2009-08-09

小野篁と六道まいり

テーマ:京都の祭・イベント

西陣に住んでます-六道珍皇寺




もうすぐお盆ですね。


お盆の歴史は古く、606年7月15日に推古天皇が供養のための法会(斎会

を行ったことに始まるといわれています。

657年7月15日には、斎明天皇飛鳥寺盂蘭盆会(うらぼんえ)を開き、

奈良聖武天皇の時代から宮中の恒例行事となったようです。

ただし、これらはあくまで宮中の行事として続けられたのであって、

意外にも民間に広がったのは江戸時代以降のようです。


ちなみに「盂蘭盆(うらぼん)」というのは、
もちろん裏盆という意味ではなく(笑)、お盆の正式名称です。
サンスクリット語の「ウランバナ」の当て字だそうです。


御存じのように、お盆というのは、
初秋の満月の日(旧暦7月15日、新暦8月15日)を中心とする数日間に
祖先の霊が子孫のもとを訪れるというものです。


仏教の概念では、普段この祖先の霊は

六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人道・天道)にいます。

この六道の衆生を救うのが地蔵菩薩であるため、

お盆と地蔵菩薩とはとても深い関係にあります。


さて、京都では、この祖先の霊をお精霊(おしょらい)さんといい、
お精霊迎えお精霊送りという行事が行われます。
このうち、お精霊迎えの代表的な行事が「六道まいり」というもので、
お精霊送りの代表的な行事が五山の送り火です。


今回の記事ではこのうち六道まいりについて紹介したいと思います。


ここで、六道まいりの寺といえば、六道珍皇寺千本えんま堂
いずれも小野篁(おののたかむら)が絡んでいます。


詳しくは下↓に示した過去記事を読んでいただければわかるのですが、
小野篁は、昼は朝廷の高級役人、夜は閻魔大王(地蔵菩薩)のアシスタント
というこの世とあの世を行きかう人物です(笑)。


小野篁関連記事→[小野篁1] [小野篁2] [小野篁3] [小野篁4]


そのことからか、小野篁の出没するあたりにあの世とこの世の境界があり、
お精霊さんもその近辺(例えば六道の辻)から帰ってくると考え、
六道まいりをしてお精霊迎えをするというのが定番となったようです。



