通勤の途中で買い物をして、その後に災害にあった場合の対応
今回は「通勤の途中で買い物をして、その後に災害にあった場合の対応」について解説いたします。
「社員が通勤途上において、事故に巻きもまれましたが、通勤災害となるのでしょうか?」このような相談がありました。
通勤途中でも、逸脱・中断が「日常生活上必要な行為」を行うためであった場合は、この逸脱・中断の間を除いて、通常の通勤経路に戻った後は通勤と認められるとのことです。
まず、「日常生活上必要な行為」については、厚生労働省令に定められています。
そして、「日常生活上必要な行為」は、労災則8条で次のように定められています。
では、この「日常生活上必要な行為」の具体例は以下となります。
(1)日用品の購入その他これに準ずる行為
(2)職業訓練や学校教育、その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
(3)選挙権の行使その他これに準ずる行為
(4)病院または診療所において診察または治療を受けることその他これに準ずる行為
(5)要介護状態にある配偶者、子、父母、孫、祖父母および兄弟姉妹並びに配偶者の父母の介護(継続的に、または反復して行われるものに限る)
さらに、通達で具体例も掲げられています。(平27・3・31基発0331第21号)
(1)日用品の購入その他これに準ずる行為」については、帰途で惣菜等を購入する場合、帰途で理・美容院に立ち寄る場合、クリーニング店に立ち寄る場合等がこれに該当します。
(2)職業能力開発促進法に規定する公共職業能力開発施設において行われる職業訓練、学校教育法1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為が該当します。
(3)「選挙権の行使その他これに準ずる行為」については、選挙権行使のほか、最高裁裁判官の国民審査権の行使、住民の直接請求権の行使等がこれに該当します。
(4)「病院または診療所において診察または治療を受けることその他これに準ずる行為」については、病院または診療所において通常の医療を受ける行為に限らず、人工透析など比較的長時間を要する医療を受けることも含まれます。また、「これに準ずる行為」の具体例としては、施術所において、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師等の施術を受ける行為があります。
(5)同居している者の介護を行う場合としては、介護保険法に規定する施設サービスが提供されない施設(養護老人ホーム、軽費老人ホーム等)に一時的に入所している者を介護する場合等が想定されます。また、「扶養」とは、主として当該労働者が経済的援助をすることにより生計を維持させることをいいます。
これらを参考に「通勤災害になるのか?ならないのか?」を会社は判断をしてください。
通勤経路を離れて、飲食した場合は認められるケースはほとんど無いと考えてください。
この場合、「日常生活上必要な行為」ではないと考えられるからです。
パート社員に特別な賞与の支払いは必要でしょうか?
今回は「パート社員に特別な賞与支払いは必要でしょうか?」を解説いたします。
先日、質問がありました。
「無期転換した社員にも就業規則で、賞与を支給することがあります。この人たちは、パートや有期雇用労働者のときから、一定額を支給してきました。このたび、正社員を対象に年2回の賞与に加えて利益還元賞与の支給を検討していますが、パートらも支給対象とせざるを得ないのでしょうか。」
パートや有期雇用労働者に明示すべき労働条件の中に、賞与の有無があります。
「賞与」とは、定期または臨時に支給されるものであって、その支給額があらかじめ確定されていないものをいいます。
季節的に支払う賞与のみを指すわけではなく、決算賞与や利益還元賞与等も、定義上はひとまとめの賞与になり得ます。
賞与の制度はあるけれど業績等に基づき支給しない可能性があるならば、制度としては「有」と明示しつつ、パートらに対しては、例えば「契約の更新時に新たな賞与に関しては支給しない」ことの明示が必要でしょう。
ただし、明示よりも前に支給時期が到来したときには、就業規則等の規定の問題があります。
次に、無期転換した従業員ですが、無期転換権は権利の行使により労働契約の期間のみを変更するのが原則で、「別段の定め」をすることによって労働条件を変更することが可能となっています。
