『分析心理学』・Lecture2 | くらえもんの気ままに独り言

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 前回に引き続きカール・グスタフ・ユング氏の『分析心理学』を取り上げていきたいと思います。前回の内容は意識の機能分類についての話がメインでしたが、今回は無意識に関する話がメインになってきます。


前回までの内容はコチラ

『分析心理学』

Lecture1 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11944828373.html


 それでは、さっそき第2回目の講義内容をまとめていきます。


 前回も書きましたとおり無意識とは意識することができません。意識の内容は外界からの刺激によって得られる外的なもと記憶や判断過程などから得られる内的なもの、そして、無意識の領域からもたらされるもがあります。


 無意識は大きく2つに分けることができ、1つは個人的無意識であり、これは人格を形成するすべての要素が含まれているのですが、個人によってどの要素が意識されるのか、または無意識の領域にあるのかは様々です。ある人が意識している人格については、他の人にとっては無意識に属したりしています。例えば、ナルシストだと自覚しているA君と攻撃的と自覚しているB君がいたとして、A君の無意識の中には攻撃的な人格が存在しますし、B君の無意識の中にはナルシストの人格が存在します。このように個人個人に特有の無意識を個人的無意識と呼ぶわけです。。


 もう1つの個人的に獲得されたものではない、全人類に共通の無意識は普遍的無意識と呼ばれます。まったく接点のない地域に住んでいた古代の人々が似たような神話のモチーフを持っていたりしますが、これは普遍的無意識の存在を介することによって理解することができるわけですね。この普遍的なイメージを元型(アーキタイプ)と呼ぶのです。


(参考)『日本経済のミステリーは心理学で解ける』・その2

http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11916153818.html


 この元型のイメージですが、まったく接点のない人たちが同じような感じの夢を見たりするわけなんです。夢というものは無意識の領域を見るのに重要なものなんですが、この全人類に共通するであろうイメージが普遍的無意識と呼ばれるものなのです。


 突然、突拍子もないことを言う方がいらっしゃるかもしれませんが、もしかしたらその方は頭がおかしいのではなく、元型と呼ばれるものにアクセスしてしまった可能性もあります。(本書ではユング氏がそのような方と出会った経験が書かれていました。)


 次にユング氏は心の領域について説明されています。心の領域を外側から順に並べると次のようになります。


①感覚

②思考

③感情

④直感

⑤記憶

⑥主観的構成要素

⑦興奮

⑧侵入

⑨個人的無意識

⑩普遍的無意識


 ①~④は外的な心の領域で⑤~⑧は内的な心の領域です(詳しくはLecture1を参照)。そして、さらにその内側に⑨と⑩という広大な無意識の領域が広がっているというわけです。⑤以降は深くなればなるほど、意識によりコントロールすることが困難になってきます。⑨については状況や個人によっては意識化することが可能なのですが、⑩については意識しようとして意識化することはできません。


 個人的無意識についてもう少し言うと、「人間の事の何ものも私に無関係なりとは思わず」ということで、他者が意識できていることは自分で意識できていなかったとしても無意識の中に必ず存在するということです。以前ご紹介しました『アフター・モダニティ』の中でも小林秀雄について自己=他者と考えていたことが書かれていましたが、おそらく似たようなことなのかもしれません。


 一方、普遍的無意識についてですが、これは意識によるコントロールをまったく受け付けません。しかし、この普遍的無意識がひとたび活性化してしまうと、その人間は自分をコントロールすることができなくなってしまいます。しかも、この普遍的無意識は感染力が強いと言われています。民族性と呼ばれるものなんかは特定の普遍的無意識が活性化され、それがその集団の中で感染してしまったことによるものであるという説明も可能となります。


 さて、ユング氏は無意識の領域にアクセスする方法として言語連想検査、夢分析、能動的想像を挙げておられますが、ここでは言語連想検査について説明されました。


 100種類の言葉を提示して、それから連想されるものを被験者に言わせるのですが、その連想した言葉が出てくるまでに要した時間や再現性などをもとに分析を行うのです。


 本書で紹介された例を一つ紹介しますと「ナイフ」「叩く」「とがった」「ピン」という言葉について混乱を被験者は示したのですが、実はこの方は酔っ払って、誰かをナイフで刺すという不愉快な出来事を経験していたというのです。この方はこのことを無意識の底へ封印していたのですが、こうやって刺激語に反応を示したというわけですね。


 他にも言語連想検査に関する事例をいくつか提示されておりましたが、こんなことまで分かってしまうのだとビックリしました。(結構おもしろいので、興味のある方は是非読まれてみてください。)


 というわけで、これで第2回目の講義は終了です。その後の質疑応答についても第1回目の講義内容も含めて激論が繰り広げられておりましたが、例によって当ブログでは割愛させていただきます(;^_^A。


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