2015年1-3月期GDP一次速報 | くらえもんの気ままに独り言

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 本日、2015年1-3月期のGDP一次速報が発表されました。


1~3月期GDP、年2.4%増=2期連続プラス―14年度は5年ぶりマイナス

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150520-00000029-jij-bus_all


 2期連続プラスと言いましても、消費税増税のダメージの大きさに比べたら微々たるものですが(;^_^A

 その証拠に年度で見ればリーマンショック以来のマイナス成長となっております。


 本当はこのニュース、若干取り扱いが難しいのでスルーしようかなと思ったのですが、安倍信者やリフレカルトの方々が喜んだりするとうっとうしいので、簡単に解説しておこうと思います。


 結果の元データはコチラ↓

http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf


実質GDP 前期比(季節調整済):+0.6%(年率換算+2.4%)

実質GDP 前年同期比:-1.4%

実質GDP 前年度比:-1.0%

名目GDP 前期比(季節調整済):+1.9%(年率換算+7.7%)

名目GDP 前年同期比:+1.9%

名目GDP 前年度比:+1.4%

実質雇用者報酬 前期比(季節調整済):+0.6%

実質雇用者報酬 前年同期比:-0.6%

実質雇用者報酬 前年度比:-1.2%

名目雇用者報酬 前期比(季節調整済):+0.0%

名目雇用者報酬 前年同期比:+1.3%

名目雇用者報酬 前年度比:+1.7%

GDPデフレーター 前期比(季節調整済):+1.3%

GDPデフレーター 前年同期比:+3.4%

GDPデフレーター 前年度比:+2.5%


 今回は1-3月期ということで、2014年度トータルのデータも公表されておりました。


 それでは一つずつ見ていくとしましょう。


①実質GDP


実質GDP 前期比(季節調整済):+0.6%(年率換算+2.4%)

実質GDP 前年同期比:-1.4%

実質GDP 前年度比:-1.0%


 前年の1-3月期は消費税増税前の駆け込み需要もあり四半期GDPは結構高くなっておりましたので、前年同期比のマイナスを見て、「経済が悪化しているじゃないか!」と批判するのはフェアではありません。

 前年度比になると前年同期比よりもだいぶフェアにはなりますが、それでも2013年度の駆け込み需要の反動で、たまたま2014年度はマイナスになっていると言えないこともありません。(取り扱いが難しいと言ったのはこのあたりの理由になります。)


 とは言え、8%への消費税増税が経済に悪影響を与えたのは事実ですし、まだ、そこから立ち直っているとは言い難い状況です。問題は回復の兆しがあるのかどうかなのですが、前期比(季節調整済)を+0.6%まで押し上げた要因は一体なんだったのでしょうか?


 実はこのうち+0.5%分は在庫品増加が増えた分だったみたいです(;^_^A


 肝心の民間需要はこれを除くとたったの+0.3%分というわけで、まだまだ消費税増税の影響をかなり引きずっているようです。ちなみに民間需要のうち在庫品増加を除いたGDPへの寄与度は前年同期比:-3.8%、、前年度比:-2.4%というわけで、駆け込み需要の反動の影響を考慮したとしてもひどい数字です(前々年同期比、前々年度比で見てもマイナスです)。


 というわけで、とてもではありませんがまだまだ民間需要の回復にはほど遠いようでございます。


②名目GDP


名目GDP 前期比(季節調整済):+1.9%(年率換算+7.7%)

名目GDP 前年同期比:+1.9%

名目GDP 前年度比:+1.4%


 名目GDPについては前年同期には駆け込み需要の影響があったにもかかわらず、前年同期比においてもプラスを積み上げておりますね。さすがアベノミクス効果か?


