2010年代ベストアルバム(邦楽)20位→11位 | とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。



昨日の30位から21位までに引き続き、今日は20位から11位までをカウントダウン!!

👇30位から21位まではこちらの記事を見てくださいね👇
2010年代ベストアルバム(邦楽)30位→21位

では、早速行きますよー!

【20位】リーガルリリー『the Post』(2016年)



本作に収録されている「リッケンバッカー」に一目ぼれ(一耳ぼれ?)。どんなに良い曲を演奏していても、「僕のバンド」と捉えられないバンドが多い中で、リーガルリリーは「リッケンバッカー」の一曲で「僕のバンド」になった。自分ごととして捉えられるバンドということね。本作収録曲では、ボーナストラックの「蛍狩り」も好きだ。

リーガルリリーは即効性に頼らない曲を多く作っているが、即効性のある「リッケンバッカー」のような曲をもう一度作ってほしい。「リッケンバッカー」は即効性があるだけではなく、「うた」としての強度もあった。歌ものロックが好きな方はぜひ「リッケンバッカー」を聴いてほしい。


【19位】羊文学『若者たちへ』(2018年)



リーガルリリーは「リッケンバッカー」の一曲で「僕のバンド」となったが、羊文学は本作品収録の「Step」の一曲で「僕のバンド」となった。あとは、他作品収録の「1999」「マフラー」が好きだ。リーガルリリーに「リッケンバッカー」を超える「うた」を作ってほしいのと同等以上に、羊文学にはこれらの三曲を超える「うた」を作ってほしい。

もちろん、本作には「Step」以外にも良曲がたくさんある。シューゲイズでノイジーなギターに魅せられたかったら、本作を聴いてほしい。


【18位】SAFETY SHOES『RISING』(2011年)

RISINGRISING
350円
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(『RISING』収録曲ではないですが、名曲なのでぜひ!)

SAFETY SHOESの桜井敏郎さんはコナミの音楽ゲームの礎を築いたパイオニア。コナミを退社した後、バンド"SAFETY SHOES"を結成。その後、今はソロで活躍している。歌ものとして強度のある、リスナーの琴線に触れるポップスを演奏し、渋谷クアトロで何度か演奏したこともある、知る人ぞ知るポップス界の良心だ。

ポップな歌ものを聴きたかったら、SAFETY SHOESと桜井さんを聴いてほしい。どんな冴えない日常も、胸を打つカラフルなポップスに彩られて明るい気持ちになれることを保証します。降り注ぐ太陽のような温かい曲があなたを待っています。

【17位】ゲスの極み乙女。『両成敗』(2016年)



そのスキャンダルとあわせて、時代のアルバムとなったアルバム。めくるめくポップな聴き心地とセンチメンタリズム。川谷絵音の声に含まれる憂いがセンチメンタリズムを倍増させるんだよなー。

ゲス極の曲に含まれるセンチメンタリズムと性急な切迫感は他のバンドでは聴けない類のものだ。楽しい音楽に落とされる一筋の影。その影が含んでいる切実さとカルマを聴きたくて、これからも僕は彼らの音楽を聴くのだろう。孤独や愛着や違和感といった根源的な感情で内省して揺れる自己を昇華するように響く、あの天上へ響くようなファルセットを求めて。

【16位】大森靖子『絶対少女』(2013年)

絶対少女絶対少女
2,357円
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『ミュージック・マガジン』の「2010年代オールジャンル・アルバム・ベスト100」と『とかげ日記』の2010年代ベストアルバムでかぶっているアルバムは本作だけ。なんというか、『ミュージック・マガジン』は音の良さを重視し、「うた」の強度をそれほど重視していないように感じる。

本作は『ミュージック・マガジン』の評論家のような玄人リスナーも、進取の気性に富んだアーティストが作る「うた」が好きなリスナーも満足させる作りだ。本作収録の「ミッドナイト清純異性交遊」は何度聴いたことか分からない。ここには、本物の「うた」がある。

【15位】GEZAN『Silence Will Speak』(2018年)

SILENCE WILL SPEAKSILENCE WILL SPEAK
2,314円
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本作の前半には殺伐とした雰囲気のハードコアな曲が収録され、後半には優しげなロックソングが収録されている。そして、僕は後半に強く惹かれた。ハードコアの曲も収録されているアルバムだからこそ、後半の曲の優しさが映える。寒さの厳しい雪原に咲く一輪の花のように。本作は緩急ついていると思う。

ハードコアのような非日常の世界の後に日常を慈しむような曲が聴こえてくる。前半の怒りやヘイトのシャウトを聴いて灰色にこんがらがった気持ちが、後半の優しげな曲で解錠され、胸に温かい気持ちが残る。この本作の意図に感嘆する。

