「逃げるは恥だが役にたつ」
第２話
秘密の契約結婚！波乱の両家顔合わせ
平匡） １日７時間のフレックスタイム制。月～金
勤務で、土曜・日曜・祝日が休みです。で、
代休申請可です。生活費は折半で、月給
から天引。お給料は、月末に、現金で、手
渡しです。その他必要な項目は、その都
度話し合って決めていきましょう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
みくり） 指示が、具体的で明確。無駄がないん
です。それから、突拍子のない提案に対
しても、現実的な解決策を探ってくれる。
非常に好ましいです。
ちがや） 上司を褒めてるみたいだな。
百合） ちゃちゃ入れない。
みくり） とても信頼できる、
頼りがいのある人だと、思いました。
知佳） そう。
みくり） はい。
ちがや） 平匡さんは、みくりのどこが良かった
の？ まあ、取り柄と言えば、若さだけ
じゃないですか？
葵） パパ！ ごめんね、みくりちゃん。
みくり） いえ、そのとおりで。
平匡） いえ、そんなことはないです。みくりさん
は、何でもできて、僕にはもったいない人
です。むしろ、森山家の皆さんに、申し訳
ないと。
栃男） いや、こっちこそ、まさか、京大出身の
息子ができるなんて、ねえ。うん。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
平匡） 結婚式はしません。
しないと、２人で決めました。２人で。
（回想）
平匡） 入籍した夫婦の、約３割が結婚式を
挙げていないという統計があります。
これを根拠に、説得を試みようかと。
みくり） ここは統計よりも、心理に訴えるのは
どうでしょう。片方がゴリ押しした印象を
与えると、もう片方の両親が面白くなく
感じます。なので、２人で決めたという
部分を強調するんです。
平匡） 僕たちにとって重要なのは、共に暮らし、
共に生活する、この一点です。結婚式や
披露宴などの形式張ったものは必要ない
と、２人で、決めました。
知佳） でも…２人とも初婚なんだし、
みくりちゃんだって、
ウエディングドレス、着たいでしょ？
みくり） 幸い、そういう憧れはない方なので。
平匡） 式や披露宴にお金を使うよりも、
その分、貯蓄に回した方がいい。
それが２人の考えです。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ちがや） ２人２人って、２人にとってはそれで
いいのかもしれないけどさ。式ってい
うのは、周りの人のためにやるもんな
んだよ。
平匡） おっしゃることは、もっともです。ですが、
あまり付き合いのない知人を招いて、大
々的な、祭りごとをするよりも、静かで、
ささやかな、そういった、暮らしを大切に
したい。それが、僕たち２人の目指す、
生活です。ですから、どうか…。
百合） はい。私、賛成。２人が決めたならいい
じゃない。周りのためだけにっていうなら、
やる必要ない。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
思うけど。私は嬉しかったな。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
宗八） 男が、家庭を持つっちゅうことは、全て
背負って責任を持つっちゅうことじゃ。
よった。今日は、うまい酒が飲めそうじゃ。
おめでとう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
みくり） 父も母も、想像以上に、ガッカリしたり、
喜んだりしてくれて。結婚という言葉の
重さを、ズシっと。今さらですが。
僕は父の望むような息子にはなれない
ので。たとえ真実じゃなかったとしても、
喜んでもらえたならいいと。両親を安心
させられたという点においても、今回の
ことは有意義でした。
みくり） 良かった～。
と。嘘つかないといけないし。重いこと
させちゃってるかなって。周りを説得す
る自信がないから、普通の結婚のふり
をするって、逃げといえば、逃げだし。
みくり） えっ？
平匡） ハンガリーにこういうことわざがあります。
おいては、異論も反論も認めない。
みくり） 逃げるのは恥だけど、役に立つ。
平匡） はい。
みくり） そうですね。
オブジェクションしてる
場合じゃありません。
平匡） あの、こないだも思ったんですけど、
異論！反論！オブジェクションって
結構古いですよね。
みくり） 年はごまかしてないですよ。
父が好きでよく見てて。
平匡） ホントにお父さんにそっくりですよね。
みくり） やめてください。津崎さんこそ…。
古いことや難しいこと、
たくさん知ってそうです。
平匡） そうでしょうか。
みくり） はい。
津崎さんこそお父さんに似ている。
言いかけてやめた。
そこまで立ち入るべきじゃない。
私たちは、夫婦でも恋人でも、友達ですらない。
雇用主と、従業員の、関係なのだ。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
隣の部屋で、平匡さんが寝ている。
緊張するような、しないような。
どうしてしないんだ？
一つ屋根の下で、
危機感すら感じない。
あっ、草食系だから？ 違う。
あの人は、
相手の意に反する事をする人じゃない。
そんなふうに、思えるからだ。