転換権を行使する前の期間の定めがあるときに賞与を一部でも支給していれば、無期転換後もこれを引き継ぐ形が自然の流れでしょう。
パート・アルバイトも無期転換した労働者も「就業規則の基準に達しない労働契約は無効、その部分は就業規則で定める基準による」ことになります。
個別の労働契約が優先するのは、就業規則を上回る場合(労動契約法7条)ですから、新設する賞与の支給対象から除外するのであれば、就業規則等の確認と見直しが必要です。
新たに支給を検討している賞与は、正社員とパート・有期雇用労働者間における待遇の相違には違いありません。
パート・有期法8条の不合理な待遇の禁止等の適用があり、事業者は法14条2項で労働者から求めがあったときの説明義務も負うことから、新たな賞与の性質や支給目的なども明らかにしておきたいところです。
例えば、会社が将来的に収益を見込める部門へ経営資源をシフトするという目的で、正社員には異動や転勤等が頻繁に起こることを考慮して支給したり、その場合でも時限的な措置として支給するなど導入の目的を確認・整理してみてください。
無期パート労働者に対しても、一般的には、常に全く同一水準での待遇にする必要があるとまではいえないと考えられます。
このように、パート社員等への賞与の支給は「支給することが前提」であるというスタンスを取りつつも、至急の性質、目的を明らかにして、都度対応を行うことがポイントとなるでしょう。
無期転換パート、有期パート、有期契約社員など、様々な処遇の中での対応は、事前の取り決めが重要となってくるでしょう。
業務災害と通勤災害の境界線について
今回は「業務災害と通勤災害の境界線について」を解説いたします。
業務災害と通勤災害の境界線は、主に就業場所と住居の関係によって決まります。以下に主な境界線を説明します。
〇就業場所内外の境界
業務災害は就業場所内で発生した事故や疾病を対象とし、通勤災害は就業場所外での移動中に発生した事故や疾病を対象とします。
〇住居の種類による境界
アパートやマンションの場合:自室の外戸(玄関ドア)を出た時点から通勤経路となり、通勤災害の対象となります。戸建て住宅の場合:家の門扉、つまり自宅敷地外から通勤となり、通勤災害の対象となります。
〇就業時間との関係
業務終了後、就業場所を出てから通勤災害の対象となります。例えば、勤務終了後にオフィスビルを出る際、ビル内のエレベーターや階段での事故は業務災害として扱われます。
〇合理的な経路と方法
通勤災害と認められるためには、住居と就業場所の往復が合理的な経路と方法で行われている必要があります。不必要な寄り道や中断がある場合、その後の移動は通勤とは認められません。
〇複数の就業場所がある場合
複数の異なる事業場で働く労働者の場合、一つ目の就業場所での勤務終了後、二つ目の就業場所へ向かう移動も通勤災害となります。
これらの境界線を理解することで、労災と通災の違いを明確に区別することができます。
そして、通災と考えがちですが、事業主の支配下にある場合は業務災害に該当するものもあるのです。
通勤災害としては取り扱われない「業務の性質を有するもの」とは、会社が用意した交通手段で通勤している往復行為または移動に伴って発生した災害について、「業務災害」として取り扱うものをいいます(平18・3・31基発0331042号)。
通勤は、労働者の業務に必然的に伴うもので、その途上は業務と密接な関連性をもっているのは事実ですが、いまだ事業主の支配下ではないので、業務外の災害になります。
しかし、通勤途上の災害であっても次のような事例は業務災害と判断されることになります。
①会社の通勤専用バスで通勤している労働者の災害(昭25・5・9基収32号)
○事例:会社が提供する通勤専用バスで通勤している労働者が、バスを降りた直後にバスの後輪にひかれたもの
○解説:当該災害は、事業主の提供する通勤専用バスの利用に起因して発生したものであり、「業務の性質を有するもの」に該当
し、通勤災害ではなく、業務災害に該当することになります。
事業主が提供する専用交通機関を利用して通勤している場合には、その利用に起因する災害は業務起因性が認められ、業務災害として取り扱われることになります。
つまり、通勤災害とみられるような状況であっても、「労働者が事業主の支配下にある」状況下での災害は、業務災害として取り扱われるものがあるということです。
逆パワハラへの対応について
今回は「逆パワハラへの対応について」を解説いたします。
皆さんの会社に、少し注意をしただけで「パワハラだ!」と反発し、指導に応じない社員はいませんか?