【14位】転校生『転校生』(2012年)

転校生転校生
2,168円
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おぼろげな不安を運ぶようなピアノ。一方で、楽しい夢を見ているシンセサイザーの音色。曲を前に進める軽やかなリズム。そのうえにクリアーで天使のような歌声が乗る。それぞれの音の響きは柔らかな水面のように研ぎ澄まされている。

聞こえてくるのは、諦念と希望の中間地点で鳴らされる音。周りに馴染めないストレンジャーとしての自分を綴る歌。空気に溶け込めない自分の心を薄めた青い空のような歌。周りに馴染めないのは僕も同じだ。転校生の歌は、誰かを励まそうとするようなベクトルを持っていない。ただ静かに宙に横たわる歌。だが、私と同じだ、僕と同じだと思う人が熱心に耳を傾ける。

【13位】きのこ帝国『愛のゆくえ』(2016年)



アルバムジャケットのような透き通った淡い色調の作品。初期の曲「ユーリカ」の濁って汚れた世界から随分遠くまできのこ帝国は来たものだ。僕は「ユーリカ」のような実存を濃厚にぶちまけている曲のファンなのだが、「ユーリカ」収録のアルバム『eureka』で素晴らしい曲は「夜鷹」と「ユーリカ」だけではないですか。本作『愛のゆくえ』は総合力で『eureka』に勝るアルバムだと思い、『eureka』ではなく『愛のゆくえ』をランクインさせました。

『タイム・ラプス』(2018年)も良かったけれども、実験性のよりある本作の方が好みです。シックなR&Bの「LAST DANCE」と淡いレゲエの「夏の影」は何度聴いたことか分からない。 「夏の影」を聴くと、ここには知らぬ顔で通り過ぎることのできない切実な何かがあると感じる。


【12位】MOROHA『MOROHA Ⅳ』(2019年)



エモーションを直に伝えてくるようなUKのアコギの音色。前作からのアコギで鳴らすパーカッションは#1「ストロンガー」において更に進化している。変わらず頑張っているアフロのラップ。その歌心はリスナーに情景を伝えてくる。

彼らの作品の熱に感化される人も多いだろう。人を動かす力のある作品だ。シラけている人を動かすだけの熱さが彼らの作品にはある。「がむしゃら」という言葉が廃れた時代に、本気でがむしゃらな男二人がここにいる。

【11位】フジファブリック『MUSIC』(2010年)

MUSICMUSIC
2,512円
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先代のフロントマンである志村正彦の死後に作られ、志村さんの曲が入っている最後のアルバム。そういった経緯もあり、悲しさなしには聴けない。様々な表情の志村さんの最後のメロディと歌唱が聴ける。志村さんは死を予期していたはずはないのに、「Bye Bye」や「眠れぬ夜」という死のメタファーのような曲がある。その符号の一致は僕をますます切ない気分にさせる。

志村さんの死後のフジファブリックには、志村さんの死をコンテンツ化して利用しているような違和感を覚えていた。だが、最近になって「若者のすべて」が人気曲になっているという話を聞き、志村さんの残した曲が多くの人に知られることは、彼にとって一番の供養になるのではないかと考えを改めた。志村さんの作った曲が一人でも多くの人に聴かれることを僕も願っている。


2010年代ベストアルバム(邦楽)30位→11位
【11位】フジファブリック『MUSIC』(2010年)
【12位】MOROHA『MOROHA Ⅳ』(2019年)
【13位】きのこ帝国『愛のゆくえ』(2016年)
【14位】転校生『転校生』(2012年)
【15位】GEZAN『Silence Will Speak』(2018年)
【16位】大森靖子『絶対少女』(2013年)
【17位】ゲスの極み乙女。『両成敗』(2016年)
【18位】SAFETY SHOES『RISING』(2011年)
【19位】羊文学『若者たちへ』(2018年)
【20位】リーガルリリー『the Post』(2016年)

【21位】銀杏BOYZ『光のなかに立っていてね』(2014年)
【22位】cero『POLY LIFE MULTI SOUL』(2018年)
【23位】サカナクション『834.194』(2019年)
【24位】チャットモンチー『告白』(2010年)
【25位】マキシマムザホルモン『予襲復讐』(2013年)
【26位】amazarashi『爆弾の作り方』(2010年)
【27位】Official髭男dism『Traveler』(2019年)
【28位】andymori『ファンファーレと熱狂』(2010年)
【29位】笹口騒音オーケストラ『TOMORROWISLAND』(2016年)
【30位】RADWIMPS『人間開花』(2016年)

ベスト10は予定が入らなければ明日発表します(^.^)
追記:発表しました。
2010年代ベストアルバム(邦楽)10位→1位