<WOWOWサッカーゼロ通信09/06/05

 マヌエル・ペジェグリーニ、55歳。恐らくチリのサッカー史上、最大の成功者として後世に語られる人物だ。「R・マドリード新監督記者会見」、その席に彼の姿はあった。

 チリのサッカーは独自性に富んでいる。歴史に残る世界的名手は誕生していない。それでもW杯やワールドユースの3位入賞という輝かしい実績は、全員サッカーを実践するための戦術理解度や機動力、運動量に優れていることを裏付ける。

 そんなチリが生んだ〝最大の著名人〟ペジェグリーニ。自身も地元の名門クラブで現役時代を過ごし、引退後はU-20チリ代表や、アルゼンチンの名門リーベル・プレートで指導者として鳴らしてきた。そして掴んだ最初の欧州挑戦が、当時、新進気鋭の新興クラブだったビジャレアルである。

 ビジャレアルでの5年間、彼は〝2つのチーム〟を率いている。一つは、サッカー界随一の問題児として名高いリケルメを中心としたチーム。リケルメは、現代サッカーの近代化に取り残された古典的な司令塔だった。しかし、ペジェグリーニはその稀代の才能を信じ、リケルメのためにその他10人をサポート役に配す。そして見事、CL4強という快挙を成し遂げた。

 一方で、リケルメの退団が決まると、すぐに別のチームを創り上げた。今度は固定の司令塔を置かず、全員でボールを保持し、魅惑の攻撃サッカーを展開してみせたのだ。そのサッカーも実を結び、今季もCL8強を達成している。

 全く別の顔を持つ2つのサッカー。これはペジェグリーニが、「戦術ありき」ではなく、「選手ありき」のサッカーを実践していることを意味する。

 チリという高度戦術国家が生んだ名将ペジェグリーニ。100億円以上とも言われるR・マドリードの補強費をどう使い、どう采配するのか。今から興味は尽きない。

Star File 339 マスード・ショジャエイ イラン/オサスナ/ FW パワ:3 スピ:3 テク:4 パス:2 芸術:4 男前:4 一言:中東の未来


サッカーゼロ通信

<WOWOWサッカーゼロ通信09/06/12

 ちょうどこの原稿を書いている最中に、そのニュースは飛び込んできた。『R・マドリード、8000万ポンド(128億円)でC・ロナウドと直接交渉』と。マンチェスターUが先に発表し、R・マドリードがそれに続いた。

推測するに、これはマンUが仕掛けた駆け引きだ。「この金額なら我々はロナウドを放出します」という宣言は、「これ以上、値下げはない」というレアルへの強いメッセージであり、同時にサポーターを納得させる手段でもある。強調するが、8000万ポンドはサッカー界の常識を超えている。

 カカー、ロナウドの獲得に費やした移籍金は、実に217億円。恐らくこれにビジャ獲得資金52億円が加算されるとして、さあ、来季のR・マドリードを占ってみよう。

 ポイントはロナウドのポジションだ。クラシコやCLなど、強豪との対戦を考えた時に、その守備意識の低さは致命傷。ここはファーガソン同様、彼の攻撃力を最大限活かすべく、FWでの起用が濃厚だ。

 とは言え、本職でない彼の1トップは不自然で、その相棒にはビジャかラウール、イグアインが務めることになる。2トップの場合、中盤は4枚ボックス型で、セレソン同様、カカーを左MFに配し、その逆サイドをロッベンとイグアインが競う。

 2ボランチは引き続きガゴとラサナ・ディアラで、前者がスナイデルと、後者はマアマドゥ・ディアラと、それぞれ鎬を削る。現状DFラインは、右からセルヒオ・ラモス、ガライ、ペペ、エインセ、GKカシージャスといった具合。ただし、センターバックの補強は急務だ。

 早くも〝新銀河系軍団〟と化したレアルだが、ファン・ニステルローイなど現有戦力の売却も軽視できない。いずれにせよ、この夏の市場はR・マドリード主導で展開されることとなる。

Star File 340 アルテム・ミレフスキー ウクライナ/ディナモ・キエフ/FW パワ:3 スピ:2 テク:3 パス:3 芸術:5 男前:5 一言:イケメンNo.1


