潰瘍性大腸炎と便秘:潰瘍性大腸炎による便秘の予防と治し方


「便秘の解消法:女性の便秘解消対策、便秘・慢性便秘の予防と治し方」 ここでは、近年、激増している潰瘍性大腸炎と便秘との関係についてお話します。潰瘍性大腸炎は、文字通り、大腸が潰瘍性の炎症を起こす大腸の病気です。現在、癌による死亡の第1位は、女性および男性ともに、大腸癌となっていますが、潰瘍性大腸炎になると大腸癌の発症リスクが高まるとされています。通常、潰瘍性大腸炎は、下痢を伴いますが便秘は起こらないとされています。しかし実際は、そうではなく、多くの患者さんが便秘で苦しんでいる実態があります。また、潰瘍性大腸炎の発症原因は、いまだ明らかにされていませんが、大腸における炎症部位や病変部位の進展状況、および便秘の発症原因と関連性の高い腸内細菌の関与が深く疑われています。では、潰瘍性大腸炎と便秘との関連性について詳しくみていきましょう。


潰瘍性大腸炎は、1973年、旧厚生省により特定疾患に指定された原因不明の炎症性腸疾患(IBD)です。炎症性腸疾患には、潰瘍性大腸炎のほかに、クローン病とよばれる病気もあります。潰瘍性大腸炎では、炎症病変部が大腸に限られているのに対して、クローン病では、大腸のみならず小腸にも病変が観察されます。潰瘍性大腸炎およびクローン病ともに、特定疾患に指定されています。特定疾患とは、難病として指定された病気のことをいいます。原因不明で、治療法が確立されておらず、後遺症を残す可能性が高い病気で、慢性的な病気のために医療費負担が大きいなどの理由で、現在121の病気が特定疾患として指定されています。治療研究費の名目で、医療費の一部が公費負担となっていて、潰瘍性大腸炎もクローン病もその対象となっています。


1928年、最初の潰瘍性大腸炎が報告されました。その後、1989年には2万人、1995年で4万人、2005年には8万人と急増し、2009年には11万人と、潰瘍性大腸炎は、毎年約8,000人増加しています。米国における潰瘍性大腸炎の患者数が100万人といわれていますので、日本の患者数は米国の1/10程度となりますが、年間の患者増加率は、日本の方がはるかに高くなっています。韓国および富裕層が集まる中国沿岸部においても、潰瘍性大腸炎が急増しているとの報告があります。このように、潰瘍性大腸炎は、もともと欧米で多かった病気ですが、最近では、アジアにおいてもその病気は広がっています。


潰瘍性大腸炎において、このような疫学的な調査結果は、明らかに、肉類、乳製品、糖類中心の食生活の欧米化が、その病気の原因と広がりに関連しているように思われます。潰瘍性大腸炎は、若年者から高齢者まで、幅広い年齢の層全般にわたってみられる病気ですが、発症年齢のピークは、女性で25~29歳、男性では20~24歳となっていますので、やはり、この病気の原因は、食生活や食習慣と密接に係わっているように考えられます。


潰瘍性大腸炎とは、大腸の粘膜に潰瘍やびらん(ただれ)ができる炎症性の病気です。この病気の特徴は、大腸の粘膜(筒のようになっている大腸の管の最も内側の層)に病変があること、また炎症は、最初に直腸部位(肛門に近い大腸)に発生して、その後、盲腸へ向かうかのように結腸(大腸)全体に広がることです。つまり、大腸内を便が移動する方向とは逆の方向で、病変が広がることになります。この病変の広がり方によって、潰瘍性大腸炎は、直腸炎(発病初期)、左側大腸炎(発病中期)、全大腸炎(発病後期)と分類されることがあります。


潰瘍性大腸炎には、炎症が活発な時期(活動期)と炎症が抑えられている時期(寛解期)という2つの病期があり、これを交互に繰り返します。一旦、病気が治まっても、再発してしまうところに、この病気の深刻さがうかがえます。


潰瘍性大腸炎の特徴的な症状としては、下血(血便)、下痢および腹痛であるとされています。潰瘍性大腸炎の診断は、まずは、血性下痢(下痢の便で血が混じっている状態)の有無から始まります。細菌による感染によっても血性下痢が起こりますので、細菌感染による血性下痢が否定される場合、つぎにX線検査や内視鏡検査などの大腸検査が実施されます。この大腸検査によって、炎症や潰瘍の程度や大腸のどの範囲まで病変が広がっているのかを調べ、潰瘍性大腸炎が確定診断されます。組織病理検査を実施するときもあります。


