タイトルに「黄金期」と書きましたが、いまでも黄金期だろ!という声が聞こえてきそう。そしてその通りです。遠くないいつか、2008年以降のアルバムについても連載し、そちらは「爛熟期」としてまとめたいと構想しています。
それでは、彼らの記念すべきメジャーデビューアルバムから見ていきましょう! よろしくお付き合いください。
(なお、ALとは「アルバム」の略称です。)
#くるり各盤から各1曲🌀
「東京」
↑ 1stAL『さよならストレンジャー』('99)

このアルバムジャケの3人のもっさり具合や垢抜けなさ具合がこのアルバムを象徴している。突き抜けられないことを突き抜けたようなアルバムだ。その後はどんどんオシャレになっていくくるり。もっさりしたアルバムが聴きたいのなら、この1stアルバムをお勧めします。
"各一曲"は、傑作「東京」一択で。フォーキーな肌合いと、ロックのエモーショナル。初期くるりのイメージを決定づけた一曲。今や数多の"東京ソング"があるが、他のアーティストではYUI「TOKYO」と銀杏BOYZ「東京」を僕は推す。
#くるり各盤から各1曲🌀
「街」
↑ 2ndAL『図鑑』('00)

ジム・オルークも5曲で関わった革命的アルバム。日本のみならず世界の叙情的ギターロックの一つの到達点だと思う。ギターロックにエクスペリメンタルな要素を持ち込んだ過激なアルバム。注ぎ込まれる感情も禍々しいまでに過剰だ。くるりを穏やかな曲を作るバンドと思っている方は度肝を抜かれると思う。
狂うくらい攻撃的で濃厚な味付けがされた異色のアルバムの中でも激烈にエモい本曲を。スピッツ草野正宗も本曲を聴いて、「行く(ブレイクする)かもしれない」と思ったという。
#くるり各盤から各1曲🌀
「ばらの花」
↑ 3rdAL『TEAM ROCK』('01)

僕は本作で「ばらの花」を一番に推す。ミニマルさが孤独を呼び、緩やかに琴線を揺らす名曲だ🌹
本ALは新たな試みでテクノ影響下の曲が数曲ある。その中でも4つ打ちで即効性最強の「ワンダーフォーゲル」は激アゲ。でも、岸田さんによる平熱のテンションのボーカルとのギャップが面白い。
しかし、無限のまどろみを感じさせる究極チル曲「永遠」もあったりして、振り幅が非常に広いアルバムになっている。
以前、このアルバムについてネットを見ていたら、以下の一文を発見した。
>1stに映っていたメンバー3人は帯の、騎士、砂糖、森のイメージへと変化した。
左の帯にそんな意味があったんだ…!💡
目から鱗です🐟
騎士→岸田(ギタボ)
砂糖→佐藤(ベース)
森→森(ドラム)
#くるり各盤から各1曲🌀
「WORLD'S END SUPERNOVA」
↑ 4thAL『THE WORLD IS MINE 』('02)

フォーキーな名曲「男の子と女の子」と迷うが、抑制の中に華と美があり、闇の向こう側に光がある本曲をセレクト。くるり流ダンスミュージックであり、くるり史上最も売れたシングルだ。
ジャケットの淡い水色とまばらな小物が象徴するように、表現の圧がこれまでよりもグッと下がったAL。しかし、曲調は多彩で、サウンドは濃やかであり、飽きさせない。Radioheadと相並ぶ打ち込みの自在な使いこなし方は、邦洋随一だと思う。
#1「GUILTY」を聴き、描かれた虚無が昇華していく演奏の昂ぶりに震えてほしい。「ばらの花」(前AL『TEAM ROCK』収録)の歌詞「暗がりを走る 君が見てるから/でもいない君も僕も」に象徴される虚無との向き合い方は彼らの一つのテーマだ。
本作からギタリスト大村達身が加入。2006年末の脱退までバンドサウンドを支えている。
#くるり各盤から各1曲🌀
「ロックンロール」
↑ 5th『アンテナ 』('04)

末広がりの多幸感「グッドモーニング」や人気もある「HOW TO GO」と迷うが、この曲を。天国のドアを叩くような、優しくて前向きな死別の歌。
"あなたを思う本当の心があれば
僕はすべてを失えるんだ"
02年7月にDr.森信行が脱退し、クリストファー・マグワイアが03年11月にDr.で正式加入。前ニ作の打ち込み/電子音楽の音楽性からは離れ、生演奏の旨みが光る一枚。特にDr.にクリスが参加している7曲では、才気煥発のアンサンブルを聴くことができる。
#くるり各盤から各1曲🌀
「BIRTHDAY」
↑ 6th 『NIKKI』('05)

