とかげ日記

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【日記+音楽レビューブログ】音楽と静寂、日常と非日常、ロックとロール。王道とオルタナティブを結ぶ線を模索する音楽紀行。
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👇一押し記事👇
【2010年代ベスト】
2010年代ベストアルバム(邦楽)30位→21位
2010年代ベストアルバム(邦楽)20位→11位
2010年代ベストアルバム(邦楽)10位→1位

それでは、一緒に音楽の旅へ!




Amazonプライムでアニメ『日本三國』(2026年)を観た。原作は松木いっかの漫画作品。文明が崩壊した近未来の日本で活躍する天才軍士の姿を描く。

グロテスクと形容するほどには湿っていない、むしろカラっとしている触感だけど、生首も飛ぶし、画風からして殺伐とした世界観なので、始めの数分だけ観てこれはスルーだなと思っていた。

だが、そう思った直後に主人公である三角青輝(みすみ あおてる)(CV: 小野賢章)にとって大切な人が死に、その時の主人公の誠実な想いと卓越したロジックのセリフに胸打たれ、これならどうなるのだろうとひきこまれた。そして、そのまま第1シーズンを一気に観てしまった。(第2シーズンも制作が決定しているようだ。)


この主人公の三角くん、弁がめっぽう立つのだ。現実という地に足をつける徹頭徹尾のリアリストでありながら、実は国を統一するという大きな志とひとつの哲学をもったロマンティストであるところが好きだ。その雄弁で自身と周囲の運命を変えていく姿に、アニメ映画『超かぐや姫!』のことを思い出した。両作品ともストーリーも世界観もまったく違うが、主人公の強烈な才覚が運命を良い方向に変えていく点が通じる。このアニメ『日本三國』を通じて、考え抜くことこそが未来を変える力になる――そんなメッセージを、僕は勝手ながら受け取った。「感じるだけではなく考えろ」とは、僕が敬愛する笹口騒音(うみのてetc)さんが歌っていることだ。


うみのて「テトリ(キッ)ス」MV
↑「考えろ考えろ感じて考えろ」という歌詞。こんなことを歌うロックバンドがこれまでいたか? ボーカルで客演した内田万里(ふくろうず)が出演している、このMVもカワイイのでぜひ観てほしい。

魅力的な主人公以上に魅力的なのが輪島桜虎(わじま おうが)(CV: 津田美波)だ。最初は敵国の将だし、いけすかない女性なのかなと思っていた。ところがどっこい。優しく凛とした素晴らしき人格者なのである。画面にも「尊い」という文字がペタペタ貼られているぐらい尊いのだ。

個人的に、輪島桜虎の所作や表情を見ていて思い浮かぶのは、「夜に駆ける」というロックバンドのフロントウーマン"はしもとりお"である。その哀しいまでに儚げで、悲劇のヒロインと言うには力強く、純水よりも清らかな尊さにずっと浸っていたくなる。"夜に駆ける"による傑作アルバム『生は苦しくて、美しい』のアルバムタイトルどおりの生き様(音楽)を体現する二人なのだ。二人とも夜と月が似合う。光の優美と闇の深淵が彼女たちを照らし、覗(のぞ)いてている。


↑夜に駆ける「化石になろうよ」MV
この記事を読んでいる方にも、切実なこの曲を聴いて化石になってほしい。


最近読んだマンガでは、知人に勧められた、三島芳治『児玉まりあ文学集成』が面白かった。魅力が伝わらない人には一生伝わらないだろう、文学と邂逅するゆるふわな世界観。前述した『日本三國』の殺伐とした空気とは真逆のバイブスが鳴っている。

このマンガを読んで博学ならぬ薄学の自分が思い浮かぶのは、黒田硫黄の作風だ。簡潔なコマ割りの大胆さや、シンプルだけど強い引力のある言葉は相並ぶのではないか。……と、こんなことを言うのは僕ぐらいかもしれない。

でも、何かと何かを繋げたり、離したり、また繋げたりするのは、文学的な所作であり、ヘタクソでもこれから続けていきたい。目標は、高橋源一郎さんの連載『これは、アレだな』(サンデー毎日)のように素敵な「これは、アレだな」について粋(いき)に書くことである。化学記号と化学反応をもて遊ぶかのように、いつでも知的に賦活されていたいから、この目標は自分のライフワークにしていたい。

