ここが元祖の店!「ういろう」の皮を使った、春が恋しい時季の限定和菓子…小田原「お散歩評定」15
皆さんは和菓子の「ういろう」と聞くと、名古屋を真っ先に思い浮かべる人も多いのではないかと思いますが、、、
実は600年前に朝廷に仕え、その後5代目の時に北条時代の小田原に来住した東海道沿いにある老舗薬店「外郎(ういろう)家」が発祥のようですよ!
※要は、本業は「薬屋」さんだけど、元々は薬を買いに来たお客さんの接待用に作って、商談の間にお茶とともに無料で出していたお菓子が起源ということみたいです♪
江戸時代における統制の間に、西日本で製法が広まり「類似品」が各地で販売されるようになりますが、明治時代から現在に至るまで、今回ご紹介する神奈川県小田原市の「外郎家」が唯一占有している登録商標なのだとの事。
今回は、ういろう本店に併設されているカフェで頂いた、真冬の寒さの中で暖かい春を待ち焦がれる今の時季のイメージに合わせた、「ういろうの皮」を使った春小袖という上生菓子をメインにご紹介いたします。
外郎(ういろう)は、神奈川県小田原市の外郎家で作られている大衆薬の一種で、現在も外郎家直営の薬局で市販されているが、購入には専門の薬剤師との相談が必要。
本店は、東海道沿いの現在は小田原箱根商工会議所として利用されている旧メガネスーパー本社ビルの向かいにある(神奈川県小田原市本町1-13-17)。
薬の「外郎」は、仁丹と良く似た形状・原料で、現在では口中清涼・消臭等に使用され、正しくは透頂香(とんちんこう)と言い、中国において王の被る冠にまとわりつく汗臭さを打ち消すためにこの薬が用いられたのが由来なのだそうです。
後北条家滅亡後も、豊臣家や江戸幕府においても保護がなされ、苗字帯刀が許され、現在に続いています(なお、元々の中国から入ってきたという京都の外郎家は断絶)。
春小袖
オーダーしたのは上生菓子とコーヒーのセット(600円+税)。
2021年1月限定メニューの中から、真冬の寒さの中で暖かい春を待ち焦がれる今の時季のイメージに合わせた、「ういろうの皮」を使った春小袖という上生菓子を選びました。
「お菓子のういろう」は米粉、餅粉、砂糖などで造られた上品かつ淡泊で素朴な見映えの、栄養価の高い胃腸にマイルドなお菓子で、祝宴や御茶席だけでなく、お子様向けや御産婦にも喜ばれそうな逸品。
今回頂いた「春小袖」というお菓子は、ワンポイントアクセントの柚子が入っている?のが効いていて、やさしい甘さとサッパリ後味がクセになりそうな秀作でした。
歴史と伝統に胡座をかくことなく、常に新しい時代に合わせて進化し続けていく力強い意欲が感じ取れましたね♪
器には、東海道を往来する人々の姿が描かれていました。
八ツ棟造り
外郎家は、最初(600年前)に京都で仕えた朝廷から十六の菊の紋と、五七の桐の紋を与えられていました。
5代目が小田原に来住して初めて八ツ棟造りの建物を建てた際には、天皇よりお祝いの言葉を賜ったそうです。
このため、八ツ棟は壊れると建て直すのが代々の遺言となり、約73年周期で起きるとされている小田原地震で被害が出る度に修復しながら現在に至るのだとの事。
北条早雲の時代から、まるで城郭の一部のような八ツ棟造りはこうして現代に継承され、外郎を売る店舗も、唐破風造りの独特の構造が広告塔代わりになったのであります。
唐破風造りの店舗は明治以降も存続したが、関東大震災の際に倒壊。
(現在は、鉄骨鉄筋コンクリート工法により再建)
「ういろう」は江戸時代には去痰をはじめとして万能薬として知られ、東海道小田原宿名物として様々な書物やメディアに登場しました。
『東海道中膝栗毛』では、喜多さんが菓子のういろうと勘違いして薬の外郎を食べてしまうという話があります。
歌舞伎十八番の1つで、早口言葉にもなっている「外郎売」は、曾我十郎祐成が外郎売りのせりふを物真似したものなのだそうですよ。
なお、繰り返しとなりますが、
和菓子の外郎(ういろう)は、江戸時代以前は、小田原の外郎家においては来客用の菓子であり、実際に市販されたのは明治時代からなのだそうです。
*本ブログ内関連過去記事
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旧東海道/小田原宿
「そば東喜庵」現況(神奈川県小田原市本町1丁目)
*本ブログ管理者自ら現地へ出向き2008.8.31撮影
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隣接地と低層部の意匠や階高などを協調させるとともに、
建築物の意匠と調和した軒や庇、日よけテント
又はこれにかわるものを設置するなどして、良好な街並みを形成している事例。
(下記②、③に該当・・・・・・↓)
小田原市本町・南町地区「景観形成の方針」
(建築物・工作物の形態意匠編/抜粋)
↓
①低層建築物は、勾配屋根(平入り)形状とする。
②建築物や工作物は、形態やファサードを統一する。
③低層部は、賑わいのある空間の創出や街並みの連続性を確保する。
④窓などの開口部には、広告物などを表示または掲出しない。
⑤主要交差点に面する敷地は、シンボル樹木の植栽などで個性的なまちかどを演出。
⑥建築物に付属する立体駐車場は、建築物と同様の外壁の仕上げを施す。
⑦単独の駐車場で外壁がないものは、接道部(駐車場の出入り口を除く)および敷地周辺を樹木により緑化を図るなど、構造物の露出を避けるとともに、潤いの感じられる景観を形成する。
⑧1階の軒や庇の上部に商店の顔となるような壁面広告物を設置する。
(生業=「なりわい」や、歴史が息づくまちなみを形成する)
⑨天守閣への良好な眺望を確保する。
出典:小田原市景観計画・景観形成基準(平成20年8月・神奈川県小田原市)
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旧東海道/小田原宿
「そば東喜庵」付近現況(神奈川県小田原市本町1丁目)
*本ブログ管理者自ら現地へ出向き2008.8.31撮影
いかがでしたか?
今回は、神奈川県小田原市の名物である、東海道沿いの八ツ棟造りの建物が目を引く、薬と和菓子の「ういろう」に併設されたカフェをメインにご紹介いたしました。
まだまだ朝晩は寒いですが、気分だけは春爛漫に浸れそうな逸品を頂くことができましたよ。
ういろうと言えば名古屋や関西のイメージですが、実は小田原が元祖という事が、お店から頂いたパンフレット類からよくわかりました。
皆さんも是非とも、小田原の東海道(国道1号線)沿いをお散歩する際には、「ういろう」のカフェにも立ち寄って、歴史を紐解きながら和菓子を頂きお茶してみてはいかがでしょうか?