残便感・便秘と痔:残便感を伴う便秘や痔の予防と治し方


「便秘の解消法: 女性の便秘解消対策、便秘・慢性便秘の予防と治し方」お通じのトラブルの中で多いのが、残便感といわれる症状です。便を出した後、まだ便がお尻の出口あたりに残っているように感じることを残便感といいます。残便感は、女性に多くみられる症状です。残便感は、さまざまな原因で起こりますが、便秘は、残便感を生じさせる主要な原因となっています。また、痔も女性に多いのですが、痔もまた、残便感の原因ともなります。ここでは、残便感・便秘と痔:残便感を伴う便秘や痔の予防と治し方についてお話します。


残便感は、以下のような状況下でたびたび生じます。①便意はあるのに、トイレに座っても便がなかなか出ない、②毎日朝トイレに行っても排便しきれない感じがあり、10-20分後くらいにまたトイレに行きたくなる、③トイレ後もまだ便がお尻の出口あたりに残っている感じがして、少し待ってもなかなか便が出ない。残便感がありますと、通勤や通学の電車・バスの中で、トイレのことが気にかかり、非常に困ってしまいます。こんな経験のある女性、きっと多いことと思います。


残便感は、便秘や痔の他に、過敏性腸症候群(IBS)、潰瘍性大腸炎、大腸憩室症、直腸瘤、大腸ポリープ、大腸がん、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がん、卵巣がん、などのさまざまな病気が原因となります。また、腹部の外科手術や癌化学療法剤をはじめとした種々の薬物治療による副作用で、残便感が生じる原因となることもあります。しかし、最も一般的にみられる残便感は、便秘や痔が原因となっています。


便秘にはさまざまな種類があり、大きく「器質性便秘」と「機能性便秘」とに分かれます。器質性便秘とは、便が移動する通路である消化管(胃、小腸、大腸、肛門部)に、便を通過させないような物理的な障害を原因として生じる便秘のことをいいます。一方、機能性便秘とは、便の移動や排便をコントロールしている自律神経が正常に働かず、排便機能のメカニズムの障害が原因となる便秘のことをいいます。機能性便秘は、急性便秘(一過性単純性便秘)と慢性便秘とに分かれます。慢性便秘は、さらに、弛緩性便秘、痙攣性便秘、直腸性便秘、糖尿病などの全身性疾患による便秘とに分かれます。これらの便秘の種類の中で、残便感を最も強く感じる便秘は、慢性便秘の一種である直腸性便秘です。残便感は、直腸性便秘に特徴的な症状となっています。直腸性便秘は、スーパー便秘とよばれることもあります。


慢性便秘の3人に1人が直腸性便秘であるといわれています。直腸性便秘の特徴的な症状は、①猛烈な残便感がずっと続く、②分娩時の様に強くいきんでも、便がなかなか出ない、の2点です。また、直腸性便秘は、便秘薬、不溶性食物繊維、水分摂取、運動やマッサージなどの一般的な便秘対策がまったく効かず、時には逆効果になってしまうことがあります。


残便感の強い直腸性便秘には、2つのタイプがあります。1つは、直腸瘤の形成による便秘の発症です。一般に、大腸の出口にあたる直腸に便があると人は便意を催します。しかし、直腸性便秘の場合には、直腸に5センチほどのポケット(瘤)ができ、便を出すたびに、ポケットに便が溜まってしまい、これによって、強い残便感が現れます。直腸瘤は、女性に特有で、出産や病気による子宮の摘出によって、直腸の壁が弱って起こることもあります。出産経験者に、直腸性便秘が多いのは、この理由によるものです。2つ目は、骨盤底筋の協調運動障害による直腸性便秘の発症です。骨盤底筋は、骨盤の底を支える筋肉で、排便時にも重要な働きをしています。一般に、便を出そうといきんだ時に、無意識のうちにこの骨盤底筋は緩みます。骨盤底筋が緩みますと、①肛門と直腸の角度が真っ直ぐになる、②肛門が緩む、の2つの変化が起こり、これによって、便はスムーズに排泄されます。しかし、直腸性便秘の場合は、便を出そうといきめばいきむほど、逆に骨盤底筋は緊張して緩まず、腸の出口が閉まった状態となり、それで排便が困難となります。また、強くいきみ続けることで、直腸に溜まった便の圧力でポケットができてしまうことがあります(直腸瘤の形成)。直腸瘤が大きくなりますと、手術が必要となることがあります。


直腸性便秘が起こる原因は、便が硬くなることにありますので、便を軟らかくすることが直腸性便秘の解消につながり、残便感を解消することができます。しかし、水分摂取は、直腸性便秘やそれに伴う残便感の解消にはつながりません。摂取した水分は、直腸に到達する前に、小腸や大腸(結腸)で吸収されてしまうからです。直腸まで、水分は到達しないのです。また、便秘薬や下剤による便秘の解消は、直腸性便秘に対しては不適当です。便秘薬や下剤は、直腸の腸壁を刺激することによって排便を促す仕組みとなっています。しかし、直腸性便秘では、腸壁が弱くなっていますので、過剰な刺激は、反って、直腸性便秘を悪化させ、残便感が強くなったり、あるいは極度な下痢が生じます。同じ理由で、水に溶けない不溶性の食物繊維も、直腸性便秘の解消には不適当となります。野菜、根菜類、海藻類に含まれる食物繊維は、そのほとんどが不溶性食物繊維となっていますので、これらの食材は、直腸性便秘あるいは残便感の解消には効果が期待できないことになります。不溶性食物繊維は、便秘薬と同様に、弱った腸壁をちょうど針で突くような、物理的に刺激しますので、反って、直腸性便秘が悪化することがあります。