サッカーゼロ通信

<WOWOWサッカーゼロ通信09/06/22

 日本代表が参加していないせいか、現在開催中のコンフェデレーションズカップは、殆ど国内では報道されていない。唯一、放送権を持つフジテレビだけが盛り上げようとしているが、如何せん単独での報道には限度がある。

 通称〝プレ・W杯〟。4年に一度、W杯の前年に、本大会と同じ会場で開催される。出場権は各大陸王者に与えられ、今大会はEURO2008優勝のスペインや、コパ・アメリカの覇者ブラジル、アジアカップ制覇のイラクなどが、現・世界王者のイタリア(2006W杯優勝)を交え激突している。

 フェルナンド・トーレス、ビジャ、シャビ、セスク、プジョル、カシージャス…。今や世界最強となったスペイン代表も、イニエスタなど極一部を除きベストの布陣である。一方もう一つの優勝候補ブラジルも、ロナウジーニョが戦術的理由により外れているだけで、カカやロビーニョなど、ドゥンガ監督が考える理想のメンバーを招集している。それはリッピ監督率いるイタリア代表にも同じことが言えるだろう。まさに豪華絢爛、スターの競演…といったところか。

 しかし、これまでの試合を観る限り、それは的外れな表現だ。アジア代表イラク、オセアニア代表ニュージーランド、北中米カリブ代表アメリカ、そして開催国の南アフリカは、戦力値で劣るとは言え、余りにも消極的な試合内容で観衆を飽きさせている。唯一、アフリカ代表のエジプトだけが、特有の個人技と旺盛な闘争心で、ファンの心を掴んだのが救いだろう。

各大陸王者が集うプレ・W杯。しかしその出場規定が、大会全体の試合内容を低下させているのは皮肉なことだ。また、この各国間の戦力差は、そのまま各大陸間の差でもある。我々日本人も、アジア予選ばかりに目を向けている場合ではないようだ。

Star File 341 スティーヴン・ピーナール 南アフリカ/エバートン/MF パワ:3 スピ:3 テク:4 パス:3 芸術:4 男前:4 一言:南アの星


サッカーゼロ通信

<WOWOWサッカーゼロ通信09/10/09>

リーガ第6節、バルセロナ対アルメリアは、近年稀に見る〝摩訶不思議〟な試合となった。

アルメリアのウーゴ・サンチェス監督は、本来センターバックのチコ、サイドMFのフアンマ・オルティスを中盤センターに配し、バルセロナのキーマン、シャビ&イニエスタにマンマークを付けてきた。90分間通して所謂〝すっぽんマーク〟を敢行したアルメリア。試合後のシャビの発言は興味深い。

「正直驚いた。これほど執拗なマークは人生で初めて。少し狂気染みていて、強迫観念に駆られているようだった。相手ボールの時や、僕がCKを蹴りに行く時にも付いてきたからね。監督は僕にサイドに開くよう指示をした。メッシやブスケツに空間が生まれるからね。つまり実質、僕は蚊帳の外だった訳で、正直良い気はしないよ。ただ僕等はこういう試合に慣れていく必要がある。でもこれほど守備に徹するサッカーは残念だね。」最近良く聞く『アンチフットボール』というフレーズ。今回はまさに典型と言える。

だが、私はそうは思わない。バルセロナの年間予算は約513億円。一方のアルメリアは約37億円の中小クラブに他ならない。バルセロナの僅か7%しか予算を持たないアルメリアが、生き抜く(残留する)ために知恵を絞って何が悪いのか。

昨季のCL準決勝、チェルシーを率いたヒディンク監督は、何の躊躇もなくバルサの中盤シャビ、イニエスタ、トゥーレ・ヤヤに対し、ミケル、バラック、ランパード3選手をマンマークで対峙させた。何と豪華な〝すっぽん〟だろう。しかしヒディンクは、勝つための最善の策としてこの戦術を採用した。

