“パラベンフリー”は実は良くない!? 【防腐剤無添加】の問題点 | かずのすけの化粧品評論と美容化学についてのぼやき

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最近

 

「ノンパラベン」 「パラベンフリー」 「​フェノキシエタノールフリー」 

 

などなど…

 

『防腐剤無添加』

 

とうたわれる商品がとても増えています。

 

 

 

 

 

「防腐剤」とはその名の通り商品の【腐敗】を防ぐために配合されている化学添加物であり、

 

化粧品にとどまらず食品や医薬品など様々なものに配合されています。

 

 

最も有名なのは、

 

・パラオキシ安息香酸エステル類=通称【パラベン】類

para-hydroxybenzonate)

 

・フェノキシエタノール

 

などが知られており、

 

 

これらの防腐剤は雑菌に対して強力な殺菌力や抗菌力を有するという特性から防腐剤として利用されています。

 

 

しかし微生物への強力な抵抗性はそのまま【生体毒性】を意味するものでもあり、

 

「防腐剤が入っているということは敏感肌への刺激に繋がるのでは?」

 

…と古くから囁かれてきました。

 

 

 

そういった背景から「防腐剤を配合していない」ということを意味する、

 

【防腐剤フリー】【防腐剤無添加】

 

という触れ込みの化粧品類が発売されるようになって久しく

 

 

元々は大手企業に対抗するために中小企業がとりがちの戦略であったものが、

 

最近は大手化粧品メーカーもそのような流行に便乗する姿が見られるようになってきています。

 

 

 

 

 

しかし実はこの『防腐剤無添加』には色々と厄介な問題が潜んでいるのです…

 

 

もし、

 

その防腐剤無添加コスメが

 

普通に防腐剤を入れた商品より肌への刺激等が強くなっている…

 

としたら、

 

今後皆さんはそういった商品に手を伸ばすでしょうか?

 

 

 

 

 

◎『防腐剤無添加』の化粧品は防腐剤入り化粧品より刺激が強い!?

 

 

当ブログでは何度も小さく取り上げてきた話ですが、

 

 

「防腐剤無添加」を謳う化粧品の多くは

 

普通に防腐剤を配合するよりも相対的な皮膚刺激が強くなってしまう場合が多いです。

 

 

(これは化粧品の製造会社に商品を作ってもらう際に何度も聞いた話ですので間違いありません。)

 

 

 

 

これは何故かと言うと、

 

『防腐剤無添加』というのはあくまで

 

「一般的に【防腐剤】と呼ばれている成分が入っていない」

 

というだけで、

 

 

防腐剤の代わりとなる成分がほぼ必ず配合されているからです。

 

 

しかもその防腐剤の代わりとなる成分は一般的な防腐剤よりも配合濃度が圧倒的に増えてしまうため、

 

刺激を抑えるために無防腐剤にしているのに逆にむしろ刺激が強くなってしまう…

 

という丸っきり本末転倒なことが起こってしまうのです。

 

 

 

 

◎ホントに無防腐剤かどうかは「消費期限」の有無で確認できる!

 

 

 

そもそも化粧品販売の許可を得るには、

 

【未開封で3年間の保存が可能である】

 

という条件をクリアする必要があります。

 

 

もし全く防腐剤(もしくはその代わりになる成分)が入っていない場合、

 

この条件をクリアすることはまずほぼ不可能なので、

 

 

大抵の化粧品にはこの条件をクリアするための成分が添加されているものです。

 

 

 

ちなみにもし本当に防腐剤が無添加で

 

未開封3年の条件をクリアできていない場合は

 

『消費期限』を化粧品の目立つところに記載することで販売の許可を得ることも可能です。

 

 

 

なので「消費期限」が記載されていない場合

 

【防腐剤無添加】と書いてあっても

 

実際には「防腐剤的な何か」が配合されていると見ることができるわけです。

 

 

これは1つの判断の根拠になりますね。

 

 

 

 

ただこの手の化粧品はホントに腐るそうなので…(苦笑)

 

消費期限には十分注意したいですね(;^o^A

 

 

 

 

◎「防腐剤」の定義と【最も安全な成分】について

 

 

さて、

 

化粧品基準における「防腐剤」とは、

 

以下の文書の【別表第3】に挙げられている成分と決められてます。

 

化粧品基準

 

 

主なものを抜き出すと、以下のものなどがありますね。

 

 

 

 

まず第一に、

 