このように、潰瘍性大腸炎は、下痢が主たる症状となっているため、潰瘍性大腸炎は便秘を起こさせないと信じているお医者さんもおられます。ところが、多くの患者さんは、下痢のみならず便秘も起こしたり、下痢と便秘を交互に繰り返したりしています。下痢よりも便秘の方が辛いと訴える患者さんもおられます。患者さんの訴えが、お医者さんに伝わらないのは残念なことです。潰瘍性大腸炎では、大腸が炎症を起こしていますので、大腸機能の低下による便秘が起きてもなんら不思議ではないのです。


潰瘍性大腸炎の発症原因については、細菌感染説、ウィルス感染説、酵素欠損説、アレルギー説、ストレス説、自己免疫異常説など、さまざまな原因説がいわれていますが、いまだに確定した原因は不明となっています。でも、腸内細菌が潰瘍性大腸炎の発症に深く係わっているということに、疑う余地はないように思われます。その理由として、①潰瘍性大腸炎の初発発症部位が、大腸全般ではなく、腸内細菌および腸内細菌が産生する毒素成分が集積する直腸という限局された組織部位であること、②潰瘍性大腸炎では、大腸粘膜のみに病変が観察されますが、腸内細菌はその粘膜中に生息していること、③ビフィズス菌などの善玉菌を患者に大量投与すると、寛解を維持することができること、④潰瘍性大腸炎では、善玉菌が産生する短鎖脂肪酸の糞便排泄量が健康人に比べ低いこと。これは、潰瘍性大腸炎では、大腸内の善玉菌が減っていることを示している、⑤ビフィズス菌などの善玉菌を増やす作用があるイヌリンという食物繊維を潰瘍性大腸炎の患者に摂取させると、低下した糞便中の短鎖脂肪酸の排泄量が増え、また毒素成分であるアンモニアの産生量も低下し、潰瘍性大腸炎の寛解を維持することができること、などが挙げられます。


このように、潰瘍性大腸炎は、腸内細菌(悪玉菌)に対する腸管免疫応答の異常、過剰反応によって発症するものと考えることができます。ですので、潰瘍性大腸炎での食事においては、悪玉菌を増やしてしまう肉類、油の多い食べ物、ジャンクフード、糖分(砂糖)の多い食べ物は避けた方がよいでしょう。また、食物繊維の多い食べ物は、善玉菌を増やしますので、むしろ積極的に摂ることが大切です。ただし、ゴボウ、レンコン、タケノコなどのように、繊維質が硬い、いわゆる水に溶けない不溶性の食物繊維が多く含まれる食べ物は、炎症部位を刺激する可能性がありますので、このような食べ物は避けるようにしましょう。柔らかい野菜、茹でた野菜、水に溶ける水溶性の食物繊維が多く含まれる野菜類を中心に、食物繊維を積極的に摂るようにしましょう。水溶性食物繊維であるイヌリン食物繊維は、スティムフローラのように極めて高純度(>99%)な製品がサプリメントとして市販されていますので、このような栄養補助食品を活用することで、腸内の善玉菌を増やすこともできます。また、下剤や便秘薬は、炎症の病変部位に刺激を与え、むしろ患部を悪化させてしまいますので、避けた方がよいです。


大腸内に悪玉菌が増えますと便秘の原因となります。便秘はまた、潰瘍性大腸炎を発症させる原因ともなります。ですので、日常的に、大腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えることが、潰瘍性大腸炎の治療や予防につながります。また、潰瘍性大腸炎で大切なことは、再発を繰り返さないことです。活動期の潰瘍性大腸炎の治療では、薬物療法等に頼らざるを得ないのですが、寛解期の維持においては、特に、善玉菌を増やす作用があるイヌリン食物繊維などのプレバイオティクスを積極的に活用し、再発を予防することがとても大切です。 潰瘍性大腸炎に伴う便秘には、腸管の刺激作用がないスティムフローラ等のイヌリン食物繊維がとてもよく効きます。


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