フルオーダーメイドのアルミ製イカトロ箱をT.K Craftさんに製作していただきました.4ヵ月前に納品してもらっていましたが,このたび,ようやく3回の実釣で使うことができましたので,特徴,寸法,使い勝手などについて,記録として残しておきます.
ケンサキイカ用のトロ箱については,これまで,2年間程度,シマノ 冷えキントレーを使い続けていましたが,対流伝熱による冷却には限界があることを感じていました.クーラーボックスを頻繁に開閉すると,冷気が逃げて冷えにくくなり,最下段のトレーが浸水しやすい問題もありました.これに対して,アルミトロ箱は,伝導伝熱でイカを直接冷却します.また,蓋を開閉してもイカ周辺の冷気が逃げにくい密閉構造をしています.氷は最下段に入れますので,イカが浸水する心配も少ないです.冷却能力の向上を図るために,思い切って注文した次第です.8月発注,9月納品でした.
今回製作していただいたのは,ダイワ プロバイザートランクHD 3500 AM用のアルミトロ箱です.他社のトロ箱と違う点は,フルオーダーができることです.オーダーサイズについては,迷いに迷った結果,縦横はダイワ35L用の推奨サイズの230mm×465mmとし,高さにだけこだわりました.「釣女の釣行記」チャンネルの釣女さんや,T.K CraftのKさんからもアドバイスをいただきました.
発注仕様:
1~3段目: 縦230mm×横465mm×高さ45mm
4段目: 縦230mm×横465mm×高さ65mm
ゴム足あり,傷防止のコーナーカバーあり,オプションのフタあり
トロ箱の寸法を,クーラーボックスの内寸と併せて下に図示します.発注時点においては,クーラーボックスに入れた状態での上下/前後/左右の空きスペース(余裕さ)は,はっきり言ってよく解らなかったのですが,納品されてから実測してみると,ほぼ満足のいくものとなっていました.
下図(右)に示すように,冷えキントレーでは,氷を一番上のトレーに入れます.底にスペーサーを挿入したとしても,溶けた氷の水で一番下のトレーが浸水する可能性があります.また,対流伝熱で冷却する(空気を介して冷却する)ので,トレーの予備冷却が必要であったりクーラーボックスのフタの開閉頻度が多いと冷気が逃げる問題がありました.一方,下図(左)のアルミトロ箱の場合は,氷を一番下のトレーに入れるので,浸水する可能性が低く,伝導伝熱で冷却する(アルミケースを介して冷却する)ので効率が高く,イカはトロ箱の内部に格納されるので,イカ周辺の冷気が逃げにくい構造となっています.
4段目のトレーの高さだけを65mmとしたことについては,厚さ60mmのコンビニのブロック氷を割ることなくそのまま入れられるようにするためです.また,高さを増やすことで浸水もしにくくなります.1~3段目を標準の高さ50mmではなく45mmとした理由は,ケンサキイカでは35mm,大型のスルメイカでも40mmもあれば充分であることと,4段フルにイカを入れた場合に,底に保冷パックM(26mm厚)を敷き詰めるスペースを確保するためです(下図の右).45mmはオーダーできる最小の高さです(2021年の時点).
完成して納品された直後のトロ箱がこちらです.オプションのアルミ製の蓋(天板)が良い感じです.
シマノ冷えキントレイ5段との比較です.段数は4段 vs. 5段で,1段少なくなりましたが,冷えキントレーでは,一番下のトレーは浸水の危険性があるため使わないことが多いです.実質的にはイカが入るスペースは3段 vs. 3段で同じです.
スペースの余裕について (縦方向)
幅230mmでオーダーしました.実は,アルミ部分で230mmと思って発注しましたが,実際には,緩衝ゴムの厚さを含めて230mmとなっています.
シマノのトレイは239mm幅です.これでもダイワのクーラーボックス(内寸240mm幅)にギリギリ入ります.
