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ネオクラスター推進共同体、関西に「新エネ研究会」開設(日刊工業新聞)

経済産業省の「産業クラスター計画」を推進するネオクラスター推進共同体(事務局=関西情報・産業活性化センター)は、関西で新エネルギー分野の産業集積を狙い、07年3月までに「新エネルギー技術創成研究会」を設立する。燃料電池や2次電池、太陽電池の3分野で勉強会などを行うコミュニティーと、技術開発や事業化を目指すプロジェクトを立ち上げる。研究会は約150社の参加を目指す。
 関西圏は2次電池で世界シェアの高い三洋電機のほか、太陽電池の有力メーカーであるシャープや京セラ、燃料電池改質でトップクラスの大阪ガスなど、新エネルギー分野の企業が集まる。ベンチャー企業を含め技術開発のポテンシャルも高いことから、新エネルギー3分野をまとめた研究会を立ち上げ、関連産業育成を進めることにした。
 3分野別のコミュニティーは、大手からベンチャーまでの企業と大学の参加を得て、勉強会や技術開発につながるマッチングを行う。新技術・事業化プロジェクトは4、5社の固定メンバーで10件弱の開発チームを結成する計画だ。
 既に携帯電話内蔵型燃料電池の開発チームが先行して始動しており、今後は燃料電池ハイブリッド電気自動車、プラズマ化学気相成長(CVD)によるフレキシブル太陽電池、高容量・高信頼性リチウム電池用材料などでテーマを固め、開発チームを順次立ち上げていく。近畿経済産業局も施策の有効活用などを提案して支援する。
 研究会の設立前イベントとして、07年1月19日に大阪国際会議場(大阪市北区)で「新エネルギー技術創成フォーラム」を開く。フォーラムでは、燃料電池や2次電池分野に精通する小久見善八京都大学大学院教授による基調講演が行われ、分科会で新エネルギー3分野の活動事例も紹介される。


2006.12.30 IPNEXT

中小企業は“採用難”

「いざなぎ超え」大手に押され

 景気拡大の期間が戦後最長の「いざなぎ景気」を超え、企業の新卒採用が活発になっている。だが、大量採用する大企業に人材を奪われ、知名度の低い中小企業は苦戦が目立つ。合同企業説明会の回数を増やすなど、対策に懸命だ。

(高橋健太郎)

説明会を増やし、大学と連携強化

大阪市内のホテルで11月下旬、中小企業30社の合同企業説明会が開かれた。だが、5時間にわたる説明会に参加した学生は、計103人。各社のブースでは、手持ちぶさたな人事担当者の姿が目立った。私立大4年の男子(21)は「大手企業の就職活動がうまくいかず、中小にも目を向けるようになった」と本音を漏らした。

 主催した大阪府中小企業家同友会の中村泰二・大学求人部長は、「大手が採用数を増やした2004年ごろから人材確保が難しくなった」と危機感を募らせる。年2、3回だった説明会を、今年は5回に増やしたという。

 リクルートグループの研究機関「ワークス研究所」によると、来春卒業予定の大学生・大学院生に対する民間企業の求人は82・5万人と、バブル期の91年(84万人)に次ぐ高水準だ。企業規模別の求人倍率は、従業員1000人以上の0・75倍に対して、1000人未満は3・42倍の「超売り手市場」で、人材の争奪戦が激しい。

 インターネットの求人サイトへの登録などに取り組む中小企業は多いが、「決め手がない」(奈良県中小企業家同友会)のが現状だ。このため、地元の大学や経済団体との連携を強化する例も増えている。立命館大が今年度手がける「若者と中小企業とのネットワーク構築事業」では、公募した大学生・大学院生11人を中小企業に派遣し、社長と一緒に行動させる「社長のカバン持ち」などを行っている。実際の業務を体験することで、風通しの良さなど中小企業の魅力を知ってもらう狙いだ。

 大阪商工会議所が03年に始めた「トライアル雇用事業」は、「紹介予定派遣」と呼ばれる採用システムを活用する。希望者が2~6か月間、中小企業で派遣社員として働き、双方が合意すれば正社員に登用される。試しに働くことで「大手と比べ業務内容や社風がわかりにくい」という不安を解消しやすい。今年10月末までの約3年間で、制度を利用した209人のうち118人が正社員となった。

