<WOWOWサッカーゼロ通信09/07/24

 エトーか、イブラヒモヴィッチか…。この1週間、バルセロナはその話題で持ち切りだったという。バルセロナがインテルに提示した『エトー&フレブ+60億円』という条件は、つまるところイブラの価値である。仮にエトーの移籍金を50億円、フレブを10億円に設定すると、イブラの獲得資金は実に120億円にも上る。この金額はカカーを上回り、C・ロナウドに肉薄する数字だ。

 しかしバルセロナは実質的には60億円しか出費しない。「軸となるセンターFWは一人で十分。それ以上は不満分子になりうる」というグアルディオラ監督の発言の通り、同じポジションのエトーを追いやり、余剰人員だったフレブの放出先も確保する周到さ。

 レンタルバックのCBエンリケ、6億円の左SBマクスウェル、そして60億円のFWイブラヒモヴィッチ。恐らく今季、バルセロナの補強は打ち止めだろう。しかし、三冠を達成したチームの中でも、最大の得点源だったエトーの放出は、チームに大きな『化学変化』をもたらすに違いない。問題は吉と出るか、凶と出るか、だ。

 グアルディオラはエトーの放出について「直感」と語った。他にもエトーの素行問題や空中戦の弱さなど、幾つか本音はあるだろう。しかし思えば昨年の今頃も、同じようにエトーの移籍問題は存在した。これはもう「二人の相性が悪かった」と言うしかないだろう。

 体格、技術、スター性…。FWとして、イブラは素材的にエトーを大きく上回る。しかし一方で、エトーの前線からのプレスは、間違いなく三冠バルサの戦術の中心だった。それでも「直感」で改革に踏み切ったグアルディオラの決断は、昨年のロナウジーニョやデコのケースと同様、大きな責任とギャンブル性を含んでいる。

Star File 346 ホセ・アントニオ・レジェス スペイン/A・マドリード/FW パワ:3 スピ:4 テク:3 パス:3 芸術:3 男前:2 一言:復活への序章


SOCCER ZERO INFORMATION


<WOWOWサッカーゼロ通信09/07/31

 移籍選手はC・ロナウド、カカー、ベンゼマ、アルビオル、グラネロ、アルベロアの6人。レンタルバックもネグレド、ガライの2人。今季、R・マドリードの新加入選手は実に8名にも上る。

 現有戦力の売却が上手く進まない中、練習では微妙な空気が流れ始めているという。今のところ、誰が残って、誰が去るのか、実に不透明な状況と言えるだろう。

 ゴンサロ・イグアインも不安を抱く選手の一人だ。しかし06-0707-08シーズンの連覇では、奇跡的なゴールを連発しチームの優勝に大きく貢献した。そして昨季、R・マドリードの驚異的な追い上げは、彼の活躍なくして有り得なかった。

 弱冠21歳の若者だが、その才能に疑う余地はない。スピード、テクニック、フィジカルと、それぞれ高次元で兼備している。最近は試合に出ることで、シュート精度も高まっているようだ。しかし特筆すべきはその姿勢。どんな逆境でも決して諦めず、闇雲にゴールを目指すその姿勢は、見る者の魂を揺さぶり、虜にしてしまう。下部組織出身ではないが、ラウールの後継者として『白い巨人』の旗手となりうる人材だ。

 プロ選手だった父がフランスでプレーしていた時に生を享けた。僅か10ヵ月で母国アルゼンチンに帰国するが、その影響で二重国籍を所持することに。その後は名門リーベル・プレートの下部組織で順調に育ち、18歳の時点で既に主力としてプレーしていた。

 フランス代表入りの打診があったのも18歳の冬だった。しかし彼は母国であり、育った国でもあるアルゼンチンの代表を目指すことに。そして昨年、ついにA代表デビューを飾った。

 21年間の人生で、実に様々な経験を経てきたイグアイン。新加入選手の話題に押され気味だが、〝逆境の男〟の目は、確実に新シーズンを捉えている。

Star File 347 フェリペ・メロ ブラジル/ユベントス/MF パワ:4 スピ:3 テク:4 パス:3 芸術:3 男前:5 一言:いよいよ頂上へ!


