『無境界』・その1 | くらえもんの気ままに独り言

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 みなさん、ゴールデンウィークはいかがお過ごしだったでしょうか?


 私自身、なかなかブログを書く時間が取れないため、基本的に記事は数週間前に書いたものを予約投稿しておりますので、時事ネタはなかなか解説できずに申し訳ございませんm(__)m


 もしかすると、世の中的に大きな動きとかあってるのかもしれないですけど、空気を読まずに久々にじっくりと読書解説を書いてみようと思います(笑)。


 今回、取り上げますのは以前(かなり前です(^_^;))、ソウルメイトさんにコメント欄でご紹介いただきました、ケン・ウィルバー氏の『無境界』(吉福伸逸訳/平川出版社)でございます。


 ちなみにこの本はサブタイトルが「自己成長のセラピー論」となっております。著者のケン・ウィルバー氏はトランスパーソナル心理学の代表的な論客だそうですが、本書はその一般向けの入門書ということになります。


 予備知識がほとんどないうえに、読みながら記事を書いているので、めちゃくちゃな解説になっているかもしれませんが、御了承ください(^_^;)

 詳しく知りたい方は本書をお読みいただければよいかと思います。


 本書はコチラ↓

無境界―自己成長のセラピー論

ケン・ウィルバー (著), 吉福 伸逸 (翻訳)

http://www.amazon.co.jp/dp/4892031143/


 それでは、さっそくまとめていきたいと思います。


1. 序論/わたしは誰か?


 わたしは誰か?


 わたしはわたしです。って言っちゃうと話が終わってしまいますが(笑)、わたしっていったい何なんでしょう。


 と考えてしまうのが、実は落とし穴だったりします。


 わたしとは何かを考えるときに普通の人は「どこからどこまでが自己で、どこから先が自己ではないのか」ということを考えがちになります。


 つまり、自己と非自己の間に境界線を引こうというのですね。


 ある人は皮膚の内側が自己で、その外側が非自己と言い、
 ある人は自我(意識)が自己で、その外側(手とか足とかはこっちですね)が非自己と言い、
 ある人はペルソナ(仮面)が自己で、影(自分自身の好ましくない面)は非自己と言ったりします。


 このようにアイデンティティというものには様々なレベルにおいて自己と非自己の間に境界が設けられているのです。色んな種類の心理療法や宗教的考え方などは、それぞれの内容は矛盾しているかのように思われますが、マクロ的な視点で見ると、対応している意識のレベルが違うというだけで、実際には矛盾はしていないようです。


 自己の領域を有機体(自分の身体)よりも外側へ広げたレベルトランスパーソナルと言われる領域で、これをさらに究極まで拡大し、 「宇宙全体が自己である」(つまり、自己と非自己の境界がない)という極地まで達したところにあるのが「宇宙意識」とか「至高のアイデンティティ」とか「統一意識」というものなのだと。


 話を戻しますが、境界線を引くということは、その内外で対立を生むことを意味します。
 
 そして、境界線の数だけ戦線が存在し、敵が存在するということ。この作りだされた敵が、色んな「(心理学的)症状」を引き起こすということらしいです。


 というわけで、次章からは先ほど述べた「統一意識」に関する話になるようです。


2. 一半


 人生はすべて対立でできていると。


 例として、上下、内外、高低、長短、善悪、生死、苦楽etc.


 でも、こんなことを気にしているのは人間だけで、自然や他の動物はこれらを「対立」だと思っていないのだと。レベルが低くて「対立」を認識できないのではなく、高度なレベルにあるから、「対立」を認識しないようです。確かに人間(に限りませんが)の身体はメチャクチャ精巧にできています。それこそ人間の意識をはるかに凌駕するシステムを備えているのです。


 さて、この対立はいかにして生まれるのか?


 それは境界線を引くことによって生まれるのです。(内側と外側の分離は円を書くことによって生まれますが、円を書く前には内側と外側の区別はありません。)


 人間は物事を認識するとき、何でも分類しようとします。

 「あれはリンゴだ。」と言った時に、いくつもの境界線(「赤い」とか「果物」とか「丸い」とか)の存在の上にリンゴというものが何であるか特定されます。


 ただし、境界線を引き続けるうちに、善vs悪、成功vs失敗、快楽vs苦痛などのお互い相容れなさそうな対立に出くわします。


 そして、一方を追い求めれば追い求める程に他方に対する不安や恐怖が強くなってしまい、かえって苦しみを生むことになってしまうというパラドックス。


 では、悪、失敗、苦痛などを根絶やしにすればハッピーになるのでしょうか?


 しかし、実際には悪、失敗、苦痛が存在しなければ善、成功、快楽を認識することはできません。これらは両者とも不可分な存在なのです。お互い相容れないものであると見せかけて、両者は互いに依存するものだったというわけですね。


 つまり、これらのどちらか一方だけを追い求めようとするのは無意味というわけです。


 赤字黒字にしたってそうです。黒字には赤字の存在が必須です。ということは黒字のみを追い求めること自体が間違いだと言えるでしょう。民間も政府も黒字を追い求めようとするから問題なのです(よって、政府は赤字で構いません(^-^)/)。


 境界線の話に話を戻すと、これらの間に両者を分ける境界線が実在するという思い込み自体が間違っているということなのかもしれませんね。


 じゃあ、海岸線とかは海と陸との境界線ではないのか? 
 
 ここで、面白いなと感じたのがこの発想で、海岸線は海と陸を分ける線ではない、海と陸とをつなぐ線だと。ということは皮膚も外界と体内を隔てる境界ではなく、外界と体内を結ぶものと考えた方がよいのかもしれません。


 境界線によって世界を二つに分けてしまうと、本当は世界は一つしかないのに、自分の居場所を認識できなくなってしまうんだと。対立を分離させるのではなく、相反するものの調和が究極的には重要なようですね。


 そう言えば、正反対の性質を持つものの統合に関しては以前、こちらのエントリーでも触れました。


『分析心理学』・Lecture4
http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11950640778.html


 このことに関しては様々な宗教書などにも似たようなことが記されているようです。


 そもそもあらゆる対立は「幻の境界」によって生み出されたのだということです。


 それでは、境界が幻であるということを認識するに至った場合、「進歩」はどうなるのでしょうか?人類は進歩しなくなるのでしょうか?


 ウィルバー氏によれば進歩(医療、農業、テクノロジーetc.)自体はなくならないが、進歩への衝動はなくなるだろう。そして、進歩すれば幸せになるという幻想は抱かずに済むようになるだろうと述べております。進歩を追い求める姿勢は現状への不満や焦燥につながりますからね。また、進歩によって失われるものもあるでしょうし(;^_^A


 それにしても、国境や国籍といった境界線も幻ということなんでしょうか?


 これらは対立を生むための分ける線ではなく、国と国とを結ぶ線と考えればいいんですかね?


 グローバリズムナショナリズムの対立を考えると、グローバリズムのみを追い求めるのは間違いのような気もしますし。逆もまたしかり。

 やはり、インターナショナリズム的なところが落としどころになりそうですね(;^_^A


 というか、境界線は幻とするなら、グローバリズムとは幻を破壊しようという行為か??


 どうりで不毛なわけだ(`×´) 


 まぁ、これは余談でした。


 というわけで、今回はここまで。次回も引き続き「統一意識」に関する話だろうと思います(まだこの記事を書いている時点では読んでませんが)。


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