 社員20人余りでコーヒーサーバーのレンタルなどを手がけるホーム(大阪市)の大薮孝志社長は、「採用活動に社運をかけている」と言い切り、就職セミナーなどで目を付けた学生を自宅の宴席に招くなど、「一本釣り」に力を注ぐ。中小企業にとって、社員一人ひとりに対する期待は、大企業と比べものにならないほど大きい。厳しい環境下での採用活動の成否が、各社の将来を左右しそうだ。


2006年12月28日 読売新聞)

中小機構、来年度事業計画を発表-地域資源の事業化支援に力(日刊工業新聞)

中小企業基盤整備機構は27日、07年度事業計画の骨子を発表した。国からの運営費交付金は06年度比
1億7000万円減の219億9000万円。
 07年度は新たな事業として、地域資源の活用支援となる地域企業化力向上支援事業、貸し工場整備などを行う地域産業活性化共用施設整備事業(補助金)など地域経済活性化に力を入れる。
 地域企業化力向上支援事業では、中小企業が農林水産品など地域資源をビジネス化するために専門家とのコーディネート活動などに力を入れる方針。詳細な計画は今後詰める。
 また、モノづくり支援では、経済産業省・中小企業庁が06年度から取り組む戦略的基盤技術高度化支援事業(研究開発委託費)の中小機構分予算として23億円を計上した。

2006.12.29 IPNEXT

ものづくりの現場で 

12月26日: 朝日新聞(asahi.com)経済気象台ここから本文エリア より

 忘年会で、あるオーナー社長の話を聞いた。その社長の会社は、日本を代表する大手メーカーの現場で作業を請け負っている。そのメーカーの事業は目下絶好調、大変な高生産で現場は多忙を極めている。その社長の会社も人を募集しているが集まらず従業員の残業でしのいでいるとのこと。ところが何と、社長の請け負っている仕事は赤字なのだという。

 

 このメーカーはコスト削減至上主義、「ミスターコストリダクション」の異名をとった中興の祖以来の伝統で下請け会社には毎年契約単価ダウンのノルマを与える。下請け会社は力関係上黙って受けるしかない。社長の仕事もその過去からの積み重ねで赤字状態が続いているとのこと。今のような好況時にはさすがに下請け会社にも従業員のボーナスを増やすようにと財源を上乗せするようだが、それとは別に契約単価引き下げのノルマは必ず課されるため、従業員の処遇は改善しても会社の業績としてはむしろ悪化するという。


 そういう会社だから、そのメーカーの本社部門は「コスト削減額」で工場の責任者や契約担当者の業績を測っているらしい。彼らが昇進するかどうかはその本社部門の判断によるようだ。


 ずっと厳しい状況をしのいできた我が国製造業の実態は皆こういうものかも知れない。だがメーカーに競争力を持たせるはずの現場のコスト削減の取り組みが、いつの間にか「蛸(たこ)が自分の足を食っている」ようなことになっているとしたら、我が国の「ものづくり」は現場から崩れていきかねないと正直思った。もちろん社長にとっては「ものづくり」の将来のことよりも自分の会社の足元のほうが大事である。酔いもまわって「現場に公正取引委員会が調査に入り是正勧告をした。工場の責任者はコンプライアンス上問題があったとして更迭された」そんな初夢でも見てみたいと呟(つぶや)いた。(啄木鳥)

◆ 全国会頭アンケート結果~資源のない日本の強みは “技術力”~ (2006.12.27)

◆ 全国会頭アンケート結果~資源のない日本の強みは “技術力”~ (2006.12.27)  

日本商工会議所は、全国520の商工会議所会頭を対象にアンケートを実施した。アンケートでは、①わが国が取り組むべき優先課題、②日本の誇れる点・強み、③地域のお宝とそれぞれの理由について聞いた。調査期間は平成18年12月7日~20日。320人から回答を得、回答率は61.5%(回答者の平均年齢69.8歳)。


Q1.わが国が取り組むべき優先課題

経済活性化、中小企業支援、地域振興(まちづくり)が上位に

回答では「経済活性化」(190人)が最も多く、約60%もの回答者の賛同を得た。次いで「中小企業支援」(174人)、「地域振興(まちづくり)」(164人)と続いた。「経済活性化」を挙げる理由としては、「経済活性化は、雇用の拡大、豊かなまちづくり、財政健全化など社会全体を力強く前進させる原動力」などがあった。


Q2.日本の強みは?

