ワールドカップも開幕して1週間となり、全チームが試合に登場しました。今大会は逆転勝が多く、引き分けが少なくなっています。強豪国同士の対戦では意外な大差がつくなど、波乱含みの大会となっています。
今回は、アルゼンチンとスペインという今大会で優勝候補に挙げられている2カ国の特徴を紹介します。
【アルゼンチン】
アルゼンチンは、ブラジルと並んで南米のサッカー大国です。過去2回優勝しており、毎回のように優勝候補に挙げられています。しかし、最近5大会ではベスト4に入れず、期待通りの活躍はできていません。
アルゼンチンのサッカー選手の特徴は、ボールタッチが細かいことにあります。ドリブルでも、体を大きく動かすフェイントで抜き去るブラジル選手とは違い、アルゼンチンの選手は細かくボールに触って、ボールのコースを変えながら相手を抜いていきます。
アルゼンチンは、1970年代まではワールドカップなど国際大会では嫌われ者でした。その頃までのアルゼンチンのサッカーは、守備的で相手の長所を消すことを優先し、ラフプレーが多かったのです。1966年のワールドカップのイングランド対アルゼンチンの試合は非常に荒れた試合展開になり、試合後にイングランドの選手から「アルゼンチンの選手はアニマル(野獣)だ」と非難されることもありました。
また、ワールドカップで初優勝するまでは、アルゼンチンは粘り強さが不足して勝負強さに欠けるといわれていました。初優勝してからは、そういった面があまり見られなくなったのですが、最近のワールドカップでは良い選手を揃えている割には、それに見合った成績を収められていません。優勝から遠ざかったことで、また勝負強さに欠ける面が出てきってしまっているのかもしれません。
【スペイン】
先日のワールドカップ初戦では、オランダに1-5と大敗を喫しました。前回大会も初戦を落としながら、その後は連勝を重ねて優勝にたどり着きましたが、今回はチームを立て直していけるかどうか注目されています。
スペインは前回のワールドカップで優勝しており、ヨーロッパ選手権も2連覇中です。ヨーロッパ・チャンピオンズリーグでも、スペイン勢は常に上位に顔を出し、今年の決勝はスペインのクラブ同士の対決となりました。
しかし、2008年のヨーロッパ選手権で48年ぶりに優勝するまでのスペインと言えば、無敵艦隊と呼ばれながら勝負弱く、ワールドカップでも1950年のブラジル大会のベスト4が最高で、毎回のように期待を裏切る結果に終わっていました。
スペインもオランダと同様に、勝利への執念に欠ける面があります。スペイン人はサッカーでは、勝利よりも楽しむことを求めていることが要因とも言われています。
また、国内の各地方がそれぞれ異なった文化を持ち、国として一致団結するというのが中々できていないことがありました。現在でも、バルセロナがあるカタルーニャ地方が独立を目指す動きがあったり、全く別の民族が住むバスク地方があったりと、地域ごとの独自性が強く残っています。
特に、首都のマドリードとバルセロナのあるカタルーニャ地方の対立は強く、バルセロナの人はスペイン代表であってもレアル・マドリードの選手は応援しないということは普通でした。
最近は、以前に比べればこのような地域の対立は薄れてきていると言われ、2008年のヨーロッパ選手権優勝によって、スペイン代表としての一体感が生まれると同時に、勝者のメンタリティも身に付き、その後のワールドカップ優勝とヨーロッパ選手権連覇につながったと言われています。
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