銀二貫 ~第1章「仇討ち買い」~ | 北浜・西天満で働く弁護士のブログ

銀二貫 ~第1章「仇討ち買い」~

1月21日ブログ「銀二貫 ~序章~

2月1日ブログ「銀二貫 ~序章②~


【あらすじ】

大阪天満の寒天屋問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴乃輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。

高田郁(かおる)著/銀二貫/株式会社幻冬舎発行/2010年8月発行」裏表紙より。


青色部分が第1章のあらすじ。

第1章は「仇討ち買い」


和助は、なぜ、天満宮再建のための大金を使ってまで、松吉(鶴之輔)を救ったのか?

それは本を最後まで読んでいただけたら。

でも、和助が銀二貫で松吉を救った場面を読んで、「子供は神様の使い!? 」(1月23日ブログ)の話を、しみじみと思い出してしまいました。



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2月3日、大阪天満宮境内に飾られている子供達の書初め


和助は、天満宮再建に寄進するため、銀二貫を集めることができるのか?

そこら辺りを書評すると、この本を読む楽しさが全くなくなるので割愛します。



ところで、この本を読むと、江戸時代にココに住んでいた人々の暮らしぶりが、少しは分かった気がします。



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1月2日ブログ「正月から働く男達 」より。天満橋から大川を望む。


店からは天満橋の方が近いが、天満橋を渡りきったところには東町奉行所が控える。そこから東側に広がるのは大坂城。自然、天満橋には武士の往来も多い。淀川の闕所(けっしょ)以後、侍とかかわるとろくなことはない、と考える大坂の商人は少なくなく、…。

高田郁(かおる)著/銀二貫/株式会社幻冬舎発行/2010年8月発行」30頁。



なるほど、天満橋を南に渡って真っ直ぐ歩くと大阪城方面。刀を差した武士がウロウロしていたんでしょうね。


現代でいえば、ナイフを持った人間が徘徊しているようなもの。

普通の市民は歩きたくないです…。


今は誰もが大手を振って歩ける。幸せな時代です。



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「天神橋」北側


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「天神橋」より東、「天満橋」方面を望む。


和助は苦笑しながら、指したゆびを天神橋から真っ直ぐ北向きに戻す。

「ここを真っ直ぐ抜けたところに天満天神社があるんや。地元の人間は『天満の天神さん』いうて気安うに呼ばしてもろてる。この天神橋は今でこそ公儀橋やけんど、もとはあの天満宮が管理してはったんやで。せやから天神さんの橋で、『天神橋』なんや」

高田郁(かおる)著/銀二貫/株式会社幻冬舎発行/2010年8月発行」30頁。



確かに、天神橋の北側、徒歩2、3分のところに「大阪天満宮」があります。(1月3日ブログ「天満の天神さん 」)

現在の「天満橋(てんまばし)」、「天神橋(てんじんばし)」、「難波橋(なにわばし)」のうち、

「天神橋」が、一番印象に残らない橋だったのですが、まさか大阪の町民にとって、そんなに神聖な橋だったとは…。


ちなみに、「天神橋」と「難波橋」との位置関係は、下記ホームページ内の動画が分かりやすいです。



中之島公園 、(財)大阪市スポーツ・みどり振興協会作成

トップページ>中之島公園



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如月(=2月)1日、午前6時30分頃撮影。「天神橋」より東、「天満橋」方面を望む。


同年、如月(きさらぎ)

(省略)

弓形(ゆみなり)に反った天神橋が、大川に架かっている。その反り、一丈四尺あまり。勾配のきつい橋は、袂から見るとそのまま天(そら)に続いているようだ。杖を頼りに勾配をのぼる、長い長い天神橋の中ほど、最も天に近い場所まで来た時、和助は立ち止まって東天に目を転じた。明け六つ(午前六時)過ぎ、お天道(てんとう)様が丁度、顔を出すところだった。和助は杖を脇に挟むと、日の出に向かって両の手を合わせる。橋の上のあちこちで皆、同じように立ち止まってお天道さまに手を合わせて頭を垂れていた。決して長い時間ではないが、その日の安全と商売の繁盛を祈る。こうして大坂の町の一日は始まるのであった。

高田郁(かおる)著/銀二貫/株式会社幻冬舎発行/2010年8月発行」25~26頁。


大坂の人々は、大阪天満宮だけでなく、天神橋、そして日の出に向かっても祈りを捧げていたのですね。


侍の歩く天満橋は怖くて避けるけど。

さりとて、お侍さんが世の中を治めているのが現実であり、自分達ではどうにもならない。

天下泰平のために、少し離れた天神橋から、世を治める大坂城の武士達に対しても祈りを捧げていたのかも。


今は平たんで楽にはなったが、味気ない橋になり…。

何も考えずに速足で通り過ぎていましたが。


ちょっとだけ、ゆっくり歩いてみようか。


「天神橋」の渡り方、大阪の歩き方。

これからは少し変わりそうです。




【関連ブログ】

1月21日ブログ「銀二貫 ~序章~

2月1日ブログ「銀二貫 ~序章②~

2月4日ブログ「銀二貫 ~第2章「商人の矜持」①~

2月6日ブログ「銀二貫 ~第2章「商人の矜持」②~

2月7日ブログ「銀二貫 ~第3章「真帆」~

2月10日ブログ「銀二貫 ~第4章「同月同日の大火」~

2月13日ブログ「銀二貫 ~第5章「再会」~

2月17日ブログ「銀二貫 ~ 第6章-第10章 ①~

2月17日ブログ「銀二貫 ~ 第6章-第10章 ②~

2月20日ブログ「銀二貫 ~最終章「銀二貫」~