女性、アジアの作家という私の予想と願いが通じたのでしょうか、ハン・ガンが受賞しました!

追記:

発表された選考理由がハン・ガンの文章の本質を言い当てていて同感です。

NHKニュースから引用させていただきます。

「ハン・ガン氏の力強く詩的な文体の文章は、歴史的な心の傷と向き合いつつ、人間のもろさをあらわにしている。彼女はすべての作品を通して、心と体や、生と死の関係についてユニークな意識を持っていて、それゆえに、彼女の詩的で実験的な文体は、現代の散文文学における革新的存在と云える」

 

1874年10月9日にスイス・ベルンに本部を置いた万国郵便連合(UPU)が発足した日を記念しています。

国際郵便に関して

①固定(に近い)料金 ②国際・国内ともに同じ郵便業務の扱い(切手の発行国にかかわらず国際的に通用するものとする) ③料金は各国で徴収する

という規定が決められました。

 

10月初旬に国際文通週間の記念切手が発行されるのはこの日に因んでいるのですね。

ところで今年の国際文通週間の記念切手のデザインは

15円:葛飾北斎 文鳥・辛夷

120円:ー〃ー 富岳三十六景 東海道金谷ノ不二

160円:ー〃ー  ー〃ー   下目黒  です。

他の額面はともかく15円切手は・・・はて、どう使おうか?

 

以前は、2023年9月に販売を終了した「航空書簡」(90円)と「国際郵便はがき」(70円)がありました。「国際返信切手」もありましたねぇ。

インターネットが普及した今ではほとんど利用する方もいないと思いますが、UPU加盟国であれば遠近に関係なく世界中に同一料金で送れる優れたシステムでした。国内料金の値上げで国際郵便の方が安くなりそうな時期もありましたっけ。私は1970年代には盛んに利用していました。

夏、実家の私物を整理した時に、とっておいた手紙類も見つけて箱ごと持ち帰りました。中には海外駐在時に日本から送られたものもあります。各国の友人とマメに手紙をやり取りしていたのが懐かしい。

日本からの手紙は、日本らしい切手のデザインと美しい発色が喜ばれるので、航空書簡だけではなく、いろいろな記念切手を組み合わせたりもしていました。

利便性優先の世の中、ますます手紙の往来は少なくなって、切手の出番は美術品並みのコレクションだけになるのかしら?

検察は控訴しないことにしたため、無罪が確定しました。

 

本『私家版』 ジャン=ジャック・フィシュテル 榊原晃三訳 

                       東京創元社 1995年初版

海外文学セレクション(『薔薇の名前』も同シリーズ)の1冊です。

1914年生まれのゴンクール賞受賞作家ロマン・ガリが、エミール・アジャ―ル名義で書いた『これからの人生』が再びゴンクール賞を受けた*、という事件を素材にして構想されたミステリです。フィシュテルは「この事件をそっくりそのまま鏡に映すように裏返しにした」と語っています。

原題は【別刷り】または【抜き刷り】の意味で、所定の部数とは別に特装版などのために刷られるものとのこと。

  *エミール・アジャ―ル事件:ガリは、作品そのものでなく、作家の知名度

  によって文学作品が評価されがちであることに対するプロテストを意図して

  無名の作家の名で作品を発表した。

歴史学教授が書いた初めてのミステリで、フランス推理小説大賞を受賞しています。

 

 

本『香水』 パトリック・ジュースキント 池内紀訳 文芸春秋 1988年初版

ある人殺しの物語という副題がついています。

フランス革命前の悪臭芬々たるパリに生まれた蛙(グルヌイユ)と呼ばれる調香師の物語です。(2015年4月4日にちょっとだけ紹介)

グルヌイユは騒然とした世を、香りに対する並外れた才能で渡ってゆきますが、香りへの希求の代償として彼が払わなければならなかったものに圧倒されます。

ジュースキントは短編を書いたり編集者で糊口をしのいだりしていましたが、はじめての書下ろし長編がこの『香水』です。

 

 

