よそうかい - トレーダーの独り言 2 -5ページ目

産金会社合併とヘッジはずし

NY金は続伸、東京市場からドルが大きく売られたことを好感した。

今日の注目材料は何といってもドル安だろう。これまでは
円キャリーとの絡みもあったのか対円でしか動かなかったドルが、
本日は対ユーロでも大きく下げたのが大きい。朝方発表された
CPIや鉱工業生産はどちらもドルには強気の内容だったが、
買戻しが限定的なものに止まったことも支えだ。

サブプライム問題に揺れる米国への不安が、本日はリスク縮小と
言う形でなく素直にファンダメンタルズを反映した格好だ。
もっとも、これで市場の混乱が収拾するとは思わない方が良いだろう。

本日の市場の話題と言えば、バリックゴールドによる
ニューモント・マイニングの買収検討だろう。昨年は買収絡みで
ヘッジポジションの縮小が進んだ経緯があるから、強気筋には
そのあたりが一番気になるところ。生産1位と2位の合併だけに、
実現すればヘッジはずしの規模も相当なものになるかも知れない。


サブプライムは今後も大きな影響が残る

為替は前日の流れを継いだ円安が進行。

サブプライム・ローン問題で特にショッキングなニュースもなく、
指標も強弱まちまち。米株は比較的安定した動きとなり、
市場も今日のところだけは一服といった感じだろうか。
指標ではNY、フィラデルフィアの連銀指数が悪い。人材不足という
面もあるにはあるが、6ヵ月後の期待指数で雇用が共に落ち込んで
いることが特に気掛かりだ。ある程度分かっていることではあるが、
製造業の回復は雇用尾も含め、当面期待できそうにない。
PPIは元々変動が激しいものだし、まあこの程度の数字が出ても
不思議ではない。明日のCPIを見てから判断したい。対米証券投資は
予想以上に強気だったが、最近特に為替市場への影響力が薄れている
感じがするのだが、気のせいだろうか。最近の傾向を見る限り、
指標の内容は強弱どちらかの方向に傾いてはおらず、
方向性を決定付けるような材料とはならないだろう。

このサブプライムというやつは、この先もかなり大きな影響が残りそうだ。
本日のグリーンスパン講演ではないが、景気に対する明確な影響を
あげつらうことが難しいのは事実。ただ、これまで過剰流動性に支えられて
イケイケどんどんだった市場の雰囲気が変わったのは間違いない。
あまり過小評価してはいけないと思う。彼は住宅価格の下落が何よりも
問題になると指摘していたが、私もそれには大賛成だ。住宅価格の
上昇に大きく依存して借金をしている連中が、この国には多すぎる。

こうした問題が残る限り、ドルが大きく買い進まれることはないと思われる。


リスクマネーに翻弄される原油

NY原油は小幅反発。前日同様に株の動きに一喜一憂する展開となった。

最近の値動きを見る限り、市場は明らかにリスクマネーの動きに
翻弄されている。株の動きを追いかけたのも、景気の先行きやそれに
伴う石油需要が念頭にあったのではなく、単にファンドなどの動きを
探る目安として株価が利用されただけだろう。総会を明日に控え
OPECの閣僚から様々なコメントが飛び出したが、生産枠据え置きが
ほぼ規定路線と言うこともあり、ほとんど材料になることもなかった。

明日のOPEC総会では、大方の予想通り生産枠が据え置きとなる
可能性が高いと思われる。敢えて見所を挙げるとすれば、年初に
新規加盟を果たしたアンゴラの処遇だろう。FT紙はサウジがアンゴラに
対しあまり調子に乗って生産量を増やさないように釘を刺したとの記事を
載せたが、加盟国の心情を考えると至極当然のことだろう。野放しに
生産増を認めていれば、何のためにOPECメンバーに迎え入れたのか
分からなくなる。同じことがイラクにも当てはまるし、いつまで経っても
増産に協力しないインドネシアへの圧力も高まるのではないか。
また、閣僚級監視委員会が提言したよう、次回の臨時総会を6月に
開くことを決定するのかどうかも注目される。