リーガで5度の得点王に輝いた英雄ウーゴ・サンチェスが、誇りや名声以上にバルサ相手のスコアレス・ドローを求めたのであれば、彼の選択を揶揄することは出来ない。

Star File 357 ムサ・デンベレ ベルギー/AZ/FW パワ:3 スピ:4 テク:4 パス:2 芸術:3 男前:4 一言:ベルギーの宝


サッカーゼロ通信

<WOWOWサッカーゼロ通信09/06/26

 イタリア代表の敗退が決まった。コンフェデレーションズカップの準決勝に、現・世界王者の姿はなかった。

 今大会の中心選手を列記してみよう。システムは4-3-3で、GKブッフォン(31歳)、DFザンブロッタ(32歳)、カンナヴァーロ(35歳)、キエッリーニ(24歳)、グロッソ(31歳)、MFデ・ロッシ(25歳)、ガットゥーゾ(31歳)、ピルロ(30歳)、FWカモラネージ(32歳)、ジラルディーノ(26歳)、ヤクインタ(29歳)が基本布陣だ。30代が7人…高齢化は明白だ。

 中にはアメリカ戦で2得点を記録したFWジュゼッペ・ロッシ(22歳)や、ブラジル戦で先発したMFモントリーヴォ(24歳)など、期待の若手もなくはないが、如何せん世代交代で後手を踏んでいる印象は否めない。

 主将カンナヴァーロの敗退後のコメントは興味深い。「バッジョ、デル・ピエーロ、トッティのような存在がいない状況では、チームの再構築は不可欠だ」。〝バッジョ、デル・ピエーロ、トッティのような存在〟とは、つまり独力で難局を打破できる『ファンタジスタ』を指し示す。

 思い返せば過去、イタリア代表には常に『ファンタジスタ』が存在した。古くはジャンニ・リベラ、70年代はアントニョーニ、80年代はジャンニーニが君臨。そして90年以降はバッジョかゾラか、デル・ピエーロかトッティか…など、「ファンタジスタ論争」すら巻き起こったほどだ。

 堅い守備を評して『カテナチオ』と呼ばれるイタリア代表は、昔から1人の『ファンタジスタ』と10人の選手たちで戦ってきた。カッサーノかジョヴィンコか…いずれにせよ、今、イタリア代表を救えるのは、やはり『ファンタジスタ』だけなのかも知れない。

Star File 342 ホセ・アンドレス・グアルダード メキシコ/デポルティーボ/MF パワ:2 スピ:5 テク:4 パス:3 芸術:4 男前:3 一言:メキシコの至宝


サッカーゼロ通信

<WOWOWサッカーゼロ通信09/07/03

 08-09シーズン、エスパニョールは全38試合で僅か49失点しか許していない。これは20チーム中6番目に優秀な成績で、あのR・マドリードやビジャレアル、バレンシアよりも堅守であったことを示している。

 中村俊輔が移籍を果たしたエスパニョールとは、そのようなクラブである。故に課題は明白。如何に得点を奪うか…これが来季のテーマだ。

 今日現在、新加入選手は中村の他にイスラエル代表FWベン・サハル、前デポルティーボMFベルドゥのみ。主将タムードの去就が不透明だが、現在考えうる範囲でメンバーを予想してみよう。

 堅守を支えたGKカメニ(カメルーン代表)、CBパレハ(アルゼンチン代表)、ハルケは健在。今季躍進を果たした右SBセルヒオ・サンチェス、〝エスパニョールのマルディーニ〟ことダビド・ガルシアの左SBも固いだろう。

 ポチェッティーノ監督の好みは4-2-3-1であり、中盤センターはデ・ラ・ペーニャとモイセースが組むはずだ。トップ下は中村かベルドゥ、もしくはルイス・ガルシア(スペイン代表)。いずれにせよこの3名がトップ下、右MF、左MF3つのポジションを流動的に動き回りそうだ。1トップはタムードかイバン・アロンソ、もしくはベン・サハルが争う。

 ただし、アウェイの場合はデ・ラ・ペーニャをトップ下に上げ、もう1枚守備的MF(例えばロマン・マルティネス)を加えるケースも増えるだろう。

 ともあれ、中村、デ・ラ・ペーニャ、ベルドゥと、彼ら司令塔タイプが共に機能すれば、ボール支配率は上がり、面白いチームとなりそうな予感はある。元々守備は良いだけに、後はボールをゴールに流し込むFW次第といったところか。新スタジアム元年で意気揚々と補強を進める幹部の期待は、殊の他大きいに違いない。