そして、"輪島桜虎"を「夜に駆ける」の"はりもとりお"に喩えた文脈でいうと、『児玉まりあ文学集成』のヒロイン"児玉まりあ"は、相対性理論の"やくしまるえつこ"に思える。というか、僕にはそうとしか思えない。"児玉まりあ"も "やくしまるえつこ "も、しゃべりだし歌い出すと、日常の空間のはずなのにその場をファンタジーの世界にしてしまう。彼女たちの織りなす世界線では、「セーラー服と戦闘服」が(©️相対性理論「地獄戦争」)、「木星と葉っぱ」が(©️『児玉まりあ文学集成』1巻冒頭)、ひと続きに繋がるのである。ロジックと情報を粉にしてゆるふわな宇宙を天地創造していく、その手腕にはアインシュタインもビックリだ。


(↑拾い画像)


相対性理論「地獄先生」
↑ゆるふわの極致。僕の2010年代は神聖かまってちゃんと相対性理論で回っていた。

セリフで埋め尽くされ、詳細を殺伐なまでに描きこむ『日本三國』と、最低限の内容しか描かず、空白と行間から想像させる『児玉まりあ文学集成』。
ダークでスタイリッシュな色彩が特徴の『日本三國』と、余白の白がまぶしい光彩をたたえる『児玉まりあ文学集成』。
たくさんの人間が殺し合う『日本三國』と、ひとりも死なない(どころかケガさえしない)『児玉まりあ文学集成』。
以上見てきたとおり、表現手法的には対極だが、どちらも面白かった。そして、どちらの作品も心をドライブさせる「言葉(セリフ)」の才気が際立ち、その言葉は、世界と人間の核心に迫っている。『日本三國』の第2シーズンと『児玉まりあ』の続巻に期待したい。

以上、自分が最近触れてきたカルチャーについて書いた。正直、今の僕には10代、20代のときのような感受性や衝動はないものの、40代でもまあまあ楽しくカルチャーを摂取していることは幸運なのかもしれない。これからも良い作品や学びのある作品、スカッとする作品など、濃密な時間を過ごせる作品に触れていきたい。


🌟こちらの記事もぜひ!🌟
素顔と仮面とパラレルワールド (神聖かまってちゃん×相対性理論)

↑の記事から以下🦑に引用
「僕は、かまってちゃんと相対性理論の両方に、今の時代のリアルを感じる。視界に世界が転がってくるし、自分もその世界に転がっていくようだ。音楽を聴いている間だけは、仮面を外していたい。」


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⚫︎意味より先に跳べ踊れ

カサビアン9枚目のスタジオ・アルバム『ACT III』のレビュー。

カサビアン(KASABIAN)とは…
1990年代後半にイギリス・レスターで結成。2004年の1stアルバム『Kasabian』でデビュー。ダンス・ミュージックのグルーヴにロックンロールの荒々しさ、エレクトロニカの感覚を掛け合わせたサウンドで、UKロックシーンに強烈なインパクトを残した。

2020年にボーカルのトム・ミーガンが脱退。ギター担当だったセルジオ・ピッツォルノがメインボーカルも担当するようになる。結成時から現在までソングライターは基本的にセルジオが担当している。現在のメンバー構成は、ギターボーカル、ベース、ドラム、ギター(キーボードも)の男性4人組。

【収録曲】
1. quiet on set please 1m9
2. SOULMATE
3. Hippie Sunshine
4. SUPERPOWERS
5. GREAT PRETENDER
6. NOTHING BETTER THAN THIS
7. mind palace 2m7
8. SILVER APPLE EYES
9. THE GURU AND THE CRYPTO TIME MACHINE
10. npc 3m12
11. GLIDE
12. HYPER//RISING
13. SAY YOU (CLOSER)

本当は他のアーティストのアルバムについて書くつもりだった。だが、そのアルバムに収められた曲のほとんどは、起承転結ではなく、転転転転の構成。僕も変態であるという自覚はあるが、よっぽどの変態しか高揚しないだろう。自由を感じられるし、誰も経験したことのない航路を切り拓いていくことは尊く思う。また、この音楽性で人気を博しているのがスゴい。だが、やはり一つの曲や歌としての音楽が好きな僕にとっては、ハマれない音楽だった。

そこにきて、このカサビアンの新譜である。フジロッカーやサマソニのお客さんが好きそう。実際に今年のサマソニで日本に来ているし。

リスナーとして僕がお付き合いしているジョージ・ウィリアムズのラジオ番組「RADIO. RADIO. 」(interfm)でかかっていそうだな。ちなみに、「RADIO.RADIO.」は、邦楽も洋楽も、最先端もレジェンドも聴きたい僕が数々のラジオ番組を渉猟してたどり着いたイチ推し番組です。