近年、このような、社員から管理者などの上司に対するパワーハラスメント、いわゆる「逆パワハラ」が増えています。
本来会社は、使用者として、社員に対して当然に業務上必要な注意指導をする権限があります。
そのような場合に、社員が注意指導に応じないばかりか、逆に会社側に責任を追及してくるようなことがあれば、事業運営に多大な支障を来します。
さらには、注意指導をする管理者等の上司の側としても、部下から激しい追及を受け、注意指導に法的責任があるかのような言動を繰り返されることにより、自信をなくし、精神的に追い詰められ、最悪の場合には精神疾患を発症して休職を余儀なくされることもあります。
「逆」パワハラは、と言うものの、その実態は「パワーハラスメント」となんら変わるところはありません。そうすると、逆パワハラの要件は、パワーハラスメントの要件と同様に、やはり以下の要件から判断することとなります。
1.優越的な関係を背景とした言動であって
2.業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
3.労働者の就業環境が害されるものであり
4.「1」から「3」までの3つの要素を全て満たすもの
ハラスメントへの対応が社会問題となっている中で、弁護士に相談に行く、労基署に相談に行く、訴える、などと言われると、当然、会社としては当惑しますし、そのような社員に対して、腫れ物に触れるような対応をしたくなるのは当然です。
しかしながら、このような社員を放置することは、他の社員への対応と差を設けることになり、職場の秩序が乱れることは必至ですし、何より、職場環境を良くしたり、業務改善をするために注意指導をした上司の言動を否定することにもなりかねません。
逆パワハラに対しては、会社として、毅然とした態度で対応することが最も重要なのです。
何らかの問題行動が見られた際、最も簡易で且つすぐにできる注意指導の方法は、口頭での注意指導です。
注意指導は、逆パワハラなどの問題行動を現認してすぐに行うようにして下さい。
なぜなら、問題行動を現認したにもかかわらずその時にはこれを放置し、時間を置いてから注意すると、「あの時何も言わなかったのに急に今なんでそんなことを言うんですか?」「言いがかりです」などと、逆に反撃を受けるだけでなくよほど客観的な証拠が存在している場合でない限り、「私はそんなことはやっていません」と言い逃れをする可能性すらあるからです。
なお、注意指導には、もちろん社員の行動の改善を促すという役割がありますが、他にも、必ずしも客観的な証拠が残るものではない社員の言動について、「○○の行動に対して注意指導をした」という形で証拠を残すことで、合わせて、社員の行動をも記録するという役割もあるのです。
整理解雇での解雇回避努力について
今回は「整理解雇での解雇回避努力について」を解説いたします。
企業の業績が思わしくなく、やむを得ず整理解雇を検討することがあります。
労働法で、「従業員の解雇」は最終手段ともいわれ、実際に解雇を実施するにはとてもハードルが高いといわれています。
特に整理解雇を実行する場合、会社の都合での解雇を実施するので、4つの要件を検討し、実施しないと法的に無効とされるケースもあるのです。
整理解雇の4要件
〇人員削減の必要性
〇解雇回避努力
〇被解雇者選定の妥当性
〇手続きの妥当性
以上の4つの要素を総合的に判断して、実施することとなっています。
そこで、客観的に評価を行うことが難しい要件が「解雇回避努力」なのです。
これは、整理解雇を行う前に、配置転換や出向、希望退職の募集など、回避する努力をしたかどうかが問われます。
そうした手段による対処をせず、いきなり整理解雇を行っても認められないということです。
しかし、解雇回避努力については、企業の規模、業種、人員構成、労使関係の状況に照らして実現可能な装置が実施されているかを検討することなのです。