あんまり聞いたことが無いと思ったら、2021年に制定されたのだとか、新しい記念日なのですね。「国際生物多様性の日」はすでに5月22日に定められているので、10月6日は、自然のうちの非生物である鉱物・岩石・化石・土壌・堆積物・地形・河川・湖沼などを対象とする記念日なのだそうです。

持続可能な社会の存続のために地球の多様性が重要であることは理解できますが、ジオパーク活動との違いなども今ひとつぴんと来ません。

日本では、記念日制定より前に環境保全と教育、ジオツーリズムを目的とするジオパークが定められています。

北海道には洞爺湖・有珠山ジオパークとアポイ岳ジオパークがあります。

ユネスコが関わっているジオパーク活動と「国際地球多様性の日」が結びつけば、もう少し身近になるかもしれませんね。

 

様似町のアポイ岳(810.5m)

橄欖岩からなるアポイ岳は、岩石の性質の特殊性や、土壌が堆積しにくいため

森林が形成されない 多様な固有種からなるお花畑で有名

(環境保全とツーリズムのバランスが難しく、あまり宣伝したくないけれど)

 

映画「憐みの3章」 アイルランド・イギリス・アメリカ合作 2024年

 

原題は Kinds of kindness。「やさしさの種類」とか「いろいろな優しさ」だったらまだしもピンときたかもしれません。

先日お喋りした映画好きの友人が「見る人によってどうとるかは色々だと思うけど、薦めないわ」と云っていたのに、怖いもの見たさ、または冷やかし半分で見にいきました。映画通のクロウト筋には高評価の監督らしい。でも、私は勧めません。各話がだらだらと長すぎるしつまらなかった。お金払う程の出来だとは思いません。

夫々のタイトルにからむRMFは名前です。監督自身が扮しています。観客の少なさがこの映画の性質を物語っていると云えるでしょう。

1 RMFの死

2 RMF飛ぶ

3 RMFサンドウィッチを食べる

 

高校を出てから60年あまり、そろそろお終いにしようということで、久しぶりの同期会を開きました。沖縄も含め、全国から集まり大盛会でした。

定員500名でしたが、在籍は例年定員以上になります。そのうち鬼籍に入った方は1/5を超えました。

男子校の伝統が色濃く残る時代だったので、入学時、女子は1/3もいなかった。

(今は40%を超えている!隔世の感がします)

でも、平均寿命を反映して残っている比率は女性が多い。

楽しく旧交を温めたせいか、みなさん続けてほしいなどと気楽な発言をしていましたけど・・・なにごとも幕引きが大事。私はお役御免になってサッパリしました。

それにしても、午前中から7時間以上、さすがの元気印もくたびれました。

さっさと寝ることにします。

おやすみ ぐぅぐぅ

本『別れを告げない』 ハン・ガン 斎藤真理子訳 

                 白水社 エクス・リブリス 2024年 第6刷

2024年4月に初版第1刷が出て5ヶ月で6刷と版を重ねています。

  エクス・リブリスは、独創的な世界の文学のなかから選ばれた叢書で

 『歩道橋の魔術師』(呉明益:2月6日紹介)『郝景芳短編集』(6月13日紹介)

 『ピンポン』(パク・ミンギュ:6月23日紹介)も含まれています。

 

とびらに小さな文字で済州島事件について簡潔な説明が載っています。少し長いですが紹介します。

 「済州島四・三事件とは、大韓民国と朝鮮人民民主主義共和国が建国する

  直前の1948年4月3日に、南半分だけの「単独選挙」に反対して済州島民

  が起こした武装蜂起を契機とする、朝鮮半島の現代史上最大のトラウマと

  いうべき凄惨な事件である。国家公権力により多数の住民が虐殺され、犠

  牲者は二万五千人から三万人と推定される。以後何十年もこの事件は政府

  によって「共産主義による暴動」と規定され、事実は隠蔽され、遺族によ

  る慰霊も許されなかった」

“私”(作家キョンハ)は、虐殺を題材にした本を書いてから悪夢にたびたび悩まされるようになります。その光景を友人の映画作家インソンに相談すると、彼女は映画にすると約束します。インソンは介護していた母を見おくった後で、ソウルに戻らず済州島にとどまっていました。そしてある日、怪我をしたインソンから突然の電話をもらったキョンハは済州島に行くことになります。インソンから聞いていた彼女の母のこと、世話を頼まれた鳥、インソンの家で過ごすうちに、“対話”を通してキョンハはここでなにが起こったのかを知るようになります。それは、インソン自身も母と向き合って初めて知ったことだったのですが・・・。