清冽でしがらみのない自由なギターサウンド、ブリティッシュで真摯なビート、そしてキャッチーでフックと求心力のあるソングライティングの名曲ぞろいの本作。
くるりでブリティッシュなポップロックの名盤といえば、このAL。ギターの響きからしてポップな美しさがあるし、岸田の歌には類稀な歌心がある。
迷ってしまうが、この曲「BIRTHDAY」をセレクト。イントロから終わりまで音程がキャッチーに動き、明るい音色が次の季節を呼びこむBa.佐藤征史の名演。歌メロには一種の神々しさを感じるほどの晴れやかな切実さがある。こんなふうに見守られる"あなた"は幸せ者だ。
ラスト曲「(It's only)R'n R workshop!」を始めとした曲におけるウォール・オブ・サウンド的な音の分厚さに、彼らが音楽に込める愛情の濃やかさを感じる。
#くるり各盤から各1曲🌀
「ジュビリー」
↑ 7th 『ワルツを踊れ』('07)

音楽の核心に迫る名曲「ジュビリー」。往年のスタンダード曲「ムーン・リバー」を彷彿とさせる。くるりの曲は、他にも「春風」(はっぴいえんど「風をあつめて」)や「カレーの歌」(「カントリーロード」)など、スタンダードな名曲に寄せている曲がある。パクリではない絶妙なバランス感があるのは、古今東西の音楽への愛情を持つ彼らがゆえの借景だからだ。「尊い」という感覚を呼び起こす曲として唯一無二の曲だ。
このアルバムはカッコいいとか、カッコ悪いとかの次元じゃない。深い…そして豊かだ。録音もクラシックの都"ウィーン"で行っているが、クラシックに接近したロックミュージックの中で一番の名盤だとさえ思う。(次点は毛皮のマリーズ『ティン・パン・アレイ』。)「うた」も「音楽」も聴こえてくる本作は、傑作ばかりのゼロ年代くるりの中でも一、二を争う作品だ。
なお、本作製作時のメンバーは、ギターボーカル岸田繁とベース佐藤征史の2人。メンバーが少ない分、客演に様々なミュージシャンを招きやすかったし、音楽的な想像力が自由に働きやすかったのではないかと推測する。
#くるり各盤から各1曲🌀
「ハイウェイ」
↑ 劇伴 『ジョゼと虎と魚たち』('03)

「ハイウェイ」は一曲通して良い感じに力が抜けたドライブソングの名曲。旅に出る理由が100個くらいあったり、実は3つだけだったり、本当は無かったり。理由がないからこそ、あるいは理由を手放していけるからこそ、僕らは気ままに旅をしていけるのだ。
くるりは何件か劇伴を担当しているが、映画の現場で本当に流れているかのように、映像と音楽が自然にフィットする。このアルバムも劇伴だからインスト曲が多勢だが、どの曲も聴かせる。音の響かせ方がクラシック奏者かと思えるぐらい匠の技。
#くるり各盤から各1曲🌀
「モノノケ姫」
↑インディーズ2ndアルバム『ファンデリア』('98)

くるり最初期の王道な名曲「坂道」と迷ったのだけど、若さゆえのエネルギーで無軌道に爆走するこの曲を。くるりの"ヤバさ"が詰まっている。この時点で既にくるりは音楽的に自由だった。
禍々しいロックンロール、フォークな歌もの、実験的なテキスチャーの曲、ミニマルでダークなヒップホップ。この最初期の盤に彼らの音楽性の幅広さ(可能性)の発端が見てとれる。ちなみにindies1stAL『もしもし』は現在入手困難でサブスク未配信。
#くるり各盤から各1曲🌀
「ハローグッバイ」
↑BestAL『ベスト オブ くるり』('06)

溺れゆく自分を流水音のSEに幻視する「ハローグッバイ」。息を吸えないため苦しいはずなのに心地よいのは、胸奥の本音を吐露できる懐深さがあるからだ。打ち込みのソリッドなスネアがモラトリアム終了へのカウントダウンのよう。
くるりのベスト盤やオムニバス盤の中で一番好き。青春時代によく聴いていたので思い入れマシマシ。バラエティに富んでいて流れで聴いても楽しいし、まさに"隠れた名曲"の「ハローグッバイ」や、ALでは本作にしか収録されていない「ナイトライダー」にも魅了される。
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いかがでしたか?
くるりを過大評価だと言う方もいると思いますが、僕の感覚からしたら過小評価です。王道でもオルタナティブでもあって、「音楽」でも「歌もの」でもあって、そして表現が切実だったりウィットに富んでいたり。そんな他にない存在がくるりです。特に今回の記事「黄金期篇」で挙げた時期のくるりは、音楽無双だったと思います。
さて、そんなくるりのニューアルバム『儚くも美しき12の変奏』が今月2月11日にリリース予定です。このブログ『とかげ日記』でもレビューしますのでお楽しみにー!
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