よそうかい - トレーダーの独り言 2 -8ページ目

戦略備蓄倍増

NY原油は大幅反発

本日は午後に発表された戦略備蓄原油積み増しのニュースが
全てといっても過言ではないだろう。20年後には現在の
6億 9,100万バレルから倍以上の15億バレルに増やすという計画。
まだ計画の段階とはいえ久しぶりの大きな材料といっても良さそうだ。
ここまでOPECの減産やロシアの欧州向け輸送停止など、
強気材料といえば供給側のものが多かったが、
需給側でこうした目立つものが出てきた意味は大きい。

ボドマンエネルギー長官はこの計画を受け、春から日量10万バレルの
ペースで積み増しを開始するとの意向を示しているが、
これは911テロ以降、2005年まで続いた積み増しペースにほぼ匹敵する。
この間に相場は10ドル台後半から70ドルまで上昇した。別の見方をすれば、
米国の需要見通しが今後20年に渡って日量10万バレル引き上げられたのに等しい。

また、米国がこうした計画を発表すれば、日本や欧州がこれに続く
可能性も高いだろう。中国が積み増しを開始、インドや他のアジア諸国に
とっても備蓄積み増しは重要問題だ。新興国に加え既に保有している国も一斉に
積み増しを増やす方向に動けば、いくら供給を増やしても追いつかないのは明白だ。

もっとも、こうした材料はあくまでも中長期的なもの、発表があったからといって、
いきなり2ドルも値が動くのは行き過ぎだ。ここまでの下げで割安感が高まり、
皆がチャンスをうかがっていたところにニュースが飛び込んできたため、
一気に買い戻しが膨らんだのだろう。相場はきっかけさえあれば
いつでも大きく反発する力があることを、改めて示したということだ。

まだまだ相場が上下に振れる可能性は高いが、
60ドル台回復はかなり近くなってきたのではないか。

金は何についていくのか

NY金は小幅反落。前半の上昇を維持できず、
取引後半に手仕舞い売りが膨らんだ。

先週後半同様、原油の値動きを追いかける展開。
消費してもこの世から消えてなくならない金は、需給バランス以外の
要因に左右されることが多い。今は原油についていっているが、
その対象もコロコロと変わってしまうのであまりあれこれと意味を
考えても仕方ない。考えている間に対象が変わってしまうのがオチだ。

それにしても相場は前半の上昇局面でこそ640ドルの大台を回復したが、
その後はぴたりと買いの勢いがなくなってしまった。
この水準では割安感もなくなっており、何か材料が出てこない限り
相場を今以上に大きく押し上げることは難しいだろう。

中長期的なトレンドは依然として上向きだが、
しばらく この水準でじたばたとするのではないだろうか。

原油大幅安

NY原油は大幅反落。弱気の在庫統計を受け売りが膨らみ、
一時50ドルの大台を割り込む場面も見られた

在庫統計では原油が677万バレル、ガソリンが349万バレルの
大幅積み増し。製油所稼働率が3.53ポイントも一気に下がったことを
考えれば原油の積み増しはむしろ当然で、強気に作用していた
可能性もある。しかし、これだけ稼働率が下がったにもかかわらず、
ガソリンが大幅積み増しになったことが大きい。需要の低迷が主な
原因と思われるが、寒波で全米各地の交通が麻痺していることも
影響しているのかもしれない。

一方、本日はほとんど注目されることもなかったが、稼働率の
大幅低下は中長期的に問題が大きい。先週は製油所の小規模な
トラブルがいくつかニュースに載っていたが、その影響だろうか。
定期点検が本格化する以前からこういう低迷が続くようだと、今後の
需給に問題が出てくる可能性も高い。本日は市場心理が大きく弱気に
傾いているだけにこのような結果になったが、状況が違えば稼働率の
低下だけで十分な買い材料になることは、覚えておいた方が良い。

シカゴコーン反発

本日のシカゴコーンは続伸。

先週金曜のUSDA需給報告を受けた買いの流れは依然として強く、
大きく買いが先行。中盤には一時前日の高値を抜け420台に乗せる
場面も見られたが、引けにかけては利食い売りに押された。

先週金曜は強気のUSDAレポートを受けストップ高、昨日は買いが
残るもののひとまず利益を確定しようとする売りに押され、本日は
タイミングを逃していた向きが改めて買いが集まると、ここまでの
コーン動きはほぼシナリオ通りといえよう。

ただ、明日以降の展開となると、なかなか予想が難しい。

なんとか高値で売り抜けたいと思っている向きがまだ大勢いるのは
分かっているが、問題はあとどの程度買いが残っているのかだ。
しかもそれは420を超えても出てくるのか、それとも400を割り込まないと
活発にならないのかという問題もある。ファンダメンタルズに大きな
変化のないまま4ドルを大きく割り込むことがあれば迷わずに「買い」と
いえるのだが、目先しばらくは価格変動も激しいだろうし、
上手くタイミングを掴むのは難しいだろう。