【防腐剤無添加】ではなくて『パラベンフリー』『フェノキシエタノールフリー』のように

 

特定の成分を名指しして無添加をうたっている場合、

 

これだと逃げ道は幾らでもあります^^;

 

 

普通にこの種類以外の防腐剤…例えばサリチル酸イソプロピルメチルフェノールなどを配合して防腐設計を確保すれば良いのです。

 

 

 

 

ただしこの場合注意して見ていただきたいのですが、

 

上記の表の右に抜き出した『最大濃度』というのはこの成分を配合できるMAX濃度です。

(今回は塗り置きのスキンケアのものだけ抜き出しました。)

 

 

 

この最大濃度が大きいということは、防腐剤の中でも比較的安全性が高いということを意味しています。

 

安全性が高いので、それだけ沢山配合してもいいよ、ということになっています。

 

 

逆に最大濃度が低い場合は、濃度を上げると刺激になったりその他の何らかの問題を起こすリスクがあると判断されているものということです。

 

 

 

なのでこちらの表で確認する限り、

 

最も安全な防腐剤は何かというと…

 

 

 

そう、

 

「パラベン類」「フェノキシエタノール」の二択なのです。

 

(ちなみに安息香酸塩類やサリチル酸塩類もMAX1.0%ですが、おそらく原料臭などのせいか最近はほとんど使用されていません。)

 

 

 

 

なので、普通の化粧品製造業社は基本的にこの2つの成分を用いて商品を作りたがります。

 

 

これまで最も使用の歴史が長く、安全性の確認が十分になされ、

 

かつ刺激が発生しにくい最低濃度の臨床も長く続けられているからです。

 

 

 

 

逆に普段使用しない防腐剤の場合は、

 

万が一防腐機能が届かなかったりしたらまずいので最大ギリギリ入れてしまって刺激が強くなってしまったり、

 

逆に防腐設計が失敗してホントに腐ってしまったり…。。

 

ということもありえますので、

 

この二種類を避けて化粧品を選ぶのはそれだけでも失敗のリスクが上がってしまうと言えます。

 

 

ということから前提条件として申し上げますが、

 

自分が敏感肌だからといって

 

パラベン類やフェノキシエタノールを避けるのは賢明な判断とは言えないでしょう。

 

 

出来るだけ安全な商品を求めるならば、

 

今のところこの2成分の両方もしくはどちらか一方が配合されているもの…

 

ということになるでしょうね。

 

 

 

無論その他の成分も上手に配合すれば、大きな刺激が生まれることはありません。

 

そこは業社の技術力によります。

 

(ただしパラベンもしくはフェノキシが一番得意という業社が圧倒的に多いです。ですから化粧品も一番長く慣れ親しんでいるもので作ってもらった方が商品の完成度が上がるのは当然です…。)

 

 

 

 

◎『防腐剤無添加』の問題点① 高濃度の【抗菌性多価アルコ-ル類】に注意!

 

 

とはいえパラベンやフェノキシを避けて他の防腐剤を入れるケースもまぁまぁ本末転倒気味ですが、

 

一番問題が大きいのはこれではなく…、、

 

 

そう『防腐剤無添加』かつ消費期限なしというタイプの商品になります。

 

 

 

 

化粧品基準における「防腐剤」を配合していないのに、消費期限が無い場合は、

 

それはつまり防腐剤の代わりになる成分を配合することで

 

未開封3年の防腐効果を持たせているということになります。

 

 

 

これはどういうことかというと、

 

 

例えば「エタノール」という成分は皆さんもご存知の通り、

 

 

高濃度で使用すると殺菌作用があります。

 

 

 

「アルコール殺菌剤」はエタノール70%とかそういう感じのアイテムです。

 

 

 

 

なので最悪エタノールを高濃度で入れれば、雑菌が繁殖しない化粧品は比較的簡単に作れます。

 

 

このように

 

「エタノール」は化粧品基準では防腐剤に登録されていませんが、

 

頑張れば防腐剤として代用できます。

 

(ただ高濃度のエタノールは刺激が強すぎるのであんまり使われませんが…苦笑)

 

 

 

こういった「高濃度で配合すれば防腐剤の代わりになる」という成分が昨今は注目を集めています。

 

 

 

 

例えば現在多いのは、

 

・DPG(ジプロピレングリコール)

 

・エチルヘキシルグリセリン

 

・1,2-ヘキサンジオール

 

・ペンチレングリコール

 

などの【抗菌性多価アルコール類】と呼ばれる成分郡です。

 

