テーマ① 低所得者に大打撃
テーマ② ジェネリックが切れるとお手上げ
①生活保護の治療は100%ジェネリックに頼っている
以前は生活保護の治療にはジェネリックを使うことが医師の努力目標になっていました。
つまり、出来るだけブランド薬品ではなく、ジェネリックを使うようにということになっていました。
しかし、2年ほど前からジェネリックを全面的に使うようにという半ば強制的な指示の元に、現在生活保護者の治療が行われています。
②病院では治療薬が2つに分けられている
一つは、国民健康保険、後期高齢者保険、それにサラリーマンの健康保険などに加入している人々に使われる薬、もう一つは、生活保護者に使われるジェネリック。もっとも生活保護者以外の人では、先発薬品のブランド品や、それに後発品のジェネリックの両方共使いますから、制限はありません。
なぜ、生活保護に区別があるのでしょうか。それは生活保護の医療が100%公的資金で行われているにほかなりません。
本人負担が殆どゼロですから、どのような制限や規制があっても仕方がない、と言えばそれまでですが、患者を診る医師の立場からすれば、自己負担が絡む一般患者と、公費で診る患者をいちいち色分けをして治療する、などということは出来ません。
生命に区別があるわけではなく、いずれ人はみな同じ仏になる運命にあるわけですから、聴診器を持つと身分のことなどいつの間にか頭から消えてしまうものです。
③誤嚥性肺炎を、どんな薬で治したら良いのでしょうか
75歳を過ぎた人が入院してくると、例外なく胸に白い影を持っています。その影は肺炎であったり、胸水を伴う胸膜炎であったりします。
年を取るにつれ、人類はその嚥下機能に支障をきたし始めます。つまり食物の飲み込みが悪くなってきます。
これは人類の宿命といってもいいかもしれません。
それを示すように、日本人の死因のベスト10に細菌感染による肺炎と誤嚥による肺炎が肩を並べて入っています。
これを治すためには抗生物質がなくてはならない薬剤です。
ところが、この抗生物質もブランドとジェネリックがあって、生活保護者には原則としてジェネリックしか使えません。
そのジェネリックが品不足になり始めているのです。これでは、低所得者である弱者の肺炎は救えません。
臨床医は、ため息をつきながら、この弱者を救うために身銭(みぜに)を切ってブランド品に手を伸ばすこともあるのです。
ほんとうに辛い社会になりました
この薬の差別は、同じ人間の命を助けるために撤廃してほしいと切に思います。