目先は引き続き株価の動きを追いかける展開か。OPEC総会は
サプライズなしに終わる可能性が高く、大きな材料とはならないだろう。
本日ダウが100ドル以上の下げから午後に急速に値を回復したことが
好感され、明日のアジアや欧州株が買い進まれるようなら、短期的に
60ドルを回復することも十分にある。しかしながら、サブプライム・ローンの
問題がこれで幕引きとなることはあり得ず、この先もまだまだ株が大きく
売られる恐れは高い。市場が落ち着きを取り戻し、株価下落が
リスクポジション縮小の象徴ではなく、単なる一市場の相場変動として
みなされるようになるまで、原油も不安定な動きを続けそうだ。


サブプライム問題は金にどう影響するか

NY金は小幅続落。朝方は原油の反発やサブプライム・ローン問題を
受けた株安を手掛かりに買いが先行したが、前日の高値手前で
早々に伸び悩み。中盤以降は株価下落が商品市場からの資金流出を
促すとの見方から売りが優勢となり、最後はマイナス転落した。

本日はサブプライム・ローン問題で株が大幅安の展開となった。
大手のニューセンチュリー・ファイナンシャル株の取引をNY証取が停止(最終的に上場廃止)、
アクレジティッド・ホームレンダースも資本注入の必要性を明らかにするなど、
問題が次から次へと露呈する状況だ。

これは金市場だけに限れば代替投資を促すという面で強気材料と
考えてよいのだが、ダウが200ドルも下げる展開になれば話は別。
市場全体からリスクマネーが流出するようなら、個別の強気材料などあまり役に立たない。

この問題が今後も影響するようなら、先に起きた中国発の株価急落のように
一時的な現象とも言っていられない。信用不安は確かにサブプライム・ローン市場に
限定されるかもしれないが、サブプライム・ローン会社は他の金融市場とも
密接に関係している。他市場への影響はないと、暢気に構えている場合ではないだろう。


大豆続伸

シカゴ大豆は続伸。

コーンに大きく売りが膨らんだにもかかわらず、日中を通じて
堅調な相場展開が続いた。ブラジル北部の一部で雨による
収穫の遅れが見られていることや、アルゼンチンの運送業者の
ストで輸出が滞るのではとの懸念が買いを支えたようだ。
米国の作付が前年から大きく減少するとの見方も引き続き下支えとなっている。

ただ、ブラジルの収穫の遅れはごく一部の地域だけのようだし、
雨が品質に大きな影響を与えない限りいつまでも強気材料とはならない。
アルゼンチンのストも、過去の例を見る限り長く続くことはないだろう。
こうしたものだけを理由に強気に傾くことは、リスクが高い。

米国の作付動向は確かに大きな材料だが、事前に様々な情報が
飛び交っており、どの程度の水準ならば市場が強気に反応するのか、
正直言って見えなくなってきた。USDAの推定などは他の民間機関に
比べるとかなり弱気だが、それでも買いが膨らむのだろうか。

作付期に雨が多くなれば、コーン作付の時期を逃した農家が仕方なく
大豆に戻ってくる可能性もあり、こちらもあまり強気一辺倒に取るのも
考えもの。コーンも含めた米国の農産物市場全体を考えた場合、
基本的に強気見通しで良いのだが、こうした材料が一時的に
大きく売りを誘う可能性も否定できない。


原油小幅反落

NY原油は小幅反落。

天然ガスや暖房油の下げが相場を主導したところを見る限り、
本日は目先の気温上昇見通しが上値を重くしたものと思われる。
ただ、3月も中旬に差しかかろうとするこの時期は、気温はむしろ
上昇して当然だ。これが短期的な売り材料として影響を与え続けるとは思えない。
 

中長期的に見ると、この先は暖房需要の減少よりも製油所稼働率の
低迷や石油製品需給の逼迫の方が影響は大きい。本日ガソリンだけが
大きく値を伸ばしたことを見ても分かるよう、市場はこうした問題が
あることを十分に承知している。ガソリンが上昇している限り、それほど
心配することもない。原油もいずれこちらについていくことになるだろう。




金700ドルは5月あたりか

NY金は続伸。

原油が強気の在庫統計を受け上昇、ドルは下落と金にとっては買い材料が
揃った格好となった。こうしたものに素直に反応したのを見る限り、
先週の株価急落の影響はほぼなくなったと考えてよいのではないか。

市場が落ち着きを取り戻したとなれば、2月初めの水準まで大きく
値を戻した金はとにかく割安感が強い。イランの核開発に伴う情勢不安、
サブプライム・ローン市場の信用不安、グリーンスパン発言に代表される
景気後退不安と、金相場を押し上げる材料が豊富なのは以前と全く
変わっていない。ボラティリティーが急速に高まったことからヘッジファンド
などはしばらく慎重姿勢を維持すると思われ、いきなりV字型に回復するとも
考えにくいが、ややペースを落とした程度で上昇トレンドが復活すると思われる。

