祇園祭のルーツを探る-2 | 西陣に住んでます

祇園祭のルーツを探る-2

西陣に住んでます-素盞嗚神社




この記事は、先日アップした[祇園祭のルーツを探る-1] の続編です。

なお、京都祇園祭の予備知識につきましては、

[1.八坂神社] [2.御霊会] [3.祇園祭の正体] をお読みいただければと思います。



全記事に書きましたように、

京都祇園社(八坂神社)の主祭神のスサノオは、

姫路広峯神社から勧請されましたが、

その広峯神社のスサノオも、もともとは、

冒頭の写真に示した福山素盞嗚神社(すさのおじんじゃ)から

勧請されたと言われています。


この素盞嗚神社には、スサノオの他に

妻のクシイナダヒメと子の八王子が祀られています。

そして、この神社の付近こそが、

あの蘇民将来伝説の発祥の地である疫隈の郷(えのくまのさと)であると

伝えられています。


西陣に住んでます-素盞嗚神社


西陣に住んでます-素盞嗚神社


長い参道を進んでいくと拝殿があって・・・


西陣に住んでます-素盞嗚神社


本殿があります。


西陣に住んでます-素盞嗚神社


本殿の奥側は神明造になってます。


西陣に住んでます-素盞嗚神社


その横手には、蘇民神社疱瘡神社があります。


西陣に住んでます-素盞嗚神社


このうち、左側が蘇民将来を祀った蘇民神社です。


西陣に住んでます-素盞嗚神社


茅の輪で有名な蘇民将来伝説(備後国風土記-逸文)は、

↓こちらの説明の通りです。


西陣に住んでます-素盞嗚神社


念のためもう一度まとめておきますと、


昔、北海に住んでいた武塔神が、

南海に住むを妻としてもらいうけに行く途中、

日が暮れたので、土地の金持ちの巨旦将来(こたんしょうらい)

家に泊めてくれるよう頼みましたが、拒否られました。

一方、巨旦将来の兄の蘇民将来(そみんしょうらい)

貧乏でしたが、快く泊めてくれました。
その後、姫をめとって八人の王子をもうけた武塔神は、

北海に帰る途中で蘇民将来の家に立ち寄って

私はスサノオの神だ。疫病が流行った時、蘇民将来の子孫と言って

茅の輪を腰に着ければ、疫病を免れることができる」と言いました。

その後、巨旦将来の子孫は疫病で滅びました。


ここで、この伝説について少し考えてみます。


スサノオはもともと出雲で活躍した神なので、

北海というのは、日本海の出雲と考えるのが妥当かと思います。


一方、南海の神というのは誰かということですが、

少々順序立てて考えてみたいと思います。


まず、スサノオは嫁を娶りに南海の神のもとに行ったわけです。

スサノオの妻は何人かいますが、祇園祭に関係深いのは、

クシイナダヒメで、そのクシイナダヒメを娶るために

南海の神に許しをもらいに行ったと考えるのが妥当かと思います。


クシイナダヒメは、ヤマタノオロチ伝説でスサノオに助けられた姫で

彼女の両親は、出雲の近くの鳥髪に住んでいる

アシナヅチテナヅチという夫婦神です。

この夫婦神には、ヤマタノオロチ伝説ですでに結婚の許しを得ているため、

南海の神というのは、この二人のことではないはずです。


すると、南海の神というのは誰かということですが、

私は、アシナヅチとテナヅチの父でクシイナダヒメの祖父である

山と海をつかさどる有名な神のオオヤマツミだと思います。


このオオヤマツミ、瀬戸内海大三島大山祇神社に鎮座しています。

この場合、南海を瀬戸内海と解釈すればよいことになります。

そして、非常に興味深いことですが、

もしかして「愛媛」という地名の由来は、

スサノオが愛した姫のクシイナダヒメのことなのではと推察する次第です。


また、牛頭天王伝説によれば、南海の神は竜神ですが、

これが海の神でもあるオオヤマツミだと考えるのも合理的です。

ちなみに、この竜神の娘が頗梨采女(はりさいじょ)という神で、

クシイナダヒメと同一視されています。

なお、頗梨采女は恵方をつかさどる歳徳神とも同一視されています。


さて、ここでこの地域周辺のスサノオに関係する神社や地域を

地図上にプロットすると、次のようになります。


西陣に住んでます-スサノオ関連神社


ちなみに、出雲の神社はいずれもスサノオとクシイナダ姫に関連しています。

また、厳島神社はスサノオの娘の宗像三神の神社で

石鎚神社には、歳徳神も含めたスサノオファミリーがいっぱいです。


ここで、この地図にある特定の方向をもつ線を引いてみると

↓こんなふうになります。


西陣に住んでます-スサノオ関連神社


この図を見ると、

スサノオゆかりの地が直線によく乗って分布していることがわかります。

実は、この直線の方向は恵方を示しています。


西陣に住んでます-恵方


地図を見ると、厳島神社-素盞嗚神社-吉備津神社-広峯神社が

完璧に直線に乗っています。

また、北海と南海の神が鎮座する出雲大社-大山祇神社も

ほぼ恵方の直線状にあります。


ちなみに恵方というのは、スサノオに深く関連した方向であることは、

今まで何度か説明してきたかと思います。


[節分1] [2] [3]


さらに、厳島神社-素盞嗚神社-吉備津神社-広峯神社の両端には、

スサノオゆかりの宗像神社と京都と津島神社があります。


西陣に住んでます-スサノオ関連神社

私はこの並びは偶然ではないと思います。


この意味については、また別の機会に考えてみたいと思います。