スナップとスイベル(ヨリモドシ)のサイズの選び方の基準は人それぞれです.個人的には,経済的であること,扱いやすいこと,トラブルが少ないことを基準としています.記録として残しておきます.
選ぶときに重要視すること
スイベルとスナップ付きスイベルについては,さまざまなパラメータがあります.釣法ごとに若干違ってきますが,自分が重要視しているのは,下図の赤字のパラメータです.次の章から詳細について説明していきます.
スイベルについて
スイベル(スイベル型サルカン)は号数ごとにボディの直径が異なっています.このため,号数ごとに,重さと強度が違います.下表に,NTスイベル NTパワースイベルとダイワ DスイベルSSローリングを代表例として,号数,直径(ノギスでの実測値),重さ,強度,1パッケージの入り数を示します.NTパワースイベルの1パッケージの値段は221円,Dスイベルの1パッケージの値段は598円として計算しています.入り数が同じ場合は大きいサイズのほうがお得のように見えますが,サイズが小さいスイベルのほうが摩擦が小さくよく回転します.また,スイベルを仕掛け中のガン玉(オモリ)として使う場合は,重さで号数を選ぶことになります.ダイワ製は,NTスイベル製よりも高価ですが,スイベルの内面にフッ素コーティングが施されていて,回転性能が良くなっています.フッ素コーティングによって耐久性も向上していて,繰り返し使用してもガリガリになりにくいです.ただし,強度は,NTスイベル製の方が上です.
表1
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※Dスイベルは4号,5号,12号が少し太めです
スナップ付きスイベルについて
スナップ付きスイベルは,スナップとスイベルが合体した金具です.スナップの方が弱いため,全体の強度はスナップの強度と等しくなります.NTスイベル製のスナップ付きスイベル型サルカン(インタースナップNTパワー)と,参考としてスナップ付きタル型サルカン(NTスナップ付タル)について,号数ごとの重さ,強度,1パッケージの入り数を下表に示します.強度が同じ号数がありますが,これは,スナップの大きさが同じためです.スナップの大きさの種類は少なく,いくつかの号数で共通のスナップが使われています.スナップ部分は共通でも,号数ごとにスイベル部分は異なるので,全体の重さは号数ごとに異なります.強度が同じで入り数が異なる場合は,入り数が多いほう(小さいサイズのほう)を選びたくなりますが,スイベル部分の耐久性があるのは大きいサイズのほうで,繰り返しの使用に適しています(ガリガリになりにくい).ただし,回転性能が良いのは小さいサイズで,これは上記のスイベルの説明でも述べた通りです.
下表は,ダイワ製のDスナップ SSのスナップ付きスイベルについて整理したものです.重さは公開されていませんので,実測値を含めて割愛します.NTスイベル製と比べて,ダイワ製スナップは強度が高く,全体の強度も良くなっています.スイベル単体の強度とは逆です.良いスナップが使われているためと考えられます.全体の傾向は,上で述べたNTスイベルの場合と同じです.強度の列に,その強度に相当するフロロカーボンとPEの号数を添えておきました.ラインよりも強度の高い金具を選ぶときの参考情報です.
スイベル,スナップの号数選び
ライン以上の強度
仕掛けは一番強度の弱い部分で切れますので,通常は,ラインよりも強度のあるスナップを選びます.自分が道糸PEとして使っているシマノ タナトル8では,PE0.6号の強度は6.6kg,PE0.8号は8.3kg,PE1号は10.2kg,PE1.5号は14.4kg,PE2号は19.4kg,PE3号は24.8kg,PE4号は30.7kgです.PE6号以上についてはタナトル8は無く,強度の典型値は,PE6号は40.82kg,PE8号は45.36kg,PE10号は58.59kgです.道糸PE側の強度ではなく,リーダーや仕掛け側のフロロの強度を基準としても構いません.この場合は,「(道糸PEの強度)>(スナップの強度)>(仕掛けの幹糸またはリーダーのフロロの強度) 」の順に弱くなる強度傾斜となります.メインライン(道糸PE)や仕掛けの幹糸よりも強い金具を使うと,金具の破損によるトラブルを防げます.なお,オモリ用(捨て糸用)の金具など,敢えて強度を弱くしたほうが良い部分もあります.適材適所です.
(スナップの強度)>(リールの糸の強度),または,
(スナップの強度)>(仕掛けの糸の強度)
各スナップサイズで1種類の号数にまとめる
スナップ付きスイベルやスナップ付きサルカンについては,スナップの強度(スナップのサイズ)で全体の強度が決まります.同じスナップサイズのスナップ付きスイベル/サルカンを複数種類持っておくのは得策ではないかもしれません.最初は,スナップサイズごとに(強度ごとに)ひとつの号数ずつを持っておくといいと思います(重さ重視の場合を除く,後述).