SOCCER ZERO INFORMATION


<WOWOWサッカーゼロ通信09/09/18

CL第1戦、ミラノでその試合は始まった。イブラヒモヴィッチに降り注ぐブーイングの嵐は、スコアレスドローという結果と共に沈静化する。因縁の対決、インテルvsバルセロナ。決着は次回、カンプ・ノウまでお預けだ。

この試合、一人の選手に注目していた。インテルの左SBクリスティアン・キヴである。2年前、ローマで主力を張っていたキヴを、当時のマンチーニ監督が引き抜いた。そして昨季、故障で中々活躍出来ていなかったキヴに対し、直々に電話を掛けて残留を促したのが、現監督のモウリーニョだった。

地元ルーマニアで16歳の時にプロデビュー。18歳で名門アヤックスに引き抜かれ、CLでも活躍。EURO2000では19歳ながら主力を張りルーマニアの星となった。その後ローマを経由し、2007年夏、インテルに移籍した。

本職は左SBだが、CBやボランチなど、マルチに守備をこなす。足元の技術はDFの選手としては群を抜いており、後方からの組み立てやセットプレーなど、攻撃面での貢献度も極めて高い。一方、プライベートでは数々の浮世話を提供し、故障も多いことから、シーズンをフルで計算出来ないという側面も持つ。

この試合、キヴはメッシと相対することになった。試合中、頻繁にポジションを変えるメッシ。特に昨季のクラシコやCL決勝で見せたセンターFWでのプレーは、相手にとって厄介極まりない。しかしキヴは自らの持ち場から勇気を持って離れ、果敢にメッシに食らい付いた。そして危険が去ると即座に左SBに戻り、戦術の一部となって連動する。「個」で守るのか「輪」で守るのか、この判断(=センス)こそ、キヴの最大の魅力だ。

イブラヒモヴィッチでもエトーでもない、キヴに釘付けとなったのは、そんな理由からだ。

Star File 354 スティード・マルブランク フランス/サンダーランド/MF パワ:2 スピ:2 テク:4 パス:4 芸術:4 男前:3 一言:隠れ名手



SOCCER ZERO INFORMATION


<WOWOWサッカーゼロ通信09/08/07

 シャビ・アロンソの移籍が確定した。移籍金は40億円。これでR・マドリードが今季費やした補強額は340億円に上った。

 スペイン、パイス・バスコ自治州トロサで生まれ育ったシャビ・アロンソは、地元の強豪レアル・ソシエダの下部組織でサッカーを学んだ。父親も80年代、同じソシエダの選手であり、兄もまたソシエダの選手だった。

 80年代に2度のリーグ優勝を果たしたソシエダだが、それ以降は低迷が続いた。そんなクラブにとって希望の光だったのが、当時デビューしたばかりのシャビ・アロンソだった。エイバルへのレンタルを経て、20歳前後でソシエダのレギュラーに登りつめると、チームは上昇気流へ。まさかのリーグ2位、そしてCL出場権獲得を果たしたのだ。

 シャビ・アロンソのプレーは洗練されている。183cmの長身ながら、美しい身のこなしでパスワークを指揮し、まるでグアルディオラの現役時代そのものと言える。しかも彼の場合、パスワークだけではなく、右足から繰り出す豪快なミドルシュートと、激しいボディチェックによる堅実な守備力まで備えている。

 英国式の典型だったリバプールが、シャビ・アロンソの加入により、美しきサッカーに変貌したのも必然と言える。現代サッカーにおいては、ボランチの『志向』がそのままチームの『志向』になることが多く、シャビ・アロンソのようなクラスの選手が一人加わることで、チームのコンセプトや戦い方はガラリと変わるのだ。

 R・マドリードの強化部長バルダーノが言う「最後の1ピース」となったシャビ・アロンソ。彼の加入は間違いなくR・マドリードのサッカーを変える。そしてリバプールでそうだったように、彼はR・マドリードをCL覇者へと導く可能性を秘めている。

Star File 348 アシル・エマナ カメルーン/ベティス/MF パワ:5 スピ:4 テク:3 パス:3 芸術:3 男前:4 一言:バレンシアへ移籍!?


SOCCER ZERO INFORMATION




<WOWOWサッカーゼロ通信09/08/14

本田圭佑、23歳。今、日本人で最も旬な選手に違いない。2年前にオランダ1VVVフェンロへ移籍。14試合2得点と活躍するが、チームは2部降格の憂き目を見る。幾つかオランダ国内での移籍話が挙がる中、本田は2部での戦いを選ぶ。そして昨季、VVVの主将として36試合16得点の活躍、1年で見事チームを1部昇格に導いてみせた。

迎えた新シーズン、開幕戦でオランダ屈指の強豪PSVと対戦した本田は、1ゴール、1アシストの活躍で3-3の引き分けを演出。続くホームでの第2節では、2点ビハインドの中から立て続けに2得点を奪い、劇的同点の立役者となった。開幕2試合で3ゴール1アシスト。オランダ1部リーグでこの成績は脅威だ。

本田のゴールはいずれも〝ゴラッソ〟だ。J時代から〝レフティー・モンスター〟の異名はあったが、海外経験でスピードとフィジカルが大幅に鍛えられた印象だ。

本田のサッカー人生は挫折から始まった。ガンバjrユースで昇格を果たせず、星陵高校へ進学した本田は、当時から反骨精神の塊だったという。しかし3年時には星陵を全国選手権4強へと導き、遠回りしながらも、しっかりとプロの門を叩いた。

