イカ釣りに通い始めて釣行回数は通算で27回を超えました.仕掛けはほぼ自作したものを使用しています.トラブルの少ない仕掛けの法則性についてわかったことを,記録として残しておきます.
1.ゲーム性を楽しむイカメタル
和歌山の電動浮きスッテでは,8本前後のスッテを付けた10mを超えるブランコ仕掛け(胴突き仕掛け)を使ってイカを釣ります.釣果重視の数釣りです.一方,イカメタルは,短い仕掛けを使って,1匹1匹を丁寧に抜き上げて釣るという釣り方で,ゲーム性を楽しむものです.トラブルが多いとゲーム性を楽しめなくなります.イカが乗りやすいからだとか,スッテが多い方が有利だからといって,仕掛けを長くしたりスッテを増やしてしまうと,イカメタルっぽさが徐々に失われてしまいます.イカメタルなのか電動ウキスッテなのか,どちらかに振り切った方がいいと思います.
2.仕掛けは短いほうが扱いやすい
イカメタルの仕掛けの長さは,120〜130cmぐらいが扱いやすいと思います.下図は,仕掛けの長さとイカの取り込みやすさの関係について示しています.一般的なイカメタルロッドの長さは6〜7ftです.下のスッテまで130cm以下となるまでリールで糸を巻き取れると,釣れたイカをきれいに抜き上げることができ,バレることが少ないです.一方,仕掛けが長い場合は,糸を巻き切った後,糸が船べりに当たらないように注意しながら,体を少し乗り出してできるだけイカに近い部分の糸を持って仕掛けを抜き上げる必要があります.慣れていないと,イカゲソの吸盤が船べりにピッタっと吸い付いてイカが逃げてしまったり,また,モタモタして不意にテンションを緩めてしまうとイカがカンナから外れてバレてしまったりします.慣れないうちは130cm以下の仕掛けがいいと思います.
3.リーダー直結が良い理由
市販の仕掛けのほとんどには上部にスイベルが付いていて,その金具がロッドのガイドを通らないことに注意が必要です.下図を参照しながら、PEとリーダーについては直結が有利であることを説明します.下図(左)のように,直結してその結び目がロッドのガイドを通る場合は,エダスの付け根まで糸を巻き上げることができます.こうすることで,竿の穂先から出ている糸の長さを短くできます.下図(右)は金具を介してPEラインと仕掛けを接続した場合で,金具までしか糸を巻けません.金具をエダスの付け根ギリギリに付ければいいように思われますが,そうすると別の問題が発生してしまいます(後述).
4.カンナをPEや金具に触れさせない寸法で
下図は,エギやスッテのカンナとPEラインの相性の悪さについて示しています.仕掛けをフォールさせているときは,エギは後からついて行くように落ちていきます.このとき,カンナが糸に触れてしまった場合について考えます.触れた糸がリーダー(フロロカーボンラインやエステルライン)だった場合,糸に張りがあるため絡みにくく,絡んでも自然とほどけます.しかし,触れた糸がPEラインだった場合は絡みやすく,運悪くPEラインがカンナに食い込んでしまうと,ほどくのが大変となります.最悪の場合はPEラインを切断して修復するしかありません(下図の右).このため,金具を使う場合は,エダスから十分な距離をとる必要があります(下図の中央).金具を使わず,リーダーとPEを直結する場合は何の問題もありません(下図の左).
5.オバマリグの法則
ここからは,イカメタル仕掛けの具体的な法則性について見ていきます.まず,オバマリグについてです.基本として,エギのカンナ同士が当たらないこと,十分なエダス間隔が必要なこと,仕掛けの全長は130cm以下が望ましいこと,の3点を念頭に置きます.エダス間隔については最低60cm以上は離したほうがいいでしょう.これよりも短いと極端にイカの乗りが悪くなります.また,エダス間隔が長いと広い範囲の棚を探れます.これらのことから,エダスが1本の場合は,エダスの位置は下から100〜120cmが良く,エダスが2本の場合は,60cm間隔とするのがいいと思います.PEとリーダーは直結が最善です.結び方は,FGノットがベストですが,現場で補助道具なしで結べない場合は柏木ノットがお勧めです.素早く結べ,イカに対しては十分な強度があります(後述).どうしても金具を介して接続する場合は,金具の位置は上のエダスの付け根から10〜20cmは離したほうがトラブルが少ないと思います.