スナップを引っ掛けやすいアイ(穴)の大きさ
スイベルとスナップを繋ぐとき,スイベルのアイ(穴)の大きさが小さいと,スナップに引っ掛けにくくなります(下の写真).適度にアイが大きいほうが船上で扱いやすいと思います.自分に何号が合っているのかは,自宅で予行演習をして把握します.自分は老眼なので,大物の胴突き仕掛けの上側のスイベルには3号スイベルを使うことが多いです.道糸側のスナップ付きスイベルはロック付きボールベアリングの5号です.小物(カワハギなど)の釣りでは,仕掛け側は5号スイベル,道糸PE側は3〜5号のスナップ付きスイベルです.
チチワのエイトノットのコブが通るアイ(穴)の大きさ
自分はサルカン結びに自信がないので,エイトノットでチチワを作って,箱掛けして糸を留めています.このため,写真のように,チチワのエイトノットのコブがスイベルのアイ(穴)を通る必要があります.小さい穴は写真の下のようにコブがアイを通りません.表1の右端の列に,どの号数のスイベルがフロロ何号のコブを通せるのか調べた結果を書いておきました.○は余裕で通せて,△はギリギリ通せるという感じです.メーカーによって多少のばらつきがあるかもしれません.
箱掛けしたときに,糸がスイベルの胴体に当たらない大きさ
前節のチチワの箱掛けと関係しますが,箱掛けしたときに,糸がスイベルの胴体に当たってしまうと,回転性能が劣化するので,そうならない大きさを選んでいます.下の写真の中央は,糸の太さに比べてスイベルが小さいため,スイベルの胴体に糸があたっています.なお,箱掛けではなく,写真の右のように,アイに糸を結んでしまうと,胴体に糸が当たることはなく,この問題は解決します.ただし,よく締め込んでおかないと,濡れた状態ではスルスルと滑ってスッポ抜けることがありますので要注意です.特に,完全結びの場合は締めが甘いと「あれ~」という感じで簡単にスルスルと抜けてしまいます.自分がチチワの箱掛けを多用する理由の一つです.
仕掛け巻きに巻いたときに,かさばらない大きさ
仕掛け巻きを使う場合は,金具が大きすぎるとかさばります.大きい金具を使うときは,金具を外した状態で現場(釣り場)に運んでいます.チチワの箱掛けだとこれが可能です.運んでいる途中の振動でチチワから金具が抜けて飛ぶこともなく,また,海水がかかるなどの不注意によって金具を錆びさせてしまうことも防げます.
重さ(自重)で選ぶ
大きいほど重く,小さいほど軽いので,重さを基準として適した号数を選ぶことがあります.胴突き仕掛けなどの場合はあまり関係がありませんが,例えば,関東のコマセ真鯛における長いテーパー仕掛けの途中に取り付けるスイベルは,極小スイベルがよく,重さや潮の受け具合で選びます.
船釣り以外では,ガン玉のように使う場合もあり,その場合も重さで選びます.
軽さで選ぶ
イカメタルのようなルアー(浮きスッテやエギ)でスナップを使う場合は,ルアーの動きを妨げないように軽さを重視します.軽量でかつバネ強度が強いエギ用のスナップが売られているので,それを使うことが多いです.小さすぎるとスナップを開けにくかったり,ルアーのアイに通しにくかったりしますので,適度な号数を選びます.
一方,イカメタルのシンカー側(鉛スッテ用)のスナップについては,重量があるのでスナップの軽さはあまり関係がなく何でもいいのですが,自分は,1.5号の大きめのエギ用スナップにしています.30号以上の鉛スッテの場合は2号のエギ用スナップでもいいかもしれません.
格安スナップは数回の使用でバネが弱くなって水中でスナップが開いてルアーをロストたりしますので要注意です.写真のカルティバのクイックスナップは信頼できると思います(経験上).ヤマシタのTRスナップもノートラブルです.
※写真下はティップラン用の特殊なスナップです.
大きさで選ぶ
上の写真のティップラン用スナップのように,大きいと,エギのアイにスナップを通しやすくなります.自重が重たくなりますので,ティップラン以外の普通のエギには大きいスナップは向きません.
小ささで選ぶ
小さいほど,潮に流されにくいです.また,小さいと(軽いと),船上に仕掛けを上げて置いたときに手前祭りしにくくなります.逆に大きいと(重たいと),上げている仕掛けの糸の中に金具が落ち込んだりして手前祭りしやすくなる可能性があります.
耐久性か,回転性能か,経済性か?