当時星陵高校の臨時コーチとして指導していたWOWOW解説者の野口氏は、本田についてこう語る。「本田は高校時代から別次元だった。特に左足は直ぐにでも世界で勝負できる」と。また野口氏は本田に対し、左SBへのコンバートを提案したこともあったという。「昨今、左SBは人材不足で、日本代表はもちろん、世界への道も拓けると思った。」からだそうだ。

野口氏の予想をも遥かに超え、今や中村俊輔の正統後継者として世界に君臨する本田圭佑。831日の移籍市場閉鎖まで、タイムリミットは刻一刻と近づいている。

Star File 349 ダンコ・ラゾヴィッチ セルビア/PSVFW パワ:1 スピ:3 テク:3 パス:2 芸術:3 男前:5 一言:草食系男子


SOCCER ZERO INFORMATION


<WOWOWサッカーゼロ通信09/09/11

オランダ相手に0-3の完敗。日本代表が掲げる〝W4強〟は、「目標」ではなく「夢」でしかないのか。

メディアは戦犯探しに躍起になる。本田の投入が原因か、単に運動量が落ちたのか…前半あれだけ良いサッカーをしておきながら、後半立て続けに3失点を喫した日本代表。何が悪かったのか。

理由は一つではない。以下もその一つだ。

鍵はオランダ代表が後半19分に行った、メンデスからデ・ゼーウへの選手交代だった。それまで日本と同じ4-2-3-1を採用していたオランダ代表は、このデ・ゼーウの投入と同時に4-3-3へとシステムを変える。つまり中盤の構成を『正三角形』から『逆三角形』へと変化させたのだ。

狙いは明確、日本のWボランチ長谷部&遠藤と、CB闘莉王&中澤の間に生じる「空間=バイタルエリア」を突くことだ。それまで司令塔スナイデルだけをケアすれば良かった長谷部&遠藤は、後半19分以降、2人の攻撃的MFを見ることになった。数的同数で苦戦する長谷部&遠藤。そしてこの攻防から僅か5分、オランダの先制点が決まり、以後、矢継ぎ早に3失点を喫した。

本来であれば①バイタルエリアを埋めるために守備的MFを投入する、②逆に1人で守備的MFを務めることとなった相手のデ・ヨングを攻め立てる、の2通りの考え方があった。しかし、日本は動けなかった。

確かにデ・ゼーウは、中盤ならどこでもこなせる〝ファジー〟な選手。仮にファン・マルバイク監督がそのファジー性を買って投入したのであれば、お見事としか言いようがない。しかし、日本側に問題があったのもまた事実だ。

幾つもの要因が重なって起きた今回の大敗。いずれにせよサッカーとは、些細なことで大きな変化が生じる〝生きた〟スポーツなのだ。

Star File 353 デミー・デ・ゼーウ オランダ/アヤックス/MF パワ:2 スピ:2 テク:3 パス:4 芸術:4 男前:3 一言:伝統のマルチプレーヤー



SOCCER ZERO INFORMATION


<WOWOWサッカーゼロ通信09/08/21

ガンペール杯バルセロナvsマンチェスター・シティから、王者バルセロナの今シーズンを占ってみたい。

スペイン史上初の三冠を達成した昨季から、大幅なメンバー変更なしで迎える今季のバルサ。最大の焦点はエトー&イブラヒモヴィッチの交換トレードの成否だが、イブラヒモヴィッチはエトーほど戦術的な柔軟性がなく、特にフレブを失ったウイングは層が薄い。

そうなるとポイントはカンテラだ。特にペドロ(22歳)とジェフレン(21歳)には大きな責任がのし掛かる。共に左利き、生粋のウインガーで、プレシーズンマッチではゴールも量産している。しかし好調シティ相手では苦労する場面も多々あり、今後更なる成長が求められる。期待のガイ・アスリン(18歳)は線が細く、まだまだトップでは厳しいだろう。

シティ戦では、中盤のチアゴ・アルカンタラ(18歳)とジョナタン・ドス・サントス(19歳)が素晴らしいプレーを見せた。ブラジル代表マジーニョを父に持つチアゴと、父・兄が共にプロ選手であるジョナタン。2人のサラブレットは、着実に成功への階段を駆け上がっているようだ。

ムニエサ(17歳)とフォンタス(19歳)も注目株だ。共に左利きのセンターバックで、ビルドアップの貢献度が極めて高いモダンなDF。ブラジル代表経歴を持つエンリケを差し置いて、既にトップチームへの定着を内定させている。