1六道珍皇寺


西陣に住んでます-六道珍皇寺


六道まいりの季節の今、京都でもっともホットな場所だと思います。

寺の概要は次の通りです。

西陣に住んでます-六道珍皇寺


六道まいりの時期には、寺宝が公開されます。


こちら↓は小野篁の像です。

西陣に住んでます-六道珍皇寺


こちら↓は小野篁作といわれる閻魔大王像です。

西陣に住んでます-六道珍皇寺


ここでこれらの像をよ~く見てみると、

いずれの像も眼が水晶でできていることがわかります。

これは玉眼(ぎょくがん)という手法で主に鎌倉時代以降の像に見られます。

そしてこの玉眼の仏像を平安時代中期の人である小野篁が造ったとなると、

ちょっとばかり矛盾が生じます。


私は一時期、このことを考えて夜も眠れなかったのですが、

よく考えてみれば小野篁は時空を行ったり来たりできる人でした。

つまり、理論的には鎌倉時代以降にこの世にやってきて

この像を造ってもおかしくないわけで

「あぁそういうことだったのね!」と思いました(笑)。


こちら↓は十界の図(江戸時代)と呼ばれるもので、

地獄極楽が両方描かれています。


西陣に住んでます-六道珍皇寺


さて、六道まいりの手順は次の通りです。


西陣に住んでます-六道珍皇寺

こちら↓は高野槇です。


西陣に住んでます-六道珍皇寺


こちら↓は迎鐘です。写真の下に見える縄を引っ張って鐘を鳴らします。


西陣に住んでます-六道珍皇寺


最終的にこちら↓に水塔婆を納めます。


西陣に住んでます-六道珍皇寺



2六波羅蜜寺

西陣に住んでます-六波羅蜜寺


六道の辻のすぐ近くにある空也平清盛ゆかりの寺院です。

西陣に住んでます-六波羅蜜寺


こちらにも迎鐘があります。


西陣に住んでます-六波羅蜜寺


また萬燈会(まんどうえ)という行事も行われます。


西陣に住んでます-六波羅蜜寺


本堂の中には「大」の木形に燈明を並べたものがあります。

また本堂前の玉砂利には、菩提樹の葉仏塔をかたどった燈明が

並べられていて火がともされます。

スリランカに伝わる仏教の習わしということです。


西陣に住んでます-六波羅蜜寺



3千本えんま堂

西陣に住んでます-千本えんま堂


寺の概要は次の通りです(クリック拡大)。


西陣に住んでます-千本えんま堂


本堂の中には素晴らしい閻魔像があります。


そして、本堂の横にはこのように↓閻魔の本来の姿である地蔵菩薩(中央)、

開基(寺の建立を援助した人)の小野篁、開山(初代住職)の定覚

の像が並んでいます。


西陣に住んでます-千本えんま堂


この寺ではこちらに水塔婆を流します。


西陣に住んでます-千本えんま堂


そして、迎鐘をたたきます。


西陣に住んでます-千本えんま堂


ところで、この寺には紫式部の供養塔があるのですが、

ちょっと見ないうちに周りにあった木が手入れされて

かなりスッキリした感じになっていました。

西陣に住んでます-千本えんま堂


そして、このような紫式部像も寄贈されたらしいです。


西陣に住んでます-千本えんま堂


千本えんま堂では精霊迎えだけでなく、精霊送りも行われます。



4矢田寺


西陣に住んでます-矢田寺


こちらは三条寺町にある精霊送りの寺です。寺の概要は次の通りです。


西陣に住んでます-矢田寺


このとき満慶(満米)上人を地獄に招いたのが小野篁なんですよ。


西陣に住んでます-矢田寺



以上、

京都の精霊迎えに関する重要な寺(矢田寺は精霊送り)を紹介しました。

キーワードは地蔵菩薩(閻魔)と小野篁です。

これらの寺の精霊迎えは、

日本のお盆という行事にも少なからず影響を与えたものと考えられます。




ところで、今年のお盆は私にとっては義父の初盆なので、

今年のお盆は義父の墓がある横須賀で過ごします。

そんなこともあり、今年は京都では迎鐘をたたきませんでした。

京都でお迎えするとちょっとややこしい状況になりますからね(笑)。


横須賀でしっかりとお精霊さんをお迎えしようと思っています。




コメント

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1 ■初盆

こちらでは新盆と謂います。地方によって呼び方様々ですが意図は同じ事ですね!
kazuさんも風習事には拘るタイプとお見かけ致します・・・ でも最近なかなかこの大事毎が粗末にされるような気がしている次第です。
京都から横須賀では響き良いですが、私は宮城から津軽です・・・三味線と津軽海峡しかありません ( ̄_ ̄ i)
なんでもいいけど津軽弁で話し掛けられても未だに解りません・・・

2 ■無題

神奈川だったのですね?

お帰りなさい(^-^)/

3 ■六道珍王寺

表現がおかしいかも知れませんが・・・大好きです(笑)
小野篁の着物の袖の裾がピッとあがった像が大好きです。
そして十界の図がとても好きです。
昔は、おじいちゃんおばあちゃんが孫にこの絵を見せて道徳教育をしたらしいですが、現代でも必要かと・・・(笑)
小野篁があの世にゆくとき使った井戸の周辺に、野生の高野槇が生えている・・・と聞きました。

4 ■お久しぶり~♪

いや~!久久久しぶりで~す(嬉)
コメント書く位置が少々異なりますが(汗)

♪kazu♪さんのブログが週間になり、内容が凄、凄、凄~いことになり、ついていけません(汗)
覗いていますが、、、

仮説と洞察力!ここから展開するストーリーと謎を真実?へと昇華させる驚愕の知性には感心と尊敬に値しますね~、、、
ん~
旧代の権力、統治力、影響力、厄よけ、魔よけ、警護を近代のバリヤーシステムへの置換する♪力♪は5000mm厚さの論文を観ている様です。
ん?
このコメント返しって、荒神から伏見稲荷へ♪頭にろうそく2本立て疾走している姿♪???