快楽原則に沿うように往時のオアシスをダンスロックにしたようなキャッチーさ。贅肉を削ぎ落としたアーティスティックなサウンド。一瞬一瞬のパルスにすべてを爆発させる衝動的な力強さ。ブチあがろうぜというバイブスに満ちていて享楽的なビート。ルーツを消化(昇華)しながら素晴らしい音楽が鳴っている。僕がこの記事で冒頭に書いた、とあるアーティストとは違い、ひとつの歌としてのフックがあるし、緩急つけなからリスナーをどうノせるか熟慮を重ねた音楽という気がする。

ところで、南田勝也『オルタナティブロックの社会学』(花伝社、2014年)では、音楽の性質を「精神性」と「身体性」という二つの側面から論じている。(この図書からは有用性のある「精神性」と「身体性」というアイデアを拝借するが、僕が以下に述べることは南田さんの論とは毛色が違う。)

この捉え方にならえば、カサビアンの楽曲はとりわけ身体性に訴えかける音楽だと思う。

しかし、僕自身は、身体性よりも精神性に訴えかける音楽に惹かれる。以下は日本語話者である僕にとって、歌詞を聴き取り、その意味をより深く受け取れる日本語ロックの話になる。

歌詞のメッセージ性を重視してきたBUMP OF CHICKENやRADWIMPSは、精神性に働きかけるバンドの筆頭だろう。彼らの音楽には、音それだけではないサムシングエルスが鳴っている。この系譜には米津玄師もいる。(ただ米津さんは、好きなアーティストではあるものの、深くハマるまでには至らなかった。)僕がファンである神聖かまってちゃんや笹口騒音(うみのてetc.)もまた、身体性より精神性へと強く訴えかける音楽だと思う。

あるいは、精神性は文学性と置き換えることも可能かもしれない。歌詞の言葉の精妙な取り合わせや、心の内から活力がわき起こってくるようなエンパワメント(励まし)。これらは文学性といってよいだろう。僕が高校生のときに聴いた中村一義『ERA』はその最たる名盤だ。精神性に訴えかけるフックがあると、その曲や作品を好きになる。僕は「意味」を渇望している。

ここまで日本語の音楽についてのみ言及してきたが、逆に言語がまったく分からなくても意味性が心に触れるように伝わってくる音楽もある。僕の場合、シガー・ロスがそうだ。アイスランドの誇る、スローで豊かな音楽を鳴らすバンド。アイスランド語と架空の言語「ホープランド語」を歌詞に用いている。ドーパミンではなく、セロトニンがぽたぽた分泌するような、清らかで尊くて涙の音楽は、言葉の理解を必要としない。高貴な精神性が美しく響いている。(『Takk…』というアルバムがオススメなので興味のある方はぜひ!)

もちろん精神性と身体性のハイブリッドな音楽もある。海外のバンドでもGreen Dayの名盤『American Idiot』なんかは、社会への怒りや孤独といった精神的な衝動を、疾走感のあるパンクロックへと昇華した好例だろう。訳を見ながらだが、英語でも意味性を感じ取れる。頭と心を刺激するだけでなく、身体まで突き動かす。その両方が一体となったとき、音楽はより強く輝く生命力を帯びる。

さて、カサビアンの本作を以下に見ていこう。

幕開けの#1「quiet on set please」。本アルバムに収録されている3つのインタールード曲の一つ。彼らの音楽性からすれば、あえてシックな変化球を投げた音楽性の印象。

#2「SOULMATE」。チルと緊張感がせめぎあう不穏で魅惑的な曲。

#3「Hippie Sunshine」歪みのエフェクトを効かしたボーカルの暴力性にグっとくる。



#4「SUPERPOWERS」。妖しげで幻想的な空気をまとったオリエンタルなバイブスが、まだ見ぬ場所へリスナーを連れて行く。

#5「GREAT PRETENDER」。青いというよりは蒼く、淡い音色の軽快なビートがUninhabitable Mansions (アンインハビタブルマンションズ)の極上の音楽を彷彿とさせる。

#6「NOTHING BETTER THAN THIS」。ダーク&妖しげでありつつ、エレクトロとロックを融合する彼らのオハコの音楽性が活きている楽曲。

#7「mind palace 2m7」。36秒の短いインタールード。ここでひと息つく、いい箸休め(と言うのには少々不穏だが)。

#8「SILVER APPLE EYES」。彼らの音楽性の本道からは外れるかもしれないが、僕はメロウで程よくサイケなこの曲が本作で一番好きだし、オススメしたい。



#9「THE GURU AND THE CRYPTO TIME MACHINE」。「グル」(宗教的指導者を指す)という言葉はどこか危うい匂いがする。オウム真理教事件を経験した日本では特にそうだろう。その危うい印象の発露そのままであるこの曲は、精神性(というよりもスピリチュアル?)の曲といえるかもしれない。

