肥満を東洋医学でみると | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


東洋医学講座で、気虚 による自汗 は肥満の人にもみられる、湿邪 による嗜睡 は太った人に多くみられると、お伝えしました。それでは、東洋医学で肥満をみるとどうなるんでしょうか?


気虚(気の不足)からくるイメージからすると、太っている感じは想像しにくいですよね?気虚は、どちらかといえば、やせていて、胸板の薄い、ひよわでかぼそいイメージ。ところが、気虚があるために太るケースがあるんです。


古典には、肥満に関する記述はほとんどありません。そりゃそうです、昔は食が不足する人のほうが多かったんですから。『黄帝内経 素問 通評虚実論篇 第二十八』の中に、「肥貴人」という記述があるだけ。なので、肥満に対する考察は、現代中医学によるものとなります。


肥満に関わる臓腑は、主として です。脾の機能が失調して、代謝が乱れ、余分なものがたまってしまった状態が、実証性の肥満。気虚によって代謝が低下し、出すべきものを出す力が弱ってしまった状態が、虚証性の肥満です。


1 痰湿証による肥満(脂肪太り、実証性) … 赤ら顔の固太りタイプ


主症状: 肥満(全体に太っている)、肌肉にはりがある

随伴症状: 食欲亢進、暑がり、多汗、顔面紅潮、おなかのはり、便秘


食べ過ぎによる肥満です。もともとは、消化・吸収もよくて、代謝も悪くない。ただ、摂取量が多すぎる。しかも、甘いもの、あぶらっこいもの、味の濃いものをよく食べる。長期的にそんな状態が続いたために、さすがに脾の機能が失調して、痰湿がたまってしまったもの。防風通聖散 が効くのはこのタイプ


長期的に痰湿がたまっていると、熱化しやすいので、からだの中は陽に傾いています。そのため、暑がりで、汗をかきやすく、赤ら顔。もともと脾胃は丈夫なので、食欲があるところに、熱が加わって、さらに食欲が亢進。ますます太るという図式です。


2 気虚による肥満(水太り、虚証性) … 色白のぽっちゃりタイプ


主症状: 肥満(特に顔、くび、大腹部)、肌肉にはりがなく緩んでいる

随伴症状: 食欲不振、寒がり、自汗、嗜睡、顔色蒼白または晄白 、疲労倦怠感、動くと息切れがする、便秘


脾気虚腎陽虚 があるために、水分代謝が低下して、水湿がたまってしまったもの。気虚・陽虚によって、からだを温める作用も低下すると、手足の冷えやむくみを生じます。防風通聖散を飲むと悪化するタイプ


このように太り方も違えば、対処法も違ってきます。有酸素運動はどちらにも有効ですが、

1は、からだが陽にかたむいていて、熱があるのですから、寒涼性の食べ物や生野菜を、

2は、からだは陰にかたむいていて、冷えていますので、温熱性の食べ物や温野菜を、

それぞれ少し多めに摂るようにします。食養生するにも、漢方薬を使うにも、自分の体質と病証のタイプを把握することがだいじです。


一天一笑、今日もいい1日にしましょう。


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