日本はグループリーグ第3戦のコロンビアに4対1で破れ、グループリーグ敗退となりました。同じグループのギリシャ対コートジボワールは、アディショナルタイムにPKで勝ち越したギリシャが逆転でグループリーグ突破を果たしました。

 

コロンビア戦の日本を振返ると、攻撃が思うように機能しなかったことが敗因だと考えています。決定力不足という報道もありますが、決定機の数が少なかったことが問題でした。決定力不足ではなく決定機不足だったのです。

 

攻撃がうまくいかなかったのには、幾つかの要因がありました。一つは、日本が攻め込んだときにボール保持者のプレー選択の判断が悪かったことがあります。フリーの味方がいるのに無理にドリブルを仕掛けてボールを取られたり、複数パスの選択肢があるときにチャンスになりにくい方へパスを出してしまったりと、自滅のような形でチャンスを潰してしまっていました。

 

ボールを持っていないときの動きが少なかったことも、単調な攻撃が多くなってしまった要因です。ボールを持った選手の周りでパスを受けるような動きがあまりなく、ボールを保持した選手の選択肢が限られてしまっていました。例えば左サイドで長友が11で相手ディフェンダーと対峙したときに、ゴール前の選手は足を止めたままのことが多かったですし、長友の近くに行ってボールを受けるような動きをする選手もいませんでした。その結果、単純なクロスを上げて跳ね返されるということが何度もありました。

 

日本は勝たなくてはいけなかったので、多少のリスクを負ってでも責める必要がありました。そのため守備が薄くなり、カウンターなどで失点して4点を取られましたが、それはある程度仕方がないことです。失点を恐れて攻撃に人数を掛けなければ、21のままだった可能性もあります。しかし、そのような消極的な戦いをするよりは、逆転を狙うことにチャレンジした姿勢で戦った方が良かったと思います。

 

 

今大会は気候の影響もあるのか、欧州勢が苦戦しているようです。スペインとイングランドに続き、イタリアもグループリーグ敗退となりました。ポルトガルも非常に厳しい状況に追い込まれ、サッカーの内容も良くないので、グループリーグ突破の可能性は低いとみています。

 

逆に、今大会で好調な国を見てみると、戦い方が柔軟で、相手の良さを消しつつ自分達の良さが発揮できるような戦いをしています。また、上手くいっていないときに戦術を変化させて、状況を好転させるようなことができています。

 


今大会の日本代表は、これまでと違って相手がかなり日本を研究して対策をとってきた印象があります。それだけ日本を警戒していたということです。それに対して日本は、その対策を打ち破るようなことができませんでした。やはり、戦い方の幅が狭かったことは否めません。今後は、対策を練られても、更にそれに対応できるような応用力が必要だと思います。

 

また、大事なところで精度が低いことがありました。ギリシャ戦に続きコロンビア戦でも大久保が決定的な場面でシュートを枠に入れることができませんでした。しかし、大久保へのパスがグラウンダーのパスだったら、もっと正確にシュートを打てたと思います(まあ、ギリシャ戦の内田から大久保へのパスは、浮いたボールをダイレクトで蹴ったのでグラウンダーにするのは難しかったのですが)。浮いているボールを正確に捉えるのは見た目以上に難しいからです。試しにボレーで丸いボールを正確に蹴ることができるかどうか、やってみると分かります。

 

これはトラップするときも同じで、浮いたボールとグラウンダーのボールをトラップするときは、浮いたボールの方がトラップはやりにくくなります。ですから、パスをするときはできるだけボールを浮かせたりバウンドさせたりせずにグラウンダーのボールを蹴った方が、ボールを受ける側のミスが少なくなります。

 

パスを出すときに、できるだけ受け手の利き足に出すことも大切なことです。利き足にパスが来れば、ワンタッチでパスを出すのも正確にできますし、トラップして蹴りやすい位置にボールを置くことも簡単になります。パスの受け手とディフェンダーの位置関係にもよりますが、可能であれば利き足に向けてパスを出したほうが、その後の展開はスムーズになります。

 

日本はワールドカップを本気で目指してから、まだ20年くらいしか経っていません。日本が初めてワールドカップ出場を狙ったのは1994年のアメリカ・ワールドカップ予選からでした。それ以前は、ワールドカップよりオリンピック出場を重視していました。いつも順調に階段を登っていけるわけはありません。今回のことを、今後にいかに活かしていくのかに注目しましょう。



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