このまま条件が変わらなければ、700ドル台達成は5月あたりになりそうだ。


原油反発

NY原油は反発。ダウが100ドル以上反発するなど世界的に
株価が上昇したのを好感、寄付きから買いが先行した。

株高に円安と市場がこれまでと正反対の動きを見せたことで、
先週から続く混乱もようやく一段落するかの安心感が広がった。
ただ、その割に原油の上昇は今ひとつといった感は否めない。
先週も他市場の混乱を尻目に続伸するなど、我が道を行く展開だった
だけに、株が上がったからといって単純に買われる訳でもないようだ。

一方、足元の材料は結構強気のものが多い。ナイジェリアでは
パイプラインの油漏れで18.7万バレルの生産が停止。これが単なる
事故ならばまだ良いが、最近の国内治安悪化の影響で施設の
メンテナンスが十分に行われてといったものが原因なのだとしたら
事態は深刻だ。この先更に問題が発生する可能性も否定できない。

昼過ぎに発表されたEIAのアウトルックでは、07年の原油価格見通しが
大幅に引き上げられた。また、OPECの2月産油量も前月から20.5万
バレル減少と、減産は着々と進んでいる。こうした状況が続く限り
需給は引き締まり、結果はいずれ消費国の在庫などに表れるはずだ。
米国では輸入がじわじわと減ってきている上、国内製油所のトラブル
などで製油所の稼働率が低迷、ガソリン在庫は既に減少傾向が
強まっている。明日の在庫統計でこうした傾向が確認されれば、
更に買いを集めることになるだろう。



金の下げは止まったか

NY金は続落。アジア株が再び急落、円高も加速と前週の影響が
週を渡っても残ったことを嫌気し、朝方から大きく売りが先行した。

先週から続く市場の混乱はいまだに衰えを知らず、といったところだろうか。
ポジションの整理にあたふたと追われている向きがいる一方で、市場が
落ち着きさえすればと虎視眈々とチャンスをうかがっている向きがいるのも事実。
ただ、混乱が続けば続くほど、皆が慎重になっていくのは否定できない。
慌てて逆張りを仕掛けた向きがあっさりと返り討ちに遭うなど、相場は何でも
ありの状況になってきた。よほど明確な相場観があり、なおかつ大きな
リスクを取ることができなければ、今の市場に参入すべきではない。

金は株式や円と共に市場の混乱を主導している感が強い。下げるのも
早かったが、上昇する時も一番だろう。商品の中では流動性が高いことから、
市場に資金が戻る時には真っ先に買い進められるものと思われる。
問題はそのタイミングだが、こればかりは正確に当てようと思って
当てられるものではないし、そうすべきでもない。

結局は株と円の動きに注目しながら、何処かでリスクを
取る決断をせざるを得ないということだろう。


金は安全資産となるか

NY金は小幅反落。

本日の動きは全てが中国株の急落に始まったといても過言ではないだろう。
ここ10年で最大の下げ幅となった上海市場の急落を受け、ファンドは慌てて
過剰ポジションの縮小に走った可能性が高い。その一つである
キャリートレードの巻き戻しで円が急反発、その煽りを受けて
金をはじめとした商品市場も大きく値を下げた。

株式にこれだけの下げがあった以上、しばらくはリスク資産から
手を引こうとする動きが強まることは避けられない。午後からNY株が
下げ幅を大きく拡大したことを受け、金も電子取引で大きく売られている。
しかし、資金は依然としてそこに存在しており、何らかの形で投資は
続けなければならない。当然ながら対象は債券などの安全資産に
向けられるわけだが、問題はその中に金も含まれるかどうかだろう。

金は地政学リスクなどの観点から見れば安全資産だが、リスク投資との
観点では必ずしもそうではない。本日の動きを見る限り、金から一斉に
手を引こうとする感じは見受けられなかったが、しばらくは慎重に推移を
見守る必要があるようだ。もっとも、今後も金が底堅く推移するようなら話しは別だ。

ドル安、株安、債券高といったリスクを避ける動きが加速するようなら、
金市場に対して今まで以上に資金が流入する可能性も十分にある。
ETFを使えば、株から金への資金移動も容易に行えることも忘れてはならない。