日本のホリデイシーズン | 西陣に住んでます

日本のホリデイシーズン

西陣に住んでます-六道珍皇寺

六道まいり(十界の図)




この土曜日から、日本ホリデイシーズンが始まりましたね~

この記事ではこの日本のホリデイシーズンである正月について
考えてみたいと思います。


日本のホリデーシーズンと言えば、
近年ではゴールデンウィークホリデイがありますが、
古来から伝統的に親しまれてきたホリデイシーズンは
盆と正月です。


ただし、正月と盆というものは
本来休日を意味するものではなく、
正月は、歳神を家に迎えて送るという行事であり、
盆は、先祖の霊を家に迎えて送るという行事です。
これらの客を家に迎えるにあたって、家にいなければならないため、
結果的にあたかも休日のようになってしまっているわけです(笑)


さて、盆と正月が一緒に来たという言葉にもありますが、
もともと盆と正月というのは完璧な表裏一体のイヴェントなんです。


ここでまず頭を旧暦にしてください(笑)


日本が本来使ってきたカレンダーである旧暦は
太陰太陽暦に基づいています。


新月を「月」の初めの1日とし、満月を15日とします。
これを繰り返しながら、
地球が太陽の周りを一周する「年」に合わせるため、
閏月と言うものを使って調整するという方式をとってきました。
そして、基本的に正月の一日は立春(冬至と春分の中間日)
と最も近い新月の日であり、お盆の月である七月の一日は
年の半分である6か月が経過した新月の日ということになり、
結果的に立秋(夏至と秋分の中間日)に近くなります。


新暦では正月は1月で、盆は8月(関東では7月)となったため
ピンと来ない方も多いかもしれませんが、
正月とお盆とはちょうど一年という時間の周期で考えれば、
ちょうど真逆の季節に位置し、対称性が強いんです。
しかも旧暦正月は気温が最も低くなる新暦2月上旬の真冬
旧暦盆は気温が最も高くなる新暦8月上旬の真夏と言うことになります。


ここでもう少し詳しく正月と盆の類似点について考えてみます。



新月年越の祓と夏越の祓


西陣に住んでます-八坂神社


12月大晦日と6月の晦日には大きな共通点があります。
それは厄祓い(やくばらい)です。


12月の大晦日が近くなると私たちは大掃除を開始します。
これはもともと年越の祓(大祓)から発展したものと考えられます。
年越の祓として神社で茅の輪くぐりが行われ、穢れ(けがれ)を祓います。
また、京都祇園の八坂神社ではおけら参りと呼ばれる穢れを祓う
行事が行われていることは有名です。
また立春、つまり節分に行われる豆まきもお祓いの儀式に他なりません。
このような穢れを払った状態で新しい月に歳神を迎えるわけです。


一方、6月晦日には夏越の祓が行われ、
同じように茅の輪くぐりによって穢れを払います。
また、京都では6月1日(新暦7月1日)からこの夏越の祓まで
祇園祭が行われて徹底的に穢れを祓います。
旧暦6月に行われる山鉾巡行は厄祓いのための大掃除なんです。
ちなみに、八坂神社の茅の輪くぐりは新暦7月31日に行われますが、
これは本来の旧暦6月30日に合わせたもので、
本来の意味からするとこの日に行うのが正しいと言えます。
このような穢れを払った状態で新しい月に先祖の霊を迎えるわけです。


半月七草と七夕


西陣に住んでます-京の七夕


1月7日には七草が、7月7日には七夕が行われます。
これらはいずれも物忌みのセレモニーです。


まず、七草は物忌み、つまり心身を清浄にするためのイヴェントです。
このように身を清めてから歳神を家に迎えるわけです。
なお、門松が歳神の依代(よりしろ)となります。


一方、七夕も七草同様、
穢れを流しすことで心身を清浄にして先祖の霊を家に迎える
という物忌みのためのセレモニーと解釈できます。
京都では旧暦7月7日を読み代えて8月7日頃に行われます。
高野槇が先祖の霊の依代となります。


満月正月(上元)と盆(中元)


西陣に住んでます-大文字


歳神を祭る1月15日を正月(上元)
先祖を供養する7月15日を盆(中元)と言い、
いずれも祈りが済んだ後に送り火を焚いて送ります。

夏に目上の人に贈り物をするお中元と言うのはこの中元のことです。


さて、正月で最も重要な日は、実は元旦ではなく
満月の1月15日であるということを知っている人は
かなりのクロウトと言えます(笑)
この日には、門松や注連縄を燃やして迎えていた歳神を送ります。
この日こそ正月のクライマックスと言え、年が始まるわけです。


一方、満月の7月15日には火を焚くことで
迎えていた先祖の霊を送ります。
ちなみに京都の五山の送り火は新暦8月16日に行われます。
昨年の五山の送り火ではたまたま満月とのコラボが見れましたが、
旧暦では必ずこのコラボが見れていたわけです。



・・・というわけで




正月と盆は、基本的に祖霊(神・仏)を家に迎えるイヴェントであり、
そのために穢れを祓い(祓い)、身を清め(物忌み)、
依代を用意して迎え、火で送るという一連の流れになっています。


そして、このイヴェントを通して、結果的に私たちが何を得るかと言えば、
祖先を敬い、家族が一つにまとまり、そして暑さ寒さが一番過酷な季節に
休息をとることができるという小さな幸せを得ることができるのではと思います。


このような最高にアメイジングな日本のホリデイシーズン
深い尊敬の念を抱く次第です。


皆様におかれましては、お盆を通して良い年の後半をお迎えください。




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