コロンビア代表のペケルマン監督は、既にグループリーグ突破をしたこともあり、日本戦ではこれまでとは違うメンバー構成となることを示唆しています。
しかし、メンバーが変わっても選手個々の力量は日本より上ですし、これまで試合に出ていなかった選手は意欲満々で体力的にもフレッシュな状態で試合に臨むことが予想されます。コロンビアの選手が変わったとしても、日本がコロンビアに勝つ可能性は低いと言わざるをえません。
試合展開によっては、日本はリスクを冒してでも攻めに出なければいけない場面があるかもしれません。そういう状況になったときに、日本の選手がどのような戦いをするのかを注視しようと思います。
例えば、コロンビアに先制点を入れられたときです。前半であれば、まだリスクを冒して攻めに出る必要はそれほどありません。同点に追いつくことは大切ですが、2点差を付けられることを避ける戦いも必要です。
また、コートジボワールとギリシャのスコアも考えて、戦い方を変える必要があります。2点差以上の差を付けて勝たなければならないのであれば、後半開始から攻勢をかけなければいけないでしょう。1点差で勝てばいいのであれば、後半の10分を過ぎたあたりから攻めに出る必要があります。
攻撃に人数を掛けて戦えば、それだけカウンターなどで点を失う可能性も高くなります。その結果、2点目3点目を失って、コロンビア戦で惨敗することもありえます。しかし、攻めに行かなければグループリーグ突破はできないので、それも致しかたないことです。
それよりも、失点するのを恐れてリスクを冒すことなく攻勢に出ないままに試合が終わってしまうことだけは避けて欲しいと思っています。リスクを冒さずに1対0で負けるよりは、リスクを冒して3対0で負けるほうがいいと考えています。
これまでの2戦を見て感じたのは、日本は欧州でプレーする選手が増えて以前より技術は上がりましたが、まだ世界トップクラスどころか、その次に位置する国にもまだまだ及ばない部分が多いということです。
特に、駆け引きの部分は、他国との差がまだまだあると感じました。それは他のアジアの代表国にも当てはまることです。
サッカーに限らず対戦形式のスポーツでは、勝つためには相手が予想していないプレーをすること、予想しにくいようにプレーすることが重要です。
パスを出すときでも、どこにパスを出すのか分かっていたら守備側は対応が簡単です。そこで、フェイントを少し入れて違うところにパスを出す振りをしたり、ドリブルをして自分に注意を向けさせてからパスを出したりすると、守備側の対応が遅れてパスが通りやすくなります。
また、試合の途中で相手のやり方を見て、それに対応していくという部分も日本に欠けていることです。監督から指示が出ることもありますが、それ以前に自分たちで判断をしてできるだけ早く対応策をとる必要があります。
スペインなどでは、小学生の頃から試合内容を分析して、どのように対応するのかを自分で考えるように訓練しています。日本では、指導者が指示を出してしまい、自分たちで考えさせたり判断させたりすることは少ないようです。南米の国やメキシコなどは、試合中に戦術変更を多く行い、自分達に有利な展開に持っていくのが得意です。
よく日本人は生真面目だから駆け引きは苦手ということも聞かれます。しかし、野球を見ていると日本はアメリカなどよりも駆け引きをしているような気がします。バッターに対する配球は、日本の方が細かく、キャッチャーもバッターの仕草を見て、どの球種やコースを狙っているのかを観察しています。
ノーアウトでランナーが出たときに、バントをするのか強攻策に出るのかを探るために、ピッチャーはバッターに投げる前に牽制球を投げることがあります。牽制球を投げるときに、バッターがバントの構えをしてしまうことがあるからです。それを理解しているバッターの場合は、バントのサインが出ていないときにわざとバントの構えをすることもあります。このようなことは中学生でもやるチームはあります。つまり、野球では細かいことを中学生やもっと早い小学生くらいから、繰り返し訓練して身に付けているのです。
一つ一つは細かいことでも、それが積み重なると大きな差となります。日本は身体能力に優れているわけではなく、身長も高くありません(選手の平均身長は出場32か国中30位)。日本が世界のトップに並ぶには、技術だけでなく戦術的なものや駆け引きについても更に身に付けていく必要があります。
そうは言ってもコロンビア戦は明日ですので、今さら身に付けようとしても間に合いません。しかし、組織的な動きや、それを忠実にやり続けること、あきらめずに我慢して戦い続けることは日本の良いところです。明日の試合では、そういった日本の良い部分を出して、勝ちたいという気持ちが伝わるような試合を期待しています。
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