『分析心理学』・Lecture4 | くらえもんの気ままに独り言

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 今回も引き続きカール・グスタフ・ユング氏の『分析心理学』を取り上げたいと思います。


前回までの内容はコチラ

『分析心理学』

Lecture1 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11944828373.html

Lecture2 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11944889018.html

Lecture3 http://ameblo.jp/claemonstar/entry-11950612967.html


 ユング氏の講義も残すところあと2回。今回はいったいどのような話なのでしょうか。


 前回の講義の最後のところで普遍的無意識に関する話が出てきました。この領域に属する人類共通のイメージが元型と呼ばれるものであることは以前話しましたが、今回はこの元型の話から始まるようです。


 病気は個人のものだと思われることが多いのですが、治療を続けていくとその終わりの方になると、この症状は私だけにあるものではなく人類共通のものなのだと気付くようです。


 たとえば息苦しいという症状が「私だけが息苦しいという症状を持っている」と思うのと「人類はみな息苦しいという症状を持っている」と思うのでは精神的負担が全然違いますでしょう(^ε^)


 ユング氏はここでギルガメシュ叙事詩をはじめとした神話や古代の夢分析の話を繰り広げていきます。


 何にせよ普遍的無意識を理解するには個人の意識だけでは不可能であり、幅広い神話などの知識の助けが必要となってくるのです。


 ちなみに夢分析によって個人的無意識を分析するには前回述べたようにその人その人の心理的背景を重視しなければ誤読してしまうのですが、こと普遍的無意識に関しては人類に共通するものなので、一つの夢だけでの分析も可能なようです。(だからといって解釈は個人的無意識以上に非常に困難ですし、それに関する神話的知識を持たなければ意味不明な記号に過ぎないわけですが・・・。)


 神話的な内容の夢を見る人というのはそんなに多くないですし、見ても注意を払っていない限りスルーされそうですが、古代ではかなり重要視されていたようです。


 ユング氏はここで神話的な夢を見たという若者の話を始めます。彼はスペインへの旅行後、抑うつ状態でユング氏の同僚のクリニックへ入院し、症状はよくなって退院したのですが、その数カ月後に自殺したとのことでした。彼のみた神話的な夢はクリニックに入った後に見た夢のようです。


 夢の詳細を書くのは大変なので、具体的な内容が知りたい方は本書をお読みいただければよいのですが、彼が見た夢は元型的なイメージであふれていたようです(密儀、ヘビ、泉、宝物・・・)。


 この元型的なイメージというものが表すもの。世界中に散らばる神話を総合すると、正反対の性質をもつもの(光と闇、男と女、創造と破壊、過去と未来etc.)の統合を象徴しているようです。


 バラバラになったものを統合する神の領域。それが、無意識の世界の最深層にある普遍的無意識と呼ばれる領域ということなのでしょうか。その領域へ到達することによって治癒というものが可能になるのです。


 しかし、その領域へアクセスするには数々の神話が教えるように(キリストの例が分かりやすいでしょうか)、死という門をくぐり抜けなければならないということなのでしょうか。彼は普遍的無意識にアクセスしたため自らの意思で死を選んだというのでしょうか。


 よく分かりませんでしたが、核心に触れる前に講義は終了してしまいました(;^_^A


 今回はかなり内容を省略してしまったので、質疑応答に関する内容も少し紹介したいと思います。


 心理学にはさまざまな種類がありますが、ユング氏にはユング氏なりの心理学しか扱えないと。もし他の考え方を取り入れようとすると神経症を起こしてしまうと。そして、患者さんにはそれぞれにあった心理学があってユング氏には合わないという患者さんもいるだろうということでした。


 国の借金とやらに問題がないということが事実であれ、そうではないとかたくなに信じ込んでいる人に無理矢理あの手この手で国の借金には問題ないということを植え付けようとすると神経症を発症してしまうかもしれませんね(;^_^A


 あとは不道徳なことをやっていて、そのことを悪いと思っていない男が、そのせいで強迫神経症に冒されているという話もありました。無意識は悪いことをしたなぁって思っていたのかもですね。


 それから、治療者は患者に自分の意志や信念を押し付けてはならないということも。患者の選択の自由を奪ってしまったら、彼は人間として生きていくことができなくなってしまいますからね。


 「聞こうとする人だけが分かるのであって、分かろうとしない人は聞こうとはしないものです。(P215)」


 素晴らしいことを言ったとしても、正しいことを言ったとしても、相手が聞こうとしないならそれを分からせること不可能ですし、分からせるべきではないということですね。いやぁ、耳の痛い話です(;^_^A これって、カウンセリングの場面だけでなく家庭や仕事の場面でも大事な考え方かもですね。


 というわけで、今回はこれまで。次回が最終回です。


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