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6.オモリグの法則
次に,オモリグについて見ていきます.オモリグでは小型天秤または親子サルカンを使って中オモリを接続しています.横リーダー(エダス)も100cm以上と長いです.フォール中は下図の右のような状態となります.エギやスッテのカンナがPEラインに当たらないようにするためには,横リーダー(エダス)よりも十分に長いリーダーが必要です.自分は200cm,あるいは,2ヒロ以上の長さにすることもあります.2ヒロ以上とする理由は,オモリグでは仕掛けをキャストしますが,キャスト時に指に引っ掛ける糸はPEラインよりもフロロやエステルとした方が怪我の危険性が少ないためです.このことは,鳥取の船長さんに教えていただきました.横リーダー(エダス)の長さについては,自分は,潮の速さを見て100〜150cmぐらいの範囲で調整しています.150cmの場合は,前述したように,イカに近い部分の糸を持って抜き上げます.バラしに要注意です.
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2022年ぐらいから,オモリグの中オモリの上側にエダスを1本付けた欲張り仕掛けが登場しています.この仕掛けでは,エギのカンナ同士が当たらないようにすることが必要です.下図に示すように,aの長さを100cmぐらいにしても,bのエダスの長さは60〜80cmぐらいにしかできません.エギをフワフワと漂わせるのが難しく,もはやオモリグと呼べないように思われます.また,上のエダスの付け根まで糸を巻いても,まだ2m近い仕掛けが下にあるので,釣ったイカを取り込むのに苦労しますし,バラしてしまう確率もアップしました.自分はこの仕掛けにゲーム性を感じなかったので,船上で直ぐに使用をやめました.
※ α(アルファ)はエギの長さです.
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7.イカメタルにおけるリーダーの長さについて
現場でよく訊かれることは,リーダーの長さについてです.これまでの説明から解るように,スッテやエギのカンナがPEや金具に触れないように仕掛けを作ることが大切です.このためには,オバマリグでは,リーダーの長さは,(一番上のエダスの長さ)+(エギの長さ)以上あれば十分でしょう.具体的には,結び直すことも考えて50cm以上あれば問題ないと思います.後述のスピニングタックルを使うことを考慮しても2~3mぐらいとっていれば大丈夫です.オモリグにおけるリーダー(縦リーダー)の長さは,(エダス(横リーダー)の長さ)+(エギの長さ)以上あれば十分です.さらに,スピニングタックルの場合は,キャストするときに指にPEが掛からない(指にリーダーが掛かる)ようにするためには,仕掛けを巻き切ったときに,少し,スピニングリールのスプールにリーダーが巻かれるぐらいの長さがあるといいです.指の保護のためと,PEの傷みを軽減化するためです.
8.PEとリーダーの結び方について
最後に,PEとリーダーの結び方について説明します.
最近のオモリグロッドは先端のガイドの内径が小さく,PEとリーダーの結びコブが引っかかりやすくなっています.このことから,自宅などで,FGノットやPRノットで結束しておくといいと思います.しかし,仕掛けのトラブルなどで,釣りの現場で結束をし直すこともあります.そのようなとき,簡単に結べる柏木ノットについて紹介します.
「柏木ノット」で検索すると,より詳しい解説記事が見つかりますので,ここでは簡単に説明します.柏木ノットの結び方を下図に示します.PEラインをリーダーに箱掛けし,リーダーの先端をPEラインにエイトノットで結んだあと,電車結びのように引っ張って固定する方法です.結束強度は70〜80%しかないようです.強度試験を実施すると,ほぼPEのチチワのエイトノットの箇所で切れます.しかし,イカのような弱い引きには十分過ぎる強度があります.結びの確実性が高く,すっぽ抜けがほぼ発生しないことが特徴です.慣れれば1分程度で結べます.コツとしては,下図の手順1で,大きめのチチワを作ることがポイントです.あとは,リーダーのエイトノットさえできれば結べると思います.テクニックは必要ありません.このノットの難点は,結びコブが大きいことです.イカメタルロッドのような小さいガイド穴をスムーズに結び目が通るようにするには,リーダーの太さは3号以下にする必要があります.4号だと,キャストしたときに引っかかるので注意してください.改善方法はないものかと色々やって見ましたが,ダメでした..オバマリグでは3号,オモリグでは2~3号がいいと思います.
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9.おわりに
ゲーム性を楽しむには,仕掛けの法則を理解して,トラブルの少ない仕掛けを準備することが大切です.また,現場で柔軟に対応できるように,よく練習しておくことも重要と思います.
市販の仕掛けはよく考えられていてトラブルが少ないです.仕掛けを自作すると,トラブル多発で,試行錯誤で色々なことがわかってきます..それもまた何故か楽しいのです.
この記録が皆さんのご参考になりましたら幸いです.
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