 

 

まぁアルコール類と書いているようにエタノールとかとちょっと似た成分です。

 

 

基本的にはエタノール同様「保湿剤」という扱いですが、

 

 

これらの成分が化粧品の上位に配合されていると、

 

防腐剤の代用となって未開封3年の防腐設計が組めるようになるようです。

 

 

 

 

 

しかし当然上位配合ということは1%以上の濃度での配合がされているということです。

 

パラベンやフェノキシは上手く組み合わせると化粧品の剤形にもよりますがそれこそ合わせて0.1~0.2%程度の極低濃度に抑えることも可能です。

 

 

対して抗菌性多価アルコールが何%も入っているということになると、

 

実質濃度は通常の防腐剤の何十倍と入ってしまうということになり…。。

 

 

抗菌性多価アルコールも他の防腐剤と同じく抗菌力=細胞毒性を持っているわけですから、

 

結局、普通の防腐剤を最低限濃度で配合するのと比較してかなり強い皮膚刺激が生まれてしまうことになります。

 

 

 

これが冒頭でも説明した「本末転倒」の内訳です。

 

 

 

◎『防腐剤無添加』の問題点② 【精油】に注意!

 

 

 

また主に樹木や草木から得られる【精油】も防腐剤の代用になります。

 

・ティーツリー油

 

・ハッカ油

 

・ユーカリ油

 

・シラカバ樹皮油

 

・ヒノキ油(ヒノキチオール)

 

・グレープフルーツ果皮油

 

・ダマスクバラ花油

 

・・・などなど

 

 

 

これは抗菌性多価アルコール類のように何%も配合しなくても、

 

0コンマ以下でも十分な防腐力を発揮する場合があります。

 

 

 

実際に化粧品基準における防腐剤の中に『ヒノキチオール』という成分がありますが、

 

これはヒノキ油の主成分です。

 

 

配合上限も0.1%とパラベンやフェノキシの10倍の抗菌力がある(もしくはリスクが大きいと判断されている)成分ですから、

 

それなりに強力な防腐剤と言えます。

 

 

 

 

他の成分もこれほどとは言えないにしても、

 

複合して配合したりすればトータル1%以上の濃度になったりして

 

強力な抗菌力を持つ化粧品が出来上がります。

 

 

 

(オーガニック系の化粧品では精油を利用した防腐設計が組まれることが多いようです。)

 

 

 

 

 

しかし精油は以前も説明したとおり、

 

植物エキスとエッセンシャルオイル② ~そのリスクと正しい選び方~ 

 

アレルギーのリスクが大きく皮膚刺激も非常に強い成分ですので、

 

あまり積極的に何種類も高濃度で配合するべき成分ではありません。

 

 

 

まぁ上手に使えば薬効などもあるわけですが、

 

防腐剤として代用する場合はどうしても濃度頼りになってしまう部分があるため

 

その分敏感肌等へのリスクが大きくなってしまうと考えたほうが良いでしょう。

 

 

 

 

 

 

◎結論…【防腐剤無添加】には ほぼメリット無し!

 

 

というわけで以上がかずのすけの結論なのですが、

 

はっきり言って「防腐剤無添加」で化粧品を作ることにはほとんど何のメリットもありません。

 

 

ひとつあるのは、「パラベンやフェノキシはとにかく悪いものだ!」と思い込んでいる人たちにはまぁイメージ的には良く映るよね…というくらいです^^;

 

 

イメージの話だけで実際には防腐剤の代わりは大抵入っていますから、

 

そこに大差はない(どころかむしろ悪いものが多い)ということになります。

 

 

 

 

 

まぁ僕が解析する際には基本的には防腐剤のことはとやかく言わないようにしてます。

 

実際自分がアトピーですが、パラベンやフェノキシに問題を感じたことは一度も無いからです。

 

 

ただ絶対に100%誰にでも合うとはいえないのはどんな化粧品のどんな成分でも同じなので、

 

本当に合わない方がいらっしゃるということを否定するつもりはありません。

 

 

 

ですがそういった安全性の高い防腐剤をわざわざ避けたためになんだか変な構成になってしまっている商品が最近特に多いなぁと感じますので、

 

どうかこのヘンテコな流行がさっさと過ぎ去ってくれればいいなぁと日々日々思っております…(;^_^A

 

 

 

ということで、性懲りもなく長くなってしまいましたが

 

本日は以上ということでまとめさせて頂きますm(_ _)m

 




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