1位 技術力、2位 ものづくり、3位 勤勉さ  

回答は、1位が「技術力」(111人)、2位が「ものづくり」(61人)、3位が「勤勉さ」(47人)だった。「技術力」は、伝統の技から高度先端技術まで幅広い分野にわたっていた。理由としては、「資源のない日本は、これまで高度な技術と勤勉さでもって発展してきた」「長い歴史を歩んできた日本独自の文化伝統を守り、一方で高品質で低価格な製品を生産する品質管理能力やナノテクノロジーをはじめとする優秀な技術開発能力を持つ」などが挙げられた。今の日本があるのは、技術に加え、日本人の国民性によると考えていることがうかがわれる。


Q3.まち・地域のお宝・自慢できるもの

1位 観光資源・施設、2位 伝統・文化・歴史、3位 自然  

回答の1位は「観光資源・施設」(103人)、2位が「伝統・文化・歴史」(66人)、3位が「自然」(65人)。「観光資源・施設」にはさまざまな固有名詞が含まれていた。温泉、城、寺、古墳、橋、動物園、空港、港、ものづくりの歴史を知る観光コースや産業観光施設、町並みなど、自慢の名所・旧跡・施設が並んだ。地域それぞれが積極的に魅力づくりに取り組んでいる姿が浮き彫りになった。  


※アンケート結果の詳細は、http://www.jcci.or.jp/kaito/kaito20070101.pdfを参照。

「ものづくり」美術館と連携 伊東・大室高原

「ものづくり」美術館と連携 伊東・大室高原

2006/12/26

 伊東市大室高原の「伊豆ガラスと工芸美術館」(片山劼館長)は25日、同所に市立池小の教諭らを招き、ステンドグラス作品作りの体験教室を行った。
 「図工の授業が少なくなり実際に美術館を見学したり、ものづくりを実践したりする機会が少ない」と片山館長が招待した。学校と美術館が連携して子供たちのアート鑑賞力を高めるため、同美術館では今後も市内の学校などに呼び掛け、体験教室や出前講座を開く方針。
 この日は教諭と児童ら約20人が参加し、教諭らは小さいガラスパーツで作る壁掛けの製作、子供たちは万華鏡作りに取り組んだ。児童数33人の池小の安田康一校長は「児童が少ない学校にとって、マンツーマンで美術を教えてもらう良い機会。来年度にも取り入れてみたい」と意欲を示した。

静岡新聞オンライン

地元の宝語り継ごう 「仙台伝統ものづくり塾」来月開講

仙台市青葉区の住民でつくるいきいき青葉区推進協議会が来年1月、「仙台伝統ものづくり塾」を開講する。地元で伝承されてきたものづくりを学んでもらい、その魅力を「語り部」として次代に語り継ぐのが狙い。第1弾は「仙台駄菓子」で、歴史や製法だけでなく、学んだ内容を多くの人に伝えるための話し方講座を盛り込んだ。

 「仙台駄菓子」編は、創業310年余の老舗「熊谷屋」(青葉区木町通)が全面協力し、1月27日から3月10日まで、熊谷屋や木町通市民センターなどで4回開講する。

 9代目の熊谷光雄社長(65)を講師に迎え、仙台駄菓子の由来や歴史、種類、製法などを学ぶ。熊谷屋の工場で駄菓子作りにも挑戦する。体験を記録にまとめた後、魅力を伝える話し方の手ほどきを専門家から受ける。

 協議会内に実行委員会を組織した。川島兵介実行委員長(71)=青葉区中央=が「仙台が誇る宝を次世代に継承するために、多くの人に知ってもらい、口コミですそ野を広げる必要がある。市民センターを会場に各地域で語り継ぐ仕組みをつくりたい」と狙いを語る。

 熊谷社長も新たな取り組みを歓迎する。「駄菓子は、仙台ならではの身近な菓子として地域の皆さんに支えられてきた。最近は健康や美容への関心から、自然食としても注目されている。歴史や背景を知って親しみを深めてもらえればうれしい」と話した。

 今後のテーマは未定だが、仙台みそや笹かまぼこ、堤人形、松川だるまなどが候補に挙がっている。川島委員長は「受講生は人に伝える役目を担うので、受け身ではない内容の濃い塾になると思う。地域に息づく資源の再評価、活性化につなげたい」と張り切っている。