またもやインタルードのディープな小品#10「npc 3m12」を挟んで#11「GLIDE」へ。3分45秒のサイケでトリッピーな旅路。



#12「HYPER//RISING」。冒頭からのゴリゴリしたビートが至高。ライブでこれ聴いたら一発昇天だな。

クロージングの#13「SAY YOU (CLOSER)」。切実な歌ものであり、この曲で一枚のアルバムが終わるのは後ろ髪を引かれる思いがする。


以上13曲、身体性の快楽をむさぼるように聴いているだけで楽しい。「聴く」というより「浴びる」タイプな楽曲が多く、理屈より先に身体を動かす、カサビアンの身体性が濃縮されている。

しかし、身体性だろうが、精神性だろうが、優れている作品はどれもアートなのだ。カサビアンはサウンドのデザインがソリッドな尖塔的で美しい。頭に稲妻が走り、胸に火花が散り、足は勝手に踊りだす。ザクザクとした触感のダンスビートは、心の扉を鮮烈にノックするアートだと思うし、僕も心置きなくノックアウトされた。今後も活躍を続けてほしい。

Score 8.2/10.0

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⚫︎PINKな愛とPUNKな魂

シンガーソングライター大森靖子が2026年8月26日にリリース、記念すべき10枚目のフルアルバム『BABY! PINK! MUSIC!』のレビュー。

【収録曲】
1. PUNKTUARY
2. 代替嬉々
3. 南無阿弥かみさま
4. WhOShIt
5. お・ん・な・の・こ♡もおど♡
6. 姫まどんな
7. 新宿2026
8. パーティードレス
9. 死春期
10. 君んチ
11. 光のない方へ
12. LAST GIRL DUST

初めに、今までの彼女の作品についてサラっと振り返っておこう。まずは、マイベストソング10曲から。

大森靖子 マイベスト10
【1位】「ミッドナイト清純異性交友」『絶対少女』('13)
【2位】「TOKYO BLACK HOLE」『TOKYO BLACK HOLE』('16)
【3位】「少女漫画少年漫画」『TOKYO BLACK HOLE』('16)
【4位】「君と映画」『絶対少女』('13)
【5位】「さっちゃんのセクシーカレー」『TOKYO BLACK HOLE』('16)
【6位】「給食当番制反対」『TOKYO BLACK HOLE』('16)
【7位】「ドグマ・マグマ」『kitixxxgaia』('17)
【8位】「アナログシンコペーション」『kitixxxgaia』('17)
【9位】「死神」『クソカワPARTY』('18)
【10位】「KEKKON」『Kintsugi』('20)

バックのサウンドによって音楽性は変幻自在。『TOKYO BLACK HOLE』(’16)が自分がもっとも推したい音楽性だな。他の作品にあるような音圧(ドラムにコンプをかけすぎ問題も含めて)や情報量過多も気にならない。演奏のテンションも高すぎず低すぎずな曲が多くて聴きやすい。

あと、大森さん関連で特筆すべきことはアイドルカルチャーに片足どころか全身ずぶずぶ浸かっていること。ゆるめるモ!やBiSに曲を提供しているし、自身もメンバー兼プロデューサーとして関わるアイドルグループ「ZOC」を立ち上げている。自身名義の作品にもハロプロ含めたアイドルカルチャー由来の曲が多い。

詩に興味のない親友のように、僕はアイドルに興味を持てない。生まれ持った気質や嗜好と同じで、その意識はなかなか変えられるものではない。でも、大森さんを通じて、腑に落ちないけど頭の中では、アイドルシーンも魅力的なカルチャーなのだなと思える。少女でいられる時間は少ない。大森さんも女子アイドルも「刹那」を感じさせる点が共通している。

邦楽アーティストで大森さんほど自己開示しながら赤裸々な想いを歌っているアーティストはなかなか見当たらない。このブログでも取り上げている神聖かまってちゃんや鈴木実貴子ズがその筆頭だろうか。だが、僕はここで「夜に駆ける」というバンドを推したい。「化石になろうよ」は2020年代トップ3に入る名曲だと思う。(YOASOBIの流行曲の名前ではなく、「夜に駆ける」という名前のバンドです。)

さて、ここで全12曲を順に聴いていこう。

#1「PUNKTUARY」


活力のあるサウンドで、一曲目からアクセルはフルスロットル! 「PUNKTUARY(パンクチュアリー)」は、「時間厳守」を意味する英語や「句読点」の語源にあたるラテン語に着想を得た造語だと思う。時間や人生の節目を意識した、大森靖子らしいタイトルだ。この刹那にこそ、大森さんの歌は輝く。