 

光州事件に次いでハン・ガンが著したのは、さらに耐え難い史実でした。

読むのにキツイ内容ですが、ぜひとも多くの方に読んでいただきたい。

 

豊崎由美さんは、9月29日の北海道新聞書評欄で「・・・こういう作品がベストセラーになるような世界だったらなあ。鮭児書店(豊崎さんの書評コーナーのこと)店主は夢想せずにおられない」と書いていましたが、版を重ね、着実にベストセラーへ踏み出しているようです。

10月1日は、コーヒーの収穫が終わり新しい年度が始まる日に当たるそうです。

「世界コーヒーの日」といっても、特に行事はないようです。

 

「〇〇のお正月」と云えば、茶道では口切や炉開きを連想します。

八十八夜に摘まれたお茶を、ひと夏かけて茶壷で熟成し、茶壷の封を切り、薫り高い新しい葉を臼で挽いて味わいます。晩秋の名残のお茶(風炉)のあとになります。

私の師匠は炉開きと口切をかねて茶事をしていました。立冬のころ(11月)です。

碾茶(揉んでいない茶葉)をつめた茶壷や石臼の用意はありませんので、炉開きには抹茶に挽かれた口切新茶を使い、亥の子餅をいただきます。うり坊をかたどった亥の子餅は、多産なイノシシにあやかって子孫繁栄や無病息災を願ったとも、火を使う時期なので火除けの意味もあるともいわれています。

お茶は暦に沿った行事を大事にするので、季節の移ろいをより強く感じます。

テーマを考え、軸を決め、道具の組み合わせ、主菓子・干菓子のバランス、料理、と亭主(弟子5人で順番にそれぞれのお役目をつとめる)にあたるとお茶事はたいへんですが、プロデュースする(仕掛ける)楽しみも捨てがたい。私は、正客にあわせてテーマを決めていました。

 

普段、飲んでるコーヒー教えて!

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昨日、6月23日に開かれた東フィルの定期演奏会をNHKFMで聴きました。

メシアン:「トゥーランガリラ交響曲」全曲を休憩なしで演奏したものです。

指揮:チョン・ミュンフン オンドマルトノ:原田節 ピアノ:務川慧悟

ホールに不満があるとはいえ、これは生で聴いてみたかった。

  *ちょっと厳しい内容の小説を読み始めたので、こういうBGMは有難い。

   務川さんは好きなピアニストのひとり。

   特にバッハへのアプローチが私好みです

この放送の後の「金子三勇士のリサイタルパッシオ」が薄く聴こえてしまった。

 

2020年7月 バッハ:「イギリス組曲」より「第3番ト短調」 

 

付録

8年前の「4名のピアニストによるべーゼンドルファModel280VCの夕べ」より

務川慧悟さんの演奏 聴く機会があまりない

リスト:「二つの伝説」から「2-波の上を渡るパオラの聖フランシスコ」です

この時の4人のピアニストは

黒岩航紀(1992~) 小林海都(1996~) 實川風(かおる:1989~)

務川慧悟(1993~)

4人で連弾した、まるでストリートピアノみたいなノリの

ラヴィニャック:「ギャロップ・マルシェ」の映像がとても面白かった。

2台とか4台ではなく連弾ですから、押し合いへし合いぎゅうぎゅう詰め。

自在に動く8本の手が絡み合って蛸みたい。両脇を固めた實川さんと務川さんが割り込んだり、譜めくりのタイミングをはかったり、とっても楽しそうでした。

務川さん以外は札幌ではほとんど演奏を聴く機会がありません。こうした動画で個性の違う演奏家の知名度が上がり、ファン層が広がって、こちらでも聴けるようになれば嬉しいのですが。