♪kazu♪さんのブログは力作なので、お身体には充分お気をつけて、、、

ちょっと休憩に、、、またのお越しをお待ちしていま~す(感)ですです。
printo by access

5 ■ウランバナからだったとは

>サンスクリット語の「」の当て字
うっわー初めて知りました!涅槃のほうは知ってたんですが。
盂蘭盆会は旧正月みたいに思ってました

>小野篁 時空を行ったり来たり
まさかタイムワープまで可能という解釈が出てくるとは(笑)
僕の中でもスーパースターになってます^^
今回も勉強になりましたー

6 ■行きはよいよい、帰りは…?

地獄への井戸は 入口と出口が違うそうです。入口は残ってますが、出口は もー残ってないから さすがに 地獄からの脱出は無理ですね。

7 ■小野篁さん

kazuさんこんにちはっ!

小野篁さんって時をかける少女みたいですね。

この前、京都の風水のことをテレビでやってて、小野さんが出てきました。安倍晴明より興味ある(・_・;)

8 ■荒鷲さんへ

横須賀で義父のお寺の盂蘭盆会に行ってきました。
盆のような風習について、
私は宗教的な面にはわりとクールに接してますが(笑)、
日本の伝統という点でとてもリスペクトしています。
津軽、素晴らしいじゃないですか!
私はまだ訪れたことありませんが、よく写真などで見てます。
東北は、西日本を中心として暮らしてきた私にとって
かなり興味深い風習を持ってます。ゆっくりと訪れてみたいです!

9 ■curiさんへ

私の本籍は横須賀なんです(笑)。
もちろん住民票は京都市上京区ですけど・・・
最近は諸手続きも楽になったので、本籍は一生横須賀のような気がします。

10 ■Ponkoさんへ

私も六道珍皇寺大好きです(笑)!
お堂の中をのぞくと閻魔大王と小野篁がいて、
しかもこの世とあの世を結ぶ井戸も垣間見ることができますよね。
ちょっとだけのぞかせてくれるプレゼンテーションが
たまりません(笑)。
十界の図はよく見るととっても楽しいですね!
洛中洛外図やウォーリーを探せにも通じるところがあります。
井戸の周りに野生の高野槇があるんですか?
今度行ったときはしっかり見てこようと思います!

11 ■accessさんへ

おひさしぶりです!
週刊になって、ほとんど好きなこと書いてます(笑)。
京都をぼちぼち歩いていると、
多くの神社や寺がいろいろなテーマをもっていて
互いに深く関連しあっていることが
だんだんわかってきて
これが結構わたし的にはおもしろくて、
今はそんなことをポロポロと書いてます(笑)。
歴史は宗教的なことに左右されていることが多くて、
そんなことを意識して歴史を見ると
特に平安時代の初期はそればっかりなんですよ(笑)。
そして一番面白いのは権力者が陰陽師にアドバイスされていたことです。
すると、ある方位に特定の寺が並んでいたりします。
こういうのは私のような素人でも見つけることができる(笑)ので
楽しいところです。
しばらくはこんな感じでやっていきますので、
またおいでしただければ嬉しいで~す!

12 ■コストさんへ

仏教には、かなりの数の当て字があるようですね。
例えば、五重塔などの「塔」も「ストウバ」からきているようです。
字にしてみると
「トウ」と「ストウバ」ではかなり違ってますが・・・(笑)
いずれにしても、小野篁はすごいです。
今まで書いてきたこと以外にも
異様な話が多すぎです(笑)。
多分、平安時代の中ごろには、もう亡くなっています(?)が、
ある意味、聖徳太子のような有名人だったのではと思います。

13 ■濃茶さんへ

嵯峨野に出口があったようですね。
寺は少し西のほうに移ってしまったようですが、
道路の真ん中に「生の六道」っていう石碑があります。
今、そこから出てきたら車にひかれてしまいそうです(笑)。

14 ■枕草子さんへ

確かに(笑)小野篁は時をかける少女と通じるところがあります。
毎日テレポーテーションをしていて
結果的にタイムトラベルをしてるんですからね。
安倍晴明より古いこともあるのでしょうけど、
安倍晴明よりもかなりぶっ飛んでますよね(笑)。

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