ドクター志賀のワクチンと免疫の羅針盤 No.160
「コロナ感染症の後遺症」
①コロナ感染症から回復した患者さんの悩み
カゼや下痢、腹痛などのわれわれがよく罹る病気とは違い、コロナ感染症では、なかなかすっきりと症状が消えないために悩んでいる患者さんが少なくありません。どんな症状で苦しんでいるか挙げてみます。
◦ 強い倦怠感
◦ 息切れ
◦ 咳
◦ 脱毛
◦ 味覚障害、嗅覚障害
◦ 睡眠障害
②後遺症の回復には、国は90日間の療養を保険で受けることを認めている
今挙げたような症状が続くと、自宅療養だけでは回復せず、従来の職場に復帰することも難しくなります。とくに、息切れや多量の喀痰を伴う咳嗽それに強い倦怠感などがある場合には、入院加療したほうが安全です。行政に然るべき手続きを取ると3ヵ月以内の入院治療が認められることを覚えておきましょう。
これを医療サービスでは「後方支援」と呼んでいます。治療後の回復のために感染治療を行った病院から、その患者を引き受けて、次の病院が回復治療を行う、という意味です。
③意外に回復に手こずる味覚障害と嗅覚障害
この2つに関しては、入院は必ずしも必要としませんが、あまり症状が長引くようであれば、それぞれの専門外来で治療を受ける必要があります。
われわれの経験では、この2つの症状はワクチンを打った後にも現れることがあります。この症状が長引くと家庭の主婦や、飲食店の調理師、それに栄養士などは非常に悩むことになります。
なかには、ワクチンを打つ度にこの症状を訴える人がいますから、その場合は、一旦ワクチン接種を見合わせてかかりつけ医に相談をすることを進めます。
④脱毛、味覚、嗅覚異常などの原因は不明
これは推測ですが、末梢神経にオミクロン株などのワクチンが何らかの副作用を起こしているのではないかと考えられます。しかし、その解明には、この先ウイルスとの共生が続く中で、少しずつ解明されていくかもしれません。
⑤あまり皮膚症状やアレルギー症状など続く場合には、抗アレルギー剤の内服薬(例えばアレグラ錠)などが予防的効果をあげる場合もあります。私は、不安を覚えて相談に来る若い人や、知人、友人には、ワクチンを打つ前に、そうした薬を3~4日飲むことを勧めるようにしています。
とにかく、いつもかかっている病院と連絡を取り合ってワクチンを安全に打つようにしてください。