Wed, May 25, 2005

魔女狩る 【サスペリア】 ダリオ・アルジェント [Ita'77]

テーマ:映画 〔欧州:イタリア〕
suspiria  この色、この光。今までに観たことがない。映画全編に渡って退いては寄せるように響き続けるシンプルなつくりのテーマ曲も、結局最後まで飽きることがなかった。遅ればせながら、やや甚大な衝撃を受けてしまった。
 ダリオ・アルジェントという名に“ホラー映画の原点”のようなイメージだけを持って今まで食わず嫌いできたのだけれど、根本的に違っていた。というのもあたしが持ってきたホラー映画のイメージというのはどうやら“サスペリア”よりも後発の“死霊のはらわた”、“ジェイソン”といったハリウッドの作品群により植え付けられたものだったらしい。 “サスペリア”は世界志向(十分なマーケットリサーチ/シンプルな構成/アメリカ人女優の適用etc.)の制作背景をもつとはいえ、イタリアンフィルムの匂いがとても強かった。

 魔女の存在が重要なモティーフとして選択されている点も興味深い。少しネットを捜したら、なんと舞台となった舞踊学校のモデルはシュタイナー・シューレであったらしい。[当該HPはこちら ] ルドルフ・シュタイナーの思想活動は確かにある種の保守的な人々にとってこのように怪しくも映るのだろう。もっともな話である。
 魔女狩りは集団における強迫神経症的な徴候として語られる一方で、欧州と欧州から輸出された北米でしか見られない現象という。(by中井久夫 『徴候・記憶・外傷』 ) それだけにこれらの国の人にとってこのモティーフの使用は、魂の底からの恐怖心を呼び起こす力があるわけで、理にかなった選択とは言えそうだ。

 恐いのはきらいだ。“死霊のはらわた”も“ジェイソン”も一人で観たことはまったくない。にもかかわらずこういう内容だと知らずに今回“サスペリア”に手を出したのは、やはり精神的に参ってるせいなんだろう。あまり沈み込んでいるときに観て良い効果があるとも思えない。けれど引かれてしまう。どうしようもなく。自虐的なのではない、陥っているこの苦しさが何なのか、少しでも納得したい。閉じた社会のうちにこもり稼いだ金を生活に費やして、ただいるだけでは、つらすぎる。


"Suspiria " by Dario Argento / Jessica Harper, Joan Bennett, Stefania Casini, Alida Valli / Goblin [music] / 99min / Italy / 1977 ☆☆☆☆
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Sun, May 22, 2005

踏み越え 【息子の部屋】 ナンニ・モレッティ [Ita'01]

テーマ:映画 〔欧州:イタリア〕

 息子を水難事故で失った家族の話。カウンセラーとして働く彼の淡々とした静かな生活のなかに、息子をなくした哀切や後悔の念が深く忍び入り、妻や娘との穏和な関係にも少しずつゆがみが入り込む。そうした生活のつづくなかで、ある日息子へのラブレターが届く。夏のキャンプで出会ったという差し出し人の女の子は息子の死をまだ知らない。


 ラストシーンのさりげなさが素晴らしい。ラブレターを書いた女の子の訪問をきっかけとして、残された家族の三人がある“踏み越え”を行う。それはどこまでも精神的なもので、映像にはそこで行われていることの激しさが表現されることはまったくない。その踏み越えは言葉はもとより、表情にすらほとんど反映されることなく、ただ心の奥底で進行し、遂行される。ラストのさりげなさが、そのことのすべてを表している。
 静かな傑作。語られることなく派手な演出もなしに達成されたほんものの表現の、核のようなものがそこにある。


 いい音を使ってるなと思い確認したら、音楽にブライアン・イーノが参加していた。久々にまとめて聴きたくなった。



息子の部屋 ”("La Stanza Del Figlio") by Nanni Moretti / Nanni Moretti, Laura Morante, Jasmine Trinca, Giuseppe Sanfelice / Brian Eno [Music] / 99 min / Italy / 2001 2001年カンヌ国際映画祭パルムドール ☆☆☆☆☆

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