Star File 343 ダニエル・ハルケ スペイン/エスパニョール/DF パワ:3 スピ:2 テク:2 パス:2 芸術:3 男前:5 一言:若頭 ※2009年8月8日、ハルケ選手は心臓発作のためチームの遠征先イタリアで亡くなりました。享年26歳。心よりご冥福をお祈りします。

サッカーゼロ通信

<WOWOWサッカーゼロ通信09/07/10

カリム・ベンゼマ、21歳。R・マドリードが48億円を支払って獲得したストライカーだ。C・ロナウド、カカーには及ばない金額だが、これでもサッカー史に残る高額移籍なのである。

専門家によっては「R・マドリードが今季獲得した選手の中で、最も実質的」と評する者もいる。ファン・ニステルローイ、ラウールと、前線の高齢化が否めない現有戦力で、確かに21歳という若さは魅力的だ。

10代の頃から〝ジダン2世〟と期待されてきた。同じベルベル系アルジェリア人をルーツに持ち、ともにフランス代表を選んだ経緯もある。ベンゼマが10代後半でリヨンのレギュラーを務めることになった時、アルジェリア代表入りを強く打診されていたことは有名な話。両親の母国か、生まれ育った故郷か…彼の選択は「アンリ、トレゼゲ、アネルカへの挑戦状」だった。

182cmという身体はFWにとって理想的だ。パワーとスピードを兼備でき、小回りの利くサイズでもある。右足、左足、頭…全てのゴールチャンスで最善の選択を可能とし、研ぎ澄まされた得点感覚も有している。FWとしては極めて『完成形』に近い選手と言えるだろう。

前途は決して容易ではない。C・ロナウドのFW起用が濃厚な中、残された1枠を巡り主将ラウール、元エースのファン・ニステルローイ、昨季の主軸イグアイン等とポジションを争うのだ。

カカー、C・ロナウドに続く〝第3の男〟が、いつの日か〝レアルの象徴〟へ…。8月末から開幕するリーガの道程は、ベンゼマの挑戦の道程でもある。

Star File 344 カリム・ベンゼマ フランス/R・マドリード/FW パワ:3 スピ:4 テク:4 パス:3 芸術:3 男前:3 一言:坊主


サッカーゼロ通信

<WOWOWサッカーゼロ通信09/07/17

今オフシーズンで初めてバルセロナが動いた。マクスウェル、27歳。ブラジル代表に選出された経験はあるが、出場は果たせず未だAキャップはゼロ。一見地味な補強に見えるが、シウヴィーニョ退団後、捜し求めていた念願の左SB獲得だ。

20歳でクルゼイロから強豪アヤックスへ。4年間でオランダ屈指のサイドバックとへ成長を遂げる。2003年にはCLで躍進。当時、イブラヒモヴィッチ、ファン・デル・ファールト、スナイデル、キヴ等、若き才能に溢れていたアヤックスの中でも、マクスウェルの攻守に渡った貢献度は殊の外大きかった。

2006年にインテルへ加入すると、マンチーニ監督のもとでもレギュラーを確保。リーグ3連覇を達成した。しかし迎えた08-09シーズン、モウリーニョ新政権化でインテルの下部組織出身者サントンにポジションを奪われる。〝マルディーニの再来〟と謳われるサントンは、特に守備の局面でマクスウェルを上回っており、この夏、マクスウェルはバルセロナに新天地を求めることになった。

当初、バルセロナの左SB獲得候補は、デポルティーボのフィリペ・ルイスだった。しかし、デポルティーボが提示した18億円という移籍金は、バルセロナ・ラポルタ会長の「法外な金額」というコメントの通り、交渉決裂を余儀なくするものとなった。

結果、実力的に遜色のない(むしろ上回っている)マクスウェルを、僅か6億円で手に入れたバルセロナ。〝新銀河系軍団〟バブルで錯覚しがちだが、世界恐慌とも言われる不景気の中で、地道に〝交渉上手〟なところを見せたバルセロナ。あとはビジャかフォルランかイブラヒモヴィッチか…、いずれにせよ、残る今季の補強費は、最前線のポジションに充てられそうだ。

Star File 345 ゴンサロ・イグアイン アルゼンチン/R・マドリード/FW パワ:4 スピ:4 テク:4 パス:3 芸術:3 男前:4 一言:生き残りを懸けた戦い


