『分析心理学』・Lecture1 | くらえもんの気ままに独り言

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 本日より、心理学者であるカール・グスタフ・ユング氏の『分析心理学』(みすず書房/小川捷之訳)を取り上げていきたいと思います。本書はユングがロンドンの医学心理学研究所で行った5回にわたる一連の講義を書き起こしたもので、ユング氏の話し言葉で書かれているのが特徴です。

 本書は廣宮孝信さんより、「一冊だけ読むならこれ!!」ということで勧めていただいたのですが、思った以上に分かりやすかったです。ソウルメイトさんより以前ご紹介いただいた河合隼雄氏の『ユング心理学入門』を先に読んでいたことも理解の助けになりました。


 当ブログでは5回の講義をそれぞれ5回のエントリーに分けて内容を自分なりに分かりやすくまとめてみようと思っております。できるだけ分かりやすくと思ってはおりますが、もともと難解な部分もございますので、分かりにくい部分も多少あるのではないかと思いますが、もし、興味がございましたら本書を実際に読んでいただくとよいかと思います(断然そちらの方が詳しく細かく書いてありますので(;^_^A)。


 というわけで、第1回目の講義をまとめてみようと思います。


「まず、第一に、心理学とは意識に関する科学であります。そして、第二に、無意識の心と呼ばれるものによって生み出されるものに関する科学であります。(P18-19)」


 無意識というのは意識できないから無意識なんですよね(;^_^A。つまり、無意識がどうなっているのかなんて実際には知ることはできないわけですが、人間の人生の多くは無意識の状態のまま費やされます。児童期までなんかは24時間無意識だそうです。確かに本能だけで生きていそうですね。


 さらには意識は同時に存在する内容をきわめてわずかしか保持できないとのこと。何かをやろうとしてるときに他のことを忘れる事ってよくありますよね。そういうのも全部無意識ってことなんですね。つまり、あるときにはある事項を意識できていても、別の瞬間では意識できないものであると。このように意識は断続的な一方、無意識の方は常時連続的なのです。


 意識は自我があって初めて存在することが可能になるのですが、自我の主な構成要素とは以下の2点です。


①自分の身体(存在)についての一般的な認識

②自己の記憶データ(長時間にわたる一連の記憶)で自分が存在し続けている確信を持つこと


 確かに幼少期の記憶はあいまいですから、まだ当時は自我なるものはなかったのでしょうね。当然、意識なるものもなく無意識で過ごしていたんでしょうね。自我と無意識あるいは外界からの刺激とが関係をもって初めて意識というものが存在できるわけですね。


 意識の機能を外向的な心(外界からの刺激との関係)内向的な心(無意識の領域との関係)に分けることができますが、まずは外向的な心的諸機能をまとめてみます。


感覚 何かが「ある」ことを教える

思考 ものごとが「何」であるかを教える

③感情 それの「価値」を教える

④直感 第六感的なもの

 

 ①~③で意識的に物事を捉えることは可能そうですが、④の直観もうまく説明はできなくても、何かを知覚して意識につながっていってるんでしょうね。たとえば、リンゴが置いてあるとして、感覚によってリンゴが「ある」ことを知覚し、思考によってそれが「リンゴ」であると認識し、感情によってこれは「おいしいものだ」と感じるわけですね。さらに直感で「これは毒リンゴかもしれない」なんて思うわけですね(理論的証拠はなくても毒リンゴであることを感じることが可能なようです)。


 この4つの機能は無意識によってもたらされ、自分の意識でコントロールするのは難しいです。たとえば、他人から「あなた、さっきめっちゃ怒ってたね。」って言われても本人はそれに気づいてないこととかよくあったりしますよね。そんな中でも、人によって得意な機能と不得意な機能があったりします。感覚と直感はそれぞれ反対の関係にあり、感情と思考もそれぞれ反対の関係にあります。


 例えば思考が得意な人は感情を意識でコントロールすることはできませんし、感情が発達している人は思考をコントロールすることはできません。言い換えると、思考が発達している人は非常に感情的で興奮しやすかったりする一方、感情が発達している人は論理的思考ができません。財政均衡主義をかたくなに信じている方はもしかすると感情タイプの方で、もともと思考を意識でコントロールすること自体困難なのかもしれません。(逆に得意な機能については意識の力でコントロールすることが可能であるとも言えます。)


 また直感タイプの人は感覚をコントロールすることが困難(つまり、現実を捉えることが苦手)である一方、感覚タイプの人は直感をコントロールすることが困難(つまり、現実のみに囚われる)なのです。


 簡単にまとめると得意な機能は自分の意識で自由にコントロールできますが、反対の機能は幼児並ってことですね(‐^皿^‐)


 続いて内的な心的諸機能(無意識と意識の関係)についてです。と言っても無意識について意識することはできないので、あくまで意識の中に浮かび上がったものから無意識について想定するということにはなりますが。


①記憶 無意識内容を再生する能力

②主観的構成要素 無意識の主観的な反応

③興奮 自我の働きが不能となり何かがとって代わる

④侵入 無意識の意識への侵入


 ①は意識しなくても記憶されるものもありますが、まだ意識が働く余地のある機能ですね。②については初対面の人に「こいつはきっと乱暴者だ」などと主観的に無意識に感じたりするようなものですが、だんだんと意識の要素が薄くなってきました。③にいたっては機能というより出来事であり、意識でコントロールすることは不可能ですし、④になるとコントロールするどころか逆に無意識に支配されてしまう状況です。


 無意識の暴走は望ましくないことではありますが、病的なものではありません。あくまでも人間の正常な反応の延長線上で起こるものなのです。


 以上、第1回目の講義はここで終了です。


 今回は意識と自我について、そして意識の機能の分類について外向的なものと内向的なものに分けて説明されました。


 本書では、このあと聴講者とユング氏の間で質疑応答が行われるのですが、それもまた興味深い内容となっていました。が、当ブログでは割愛させていただきます。


 というわけで、次回は無意識についてさらに深く学んでいきたいと思います。


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本書はコチラ

分析心理学 

カール・グスタフ・ユング 著  小川捷之 翻訳

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