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つれづれ にっぽん

にっぽんの神話を、エッセイ風に書いています。

【声に出して読みたい万葉】


万葉集には、いかにも「声に出して読みたい!」という、擬音語・擬態語のようなものが出てきます。


今回は、その中のいくつかをご紹介します。

 

 

1、雪が降る擬態語

 

春先、湿気を多く含んだ大粒の雪が、もさもさと降ってくるときがありますよね。

皆さんなら、あの光景、何と表しますか?

 

 

万葉集では……

 

「沫雪(あわゆき)の ほどろほどろに 降り敷けば 平城(なら)の京(みやこ)し 思ほゆるかも」

 

(淡雪がほどろほどろと降る様子を見ていると、旧都である平城京のことが思われるなあ)

 

 

「ほどろほどろ」でした。


さあ、読んでみましょう。淡雪って感じがよく出ます。

 

 

 

2、夜が明ける擬態語

 

明け方、ぼんやりと東の空、山際を見ていると、徐々に空の色が変わり、雲の色が変わり、美しいものです。

皆さんなら、あの光景、どう表しますか?

 

 

万葉集では……

 

「しののめの ほがらほがらと 明けゆけば おのがきぬぎぬ なるぞかなしき」

 

(しののめ=東雲=東の空 が、ほがらほがらと明けていく。恋人との別れの時間が近づく。悲しいなあ)


※当時は通い婚で、恋人同士一緒にいられるのは夜だけ。夜明けは悲しいもんです

 

 

というわけで、夜が明ける様子は「ほがらほがら」でした。


さあ、声に出してみましょう。脳裏にはっきりと、美しい夜明けが浮かびませんか。

 

 

 

3、水草が水辺で揺れている擬態語

 

ジュンサイというものがありますね。あれ、食べる形になる前の生えている様子をご存じですか?

簡単に言ってしまえば水草みたいに水面でゆらゆらしています。

この感じ、皆さんならどう表現しますか?

 

 

万葉集では……

 

「我(あ)が心 ゆたにたゆたに 浮き蓴(ぬなは) 辺(へ)にも沖にも 寄りかつましじ」

 

(私の恋心と言ったら、浮いたジュンサイのようにゆたにたゆたにしていて、水辺にも沖にも行けないなあ。)

 

 

ゆらゆらと漂い動くようすを、「ゆたにたゆたに」と表していました。


さあ、声に出してみましょう!

 

 

 

日本語の響き、大切にしていきたいですね。

 

ではまた(^^)/

わらび




【昔のギャル語(?)】


今回は、昔、偉いお姫様に仕えていた女性、「女房」の間で作られて広まった挙句、

今でも普通に使われている言葉のお話です。

 

 

●ブーム1、「もじ」

 

女房の間で、


「ねーえ、『もじ』って可愛くない?」

「かわいい~」


というブームが発生。

 

 

「かつら」って可愛くないから、「かもじ」!

 

「杓子(しゃくし)」って可愛くないから、「しゃもじ」!

 

「ひだるい」(お腹減った)って可愛くないから、「ひもじ」→「ひもじい」!

 

 

こんな感じで作られていきました~。

 

 

 

 

●ブーム2、「お」

 

女房の間で、


「ねえちょっと、『お(御)』ってオシャレね~」

「あらやだほんと~」


というブームが発生。

 

 

「田楽(でんがく)」は、オシャレに「おでん」!

 

「食品の数々」は、オシャレに「おかず」!

 

「体の真ん中」は、オシャレに「おなか」!

 

「鳴らすもの」は、オシャレに「おなら」!

 

 

 

このブームがエスカレート。

 

「食事につけるもの」(味噌汁)は……「おつけ」?

 

「いや、付ければ付けるほどオシャレじゃない?」

となり、

 

「御御御付け」(おみおつけ)だとめっちゃオシャレ!!!

 

 

となってしまいました。

 

※さんざん「御」つけられてますが、ただの味噌汁ですよ

 

 

 

 

私たちが普段使っている言葉も、なりたちを知ると面白いですよね。

 

 

ではまた(^^)/

わらび




【万葉版ヤンキー(?)】


今回は、いわゆる「万葉仮名」のお話です。

 

昔、日本には、文字がありませんでした。


それで、漢字の音を借りて言葉を書き表していました。

例えば、


「待ち出でつるかも」


と書きたいときは、


「待出鶴鴨」


と書いたり、


「行かめ(ゆかめ)」


と書きたいときは、


「湯亀」


と書いたり。

 

 

しかし!!!


そのうち、これで遊び始めた人たちがいるんです。


「よろしく」を「夜露死苦」って書きたがるアレです。難しい=カッコイイの発想です。

 

 

では問題。

次の万葉仮名を読んでください。

 

1、「八十八」

2、「十六」

 

ヒント:この時代にも掛け算九九はありました

 

 

 

では答え。

 

1、「八十八」=「くく」

2、「十六」=「しし」=「獅子」

 

 

 

今度は掛け算応用編。次の万葉仮名を読んでください。

 

3、「重二」

 

 

答え。

3、「重二」=「し」

 

※2×2=4ってことです

 

 

 

どうですか、この感じ。

 

極めつけはこちら。次の万葉仮名が表す漢字一文字をお答えください。

 

4、「山上復有山」

 

 

ヒント1:これを書き下し文にすると「山の上にまた山有り」と読みます

ヒント2:漢字です。

 

 

 

答え。

4、「山上復有山」=「出」

 

山っていう漢字の上にまた山っていう漢字書いたら「出」になるでしょって話です。

 

 

 

面白いですね!

 

で、こういうのが乱用されるようになって、「詠むのも書くのもめんどくせーんだよ!!!」となり、

「もう、この音はこの文字であらわすって決めようぜ。画数も減らしておしゃれにしようぜ」となり、

漢字を崩した平仮名が生まれたんです。

 

 

ではまた(^^)/

わらび