概要の話だけではなく、具体的にいろいろなことを考慮しないといけないのですが、「回避努力は認められないのではないか?」と感じてしまう人が多いように感じております。
しかし、実際の裁判で解雇回避努力が認められたものがあります。
<カーニバル・ジャパン事件 東京地裁 令和5年5月29日>
〇新型コロナウイルスの集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を運航する日本法人の元従業員の30代男性が、解雇は合理的な理由がなく無効だとして地位確認などを求めた
そして、裁判所は以下の判断をくだしました。
〇訴えを退け、会社の主張を認めた。
会社は2020年6月、従業員67人のうち24人に退職を勧奨した。
元従業員の男性は応じず「連合ユニオン東京」に入り団体交渉したが、同月に解雇されたのです。
そして、希望退職募集と新型コロナ対策の雇用調整助成金の活用など、同社が解雇を回避するための努力を尽くしていないと主張していたのです。
しかし、裁判所は希望退職を行っていなかった会社側の理由を認めました(各部門で中心的な役割を行っている社員が退職すると組織存続にかかわる。勤労意欲の低下を避けたかった)。
また、雇用調整助成金の活用がなされなかったとして、解雇回避努力が不十分とは言えないと判断したのです。
この裁判からいえることは、企業の規模、業種、人員構成、労使関係の状況に照らして実現可能な装置が実施されたか否かということです。
同様の事象が発生した場合、ケースバイケースとなりますが、実現可能な措置か否か?それが企業規模、業種、人員構成、労使関係の状況を鑑みて判断することが重要なのです。
精神疾患とハラスメントの因果関係について
今回は「精神疾患とハラスメントの因果関係について」を解説いたします。
パワハラやセクハラによってうつ病や適応障害になってしまった場合、労災認定となる場合があります。
労働者が業務上の事由、あるいは通勤によって、負傷、疾病、障害又は死亡したとき、労災保険により、療養費や休業の補償がされます。
パワハラやセクハラによって発症したうつ病や適応障害に関しての労働災害は長時間労働による場合に比べて、務との因果関係の立証が難しく未だ認定されるケースが少ない状況です。
しかし、仕事によるストレスなどが原因で発病した精神障害について労災請求件数は増大しており、それと共に認定件数も増大しています。
労災認定されるまでは、「私傷病による休暇・休職」が会社の就業規則などで認められていれば、それを利用して休むことができる場合があります。
会社に「私傷病による休暇・休職」の制度がない場合には、年次有給休暇が残っていれば、それを用いて休み、有給休暇がなくなると欠勤になります。
仮にハラスメント等で精神疾患になってしまったと考えられる場合、行為者及び会社に対して多額の損害賠償の請求を行うケースが多くあるのです。
このような場合、多くは被害者側のみの訴えに基づいてなされていることから、このようなケースの裁判の認定がどのようなものなのか?はっきりしないとされています。
しかし、参考となる裁判があります。
<A社事件 東京地裁 令和5年5月29日>
〇女性社員Aは部長Bからセクハラを受けていた(・写真数枚の無断撮影・私的な飲み会の帰りのタクシー内での抱き着き)
〇これらの行為によりAは適用障害となった。
〇その後、医師による診断でPTSDとなり、AはBと会社を訴えて損害賠償、約1700万円の請求を起こした
そして、裁判所の判断は以下となったのです。
〇会社の安全配慮義務違反は認められない
→個人的な飲み会と判断
〇不法行為の慰謝料として55万円でそのうち写真の無断撮影は5万円が相当であると判断された
→業務中の無断撮影なので、この部分のみ会社の連帯責任を認めている