今、女性の痔が急増しています。女性にとって痔は、場所が場所だけに、誰にも相談できませんよね。医師の手当も受けにくいし、薬局で痔のお薬を購入するときも、レジで恥ずかしいので、結局、痔の治療をせずに放置してしまい、それが反って、痔の症状を悪化させてしまうことがあります。そのため、ひそかに痔で悩む女性が急増しているのです。女性にとって、痔になりやすい要因はいろいろありますが、やはり、女性に多い便秘が、痔の最大の原因になることが多いです。また、妊娠中や出産によっても、痔が生じやすくなります。妊娠中は、骨盤の中に血液が集まるために、肛門周囲の血液循環が妨げられ、肛門部が、うっ血を起こすために痔ができやすくなります。また、お腹の中の赤ちゃんの成長に伴って、その重みで肛門に圧力がかかり、それによって、肛門部周囲の血液がうっ血するために痔ができます。お産の時も同様に、いきむことによって、肛門部周囲の血液循環が妨げられ痔が生じます。妊娠中および産後とも便秘が生じやすくなりますので、便秘と痔とは、密接に関係していることになります。


便秘と同様に、痔によっても残便感が生じます。痔がありますと、排便時にお腹がすっきりしない、排便がありそうだと思っても、肛門のところがすっきりしない、といった症状があります。痔で残便感を感じることが多いのは、痔の中でも特にいぼ痔(痔核)です。いぼ痔(痔核)では、肛門にイボのような小さい塊ができます。その塊が、肛門を刺激しますので、その刺激が排便時の便だと誤って認識されるために、残便感が生じます。切れ痔によっても、残便感は生じます。切れ痔は、硬い便を無理に排泄するときに起こる外傷です。排便時に痛みと出血を伴うことが多いので、とてもつらいです。そのため、排便時は、お腹にあまり力を入れないようになってしまい、それで残便感が生じます。


直腸性便秘やいぼ痔あるいは切れ痔などの痔で残便感をよく感じるのは、いずれも硬い便が原因となります。ですので、便を軟らかくすることによって、残便感を解消することができます。また、便を軟らかくすることは、便秘や痔の、そのものの症状も改善されることになります。


便を軟らかくするには、イヌリンという水に溶ける水溶性の食物繊維が効果的です。イヌリン食物繊維は、水によく溶ける食物繊維ですので、水に溶けない不溶性食物繊維の時のように、直腸性便秘のような弱った腸壁に対する物理的刺激がないところにその利点があります。痔に対しても同様に、物理的刺激が加わりません。イヌリン食物繊維は、ビフィズス菌や乳酸菌などの人の健康に有益な善玉菌を増やす作用がありますので、イヌリン食物繊維を摂取することによって、大腸内の善玉菌を増やすことができます。善玉菌は、イヌリン食物繊維を栄養源として取り込み代謝させますが、その過程で、健康に有益な酢酸(お酢)、乳酸、酪酸などの有機酸が代謝産物として生成します。これらの有機酸には、便を軟らかくする効果があり、これによって、排便がスムーズとなり、残便感や便秘が解消されます。残便感の強い直腸性便秘においても、イヌリン食物繊維の摂取は、便秘および残便感の解消に効果が期待できます。また、便が軟らかくなることによって、痔によるおしりの痛みが緩和され、痔による出血や切れ痔の予防にもつながります。今では、スティムフローラのように、不純物を含まない極めて高純度のイヌリン食物繊維が健康補助食品として市販されています。残便感を伴う便秘や痔の予防と改善に、このような健康補助食品を活用することも有用です。


直腸性便秘を放置しますと、直腸のポケット(直腸瘤)が大きくなり、手術が必要になります。ですので、ポケットが小さいうちに、便秘を解消する必要があります。出産経験のある女性の慢性便秘においては、残便感の強い直腸性便秘の可能性が大きいので、適切な便秘解消法を選択する必要があります。また、痔がありますと便秘になり、便秘は、痔を悪化させます。この悪循環を断ち切ることが、残便感の対策にとても重要となります。イヌリン食物繊維は、直腸性便秘や痔に伴う残便感の解消に効果的です。


便秘もあり痔もあり、便秘と痔を合併している女性もきっと多いことでしょう。便秘と痔が合併している場合、便秘には便秘薬を、また、痔には痔のお薬を、といった対策を優先させるよりも、便秘と痔の両者に共通して効果が期待できる1つの方策が、優先的な対策となります。便秘と痔に共通する対策は、まずは、便を軟らかくすることです。
便秘の解消法:女性の便秘解消対策









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