あなたの〇〇がなおれば
100点満点なのに。



そう言われた相手は
返事に困る。

言って満足するのは
自分だけ。

だって、相手は
自分が言う前から
すでに100点満点だから。



相手を減点するのは
今の相手を
ダメだと思っている証拠。

役に立たない存在。
欠けている存在。
汚れている存在。
そんなメッセージになってしまう。

そうして
否定されたら
嬉しい気持ちになんか
ならない。

困難に立ち向かう心の力である
勇気なんか湧いてこない。

言われ続けたら
枯れてしまう。

減点は
相手の勇気を
枯らす効果がある。



相手を減点する人は
「減点できる自分」
「減点箇所を発見した自分」
「修正すべき点を告知できる自分」
そんな「優秀な自分」に
力を感じる。優越感。

力を感じると、嬉しい。
嬉しいけど、
残念ながら相手の役には
立ってない。

相手の利益を度外視すれば
優越感は活力を与えてくれる。

相手の犠牲を無視すれば
力を感じる快楽は
元気のもととなる。

相手を減点する、
イコール
自分が元気になる。

続けると
減点して得られる快楽への
依存が深まっていくばかり。

そうして、
いくら依存しても
共同体感覚は高まらないから、
いくら減点しても
感じるしあわせは増えない。

共同体感覚を高めて
感じるしあわせを増やしたいなら、
減点で得られる快楽への
依存を減らすしかない。



減点を減らすには
加点すればいい。

あなたの〇〇がダメ、と
言う代わりに
あなたは〇〇ができているね、と
伝える。

自分の完全に及ばない部分を
指摘するのではなくて、
今のあなたは完全です、と
伝える。

そして
相手の役に立ちたくて
相手に改善を提案するなら
「さらに完成度を高めるには
〇〇するのをおすすめします」
って感じで伝えてみる。

これだと
減点したときに得られたような
優越感は得にくい。

でも、
自分の時間の一部を使って
相手の完成度を高める提案を
考えて、伝えている。
自分を後回しで
相手を優先しているコミュニケーション。

改善の提案を
自分の利益を得るためではなく
相手の利益を得るためにしている。

共同体感覚を
高めてくれるコミュニケーションに
なってる。

注目するのを
「ないもの」ではなく
「あるもの」にしている。

だから、
良好な関係を築きたい相手には
加点するコミュニケーションを
していきたい。



私が自動車免許の教習所に
通っていた頃。

教官によって
やる気になったり
ならなかったり
してました。

違いは
「加点する人」か
「減点する人」か、の
違いでした。



運転ひとつひとつの動作は
難しいものではありません。

でも、動作が重なっていくと
思考が追い付かなかったりします。

そんなときに
「違うよ、そうじゃないよ」
「次、何するのかわかんないの?」
なんて減点されると、
さらに思考に負荷がかかって
動きが鈍ります。



反対に
「うまくできてるね。次は?」と
できていることを
「できているもの」として
話してくれると、
気持ちが落ち着きます。

そうして加点されると
「できている自分」を感じて
思考にかかる負荷も軽くなり
目的に向けてタスクが整理される
感じがしました。



減点にも
加点にも
目的はあります。

その目的に進む過程で
減点されると逆風を感じ、
加点されると追い風を感じます。

お互い感じるなら
追い風を受けて
気持ちよく進みたいですよね。




お読みいただき、
ありがとうございます。

プロコーチ8年目、常楽でした。



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