トロ箱は冷えキントレーよりも10mmだけ幅が細いのですが,全く問題なしです.実は,冷えキントレーはテーパ-(尻すぼみ)になっているので,イカが乗る底面の幅で比較すると,逆にトロ箱の方が若干広いくらいです.
スペースの余裕について(横方向)
クーラーボックスの横方向の内寸550mmに対してトロ箱の横寸法は465mmであり,85mmの余裕があります.大きいようですが,実は,これがギリギリなんです.左右それぞれ42.5mmのスペースから両手を底まで入れて4段分のトレーを一気に取り出すとき,この85mmの余裕が必要です.これよりも余裕がないと,1段ずつ取り出さなければなりません.
1段つず取り出すことを許容できる場合についてです.写真に示すように,ダイワ製35Lクーラーボックスには車輪(タイヤハウス)の位置に大きな出っ張りが内側にありますので,あと約34mmぐらいまでしか横サイズを伸ばせません.自分の場合は,両手が底まで入って欲しいので,今回の横465mmでの注文は正解でした.
スペースの余裕について(高さ方向)
下の写真に示すように,高さの余裕は約30mmです.クーラーボックスの蓋側に噛み合わせの出っ張りがあることに注意が必要です.天板の上に何も置かないのであれば,あと25mmぐらいは伸ばせるかもしれません.しかし,爆釣して(妄想ですが・・),4段全てにイカを入れるとき,底に氷や保冷パックM(26mm厚)を敷き詰めますが,そのときのために,30mmぐらいの余裕は欲しいところです.(前述での図の通りです)
(妄想ですが),アオリイカなどの大きなイカが釣れた場合は,天板を外して1段目(最上段)に入れます.もっと釣れた場合は,65mmの箱を2段目に移動させてイカを入れ,氷は最下段の45mmの箱に移動させます.
仕上がりについて
アルミの切り口にバリなどは一切なく,寸法もツライチで揃っています.流石の職人さんクオリティでした!
実釣で使って見て
2021年12月~2022年1月に合計3回使ってみました.お世話になった船宿は,和歌山県のタイガーフィッシング奏丸さんです.実釣では,35L用トロ箱に加え,予備で27L用(30L用)冷えキントレーも持参しました.残念ながら,力不足で爆釣することはなく,トロ箱だけで充分でした.心配は杞憂でした..
4段目の高さを65mmとしたことは正解でした.氷がたっぷりと入ります.(入れすぎ注意,後述) 浸水の危険性もなくなりました.
串本の冬イカメタルでは,3段の使用が最大でした.6月から始まる鳥取イカメタルでは,4段の全てにイカが入るような爆釣になればいいなぁと,叶わぬ夢を見ています..
強いて言えば程度の些細な点ですが,3点だけ気になる点/反省点があります.
- 冷えすぎます.嬉しい悲鳴です! 「イカの提灯」を維持できる温度で持ち帰りたい場合は,氷を入れすぎないことです!
- オーダーで指定した縦横サイズはアルミ部分(本体部分)のサイズと思っていましたが,緩衝ゴムを含めたサイズでした.5mm程度の誤差ですので,問題なしです.
- 4段目のトレー(一番底のトレー)のゴム足ですが,もう少し内側に接着されていると良いと思いました.理由は,4段目を1段目や2段目に重ねたときに,ゴム足とトレーの縁が干渉するためです.自分で貼り替えて対応できます.なお,内側に移動させると強度が落ちますので,その点には注意が必要です.迷っていて,まだ貼り替えてはいません..(追記: 貼り替えました.記事はこちらです.)
以上,記録として残しておきます.ご参考になりましたら幸いです.
オーダーメイドについて
私は,こちらの久幸丸さんのページの2枚目の画像の右下の連絡先( t(ドット)k_craft(アット)inabapyonpyon(ドット)net )に直接メールを出してフルオーダーの相談をしました.釣場速報のページからも買えますが,T.K Craftさんによれば,釣場速報経由の場合はサイズは固定になってしまうとのことでした.
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