごろにはゴべルナドロ着。セントロまで入ると、久々に多くの人がいる町を見た。興味深そうに?学生たちが私へ遠慮なく視線を送ってくる。自転車旅人をあまり見かけないので珍しいのだろう。町で買い物を済ませ、走行再開したころから、追風となり黒い雲が近づいて来た。「これはマズイぞ!」大雨に遭う予感に、ペダルを踏む足にも力が入る。追風なので快走で逃げ切れる・・・わけない。14時前に強く降り出したところで、トタン屋根の礼拝堂があり、自転車ごと避難できた。神様ありがとう!雨宿りしながら猛烈に降り落ちる雨を見るのは、何となく心が安らぐ。表現的に適切ではないかもしれないが、大雨でずぶ濡れに遭わずに済んだ安堵の感情が心を占めるから。あめの止むのを待っていると、フロントガラスの無い自動車が停車し、運転手がここへ避難してきた。フロントガラスが無い車・・・日本ではなかなか見かけないけど、長閑な場所では有りだよね。しばらく休憩した彼は「チャオ~~」と言って濡れながら道路へ消えて行った。さてさて、私も今夜の野営地を考えないといけない。この中は浸水しておりダメだし、どこでテントを張るべきか・・・木の下ぐらいか・・・。◆走行距離 56km ◆総走行距離(19327km/走行244日間)◆最高時速 46.0km/h◆平均時速 11.5km/h◆時間 4時間 54分●出費 6月 23日●ビスケット80g0.45、野菜(トマト、人参、玉ねぎ)2、ジャム(250g)1.6、ジュース粉0.5、パン1kg2、肉267g2計 8.55(合計 3835.01ペソ)1USドル⇒2.83アルゼンチン・ペソ◆2004年 6月 24日 ~旅日記より~昨夜は22時過ぎ、テントに警察が来て起こされた。ウシュアイア手前でも、このように起こされたことがあったが、雨が降っていることも有り、足音が聴こえずいきないだったので驚いた。パスポートを見せろ、とのこと。わりと話しのわかる警察官のよう。日本語の単語を知っているらしく、戻り際に2回も大声で「さよなら!」と。う~ん、悪くはない気分だが微妙な気持ちだった。今朝は雨が上がり、今日は晴れて暑くなるのか?そう覚悟していたら、空は雲に覆われてきて、濡れたものがなかなか乾かず、しかもガスがかかったように、薄っすら白い世界を走る時間も長かった。森林丘陵地帯が見えてきて、勾配もわりとあるので、これまで走行してきた道から景色の変化を感じる。サンホセ到着前にまた降り出す。YPFのガソリンスタンドで体を洗い水を汲み、雨上がりを待つ。小降りになる12時前に出発。サンホセからはR105号へ入る。降ったり止んだりして、しかも多湿で蒸し暑く汗だくになり、たまらず上半身裸で走る時間もあった。日本ではNGだろう。今日も野営地選定は難航し、ミグエル・ランウスの町に入ってしまい、結局ポサーダスまで10kmぐらいのYPFスタンドでキャンプをさせてもらう。夕食は肉がないので久々にラーメンを作る。◆走行距離 63km ◆総走行距離(19390km/走行245日間)◆最高時速 46.5km/h◆平均時速 11.6km/h◆時間 5時間 27分●出費 6月 24日●パン0.7、スプライト1.5L 2.75計 3.45(合計 3838.46ペソ)1USドル⇒2.83アルゼンチン・ペソ