〇PTSDの因果関係は認めらない
事例の裁判では、セクハラと精神疾患の因果関係について否定されています。
この裁判ではPTSDの発症とハラスメント行為の内容を細かく分析し、症状が数年間も続くような重篤な精神障害が発生したとは認められないとして、因果関係を否定したのです。
そのうえで慰謝料の積算に入っているのです。
一般的に精神疾患の場合、精神科医の診断をいもとに多額の賠償請求をされることが多いのですが、診断自体が被害者側のみの訴えに基づいてなされるので、裁判所の判断となると大きなギャップが生まれてくると考えられます。
非常に微妙な問題すが、冷静な対応が求められます。実際はケースバイケースの対応でしょうが、周辺事情も含めた丁寧な対応が必要となってくるでしょう。
Z世代の定着化、早期離職防止のために
今回は「Z世代の定着化、早期離職防止のために」をお伝えいたします。
私のクライアント様からのご相談で多いのが、「社員、特にZ世代が定着しない。すぐやめるのを防ぐにはどうしたらいいか」というものです。
そもそも「Z世代」とは、1990年代半ばから2010年代序盤に生まれた世代、20代から30代前半の方を指します。
Z世代に対して、世間一般的なイメージは、「すぐ辞める」、「がまんができない」、「根性がない」などとなっています。
しかしながら、このような一般論で決めつけてしまうのではなく、この世代が育つ中で、どのような価値観が形成されたのかを捉えることが重要です。
それを、体系的および理論的に捉えることで問題の本質に迫ることができると強く思います。
Z世代を取り巻く時代の流れとして、「失われた30年間」、「終身雇用制の崩壊」など、一つの会社に勤めていれば良いという価値観が持ちにくくなり、その結果として「見切り」の早期化を加速させています。
言い換えると「キャリアの早期構築願望」が高いのです。
このような背景を踏まえると、Z世代が会社を見切る(離職)理由は、大きく2つに分類されると考えます。
・この会社にいてもキャリア安全性がない。“居ても無駄” “力がつかない”状態に陥ることによる離職(「不安型離職」)
・この会社・組織は何を言っても変わらないという“言っても無駄”な状態に陥ることによる離職(「不満型退職」)
これらを踏まえ、会社・組織の現状が、この2つのどちらに当てはまるかを分析し、回避するための具体的な改善策を取ることが重要です。
また、不安要因について聞いてみると1位は「仕事をうまくこなせるか」2位は「上司・先輩・同僚との人間関係」3位が「環境の変化に対応できるか」でした。
社会人として仕事をしていく上で重要だと思うことを聞いた設問では「良好な人間関係」がもっとも重要視されています。
上司や先輩に指導してもらいたいことも「仕事の進め方や基本」が上位です(マイナビ調べ)。
この考えのもと、クライアント様へのヒアリングや従業員との面談等を通じて、現状分析し、解決策をご提案させていただいております。
現場でのヒアリングを通じて感じることは、経営者は「自分はこう育ってきたんだ」が強い場合や、大手企業の実践例をそのまま自己流で取り入れる、はうまくいかないということです。具体的なものとしては、自己・組織効力感向上を目的とした研修や、従業員(マネージャー層、一般職層など)との面談などがあります。
こうした体系的かつ実践的なものの提供によって、徐々に会社と従業員の関係性が変わっていくでしょう。
「Z世代だから」「最近の若い者は」という前に離職という結論に結び付く前に「キャリア」というキーワードで働くということを分析し、これからの生き方を含めた形での指導を実施し、未来を見せることがポイントとなってくるでしょう。
ここまで考えて示すことが定着化、離職防止につながっていくのではないでしょうか。
自然災害時に必要な企業対応とは?