そんなふうに…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
隣の部屋で、森山さん、
みくりさんが寝ている。
変な人だ。
一つ屋根の下で、
危機感はないのだろうか。
安全パイだと思われているのか。
安全パイだけど。
本来、人に家にいられたり、
構われたりするのは好きじゃない。
でも彼女は、距離感をわきまえていて、
何か察すると、波のように引いていく。
波のように。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
みくり） あっ、そういえば、津崎さん前に言って
ましたよね。僕は、プロの独身だって。
プロの独身って？
平匡） 端的に言えば、平穏です。
それ以上でもそれ以下でもありません。
みくり） 平穏。いい響きですね。
平匡） はい。
そう、平穏。
刺激よりも平穏を愛する。
それが、プロの独身の、極意。
みくりさんを住み込みで雇用することは、
我ながら信じられないほどに、
思い切った決断だった。しかし彼女は、
よき従業員として働いてくれている。
栄養が行き届いたおかげで、
肌ツヤまでいい。
家事や買い物といった雑事の一切から
解放され、好きな事に時間を費やせる。
費用対効果は抜群だ。
安定と充実の毎日。
平穏な日常。
これこそが…。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
風見） 何でこっち来たんだろう。
沼田） 俺が風見君に良からぬことをするん
じゃないかって心配になったんだよ。
風見） えーっ？
沼田） 男と見れば誰かれ構わず襲いかかる
と思ってんだよ。
風見） その気のない相手に襲いかかったら、
男女問わず犯罪ですよね。
沼田） だよね。いいよなあ。
普通に愛を育める人は。
風見） 俺ストレートだけど育んでませんよ。
沼田） 育もうよ、少しは。
知らないって、怖い。
僕はこれまで、どれだけの人を、
どれくらい、傷つけてきたんだろう。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
言えない。
とても言えない。
絶対に言えない。
昨日の夜、平匡さんが毎日寝てる
ベッドだと思ったら、気配が…
まるで、平匡さんに、包まれているようで。
すぐそばで、一緒に寝ているようで。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
甘い香り。
そうだ。
ゆうべこのベッドにみくりさんが寝たんだ。
まるで、みくりさんが近くに、
すぐそばで、一緒に寝ているような。
平匡） 危険だ。
エアーをかけてどうする。
匂いくらいなんだ。
たかが匂い。たかが匂い。
されど匂い。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
みくり） 自分の布団。落ち着く…。
この日に限って私は、
平匡さんのベッドのシーツを
替え忘れたことに気が付かず。
朝までオブジェクションが続いた
ことにも、全く気付かず。
でもそれが、あんなことになろうとは。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
ガッキーの可愛さプラス、実はそれを受ける平
匡のキャラにリアリティを感じさせる源ちゃんが
スゴイ！ 自称・プロの独身、クールな理系キャ
ラにちゃんと見える。ガツガツしない、いや、で
きない、恋愛とは無縁の人生を生きると決め込
んでいるかのような、草食系男子に見えるもの。
安全パイというより…安全パイではあるけれど、
みくりが言うように、「相手の意に反する事をす
る人じゃない」と思える人＝平匡という人に、源
ちゃんがリアリティを感じさせてくれている事が、
キテレツな設定に説得力を持たせてくれている。
ガッキーと源ちゃんの存在が、ファンタジーを成
立させていると言っても、過言ではないかも～。
ファンタジーを堪能できる幸せをありがとう～！
その点においては、
異論も反論も認めない。
ドラマのタイトルとなってるセリフがここで登場。
の得意分野で勝負しなさい」っていう意味らしい。
極端な話…「負け」を「死ぬこと」、生き抜くことを
「勝ち」と考えるならば、負けるぐらいなら、どん
なに恥をかこうが、勝ちを選ぶほうがいいに決ま
ってる。負けると分かっている、自分に不利な分
野で戦って負けるより、そこから逃げて、自分に
有利な土俵に上がり、得意な分野で勝てばいい。
生き抜くことが大切だと思うことの何が悪い！？
まあ、学びの場、修業の場、まずは体験すべき
場面では…逃げないほうがいいと思うけどねｗ
そして、クールな雇用関係を目指す二人に忍び
よる五感の罠…。目は閉じれば見えない。耳を
塞げば聞こえない。でも、匂いはね…匂いはこ
れが、ジワジワくるのよ。しかも、ＤＮＡレベルで
反応してしまうから恐ろしい。独身のプロも匂い
攻撃には抗えないかも…。フフフ…。悶え苦しむ
源ちゃんに萌え。もっともっと目覚めてしまえ～。
とはいえ、可愛い二人の恋の行方は、じっくり楽
しみたいので、ゆっくりペースでいいのだけれど。
個人的にはゲイの恋の行方も気になるところ～。
古田さんがいい味だしてくれてるし。ムフフフ…。
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