 と思いきや


 在庫品増加を除いた民間需要のGDPへの寄与度は前期比(季節調整済):+0.1%、前年同期比:-2.8%、前年度比:-0.9%


 ズコッ∑ヾ( ̄0 ̄;ノ


 前期比(季節調整済):+1.9%の残りの出所は在庫品増加の+0.3%分を除けば、他は輸入減:+1.4%と公的需要:+0.1%ですし、前年同期比になると輸出増:+1.7%、輸入減:+1.4%、公的需要:+0.8%ですね。


 民間需要は名目的にも結局落ち込んだままですし、名目GDPを押し上げた要因は公的需要及びアメリカの好景気・原油価格の低下という外的要因によるものがほとんどというわけですね。


 まぁ、公的支出も消費税増税分くらいしか増やしていないので、実質的にはほとんど増えていないも同然なのですが( ̄∀ ̄)


 というわけで、残念ながらアベノミクス効果ってわけではなさそうですね。外的要因の好材料が存在しなかったらと思うと恐ろしいですね。いや、アベノミクスの間違いに気づくのが遅くなる分、実はよくないのかも?


③雇用者報酬


実質雇用者報酬 前期比(季節調整済):+0.6%

実質雇用者報酬 前年同期比:-0.6%

実質雇用者報酬 前年度比:-1.2%

名目雇用者報酬 前期比(季節調整済):+0.0%

名目雇用者報酬 前年同期比:+1.3%

名目雇用者報酬 前年度比:+1.7%


 さて、雇用者報酬の方ですが、こちらは駆け込み需要の影響がどれだけあるのかよく分からないので、前年同期比・前年度比で見ても問題ないかもしれませんね(あくまで推定)。むしろ、前期比の方がボーナス増の影響が強く出るので、参考値になろうかと思います。


 物価の影響を除いた実質雇用者報酬で見ると前年同期比も前年度比もマイナスというわけで、日本全体で見た労働者の購買力は確実に低下していると言って良いでしょう。それに伴いコレ↓


消費支出実質7.0%減少 1‐3月期家計調査

http://www.jacom.or.jp/statistics/2015/05/statistics150520-27153.php


 勤労者世帯(二人以上の世帯)の世帯主の収入は名目でも前年同期比:+0.0%と増えておらず、消費税増税や円安に伴う物価高はモロに家計を直撃していたというわけですね。


 アベノミクス恐るべし…( ̄□ ̄;)


 あっ、消費税増税はアベノミクスには含まないと言っている方もいるようですが、2012年の総選挙時の総合政策集(http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/j_file2012.pdf )にガッツリと


「消費税の引き上げにより、財政による機動的対応が可能となる中~」


 と書いてありますので、アベノミクス第二の矢の「機動的な財政出動」というのはもともと消費税増税込みですからね!!(情報元は島倉原さんのメルマガですが(;^_^A)


④デフレーター


GDPデフレーター 前期比(季節調整済):+1.3%

GDPデフレーター 前年同期比:+3.4%

GDPデフレーター 前年度比:+2.5%

 

 もちろん、後二者は消費税増税分etc.を含むので要注意です。


 さて、前期比(季節調整済)は消費税増税分etc.を含んでおりませんが、これを見て、


 おおっ!デフレ脱却している!!


 と思うのは早計です。実は内需要因のみ見た国内需要デフレーター前期比(季節調整済):-0.3%となっております。トータルのGDPデフレーターがこんなに高く出た原因はズバリ


 輸入物価安


 です。おそらく要因は原油価格の下落でしょうね。

 GDPデフレーターの場合は輸入は控除項目になりますので、輸入物価が下がれば下がるほどGDPデフレーターは上がります。(ちなみに同じ理由で前年同期比もかなり高めに出ています。)


(参考)SOJ2が考える!『GDPデフレーターって、なに!?』

http://ameblo.jp/shingekinosyomin/entry-11989419136.html


 もちろん原油価格の低下は家計にとっては助かるのですが、国内需要デフレーターを見ると、国内の需要の回復はまだまだであり、GDPデフレーターのプラスを見て、「デフレ脱却だ!アベノミクス万歳!」ってやるのは間違いであるということです。


 以上、GDP速報の簡単な解説でした。もちろん、二次速報以降に修正が入るでしょうが(苦笑)、今の時点でも相当にしょっぱい内容でした。


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