#2「代替嬉々」


美麗なストリングの響きを殺しにかかるようにエネルギッシュなボーカルとサウンド。

#3「南無阿弥かみさま」


イントロから繰り返す、個人的にザ・ポリス「見つめていたい」を思わせるニューウェーブな音色の装飾音が面白い。終盤まで聴き続けると、あれ、この装飾音、聴いたことあるぞ?となって、そういえば「ミッドナイト清純異性交友」のイントロのフレーズに近いと気づく。

#4「WhOShIt」


チップチューン的音色に彩られていて楽しい。曲途中でドラクエのセーブデータが消えたときのサウンドのようなトラウマ的な音楽が流れ、セーブデータが消えたことのある自分は震えあがった。

#5「お・ん・な・の・こ♡もおど♡」


女の子の本音のリアルと理想のカワイイが詰まった、大森さんにしか描けない曲。「お・と・こ・の・こ♡もおど♡」も作ってほしい()

#6「姫まどんな」


曲名は、愛媛生まれの人気高級柑橘「媛まどんな」に掛けたものだろう。甘酸っぱくジューシーで、聴くほどに気分が高揚する一曲。

#7「新宿2026」


自身の名曲へのオマージュ。最初期の活動から彼女を追いかけている方には歴史を感じられる曲だろう。

#8「パーティードレス」


曲の主人公は、援助交際やパパ活をしていると思われ、大森節ならではの叙情的な弾き語りが炸裂!

#9「死春期」
(なぜかこの曲だけYouTubeに音源がなかった。ご存知の方はコメント欄かXで教えてください。)
殺伐としたタイトルだけど、心の温かさを感じ取れるチル曲。歌に寄り添うストリングの響きが麗しい。

#10「君んチ」


タイトルだけ見た場合、「チ」って家のことかなと思っていたけど、「血」のことなんだね…。曲終盤の「死ね」の連呼には、神聖かまってちゃん「夕方のピアノ」を思い起こした。エグい曲。

#11「光のない方へ」


ミスチル「光の射す方へ」や、カネコアヤノ「光の方へ」など、光に向かう楽曲は枚挙にいとまがない。そこにきて、大森さんの「光のない方へ」ですよ。冒頭のイントロからしてヘヴィでシリアスな音世界。そのサウンドに寄り添うどころが軽々(重々)と凌駕していく彼女の歌唱は他の誰かにはできないものだ。

#12「LAST GIRL DUST」


楽しく大団円的な終幕の華やかさ。歌い出しの歌詞「強くならなくたって/かわいくならなくたって/女の子しなくたって/愛されてみたかった」という歌詞。逆説的に言えば、これまでの大森さんは、強くあろうとして、かわいくなろうとして、女の子しようとして懸命に生きてきたんだよね。曲に託された想いを聴いていると胸が熱くなる。


全身全霊で音楽を奏でるから、こちらも全身全霊で聴きたくなる。だから、彼女の曲を聴くのはトゥーマッチで少し疲れる。でも、リスナーとして応えたい。

アレンジ次第では、J-POPがもっとも輝いていた時代の大名曲にだってなり得る。とにかくソングライティングが巧みすぎる。歌詞にも、僕がゾッコンな笹口騒音(うみのてetc)と通じるアート性を感じる。もはや「楽曲」という枠を軽々と飛び越え、アートそのものへと開かれている。

ソングライティングだけではなく、歌唱も優れている。超歌手の呼び名は伊達じゃない。歌手という点では、今代ではAdoに匹敵すると勝手に思っている。声量あり、ピッチ/リズムは正確、表現力が多彩。そして、場の掌握力が半端ない。大迫よりも半端ない。

彼女の音楽には、痛みを知った懐の深い多様性がある。歌舞伎町の聖母のようなアケスケな本音と、博愛にも近い慈愛に満ちていて、日常と社会の理不尽に悩む僕も不思議と励まされている。PINKであり、PUNKである彼女の活動は唯一無二だし、僕もこれからも活動を追っていきたい。

Score 9.0/10.0

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⚫️大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』感想&レビュー(アルバム)
↑彼女の音楽の中で僕が一番好きなアルバムのレビュー。

🌈Xジェンダーの可能性と大森靖子「ドグマ・マグマ」の歌詞解釈

大森靖子に関するとかげ日記(このブログ)の記事一覧
↑現在、全8件あります。

🐼オマケ🐼


🌃夜に駆ける「化石になろうよ」
本文中にも登場した「夜に駆ける」による屈指の大名曲。終盤に向けて高まっていく切実さに、心を否応なく持っていかれる。


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