400割れ、あるいは420を上抜けるような展開になれば
また考えるとして、しばらくは様子を見たほうが良いかもしれない。


サウジ石油相の真意

NY原油は大幅反落。OPEC追加減産開催の
可能性が遠のいたことを受け失望売りが膨らみ、
2005年5月末以来の安値水準で取引を終了した。

先週末に盛り上がったOPEC緊急総会開催で
追加減産決定というシナリオは、サウジ石油相の
発言であっさりとなくなってしまった。
イランやベネズエラが開催を求める強気の発言を
繰り返してはいるが、これはいつものことで、特に
気にする必要もないだろう。OPECリーダーの
サウジがノーと言った瞬間になくなったと考えてよい。

敢えて疑問を呈するとすれば、サウジ発言の真意は
どの辺りにあるのかだろう。ここまで一番生産量を
減らしているのは紛れもなくサウジであり、減産の効果を
何より望んでいるのも同国のはず。自らの市場への
影響力を考えれば発言で価格が急落するのは目に
見えていたにもかかわらず、何故あそこまで明確に否定したのか?

在庫は彼の言うとおり減ったのかもしれないが、今年の
暖冬を考えれば再び積み増しされる恐れも十分にあるはずだ。
第一、在庫水準だけで生産方針を決めるのならとっくの昔に
減産をしているはずで、彼らが価格を気にしていることは
疑いの余地もない。

2月から既に決定済みの追加減産が字視されれば相場が
反発すると、よほど自信を持って予想しているということだろうか。
うがった見方をすれば、口先だけでなかなか自ら生産を減らそうと
しないベネズエラやイランといった国を真剣にさせるため、
わざと値を押し下げるような発言をしたとも考えられる。

金大幅安

5日のNY金は大幅続落。

強気の雇用統計を嫌気し、
昨年10月27日以来の安値まで値を下げた。

商品市場全体にポジション整理の売りが広がる中、
比較的下げ渋っていた金だが、雇用統計 の結果を受け
それまでたまっていた売りが一気に噴出す格好となった。

ETFなど足の遅いポジションが多いためなのか、ドルとの
絡みで雇用統計まで様子を見ようとする向きが多かったのか
理由は分からないが、結果的には他市場より少し遅れて
大量のポジションが手仕舞われた訳だ。

もっとも、今日の動きを見る限り原油や穀物などは
一足先に下げ止まっている。売りの理由が同じならば、
金も週明け早々に下げ止まってもおかしくはないはずだ。

ただ、雇用統計の結果を受け利下げ期待が遠のいたのは事実。
これの影響がどの程度あるのか、今日のような動きが続けば
判断することも出来ない。少し慎重に対処した方が良いかもしれない。

原油大幅続落

NY原油は大幅続落。

前日同様にファンドの手仕舞い売りが相場を主導した。
寄付きでいきなり1ドル以上下落、まもなく57ドルの節目を
割り込むなど売り一色の展開。在庫統計発表後は
一時57ドルを回復する場面も見られたが、
ガソリンが大幅積み増しになるなど内容は極めて
弱気だったことから再び売りが膨らんだ。

在庫統計ではガソリンが500万バレルを大きく上回る積み増し、
暖房油も増加、製油所稼働率も上昇、輸入も回復とどこから
見ても弱気の結果。原油が予想外に取り崩しとなったが、
全体で見れば影響は微々たるものだろう。
ただ、在庫の数字に反応したのなら、ガソリンが真っ先に
売られているはずだが、本日の下落は原油が主導している。
市場は在庫を見て売ったのではないことは明らか、
前日に続くファンドのポジション整理が大きな理由だろう。
 

相場は今年に入って5ドル以上下落、あまりに急な展開に
ポジションを投げざるを得なかったファンドも多かったと思われる。
この2日間で大方のポジションが整理されたのかもしれないし、
まだ売りそびれている向きがいる可能性もある。いずれにせよ、
このような売りが何日も続くことはないだろう。
問題は売りが一巡した後の展開だ。

値動きに驚いているのはファンドだけではない、OPECも内心
穏やかではないはずだ。イランのOPEC代表は早速緊急総会の
開催を示唆したが、今後価格低迷が続けば他の加盟国からも
同様の声が上がるだろう。12月のナイジェリア総会で決定した
50万バレルの実施は2月1日から、早い時期に総会を招集すれば、
減産量を増やすことも可能だ。加盟国の暗黙の了解となっている
60ドルの節目をこうもあっさり割り込んだ以上、何らかの行動を
起こす可能性は高いと考える。

今月15日からインドで開かれる会議には、OPEC加盟国の
閣僚も多数参加する予定となっている。この会議前後に
彼らが会合を開くことも十分に考えられよう。

金続伸

今日の金は続伸。

ドル安などを好感し寄付きから買いが先行、終値ベースで
今月14日以来となる630ドル台をつけた。新築住宅販売が
予想を上回ったことを嫌気し売りに押される場面も見られたが、
最後まで下値は堅かった。

