空き缶で作るお手製綿菓子機 | ひろじの物理ブログ ミオくんとなんでも科学探究隊

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綿菓子14


 夏休み特集の最終回として、今日は空き缶で作る綿菓子機を紹介します。

 

 じつはこの実験装置にはいろいろなエピソードが・・・

 そもそも、空き缶で作る綿菓子機は、「いきいき物理わくわく実験」(新生出版)で紹介され、その後、全国に瞬く間に広がった「愛知発」の有名実験。

 日本評論社版の「いきいき物理わくわく実験1」(改訂版)には、「空き缶」の綿菓子器ではなく、「茶こし」の綿菓子器が載っています。なぜ、このような変更がなされたのでしょうか。

 これは改訂版を作るときにサークル内で、実験装置の「安全性」に関して議論があったためです。

 空き缶の内側にはプラスチックのコーティングがなされており、綿菓子器を作るときに熱を加えると、そのプラスチックが融けだしてきて、綿菓子に混ざるのではないか、という議論でした。

 少量なので健康に問題はないでしょうが、サークルではそれが分かってきた以上、本に載せるのは難しいと判断しました。もっとも、ぼくは違う考え方で、授業や部活では相変わらず、茶こしタイプではなく、空き缶タイプを使っています。
 空き缶タイプは茶こしに比べ、工作がカンタンですし、作っていても楽しいからです。
 プラスチックの件は、最初につくる綿菓子を食べずに棄てることで対応しています。
 
綿菓子01

 

 まず、ジュースやビールの空き缶(350や500mlの缶)をキレイに水洗いします。

 空き缶の側面の下の方に、大工道具のカルコなどで、穴を開けていきます。

 電動ドリルがあれば、そちらで穴を開けた方が性能がよくなります。直径2mmくらいがいいでしょう。ドリルで開ける穴の大きさは、ザラメが飛び出さない程度で構いません。

 以前は缶に開ける穴は小さい方がよいと思われていましたが、融けたザラメの液は高速回転する缶の穴から、穴の大きさには関係なく、糸状に飛び出しますから、穴はある程度大きくても、できる綿菓子の糸の太さは変わりません。実際の綿菓子機は穴ではなく、二枚の円盤が細いスキマで向かい合う形になっており、中央から縁にむかって、融けた砂糖液が遠心力で飛び出す仕組みになっています。

 ザラメの粒が飛び出さない程度の穴ならオッケーなんですね。

 それに、カルコやダルマピンで穴を開けた場合は、穴のまわりが山形に内側にむかってせり出すため、液が外に出にくくなります。ドリルを用いるとそういう「せり出し」はありませんので、液が飛び出しやすくなります。

 さて、今から紹介するのは「いきいき物理わくわく実験1」に最初に紹介されたものより作りやすい形になっています。ザラメが入れやすい形なので、自然科学部の発表などで大量に綿菓子を作るときには重宝します。

 横の穴が空いたら、底の中心に軸を通す穴を開けます。
 

綿菓子02

 

 万能ハサミで井戸オケの形に切り抜きます。

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 自転車のスポークなどの軸を缶に通し、オケの取っ手部分を図のように重ね、軸が通る位置にマーカーで印をつけます。印は取っ手どちらにもつけてください。回転軸を通す場所ですので、印はどちらの取っ手も同じ位置になるようにつけましょう。
 

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 取っ手に穴を開けます。これもキリでも、ドリルでもどちらでも構いません。
 

綿菓子06

 スポークを通します。スポークにはもともとネジがついているので、これが支えになります。

 

 

綿菓子08


 缶の底はスポークのネジに乗っかっているだけですが、上の取っ手のところで摩擦がかかり留まるので、空回りはしません。空回りを完全になくしたいのなら、取っ手と軸にセロテープを巻きつけて留めても構いません。熱は取っ手の位置まで伝わらないので、セロテープで留めてもよいのです。(もちろん、底の部分はセロテープ不可です)
 

 

綿菓子09

 

 モーターと綿菓子機はゴムジョイントでつなぎます。プラモ屋さんなどで手に入ります。乾電池は単一電池1個で十分高速回転します。

【補足※】 なお、底の部分はネジになっているので、図のようにモーターの赤線を電池の+極、青線を-極につないで実験していると、缶が回転し始めるときに、慣性によってネジが徐々にゆるんできて、使っているうちにネジが外れる場合があります。
 取っ手をセロテープで留めているので問題はないのですが、せっかくのネジを外したくない場合は、赤線を電池の-極、青線を+極につなぎましょう。缶の回転方向が逆になり、ネジが締まる回転方向になるため、ネジが実験中にゆるむことがなくなります。

 さて、綿菓子をつくる箱を用意しましょう。
 

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 綿菓子機を入れる大きな箱を作ります。面倒なら、大きな段ボール箱を使いましょう。衛生面で気になる場合は、紙やアルミホイルを貼るといいでしょう。ただし、アルミホイルは綿菓子が当たって高温になるので、火傷に気をつけてください。底面はアルミホイルを敷くといいですね。
 

 

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 綿菓子機にザラメを入れますが、スプーン1~2杯にしておきましょう。たくさん入れると回転が遅くなり、よい綿菓子になりません。
 
綿菓子13

 飛び出してきた砂糖液は空中で冷えてすぐに糸になります。それを割り箸ですくって、綿菓子をつくります。(一番最初のイラスト)

 茶こしを使うタイプについては「いきいき物理わくわく実験1改訂版」をご覧ください。
 
 
追伸:色つき・味つきの綿菓子をこの自家製綿菓子器で作る方法を別記事に書きましたので、下記リンク先もご覧ください。
 
【※】この記事に多くのアクセスをいただき、ありがとうございます。細かいところですが、モーターと電池のつなぎ方の図について、補足を追加しました。本文中の【補足】をご覧ください。(2015.8.19)
【追記】この装置の改良版を現在作成中です。成功したら、新しい記事を書く予定です。いましばらくお待ち下さい。(2017.4.9)
【追記2】改良版は成功しましたが、まだ記事にしていません。もうちょっとお待ち下さい。(2017.8.1)
【追記3】改良版の詳しい記事をまんがにして、6月下旬に刊行する拙著『いきいき物理マンガで実験』(日本評論社)に掲載しました。他の実験も、最新のものをまんがにして掲載してあります。下のリンク先で「『いきいき物理マンガで実験』第1報〜6月下旬発行」の記事をご覧ください。(2018.4.26)
【追記4】『いきいき物理マンガで実験』の刊行が6月中旬に早まりました。上記「お知らせ」をご覧ください。
【追記5】『いきいき物理マンガで実験』は書籍のほか、電子書籍も発売されました。(2018年7月)電子書籍はAmazonでお求めください。
 
 
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