サイズが大きいほど耐久性が高く,再利用時に安心です.しかし,大きいほど入数が少なく,単価が高くなります.入り数が同じならば(単価が同じならば)大きい号数を選びたくなります(重さが問題とならないとき).しかし,小さいほうが回転しやすいです.また,メーカーによっては小さすぎると入数が逆に少ないことがあります(単価が高くなります).
使い捨てか,再利用するか?
小さいスナップ(バネが弱いスナップ)は再利用しないことが多いです.1回の使用でバネがゆるくなって機能しなくなり,再利用するとエギなどをロストしてしまう可能性が高いためです.
大きいスナップは,チェックして問題がなければ,再利用します.チェック箇所は,バネのゆるみ具合,回転させた場合の滑らかさなどです.寿命が尽きた金具は処分するか,シンカー用に回します.なお,シンカー用スナップは,ロストするまで再利用し続けることが多いです.
インタースナップか,セーフティスナップか?
セーフティスナップ(写真の右)はお祭りしたときに自然と解けやすいです.インタースナップ(写真の左)は横の出っ張りに糸が引っ掛かることがあります.また,インタースナップはラウンド型ですが,セーフティースナップは先がとんがっているので接続した金具の位置が安定します.ただし,強度はありません.PE3号ならば,25kg以上の強度が欲しいところですが,セーフティスナップでは25kgの強度の製品は希少で,あっても巨大サイズです.金具の強度を仕掛け側(フロロの号数)に合わせてもいいですが,それでもフロロ 12号の20kgまでと思います.
インタースナップについては,超小型がありません.極小スイベルであっても大きいスナップが付いていて,形状のバランスが悪い(ずんぐりむっくりになっている)ことがあります.例えば、インタースナップNTパワーの6号以上の号数については,同じ大きさのインタースナップが付いています(表2左の6号以上での強度が同じです).
表2からわかるように,同じ号数ならばセーフティスナップ(スナップ付きタル)の方がかなり大きめです(重めです).現物を見ないで通販などで購入する場合は注意が必要です.
道糸の先(リーダーの先)のスナップ
道糸がPE2〜4号の船釣りでは,5号のロック付きボールベアリング(写真の製品では号数が大きいほど大型)を使うことが多いです.道糸がPE8〜10号の泳がせ釣りでは7号を使うこともあります.PE2〜3号の高仕掛けでは4号も使いますが,5号の方が耐久性があり安心です.道糸がPE1号のカワハギ釣りでは,インタースナップ付きスイベル4〜5号を使っています.できるだけ小型の方が感度を損なわないためです.
オモリ用のスナップ
Amazonで50個入りで500〜1100円で売られているNTスイベル製スナップ付タルを愛用しています.下の写真のように,強度ごとに(スナップの大きさごとに)1種類ずつ持っていれば十分です.スナップの形状は,セーフティー型です.これはもう価格重視です.根掛かりしたときには飛んでもいい部分ですので,敢えて強度の弱いスナップを使っても問題ありません.ただ,弱すぎると,根掛かり以外のとき,例えば魚が大きく暴れただけでオモリが飛んでしまいます.スナップは適度に強い号数を選び,捨て糸の太さや捨て糸に作る結びコブで切れる強度を調整します.
ケースに入るサイズ
お気に入りのケースがあれば,それに入るもので号数を決めることもあります.この制約で選ぶのは稀ですが・・・.例えば,ダイワの9個口のユニットケース(写真右)には,2号スナップまでしか入りません.
市販仕掛けの金具の号数の例
船カワハギ仕掛け(幹糸 フロロ3~4号)
上側のスイベルは10~12号の小さいもの(感度を損なわないように軽いもの)が使われていることが多いです.下側のシンカー用には,スナップ付きスイベルの場合は4~5号,スナップ付きタル場合は8号前後が使われています.(ダイワ製,シマノ製の仕掛けを調査)
落とし込み(アンダーベイト)仕掛け(幹糸 フロロ8~14号)
上側のスナップ付きスイベルは2/0号または1/0号が,下側のシンカー用のスナップ付きスイベルは3号が使われています.(ハヤブサ製の仕掛けを調査)自分は,落とし込み仕掛けの上側は3号スイベル(スナップなし)にしています.市販仕掛けでは,スイベル仕様のクッションゴムにも対応しないといけないので,仕掛けの上側も下側もスナップ付きスイベルが付いています.このため,上側のスナップ付きスイベルについては,10号〜14号の幹糸よりも強い強度が必要なため,やむを得ず巨大なスナップ付きスイベルが付けられているようです.
スナップ,スイベルのサイズ選びの基準は人それぞれです.この記事が参考になりましたら幸いです.