 来年1月9日から電話で受け付け、先着20人で締め切る。参加費は1000円。連絡先は青葉区まちづくり推進課022(225)7211。

2006年12月25日月曜日河北新報ニュース

日本企業と「分業型IT」の相性

日本企業と
「分業型IT」の相性
もはや、ITそのものでは他社に差をつけることは難しい。
競争優位のための「必要条件」かもしれないが、「十分条件」ではないのだ。
筆者は、「組織能力」にITを合わせることが本筋である、と主張する。


東京大学大学院経済学研究科教授
藤本隆宏 = 文
text by Takahiro Fujimoto
ふじもと・たかひろ●1955年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱総合研究所を経て、ハーバード大学ビジネススクール博士課程修了。現在、東京大学大学院経済学研究科教授兼ものづくり経営研究センター長、ハーバード大学ビジネススクール上級研究員。
著書に『生産システムの進化論』『日本のもの造り哲学』などがある。
尾黒ケンジ = 図版作成


 20世紀後半を通じて「能力構築競争」を継続してきた日本企業は、自らが背負ってきた歴史に根差す「ものづくり現場発の能力構築戦略」を堅持しつつ、それと欧米流の「頭を使い楽して勝つ戦略」との間のバランスをとっていくべきだと前回論じた。ここで「ものづくり現場発の能力構築戦略」とは、厳しい能力構築競争から逃げず、多能工のチームワークを基本とする「統合型のものづくり組織能力」を鍛えたうえで、それと「相性」の良い製品アーキテクチャ(設計思想)、ビジネスモデル(儲けの構造)、組織構造、人事方針、購買方針、IT(デジタル情報技術)方針などを確立する全体最適の方針を指す。
 つまり、あくまでも「組織能力の継続的な進化」を戦略の最優先課題とし、それを最大限に活かすようにヒト、モノ、カネ、情報などの流れをつくっていくことである。間違っても、「新しい仕組み」や「先端技術」が独り歩きし、自社の強みである組織能力の構築・増進をかえって阻害するようなことがあってはならない。企業の競争力を支える「IT」も、その例外ではない。
 かつては、自社独特の情報システムで他社に差をつけよう、という考え方(戦略情報システム=SIS)が主流だったが、その後パソコン、インターネット、分散ネットワークの時代が到来し、標準的な汎用ソフトウエアで自社の情報技術系を構築するのが一般的となった。
 つまり、「ITの時代」とは、まさにITそのものでは他社に差をつけにくい時代のことなのである。「誰でも買えるうちの汎用ソフトをご購入いただければ競合他社に勝てます」といった類の一部ITベンダーの売り文句が、論理的に矛盾していることは言うまでもない。確かに先端的ITを「入れないと負ける」ケースは増えているが、それと「入れれば勝てる」というのは別の話である。言い換えれば、今日ITは、競争優位のための「必要条件」かもしれないが、「十分条件」ではない。
 ものづくり支援ITを競争力に結びつける主役は、結局のところ「組織能力」だ、と筆者は考える。ITは、それを使いこなし改良する組織能力が伴うとき、はじめて他社に対する競争優位に結びつく。その点で、汎用ITの購入は、能力構築の代替物にはなりえない。「ITの時代」とは、「組織能力で差のつく時代」である。
 したがって、あくまで組織能力を主、ITを従と考え、組織能力と相性の良いITを購入し、あるいは組織能力にITを合わせこむ改良を行うことが、能力構築戦略のIT方針であろう。間違っても、自ら培った組織能力を犠牲にしてまで「ITに合わせた業務・組織の全面見直し」に走るべきではない。組織能力と相性の悪いITに甘んずるべきでもない。
 このことは、自動車産業の開発支援IT、例えばCAD(コンピュータ支援設計)、CAE(設計評価シミュレーション)、CAM(コンピュータ支援金型開発)などについても言える。


