『無境界』・その5 | くらえもんの気ままに独り言

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 昨日は、大阪市の住民投票で大阪市の存続が決定したということで、とりあえず大阪市民のみなさんはホッとされたことでしょう。しかし、僅差であったことや、比較的若い世代の賛成票が多かったことから、将来的に同じようなことが起こった時に、それを食い止めることができるかは怪しかったりはしますが…(-“-)


 さて、先々週より続いておりますケン・ウィルバー氏の『無境界』のまとめシリーズですが、いよいよ今回で最終回となります。


 前回までのまとめはコチラ↓
『無境界』

その1 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12005128640.html

その2 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12005128896.html

その3 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12005129120.html

その4 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-12005129367.html


 今回はいよいよ自分の身体を超えていくことになりますが、その道は険しい…というか道は存在しない!?


 というわけで、最終回です(^_^)/


9.超越的自己


 個人を超えていくという話で思い出されるのが、ユングの普遍的無意識の話ですね。この話については以前のエントリーで触れたことがありますので、是非ご覧になってください。


『分析心理学』 カール・グスタフ・ユング (小川捷之 訳) 

Lecture2 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11944889018.html

『日本経済のミステリーは心理学で解ける』 廣宮孝信

その2 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11916153818.html


 つまり、人々は全人類に共通したイメージを初めから持っているというわけですね。


 超個的自己に至るアプローチはいくつかあるらしいのですが、その一例として、このように繰り返し考えるとよいようです。


 自分は身体を持っているが、自分は身体ではない。
 自分は欲求を持っているが、自分は欲求ではない。
 自分は感情を持っているが、自分は感情ではない。
 自分は思考を持っているが、自分は思考ではない。


 少なくとも客観的に認知できるものは真の意味で自己ではないということです。自分の感情や思考を客観視することによって、不安に脅かされる危険性は低下していきます。そう言えば、廣宮さんも似たようなことを書かれておりましたね(^_^;)


『日本経済のミステリーは心理学で解ける』 廣宮孝信

その3 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11916663407.html


 前回の話ではを自己に取り込み、身体を自己に取り込むという作業をしておりましたが、今度のケースでは環境を自己に取り込むというのはなかなか難しいわけですね。というわけで、アプローチ法としては個人の方を非自己に持っていくことで環境と個人の統合を図ろうというわけです。


 そして、この客観視されない真の自己(自己性)というものは全人類共通のものであると。記憶と身体が違うだけで、本質的には全人類は同じ自己性でできているというわけですね。


 やはり、自己=神と言っても過言ではないようですね。


 他人はもちろん、過去の人物も含めすべての人が同一人物であるというわけです。いや、人間には限らず宇宙全体がそうだと言うのです。


 ちなみに、この部分のアプローチとしてはユング心理学やウィルバー氏の自著、瞑想法などが紹介してありました。


10.究極の意識の状態


 さぁ、超個的自己の領域まで達したら、あとは究極の「統一意識」を目指したいところです。


 が、なんとそこに至る道は存在しないのだと!!


 「統一意識」はすでにあるものであり、道は存在しないのです。ということは、「統一意識」を目指そうとすること自体、何も理解していないということなのかもですね(^_^;)


 ウィルバー氏のたとえによれば、個々のレベルをとすれば、それぞれの波をサーフィンしながら移っていき、理想の波を探そうとすることが可能なのですが、「統一意識」とはのことだと。いくら波から波に移って、理想の波を探そうとしても水そのものを見つけることはできません。


 というわけで「統一意識」というものは「現在の体験そのもの」のことであり、それを得ようと探そうとすると一層答えから遠ざかってしまうということです。しかし、何もしなければそのままというわけですが。


 ここで、ウィルバー氏が言うには「悟り」あるいは「統一意識」に達するために霊的修行などがあるわけではない、霊的修行そのもの「悟り」あるいは「統一意識」であると述べております。さらには皿洗いから所得税の申告に至るまでが修行であり本来の悟りであると。何回か前に書いたように、何かに没頭しているような状態、過去も未来もない永遠の現在を生きているような状況が霊的修行のことなのかもしれませんね。


 さて、霊的修行の状態に置くと、そのうち自分は「統一意識」を望んでいないという事実に気づき始めます。影を否定したときのように、あるいは身体を否定したときのように「統一意識」に対しても抵抗を示しているというわけですね。


 これを解消するためにはどうすればよいか。


 VS影のケースでは影の存在(影に対する抵抗)を自覚することがカギでした。


 というわけで、「統一意識」へ達するには「統一意識」への抵抗を自覚する必要がありそうです。


 と言いましても、人々がやろうとすることすべてがその抵抗なわけですが(^_^;)
 何かをやろうとした場合、現在ではなく未来をつかもうとしてしまいますが、「統一意識」とは現在にほかならないので、何かをやろうとするたびに「統一意識」から遠ざかろうとしてしまうってわけです。


 そして、遠ざかっていこうとすることを「やめようとすること」も同じ意味で「統一意識」から遠ざかろうとする行為であるというパラドックス。


 つまり、自分の行いすべてが「統一意識」への抵抗であり、「統一意識」へ達するには自分(抵抗)を捨てなければならないということを自覚するに至るというわけです。しかし、自分を捨てようという行為も「統一意識」から遠ざかる行為であるのです。そこでようやく、すでに「統一意識」はそこにあるものだと実感できるわけです。つまり、他所に「統一意識」を求めることが間違いであったと。


 簡単にまとめると自分の行いすべてが「統一意識」への抵抗であることを自覚することで、「統一意識」を自覚することができるようになるというわけです。


 このレベルにおけるアプローチ法としてヒンドゥー教や仏教などが紹介してありました。


 以上、全5回にわたってケン・ウィルバー氏の『無境界』をまとめてきましたが、かなり読みやすかった反面、無境界を自覚するってのは結構難しそうだなと感じました(^_^;)
 
 自分に悩みや苦しみをもたらすものの正体をキチンと自覚することが大事なんだという印象ですね。


 日本経済を覆うデフレ不況についても、その正体が政府の支出不足だと認識できないとどうしようもできないのと同じ理屈かもしれませんね(笑)。


 1.境界だらけなのを自覚できない状態(永遠の苦しみ)
  ↓
 2.境界の存在を自覚
  ↓
 3.無境界へのアプローチ
  ↓
 4.無境界の自覚(永遠の喜び)


 1と4は見る人によっては同じ思考停止状態のように見えてしまうかもしれませんが、その実は180°違う性質のものなわけです。境界を自覚しないのと無境界を自覚するのとでは大違いなのです。なぜなら、1のケースには本来なら存在しないはずの境界が無数に存在してその人を苦しめておりますので(^_^;)


 本シリーズではかなり簡略化してまとめておりますので、詳しい話を知りたいという方は是非本書をお読みになられるとよいのではないでしょうか。


無境界―自己成長のセラピー論

ケン・ウィルバー (著), 吉福 伸逸 (翻訳)

http://www.amazon.co.jp/dp/4892031143/


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