ブラジルワールドカップ開幕まであと2日になりました。ブラジルとはかなり時差がありますので、日本時間では実際には13日になってから最初の試合が始まります。4年に1度の祭典ですので、いつもの政治経済や歴史などの話とは違い、たまにはスポーツについても書いてみようと思いました。

 

日本はグループCに入り、コロンビア、コートジボアール、ギリシャと対戦します。テレビでは、日本はグループを突破できるという意見をよく聞きますが、果たしてどうなのでしょうか。

 

このグループCは、全グループの中でも最も各国の力が均衡していると言われています。前評判では、コロンビアが最も強いとされていますが、ブラジル・アルゼンチン・スペインなど優勝を狙えるほどではありません。エースFWのファルカオが怪我で出場できず、他にも主力3人が負傷で登録されませんでした。それでも良い選手は多くいて、ペケルマンが監督になってから組織力も高まり、最も力のあるチームだと思います。不安な点は、ワールドカップ出場経験のある選手が控えGKのモンドラゴンだけしかいないこと、ぺケルマン監督についてはチーム作りは得意だけど勝負師としてはそれほど優れていないということです(ザッケローニ監督も似たところはありますが・・・)。

 

コートジボアールは、なんといっても身体能力が高く、選手個々を見てもコロンビアにひけをとらないメンバーが揃っています。一方で、組織力にやや欠け、チームのパフォーマンスにも波があります。チーム内でも、長年中心選手として活躍してきたベテランのドログバと、下の年代の選手との折り合いが悪く、ほとんど会話をしないほどだということです。また、他のアフリカの国にも当てはまることですが、チームを支援する体制が弱く、選手をサポートするどころか足を引っ張る可能性があります。協会側のスタッフは、立場を利用して経済的利益を得ようとすることが多く、結果としてチームがバラバラになることが少なくありません。今大会でも、アフリカ代表のカメルーンが揉めていますよね。

 

ギリシャは、選手の平均身長が高くて守備が堅く、先制されると非常にやっかいなチームです。その代わり得点力に乏しく、セットプレーに気を付ければ、それほど点を取られることはないでしょう。前回大会を含めて過去2回出場して、いずれもグループリーグ敗退に終わっています。また、ギリシャは夏の気温は高くなりますが乾燥していて湿気がありません。高温多湿の気候には、ギリシャの選手は苦しめられることが予想されます。

 

 

日本は歴代では最強のチームだと思います。これまでの日本に比べれば得点力は最もありますし、ボール保持もできるチームになっています。組織力もありますし、精神的に我慢できるところも強みでしょう。この辺りはコートジボアールとは対極にあります。一方で、守備には不安要素があります。そもそも守り抜くというよりも、攻撃的なサッカーを展開するためのメンバーを揃えています。それは、攻撃の選手だけでなく守備の選手の選考にも現れています。守りをするときの高さ・強さ・速さよりも、足元の技術や展開力のあるディフェンダーを優先して選んでいます。

 

また、守備的な主力選手の中には、所属チームで出場機会が少なく試合感が鈍っている選手や、故障を抱えている選手が何人かいます。この辺がどこまで試合に影響するのかも不安な点です。

 

あと、日本はグループCでは、最もワールドカップの経験が豊富な国です。出場回数はコロンビアと並ぶ5回目、過去の最高成績は以下のように日本が他国を上回っています。

 

<過去最高成績>

・日本(ベスト162回))

・コロンビア(ベスト161回))

・コートジボアール(1次リーグ敗退)

・ギリシャ(1次リーグ敗退)

 

日本以外の3カ国が万全の体制で臨んだら、日本が2位以内に入る確率は低くなるような気がします。しかし、万全の体制で臨むには、選手や監督の力量以外の部分のウェイトが高く、結構難しいことなのです。

 

テストマッチ、他国に対するスカウティング、試合会場のある地域の気候に合わせた調整や対策、本大会にピークを合わせる等、本大会までの準備をしっかりすることが必要です。また、移動や練習環境などを考慮した現地ベースキャンプ地の選定、ストレスを少なくするように過ごせる環境の準備なども重要です。

 

これらについては、日本は他国より優れている部分だと思います。ワールドカップは大会前のキャンプなどを含めると、結構長い期間チームとして行動するので、選手や監督の力量以外の部分も含めた総合力の勝負になってきます。

 

 

日本も含めどの国も、ある程度恵まれたグループに入り、突破のチャンスは十分あると考えているでしょう。このグループは、どの国が1位になってもおかしくなく、非常に予想が難しいグループです。英国のブックメーカーでも、各試合の勝敗予想は倍率が低くなっています。それだけ各国の力が均衡しているということです。

 

個人的な考えでは、コートジボアールよりも上の順位になればグループリーグは突破できると考えています。

(ワールドカップ関連の記事)

○ブラジルW杯での選手以外の日本代表
○勝負に拘るドイツとイタリア、内容に拘るオランダ
○結果も内容も求められるブラジル、スタイル模索中の日本
○世界に誇る日本の技術(1)
○世界に誇る日本の技術(2)