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つれづれ にっぽん

にっぽんの神話を、エッセイ風に書いています。

【和歌を知りたい 6


今回はなかなかにマニアックな、


「折句」(おりく)


でございます。

 

暗号です。

 

では見ていきましょう。

 

「小倉山 峰たちならし 鳴く鹿の 経にけむ秋を 知る人ぞなき」


という和歌を、

 

おぐらやま

みねたちならし

なくしかの

へにけむあきを

しるひとぞなし

 

と並べると、一番初めの文字を並べた時


「おみなえし」=「女郎花」、


花の名前が隠れているのです!

 

 

 

では練習問題。

隠居して細々と暮らしているおじいさんから、こんな和歌が届きました。

このおじいさん、何が欲しいと言っていますか?

 

「夜も涼し 寝覚めの仮庵(かりほ) 手枕(たまくら)も 真袖(まそで)も秋に 隔てなき風」

 

初めにだけ注目していると、見逃しますよ~

一方向だけに読んでいても見逃しますよ~

なかなかの応用問題です。

 

 

 

正解は……

よもすず   し

ねざめのかりほ

たまくら   も

まそでのあきに

へだてなきかぜ

 

 

「よねたまへ」=「米給え」

「ぜにもほし」=「銭も欲し」

 

「米と金くれ」という暗号でした☆彡

 

 

 

 

ではそれへのお返事。


「夜も憂し 寝たく我が背子(せこ) 果ては来ず なほざりにだに しばし訪ひませ」

 

同じように読むと、

「よねはなし、ぜにすこし」=「米はないけどお金は少しあげられるヨ」

とのことです。

 

ちなみに、これ、和歌の意味的にもちゃんと返事になってるんです。すごーい。

 

 

 

というわけで、和歌を知りたいシリーズはとりあえずここまで。


最近ネタ切れ気味なので、「これ説明してくれ~」というのがあったらコメントください。

できる限りでやりたいと思います(笑)

 

 

ではまた(^^)/

わらび



【和歌を知りたい 5


さて。序詞でございます。

 

今後、「序詞」という言葉を見たら、

 

「伏線」


または


「プロローグ」


と脳内変換してください。

 

 

これは最初っから例を出したほうがいいですな。

 

 

「あしびきの…… 山鳥の尾の…… しだり尾の……」

※あしびきの→「山」の枕詞。 ※山鳥→しっぽめっちゃ長い


って言われたら、

 

あ、鳥のしっぽの話をしてるのね。長いよね。

 

って思うじゃないですか。でも、この続き、

 

「長々し夜を ひとりかも寝む」


ってなるんです。

 

 

「山鳥のほらあの、すっごーーいながいしっぽあるじゃん、そんくらい長い夜をね、恋人もなく一人で寝るんだよノД`)シクシク…」


っていう歌だったんです。

 

 

 

初めだけ聞いたらわからないけれど、

最後まで聞くと、あの初めの部分が上手いこと伏線回収されて、なんか見事な歌になりましたって感じ。

 

それが序詞、伏線、プロローグです。

(正確にいえば「あしびきの~しだり尾の」は「長々し」を導く序詞、という説明になります。)

 

 

 

では練習問題。


「春柳 葛木山に 立つ雲の 立ちても居ても 妹をしそ思ふ」

※妹→いも。彼女のこと

 

この和歌で、序詞はどこまででしょう?


ヒントは、


「ここから、話変わってるよね?」


となるところの直前までが序詞……伏線です。

 

 

 

正解は、

「春柳 葛木山に 立つ雲の」までが、「立ちても」の序詞ですね~。

 

「春にさア、あの山にさア、雲が立つじゃない?」

と、雲の話をしているかと思いきや、


「で、立つといえば、俺立っても座ってても彼女のこと思ってるんだよね」


とかかってくるわけです。

 

 

なかなか難しいのが序詞ですが、慣れてきて見分けがつくようになると、


「おお~。うまいなおまえ」ってなります。

 

 

 

次回は、隠された暗号たち、「折句」でございます。

 

ではまた(^^)/

わらび



【和歌を知りたい 4


今回は「歌枕」です。

 

今後、「歌枕」という言葉を見たら、即刻、

 

「名所ね」って思ってください。

 

 

「種子島」と聞いたら、真っ先に宇宙センターが思い浮かびますよね。


「ラスベガス」と聞いたら、なんかジャラジャラしたものが思い浮かびますよね。


「アマゾン川」と聞いたら、いろんな生物がいるところ、って思いますよね。

 

おんなじ。

 

「吉野山」っていったら桜(か雪)。


「龍田山」っていったら紅葉。

 

それだけなんです。

 

 

歌枕は、何かの名所や観光地的なところで、

和歌に詠みまくっているうちに有名になったところ。

そのうち、「いやー吉野山の桜すごかったよ」と言わなくても、

「吉野スゲーわ」だけで、「あー、桜がね」ってわかるようになっちゃったんです。お決まりとして使いすぎて。

 

しかも、お決まりになっちゃったもんだから、実際に行っていなくても使う使う。


庭の紅葉を見て、

「あ、和歌でも詠もう」

  ↓

「紅葉っていえば龍田山だな」

   ↓

「行った気になって、龍田山って入れて詠んでやろう」


みたいな感じです。

 

 

あとは、暗黙の了解として比較対象に使ったり。


岩手県平泉(世界遺産ですな)にある束稲山(たばしねやま)の、見事な桜を見た人が詠んだ歌。

 

「聞きもせず 束稲山の 桜花 吉野のほかに かかるべしとは」


(聞いてねーぞ! 知らなかったぞ! 東北の束稲山ってところの桜が、吉野山よりすごいなんて! すっげーーー!)

 

「吉野と同じくらい」

ということは、最上級の褒め言葉みたいなもんなんです。

「吉野=桜すごい」

でお決まりなので。

 

 

 

日本全国に歌枕はあるので、気になったら調べてみてください♪

 

次回は「序詞」。

ではまた(^^)/

わらび