しかし最大の注目はやはりボージャン(18歳)だろう。トップ登録3年目、背番号11を背負う天才FWは、今季のバルサの命運を握る。エトーと比較してもイブラヒモヴィッチは故障が多い。ボージャンの出番は必然的に増えるだろう。昨季は僅か2得点…、クラブ史上最年少出場記録を持つ神童が、真価を問われるシーズンとなりそうだ。

Star File 350 ボージャン・クルキッチ スペイン/バルセロナ/FW パワ:2 スピ:5 テク:3 パス:3 芸術:3 男前:4 一言:フェミニン


SOCCER ZERO INFORMATION











<WOWOWサッカーゼロ通信09/08/28

いよいよリーガが開幕する。日本中が中村俊輔の一挙手一投足に目を奪われるシーズンとなりそうだ。

強豪リバプールを3-0で一蹴するなど、いつになく好調なプレシーズンを過ごしたエスパニョール。UEFAも認めた美しい新スタジアム、『コルネジャ』のデビューイヤーということもあり、クラブ関係者の気合も十分。中村俊輔を筆頭に、イスラエルの神童ベン・サハル、デポルティーボの主軸だったベルドゥなど、新戦力補強でも成果を挙げていた。

しかし新主将としてチームをまとめていたハルケが急死。ここから全ての歯車が狂い始める。26歳、若きカンテラーノ(下部組織出身者)の死は、クラブ関係者にとって余りにも衝撃が強く、試合や練習もままならない日々が続いた。中でも深刻だったのが、DFの軸だったハルケの後釜探しだ。

最終的に、今週火曜日にボカからフォルリンを獲得。ボカの下部組織出身で、一度はR・マドリードの下部組織へ籍を置いたこともある20歳のセンターバックだ。昨季ボカでレギュラーを掴み、既にアルゼンチン代表にも招集されている。

また、日本でも話題となった〝中村俊輔のライバル〟フェルナンド・マルケスの獲得も同時に発表されている。かつてラージョでトップデビューを飾り、A・マドリードでも活躍が期待された若きファンタジスタだ。素行に問題があり、出番を得ることなくチームを転々としてきたが、24歳、満を持しての移籍となった。一瞬の閃きで勝負する典型的なシャドーストライカーで、中村俊輔とポジションを争うことになる。

ハルケという大黒柱の死を乗り越え、目標であるEL圏内(6位以内)入りを達成できるのか。エスパニョール、そして中村俊輔の挑戦は始まる。



Star File 351 リュドヴィク・マニャン スイス/シュツットガルト/DF パワ:5 スピ:2 テク:3 パス:4 芸術:4 男前:1 一言:スーパーなオッサン


SOCCER ZERO INFORMATION

<WOWOWサッカーゼロ通信09/09/04>



「このメンバーで無冠に終わったら、今季は大失敗だったと言えるだろう。」開幕を終えて、カシージャスが語った言葉である。

340億円強とも言われる補強費を掛けて大改革を行ったR・マドリード。C・ロナウドやカカーといった世界的名手を次々と獲得する中、実は戦力のスリムアップには非常に苦労をした。担当するバルダーノ(テクニカル・ディレクター)には、340億円を少しでも回収するよう指令が出ていたが、事は上手く進まず、結局は〝大セールス〟で売り捌くこととなった。

今オフ、R・マドリードが放出した選手は次の16名。アグース、パランカ(2人はレンタル)を筆頭に、ネグレド、ブエノ、サルガド、エインセ、フンテラール、カンナヴァーロ、フォベール、パレホ、ハビ・ガルシア、サビオラ、コディーナ、ミゲル・トーレス、そしてスナイデルとロッベンだ。

ペジェグリーニ監督は、プレシーズン中の会見で「スナイデルとロッベンは戦力として考えている」と語った。当のスナイデルとロッベンも、R・マドリードでのプレーを希望する発言を出していただけに、世界中がこの放出劇に困惑した。

しかし、移籍市場最終日、更なる驚きが待っていた。ファン・デル・ファールトの残留である。監督から「居場所はない」と宣告され、プレシーズンマッチへの出場もなし。早くから背番号23もグラネロへ譲っていたファン・デル・ファールトは、最後の最後、「スナイデルとロッベンが出て行った関係で、選手層が薄くなった。君には残ってもらう」と言われたらしい。

「構造改革なくして景気回復なし」とし、国民に痛みの理解を求めた国もあったが…。R・マドリードの今回のドタバタ人事、人の痛みが仇とならなければ良いのだが…。



Star File 352 リチャード・ダン アイルランド/アストン・ビラ/DF パワ:4 スピ:2 テク:1 パス:1 芸術:1 男前:1 一言:過小評価な男


SOCCER ZERO INFORMATION