ドルはアジア市場から久しぶりに大きく売りが先行。
新築住宅販売が前月比3.4%増と予想を上回ったことで
買い戻されたものの、前日の水準を回復することはなかった。

金も素直にドル安に反応。

現在の金は基本的にドルの動きに大きく影響されるとは
考えていないが、年末で参加者も限られ、取引もあまり
活発に行われない中、今日は結構な手掛かりとなったようだ。

一方、新築住宅販売が予想を上回るという、金にとっては
売り材料があったにもかかわらず値下がりは限定的。
強気材料には素直に反応、弱気材料には反応が鈍いという、
強気派にとってなんとも心強いパターンと言える。
630ドルの節目もしっかりと回復した。

明日の立会いで3-4ドル更に値を伸ばすようなら、
テクニカルな買いも加わりいっきに640ドルを試すことになるだろう。

原油大幅安

クリスマス明けの原油は大幅続落。

目先の暖冬予報が改めて売り材料視され、
石油製品主導で売りが相次いだ。

国連安保理はイラン核問題に関する制裁決議を採択、
イランはこれを受け入れない考えを表明したが、特に材料視されず。

時期が時期なら大きな買いの手掛かりとなっていたのだろうが、
今の相場にはまったく影響しない。決議の内容がロシアや中国の
圧力で骨抜きになっており、すぐに武力行使につながる懸念がない上、
イランがこれを拒否するのも周知の事実。

イランの石油相は改めて石油(の輸出停止)を武器として使用する
可能性に言及したが、こちらもただの脅しに過ぎないと、
真剣に取りあう向きはいないようだ。

もちろん武力制裁の可能性が高まり、イランがこれに対抗して
ペルシャ湾の封鎖や石油輸出停止措置を打ち出せば状況は
ガラリと変わるのだろうが、それに至るまでにはまだ幾つもの
段階を経る必要がある。

現在の市場は地政学リスクを大きく材料視する風潮はなく、
目先の注目は需給バランス、暖房需要とOPECの減産に
集まることになるだろう。今のところ流れが暖冬を見た売りに
傾いているので、このまま60ドルを割る可能性は高いが、
この水準では再びOPEC問題が浮上してくる。

買いを入れるとすれば59ドル台前半、あるいは28日に
石油在庫統計が発表される前のタイミングとなるだろう。

詳細はWEBサイト をご覧ください

原油在庫の大幅取り崩しは材料とならず

NY原油は小幅続伸。

在庫統計で原油が600万バレル以上の大幅取り崩しとなったが、
石油製品の増加や製油所稼働率の上昇が嫌気され、上昇は限定的だった。

今回の原油在庫大幅取り崩しは、濃霧によるテキサス州や
ルイジアナ州の輸入港閉鎖が原因。数字は確かに衝撃的だったが
、事前に輸入の一時的な停滞による大幅取り崩しの可能性が
指摘されていただけに、パニック的な上昇にはつながらなかった。

テキサス州やルイジアナ州のメキシコ湾岸では今も断続的に
濃霧が発生しており、本日も夜間から早朝にかけて5時間
輸入港につながる水路が閉鎖されている。
ただ、明日以降は運行に支障の出るような濃い霧は発生しないと
見られており、混乱もようやく収拾に向かうようだ。

輸入停滞の影響は来週の在庫統計にも見られるだろうが、
別に原油がタンカーから消えてなくなったわけではないので、
その後は反動で輸入も急増すると思われる。

一方、石油製品の在庫は100万バレルの増加、製油所稼働率も
90%台を回復し、こちらは弱気の内容だ。石油製品相場はこの結果を
上手く消化できず、ガソリンが反落、暖房油は反発とまちまちの結果。
単にポジションの整理が進んだだけと見ることも出来る。

同じく暖房需要に大きく左右される天然ガスが大きく値を下げる中、
暖房油が反発するのは少し不自然な気がするが、
この答えは明日にも出るだろう。

濃霧のおかげで需給の正確な判断が出来なくなり、
目先の見通しもやや不透明となった。今回の輸入大幅減の
ほとんどが南部メキシコ湾岸(PADD3)であることから、
水路閉鎖が影響しているのは間違いない。

しかし、輸入はそれまでも徐々に減少してきており、11月からの
OPEC減産の影響が見られ始める可能性もあったわけだ。

もし輸入港が閉鎖されなければ輸入はどの程度のものだったのか、
減産の影響が本格的に出始める時期だっただけに、この先しばらく
判断できないのは非常に痛い。

目先は暖冬の影響がどの程度上値を重くするかが鍵を握るだろう。
留出油の需要は過去4週平均では前年を僅かに上回っており、
これを見る限りそれほど大きく減っているとの実感は湧いてこない。

しかしながら、これまでのOPEC減産では追いつかないほど需要が
減るようなら、相場は一時的に60ドルを割り込む可能性もあるだろう。
ただ、そうなればOPECが更に次の手を打ってくると思われるので、
落ち込みはあくまでも一時的なものになると思われる。