サッカーゼロ通信

<WOWOWサッカーゼロ通信09/10/02

強いマルセイユが帰ってきた。1899年創設で、リーグ優勝8回を数えるフランス屈指の人気クラブだ。1993年にはデサイー、フェラー、ボクシッチ等を擁しCLを制覇。水色のユニフォームは、一躍欧州を席巻した。

しかしその後、フロントによるリーグ戦での八百長が発覚。CL覇者としての権威は失われ、制裁として2年間、フランスリーグ2部でのプレーを余儀なくされた。まさに天国から地獄。奈落の底とはこの事だ。

制裁以降、1部に上がるも成績は振るわず、国内No.1クラブの座もリヨンに明け渡す日々。あれから16年、マルセイユは這い上がってきた。2年前のゲレツ監督就任がターニングポイントとなった。リーグでも徐々に順位を上げ、ここ数年は安定してCLの舞台にも登場している。

迎えた今季、失った覇権を取り戻すべく巨額投資を決断。OBであり、国の英雄でもあるデシャンを新監督に、未曾有の補強を決行。エインセ、ディアワラ、ルイス・ゴンサレス、エンビア、モリエンテス…新戦力はいずれも今季の主力となっている。また、ニアングやタイウォといった在籍年数の長い選手にも信頼を寄せ(ニアングは主将に就任)、チームは熟成の時を謳歌しようとしている。

今週行われたCL第2戦、R・マドリードは今季初めてC・ロナウドをFW起用し、サイドの守備に気を張るなど、敬意を持ってマルセイユをホームに迎え入れた。試合は退場者もあり3-0と大差が付いたが、特に前半は試合を支配するなど、マルセイユは確実に善戦した。因縁の地CLは、マルセイユにとって華麗なる復活への道程となるのだろうか。クラブのスローガン〝ゴールへ一直線〟は、まだ色褪せていない。

Star File 356 セサル・アスピリクエタ スペイン/オサスナ/DF パワ:3 スピ:5 テク:3 パス:3 芸術:4 男前:5 一言:右サイドの大器


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<WOWOWサッカーゼロ通信09/09/25

 アルゼンチンが苦しんでいる。今月のW杯予選でブラジル、パラグアイに連敗し、ついにプレーオフ圏内の5位に転落した。残すは来月、ペルー、ウルグアイとの2連戦に勝利する他、道はない。

 全ての元凶は、マラドーナの監督就任から始まった。元々代表監督に対して異常なほどの厳しさを持つアルゼンチン国民は、ビエルサ、ペケルマン、バシーレといった名将たちですら、強烈なバッシングと共に辞任へと誘った。全国民が〝納得する方法〟、この最後の砦がマラドーナだった。

 試合を観る限り、マラドーナに「戦術」はない。彼は自らのカリスマ性と、国民からの絶対的な支持だけを背景に、代表チームを率いた。そして国民もまた、弱小ボリビアに1-6で敗れてもなおマラドーナを支持し続けた。だが、迎えたホームでのブラジル戦、天地は引っ繰り返った。

 アルゼンチン国民による史上初のマラドーナ・バッシング。〝マラドーナ教〟という宗教すら存在する所謂〝神の領域〟マラドーナに対する初めての軋轢。この余波は、『メッシ不要論』や『欧州組のレベル低下論』など、在りもしない論説を生み出し、世界中のメディアを混乱させた。

 まさにカオスだ。W杯優勝2回、時代と共に世界最強とも謳われたその国は、自分たちの置かれた状況を直視できず、一瞬にして地の果てに堕ちて行った。そもそもこの時点で、監督を首にしない国は他にない。そこにはまだ〝神〟への信仰心があるのだろう。言葉では責めても、心では祈請する。矛盾の心理は国中を飲み込み、モラルの低下を引き起こしている。

 アルゼンチンのいないW杯なんて見たくない。メッシのいないW杯なんて考えられない。頑張れ、アルゼンチン。そしてこのカオスを乗り越えろ!

Star File 355 マレク・ハムシク スロバキア/ナポリ/MF パワ:4 スピ:3 テク:4 パス:3 芸術:4 男前:4 一言:スロバキアの革命児、そしてバラックの後継者


SOCCER ZERO INFORMATION