自動車の例
欧米発汎用CADの席捲


 かつて、日本の自動車メーカーの多くは、自前のCADシステム等を持っており、それらは日本企業が構築してきた「統合型開発の組織能力」と相性の良い「統合型CAD」だった。ところがその後、CADは二次元から三次元表現のソフトへと進化し、それも、人工物の立体形状を輪郭で表現するワイヤーフレーム・モデルから、立体を表皮部分のみで表現するサーフェイス・モデル、さらには塊として立体を捉えるソリッド・モデルへと立体表現の技術が発展した。ただでさえ部品点数が3万点あり、外観が自由曲面で構成される自動車のことだ。当然、ソフト自体も複雑化し、開発費は莫大になり、個々の自動車メーカーが自力でそうしたソフトの開発や保守を行うことには限界が来た。
 そこで、自動車メーカーは自社独自の内製CADをあきらめ、汎用ソフトを売るベンダーからパッケージCADを購入するようになった。それらは基本的にすべて欧米発のもので、例えばCATIA,Pro/ENGINEER,I-DEAS,Unigraphicsなどである。最後まで自前の「統合CAD」を維持していたトヨタ自動車も、汎用ソフトへの移行を決定した。
 ネットワークの時代、CADの標準化は必然的な流れかもしれない。しかし、歴史の成り行きとはいえ、ものづくりで世界をリードする日本の自動車産業向けの、しかも「擦り合わせアーキテクチャ」の(日本が得意な)ソフトであるはずのCADが、欧米ベンダーの汎用ソフトにほぼ支配されているのは、不思議な光景と筆者には見える。
 皮肉にも、近年、経営危機や国際競争力の低下が問題とされた家電・エレクトロニクスの分野では、日本のCADベンダーが、自動車産業よりも活躍しているようである。
 むろん筆者は、欧米のCADを排斥せよ、などと国粋主義的な暴論を吐くつもりは毛頭ない。使い勝手が良く、安価で、ユーザー企業の競争力強化や組織能力構築に貢献してくれるソフトなら、国籍は関係ない。
 しかしながら、「ものづくりの能力構築戦略」という筆者の観点から見ると、現在、世界の自動車企業が使っている欧米のパッケージCADは、基本的には欧米企業に偏在する「分業型ものづくり組織能力」を前提に開発された「分業型CAD」であるように見える。つまり、日本企業の「統合型ものづくり組織能力」と、欧米製の「分業型CAD」の間の相性が、必ずしも良くないのではないか、との懸念が残る(図)。
 第一に、こうした「分業型CAD」は、個々の設計者が、完璧な設計情報を後工程に伝える機能においては優れているが、開発早期における設計者間の柔軟な設計調整・設計変更への対応能力は重視されない傾向がある。つまり、分業型CADは、設計者個々人の完璧主義とは整合的だが、協調(コラボレーション)環境で動く設計者間のチームワークとは必ずしも相性が良くない。
 第二に「分業型CAD」は、設計者(設計を構想するエンジニア)と作図者(詳細な設計図面を描くオペレータ)が明確に分業する欧米的な分業組織を出自としており、したがって、CADを操作するのはオペレータのみで、エンジニアはCADには直接触らない、という暗黙の了解の上に成り立っている。つまり、エンジニアもオペレータも一緒になってチームで設計する「統合型開発の組織能力」に合ったソフトになっていない。専門の訓練を受けたオペレータしか操作できない、エンジニアが気軽に使えないCADである傾向が大である。
 第三に「分業型CAD」は、個々のオペレータが他者から干渉されず「おのおののCAD画面に没入」するような仕事ぶりを想定しており、統合型製品開発の基礎となる「皆で見える化」(チームメンバー相互の作業可視化)による共同問題解決(コラボレーション)を支援しない。確かに、設計情報が三次元化したことで、個々の部品の設計者と生産・購買・販売担当者間のコミュニケーションは促進されたが、隣同士の部品の設計者間、オペレータ間の意思疎通は、意外に良くなっていない可能性がある。
 第四に、「分業型CAD」は完璧主義的な形で人工物の形状を表現しようとするため、データが必要以上に複雑化し、異なる汎用ソフト間のデータ変換が難しくなる傾向がある。つまり、設計データ変換の不具合を嫌うユーザー企業は、結果的に特定のCADベンダーに囲い込まれやすい。特定のベンダーに偏らぬ中間ファイル(STEPなど)を介して異種CAD間のデータ互換性を高める試みもあるが、囲い込み戦略をとる欧米のCADベンダーは、当然ながらそれに熱心ではない。


