
Amazonプライムでアニメ『日本三國』(2026年)を観た。原作は松木いっかの漫画作品。文明が崩壊した近未来の日本で活躍する天才軍士の姿を描く。
グロテスクと形容するほどには湿っていない、むしろカラっとしている触感だけど、生首も飛ぶし、画風からして殺伐とした世界観なので、始めの数分だけ観てこれはスルーだなと思っていた。
だが、そう思った直後に主人公である三角青輝(みすみ あおてる)(CV: 小野賢章)にとって大切な人が死に、その時の主人公の誠実な想いと卓越したロジックのセリフに胸打たれ、これならどうなるのだろうとひきこまれた。そして、そのまま第1シーズンを一気に観てしまった。(第2シーズンも制作が決定しているようだ。)
この主人公の三角くん、弁がめっぽう立つのだ。現実という地に足をつける徹頭徹尾のリアリストでありながら、実は国を統一するという大きな志とひとつの哲学をもったロマンティストであるところが好きだ。その雄弁で自身と周囲の運命を変えていく姿に、アニメ映画『超かぐや姫!』のことを思い出した。両作品ともストーリーも世界観もまったく違うが、主人公の強烈な才覚が運命を良い方向に変えていく点が通じる。このアニメ『日本三國』を通じて、考え抜くことこそが未来を変える力になる――そんなメッセージを、僕は勝手ながら受け取った。「感じるだけではなく考えろ」とは、僕が敬愛する笹口騒音(うみのてetc)さんが歌っていることだ。
うみのて「テトリ(キッ)ス」MV
↑「考えろ考えろ感じて考えろ」という歌詞。こんなことを歌うロックバンドがこれまでいたか? ボーカルで客演した内田万里(ふくろうず)が出演している、このMVもカワイイのでぜひ観てほしい。
魅力的な主人公以上に魅力的なのが輪島桜虎(わじま おうが)(CV: 津田美波)だ。最初は敵国の将だし、いけすかない女性なのかなと思っていた。ところがどっこい。優しく凛とした素晴らしき人格者なのである。画面にも「尊い」という文字がペタペタ貼られているぐらい尊いのだ。
個人的に、輪島桜虎の所作や表情を見ていて思い浮かぶのは、「夜に駆ける」というロックバンドのフロントウーマン"はしもとりお"である。その哀しいまでに儚げで、悲劇のヒロインと言うには力強く、純水よりも清らかな尊さにずっと浸っていたくなる。"夜に駆ける"による傑作アルバム『生は苦しくて、美しい』のアルバムタイトルどおりの生き様(音楽)を体現する二人なのだ。二人とも夜と月が似合う。光の優美と闇の深淵が彼女たちを照らし、覗(のぞ)いてている。
↑夜に駆ける「化石になろうよ」MV
この記事を読んでいる方にも、切実なこの曲を聴いて化石になってほしい。

最近読んだマンガでは、知人に勧められた、三島芳治『児玉まりあ文学集成』が面白かった。魅力が伝わらない人には一生伝わらないだろう、文学と邂逅するゆるふわな世界観。前述した『日本三國』の殺伐とした空気とは真逆のバイブスが鳴っている。
このマンガを読んで博学ならぬ薄学の自分が思い浮かぶのは、黒田硫黄の作風だ。簡潔なコマ割りの大胆さや、シンプルだけど強い引力のある言葉は相並ぶのではないか。……と、こんなことを言うのは僕ぐらいかもしれない。
でも、何かと何かを繋げたり、離したり、また繋げたりするのは、文学的な所作であり、ヘタクソでもこれから続けていきたい。目標は、高橋源一郎さんの連載『これは、アレだな』(サンデー毎日)のように素敵な「これは、アレだな」について粋(いき)に書くことである。化学記号と化学反応をもて遊ぶかのように、いつでも知的に賦活されていたいから、この目標は自分のライフワークにしていたい。
そして、"輪島桜虎"を「夜に駆ける」の"はりもとりお"に喩えた文脈でいうと、『児玉まりあ文学集成』のヒロイン"児玉まりあ"は、相対性理論の"やくしまるえつこ"に思える。というか、僕にはそうとしか思えない。"児玉まりあ"も "やくしまるえつこ "も、しゃべりだし歌い出すと、日常の空間のはずなのにその場をファンタジーの世界にしてしまう。彼女たちの織りなす世界線では、「セーラー服と戦闘服」が(©️相対性理論「地獄戦争」)、「木星と葉っぱ」が(©️『児玉まりあ文学集成』1巻冒頭)、ひと続きに繋がるのである。ロジックと情報を粉にしてゆるふわな宇宙を天地創造していく、その手腕にはアインシュタインもビックリだ。

(↑拾い画像)
相対性理論「地獄先生」
↑ゆるふわの極致。僕の2010年代は神聖かまってちゃんと相対性理論で回っていた。
セリフで埋め尽くされ、詳細を殺伐なまでに描きこむ『日本三國』と、最低限の内容しか描かず、空白と行間から想像させる『児玉まりあ文学集成』。
ダークでスタイリッシュな色彩が特徴の『日本三國』と、余白の白がまぶしい光彩をたたえる『児玉まりあ文学集成』。
たくさんの人間が殺し合う『日本三國』と、ひとりも死なない(どころかケガさえしない)『児玉まりあ文学集成』。
以上見てきたとおり、表現手法的には対極だが、どちらも面白かった。そして、どちらの作品も心をドライブさせる「言葉(セリフ)」の才気が際立ち、その言葉は、世界と人間の核心に迫っている。『日本三國』の第2シーズンと『児玉まりあ』の続巻に期待したい。
以上、自分が最近触れてきたカルチャーについて書いた。正直、今の僕には10代、20代のときのような感受性や衝動はないものの、40代でもまあまあ楽しくカルチャーを摂取していることは幸運なのかもしれない。これからも良い作品や学びのある作品、スカッとする作品など、濃密な時間を過ごせる作品に触れていきたい。
🌟こちらの記事もぜひ!🌟
素顔と仮面とパラレルワールド (神聖かまってちゃん×相対性理論)
↑の記事から以下🦑に引用
「僕は、かまってちゃんと相対性理論の両方に、今の時代のリアルを感じる。視界に世界が転がってくるし、自分もその世界に転がっていくようだ。音楽を聴いている間だけは、仮面を外していたい。」
🌠Xのアカウント、ぜひぜひフォローしてね!🌠
矢沢永吉よりもサンキューロックンロールな男のアカウント。
音楽や日常、カルチャーについて語っています。
(できているかは分かりませんが)面白く深く楽しくがモットーです。
X(遊道よーよー)@yoyo0616