今回は「自然災害時に必要な企業対応とは?」をお伝えいたします。
企業は、従業員が安全かつ健康に働けるよう「安全配慮義務」を負っています。
これは就業時だけのことではなく、自然災害時にも適用されます。
自然災害時の出勤では、企業の判断で自宅待機や休業を命じるケースと、本人の判断で出勤しないケースがあります。
状況に応じて休業手当の支払が必要になります。
まずは、企業の判断で休業を命じるときです。
自然災害が起き、事業活動が行える状態にもかかわらず休業を命じるときは、それが従業員の安全確保のための措置だとしても、従業員に対して平均賃金の60%以上の休業手当の支払が必要です。
ただし、事業場の建物倒壊や器物破損など、出社しても事業活動を行える状態でないときは、天災事変等の不可抗力による休業となります。
この場合は、会社都合の休業とは判断されず休業手当の支払の必要はありません。
さらに本人の判断で出勤しないときについてです。本人の判断で出勤しないときや、自然災害の影響により出勤できなかったときは、休業手当の支払の必要はなく、欠勤扱いとなります。
このようなときに本人に負担なく休んでもらうためにも、有給休暇の取得を推奨し、振替休日や災害休暇などの特別休暇を就業規則に設けている企業も多くあります。
従業員が休むと事業がストップするため、出勤を強要するケースも見受けられます。
しかし、無理な出勤は強風や大雨による災害に巻き込まれ、帰宅困難者となるリスクがあります。
気象予測の正確性が増し、ニュースなどで事前に台風経路や豪雨情報などを把握できるケースも増えてきました。
自然災害が起きても、少ない人数で事業を継続できるよう以下のような対応の検討をおすすめします。
・災害時の緊急性の高い業務の整理
・出勤しなくても業務ができる体制づくり(テレワーク、振替休日など)
・出勤せざるを得ない場合の出勤者の選定
・出勤者の災害リスク回避(宿泊場所の確保)
・出勤できない可能性のある従業員の業務引継ぎ方法
・緊急連絡網の作成と更新
・電気、ガス、水道、通信など障害が起きた時の緊急対応(二次災害防止)
また、備蓄品の管理も必須です。予期せぬ災害が発生した際、必要な物資を迅速かつ、安全に配給するために重要です。
備蓄品の中には、食品の賞味期限や、消耗品の状況確認をはじめ、定期的な点検が必要なものもあり、補充や交換を行いながら、いつでも使える状態を保っていることが大切です。
さらに、備蓄品は、災害が発生した際、避難経路や避難場所の近くなど、迅速に取り出せる場所に保管しておくことも重要です。
最近では、BCP(事業継続計画)の策定支援や経費の一部を補助する自治体や業界団体もありますので活用したいですね。
日本は自然災害が多く発生する国であり、地震などの予測困難な災害も少なくありません。
いざという時の従業員の安全確保のため、事前の対策を検討してみてはいかがでしょうか。
資系企業の整理解雇は日本企業と何が違うのか?
今回は「外資系企業の整理解雇は日本企業と何が違うのか?」を解説いたします。
外資系企業の整理解雇は日本企業と何が違うのか?
外資系企業と日本企業は、企業文化や働き方に大きな違いがあります。
外資系企業は、成果主義を重んじており、個々の社員の役割が明確で、自らの仕事を全うするための責任を持つ文化があります。
一方、日本企業は、終身雇用を重んじており、部署移動に伴う職種の変更が頻繁にあります。
外資系企業では、パワハラやPIP、退職勧奨など、労働者を辞めさせる手口が多く、人件費の節約やヘッドカウントの削減、ポジションクローズ、パフォーマンス不足、上司との折り合いが悪いなどの理由で労働者を辞めさせることがあります。
また、外資系企業では、レイオフ(layoff)も実施されることがあります。
外資系企業と日本企業の整理解雇の違いは、外資系企業がよりグローバルな視点で人件費やヘッドカウントを削減することを目指す一方、日本企業は、終身雇用を重んじており、部署移動に伴う職種の変更が頻繁にあるため、整理解雇の理由や方法が異なります。
具体的には以下となります。
外資系企業と日本企業の整理解雇にはいくつかの違いがあります。
〇法的枠組みの違い: 日本の労働法には、従業員の雇用を保護するための厳格な規制があります。
たとえば、雇用契約の解除には正当な理由が必要であり、従業員に対する通知期間や解雇手当の支払いが義務付けられています。