組織能力とITの
「相性」を見極めよ


 このように、現在、自動車産業で支配的な「分業型CAD」は、日本企業が長年培ってきた「統合型組織能力」と相性が良くない、使いにくい、といった声を、現場サイドからよく聞くのである。
 それでも日本の自動車技術者は、文句を言いながらもそれらのCADを「使いこなし能力」あるいは「改良能力」で補い、開発期間を短縮化し、開発生産性を向上させてきた。例えば、CAD等により設計問題解決の前倒しを行う「フロント・ローディング」によって、デザイン決定からの開発期間を20カ月以下にまで短縮化している。同じパッケージCADを使いながら、日本企業は欧米企業より10カ月ぐらい開発期間が短いという実例もある。
 しかしながら、自動車設計自体が複雑化していくなかで、相性の悪い「分業型CAD」のみに頼ることのデメリットは増幅していく恐れがある。チームワーク環境と相性の良い「統合型CAD」を、せめて人間系とのインターフェース部分にもっと使えないだろうか。欧米系のCADがそれに対応してくれないのなら、日本側でそうしたソフトを自主的に開発し標準化する必要はないだろうか。
 こうした「不適合論」に対しては、反論も聞かれる。いわく、(1)日本でも若手の技術者は欧米CADを使いこなしており、懸念は世代間ギャップの問題にすぎぬ、(2)グローバル化の時代、海外の部品メーカーが欧米CAD一辺倒なのだから合わせるしかない、(3)日本企業が欧米CADをカスタマイズして日本型に変えさせればよい、等々。
 むろん、筆者の心配が杞憂であれば結構なことである。しかし、少なくとも、日本企業の「ものづくり組織能力」と「ものづくり支援IT」の間の相性については、産官学で十分な議論を尽くすべきと考える。ちなみに、第三期科学技術基本計画の関連で、すでに内閣府等ではそうした議論が始まっている。
 CADに限らず、IT導入の判断基準は、その会社の競争力の源泉たる組織能力との相性だと筆者は考える。その際、組織能力にITを合わせるのが本筋である。IT導入が組織能力の強化に資するのなら大歓迎だが、既製服的なITに合わせて、せっかく鍛えあげた「理想の体形」を崩すのであれば愚策である。
(president online ビジネススクール流知的武装講座より)


京都が中小企業事業化支援ファンド運用者に都中小企業振興公社を選定(東京都)

京都が中小企業事業化支援ファンド運用者に都中小企業振興公社を選定(東京都)

[2006/12/21]

 東京都は、中小企業の新事業立ち上げを支援する「中小企業事業化支援ファンド」の運用者として、東京都中小企業振興公社(東京都千代田区)を選定した。同公社は年内にも「東京都中小企業事業化支援投資事業有限責任組合」を設立する予定。都や地域金融機関などが同組合に出資し、中小企業に資金供給する。
 都は5月から6月にかけて同ファンドの運用者を公募。同公社の中小企業に対する豊富なサービス実績、支援ノウハウ、保有する企業情報などを評価し、運用者に選定した。
 同ファンドには、都が10億円、地域金融機関が2億円、同公社が3000万円を出資し、事業期間は8年間とする。都内中小企業の中でも非上場志向型企業の事業立ち上げ期に投資。資金供給とあわせて、都立産業技術研究センターと連携したハンズオン支援などを実施し、企業価値の向上を図ると共に事業化成功確率を高めるとしている。(IPNEXT)

http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/12/20gcj500.htm

意欲も技術も良し 金型など基盤技術 道、102社冊子で紹介 大手にPR  2006/12/20

道は、自動車関連などの大手企業の進出を促すため、金型や鋳造など優れた下請け技術を持つ道内企業百二社を紹介するガイドブック「ものづくりを支える北海道の基盤技術企業100選」を作成した。

 A4判のオールカラーで百二ページ。金型、プレス、機械加工、プラスチック成形など素形材産業を中心に各社を一ページごとに紹介。会社概要をはじめ、主要な製品や取引先、得意とする加工技術、生産設備などを写真とともに掲載している。

 道内約五百社の中から高い技術と道外企業との取引に意欲を持つ企業を選び、道経済部と道立工業試験場の担当者が各社に聞き取り調査をしてまとめた。

 四千五百部作成。道内の基盤技術企業を網羅した冊子はこれまで例がなく、自動車関連を中心に大手企業誘致の際に配布し、道内企業の技術力をアピールする。本年度中に道のホームページにも今回取り上げた百二社の情報を掲載する。