一方、外資系企業の多くは、本国の法律に基づいて、雇用契約を解除することができる場合があります。
〇解雇プロセスの違い: 日本企業では、解雇は慎重に行われ、通常は従業員との協議の上で行われます。
解雇理由や手続きは法的に厳密に管理されます。
一方、外資系企業では、解雇プロセスがより迅速に行われる場合があり、法的な手続きが柔軟であることがあります。
〇解雇手当の違い: 日本の労働法では、解雇手当が法定で規定されており、従業員に一定の補償が支払われます。
外資系企業の場合、解雇手当は会社の方針や契約条件によって異なります。
〇文化的な違い: 日本企業では、従業員の雇用安定を重視する傾向があり、解雇は最終手段として扱われます。
一方、外資系企業では、業績や市場の変化に応じて組織の再編成が行われることがより一般的であり、解雇が比較的頻繁に行われることがあります。
これらの違いは一般的な傾向であり、個々の企業や状況によって異なる場合があります。
現在の労働法では、少なくとも成文法でも裁判法理でも、通常の事例と特殊な事例とで適用される法理を異にする根拠はありません。
仮に、裁判となった場合、解雇の有効性の判断においては、雇用慣行等を背景とした労働契約の内容を踏まえつつ、上記諸要素を考慮するより他にないのが実情と考えられます。
外資系企業だから、日本企業だからという区分企業文化、働き方に違いがありますが、法的な判断は国内法で判断されるので、ここの基準は同じといえます。
不採用の理由を伝えないと法律に抵触しますか?
今回は「不採用の理由を伝えないと法律に抵触しますか?」をお伝えします。
法律は国や地域によって異なる場合がありますが、一般的には、不採用の理由を明確に伝える必要はありません。
不採用の理由を伝えることが法的に必要な場合、その理由は一般的には公平で非差別的である必要があります。
差別的な理由で不採用を行った場合、雇用差別の訴えや法的な問題が発生する可能性があります。
但し、従業員に対して公正で透明性のあるプロセスを提供し、不採用の理由が必要な場合には、その理由を適切に伝えることが重要です。
不採用の理由を伝えないと、労働者が不当に解雇されたと感じることがあり、訴訟に発展する可能性もあります。
これに関する裁判があります。
学校法人早稲田大学事件(東京地裁 令和4・5・12)
教員公募試験に不合格となり、公正でないと賠償請求した事件です。
公募された専任教員の選考過程の情報開示を求めたが、拒否された非常勤講師が損害賠償を求めたのです。
書類選考で、不合格で、東京地裁は、職安法は根拠になり得ないなどとして請求を退けたのです。
労働組合の団交要求も、義務的団交事項に当たらず応諾義務を否定しました。
本件は、専任教員の公募で不合格となった原告が、選考過程や不合格の理由等について多様な法律構成(所属組合の団交要求を含め)によって開示を求めた事案です。
第一の主張は、契約締結上の信義則違反とのこと。
採用手続きが相当に進んでいたり、使用者側に採用を期待させる言動があるなどの事情があれば別段、そこに至らない本件で信義則違反をいうのは従来の裁判例に照らして困難と考えられます。
第二の主張は、職安法5条の4です。
同条は当該個人情報を収集、保管を規制するもので文言上開示の義務付けの言及はないとし、そこで本判決は、同条による文言解釈により同条による本開示請求を否定したのです。
第三の主張は、個人情報保護法28条2項です。
本判決は原告の要求内容が同法のいう「保有個人データ」であることに疑義を呈したうえ、仮に該当するとしても判決のポイント3の理由により(「当該個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」に該当)これを否定しました。
原告Aは現在被告の非常勤講師であり、本件で団交事項とする専任教員の採用過程等とは別ルートの雇用関係です。
したがって、義務的団体交渉事項には該当しないのです。
本判決は個人の本件情報開示・説明義務の不存在にも言及するが簡潔な判示なので団交義務との法的関連がやや分かりにくいです。
すなわち一般に法上の情報開示・説明義務が発生しない場合も、事案によっては労働組合に対する資料提供や説明が労組法7条2号の誠実交渉義務の内容となることがあり得るからです。
しかし、団交の要求の対象が全く別ルートの採用問題であるので、本件はそもそも前提となる私法上の義務がないので結局被告には団交応諾義務はないと考えられているのです。
